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【展示会の基礎知識(9)】特別な体験を提供する、ユニークベニューについて

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ユニークベニューとは

ユニークベニュー(Unique Venues)とは、従来の会議室やホテルの宴会場とは一線を画す、特別な体験を提供するためのイベント会場を指します。歴史的建造物、美術館、産業遺産、自然の中の庭園、さらには水上施設など、通常イベント会場として利用されない場所が該当します。このような場所は、単なる空間以上の価値を提供し、イベントそのものの魅力やテーマを一層引き立てます。

たとえば、京都の世界遺産での国際会議や、港の赤レンガ倉庫を活用した先端技術の展示会など、ユニークベニューの選定次第でイベントの印象は大きく変わります。参加者にとって「特別な体験」として記憶に刻まれるイベントを実現できます。

ユニークベニューとMICEの結びつき

MICE(Meetings, Incentives, Conferences, Exhibitions)は、国際会議や展示会、インセンティブ旅行などの形で開催されるビジネスイベントを指します。MICEでは、単なる会場提供以上の体験や付加価値が求められることが多く、ユニークベニューの活用がそのニーズに応える重要な役割を果たします。

ユニークベニューは、MICEイベントにおいて以下のような効果を発揮します。

  1. 参加者体験の質向上
    参加者に特別感を与え、イベントの満足度を向上させます。日本庭園や歴史的建築物を活用すれば、日本の文化や伝統を肌で感じられる体験を提供できます。
  2. イベントのテーマ性を強化
    会場そのものがイベントのテーマを象徴する役割を果たし、統一感を生み出します。たとえば、サステナビリティをテーマとしたイベントなら、自然と調和した施設や環境保全が進んだ場所が適しています。
  3. 観光とビジネスの融合
    ユニークベニューは、地域の観光資源としての魅力を最大化します。MICE参加者が地域観光も楽しむことで、経済効果が拡大します。

ユニークベニューの例

JNTO(日本政府観光局)のユニークベニューのページに挙げられているユニークベニュー

東京 迎賓館赤坂離宮
北海道 モエレ沼公園
山形 山形美術館
三重 鳥羽市立海の博物館
京都 二条城
岡山 岡山城
長崎 グラバー園
沖縄 沖縄美ら海水族館

ユニークベニューで開催されたイベントの記事


ユニークベニューがMICEに与える具体的なメリット

1. 会議・セミナーでの活用

伝統的な日本家屋や茶室を利用した会議は、形式ばらずリラックスした雰囲気でのディスカッションを促進します。また、背景にある文化や歴史が会議内容を深めるインスピレーションを提供することもあります。

2. インセンティブ旅行(報奨旅行)での特別体験

インセンティブ旅行では、参加者への「感謝」や「モチベーション向上」が主な目的です。温泉旅館や自然の中の宿泊施設を会場にした特別ディナーや文化体験は、参加者に忘れられない思い出を提供します。

3. 展示会での新しい試み

産業遺産や空港跡地などