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【MICEの基礎知識(5)】展示会と見本市は違うもの?

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今回は「展示会」と「見本市」の違いについてお伝えします。最近は「展示会」の名称が多くなっているかもしれません。一見すると似ているこの二つのイベントですが、その背後には興味深い違いがあります。くわしく見ていくことにしましょう。

展示会と見本市の定義

まずは、それぞれの基本的な定義を見ていきたいところです。

  • 展示会(てんじかい):新製品やサービス、アート作品などを展示、宣伝するためのイベントです。目的は、広く情報を発信し、製品や作品の魅力を多くの人に知ってもらうことにあります。メーカーや販売会社、問屋、団体などがブースを設けて出展します。さながら商店街やお祭りの屋台、学園祭の模擬店のようです。大きな展示会では立派なブースも増え、テーマパークのようになることも。
    展示だけではなくその場で商談が行われることもあります。ビジネスの展示会では「宣伝・ブランドを高める」「商談を生む・売上を作る」ことが目的になっています。
  • 見本市(みほんいち):主に業界関係者やビジネスパートナーを対象に、新商品やサービスを紹介するイベントです。展示会と同じでは?と思われたかもしれません。見本市では商談をすることが目的のため、一般的にはビジネス関係者のみの入場となることが多いです。商談や取引が活発に行われ、ビジネスチャンスを広げる場となっています。欧米での歴史は長く、同じ場所で例年開催されるケースがあります。有名な見本市は世界的にも知られる存在です。結果として人の交流が生まれ、参加することが大きな権威をもつことになるケースもあります。

日本と海外での使われ方の違い

次に、日本と海外でのこれらの言葉の使われ方を見てみましょう。

海外の場合

英語の表記で分けると、意味がわかりやすくなるのではないでしょうか。

  • Trade Fair(トレードフェア):これは「見本市」に相当します。「Trade」つまり売買のための市になります。ビジネス目的で開催されるイベントであり、企業間の取引や新製品の発表、業界の動向を探るための場として位置づけられます。
  • Exhibition(エキシビション):一般的に「展示会」を指し、広く一般の人々が参加できます。「Exhibit」つまり展示のための場です。アートや文化、消費者向けの製品など、多様なテーマで開催されます。
これは、見本市?展示会?それとも何?って気になってしまいますか

日本の場合

日本では、「展示会」と「見本市」の区別が海外ほど明確ではないようです。多くの場合、ビジネス向けのイベントでも「展示会」という言葉が使われています。そのため、名称だけではイベントの目的や対象者を判断しづらいことがあります。

日本では、以下のような特徴が見られます。

  • 名称の混同:ビジネス向けのイベントでも「展示会」と呼ばれることが多く、一般消費者向けのイベントと区別がつきにくい状況です。
  • 参加者の多様性:ビジネス目的のイベントであっても、一般の人々が参加できる場合があります。その逆もまた然りで、消費者向けのイベントでも業界関係者が多く訪れることがあります。ビジネスデイとしてビジネス関係者のみの日程を作ることで商談を促したり、商談会を別に設けることでビジネスの機会を創出しているイベントもあります。
  • イベントの目的:日本の展示会や見本市は、商談だけでなく、ブランドの認知度向上や市場調査、新規顧客の開拓など、多面的な目的を持つことが一般的です。

日本のビジネス文化や言葉の使い方が影響しています。日本では、ビジネスと消費者の垣根が低く、企業が直接消費者と接点を持つことが多いです。そのため、企業間取引の場である「見本市」でも、一般の人々が参加しやすい環境が整っています。インターネットの普及により、メーカーなど企業と消費者との距離感が変わり、直接消費者と出会える場に変化している例もあります。

日本と海外での言葉の使われ方の違いは、以下のような影響をもたらすかもしれません。

  • ビジネスチャンスの捉え方:海外企業が日本の「展示会」に参加する際、一般消費者向けのイベントと誤解する可能性があります。その結果、ターゲットとする顧客層にアプローチできないリスクがあります。
  • マーケティング戦略の違い:海外では、見本市と展示会で明確にマーケティング戦略を分けていることが多いです。日本では一つのイベントで両方の戦略を組み合わせる必要があります。

出展・参加するときのポイント

日本で開催されるイベントに参加する際は、以下の点に注意すると良いでしょう。

  • 公式サイトで確認:イベントの目的や対象者、参加条件を事前に確認しましょう。昨年までの開催実績から来場者数や来場者の属性がわかります。出展者の傾向もつかめますので、よく研究することが出展成功につながります。会場を訪問する場合も同様です。
  • 目的を明確に:ビジネス目的であれば商談の準備を、情報収集や新しい体験が目的であれば、興味のあるブースをチェックしておくとスムーズです。展示会であれ、見本市であれ、出展の目的や目標を検討しましょう。会場を訪れるのであれば、人の少ない時間帯、回る順番などを検討しておくことでスムーズな情報収集ができます。しっかり話を聞きたいなら事前に連絡を入れておくのも効果的です。
  • ネットワーキング:日本のイベントでは、名刺交換やカジュアルな会話がビジネスにつながることも多いです。積極的にコミュニケーションを取りましょう。パーティーや商談会を展示会・見本市とは別に設定していることもあります。こちらも積極的に参加することで思わぬ出会いがあるかもしれません。

ここでちょっと話題を変えて、展示会のネーミングについて見ていくことにしましょう。

展示会ネーミングの特徴

英語やカタカナの活用 国際化が進む中で、英語やカタカナを使った名前が増えています。これにより、海外からの参加者にも分かりやすく、洗練されたイメージを持たせることができます。
例:「Japan Drone」「Smart City Week」のようなネーミングです。

略語や頭文字の使用 長い名前を覚えやすくするために、略語や頭文字を使うことがあります。ブランドとしての認知度を高める効果も期待できます。ただし、定着するまでは何のイベントかわからないということもありえます。
例:「CEATEC」(シーテック:Combined Exhibition of Advanced Technologiesの略)
  「京まふ」(京都国際マンガ・アニメフェア)KyoMAF→京まふ。解読の難度が高い…

テーマを直球で表現 一目で内容が分かるように、テーマをそのまま名前に取り入れることが多いです。専門的なイベントでも、初心者に優しい印象を与えます。
例:「健康博覧会」「次世代ロボット展」
地域の名称を入れることで、どこで開催されるのかも伝わります。

トレンドワードの採用 最新のトレンドやキーワードを名前に入れることで、時代の流れに敏感なイベントであることをアピールしています。
例:「AI・人工知能 EXPO」「ブロックチェーンフェス」
既存のイベントの名称を変更する場合もあります。ただし、陳腐化しやすいおそれもあるため、注意が必要です。

親しみやすさ・ユニークさの演出 硬いイメージになりがちな展示会を、柔らかく親しみやすい名前で表現することもあります。
例:「おもちゃショー」「スイーツコレクション」

具体的な例とその特徴

  • 東京ゲームショウ ゲーム業界最大級のイベントで、国内外から最新のゲームが集結します。すでに有名なイベントですが、シアラ内人にもどこで何をするのかはわかります。しかし、若い方に聞くと「TGSですね」とさらっと答えられてしまいました。コアなファンには略称でも通じるようです。
  • ビューティーワールド ジャパン 日本の美容業界の総合展示会で、化粧品からエステ機器まで幅広く紹介されています。英語とカタカナを組み合わせた名前が印象的です。こちらも「BWJ」と略されることがあるようです。
  • エコプロ 環境とエネルギーに関する展示会で、「エコ」と「プロフェッショナル」を組み合わせた造語が使われています。日本人は4文字程度に「ドラクエ」「キムタク」のように略するのが得意で、つい口にしたくなるこのネーミングは素晴らしいですね。

ネーミングの工夫が生む効果

展示会の名前は、そのイベントの第一印象を決める重要な要素です。分かりやすく魅力的な名前を付けることで、参加者の興味を引きやすくなります。また、トレンドワードや英語を取り入れることで、時代性や国際性をアピールできます。
近頃は「~EXPO」「~ショー」「~展」「~メッセ」といった名称もよく見かけます。
上の写真は長いネーミングの例です。国際であり、フロンティアであり、産業のメッセの2024年開催です。エコプロの対極ですね。ちなみに「メッセ」とは中世ヨーロッパの市を意味するドイツ語です。協会のミサの語に由来し、そこで開かれるいわば門前市を指していたそう。そういえば、幕張メッセも「メッセ」ですね。

まとめ

少し脱線してネーミングのことにも触れましたが、いかがでしたか。「展示会」と「見本市」は似ているようで、その目的や対象者、文化的背景によって違いがあります。特に日本では、その区別があいまいになりがちです。日本では独自の展示会文化ができているのだと思います。イベントに出展・参加する際は、その特徴を理解して、有意義に活用してくださいね。

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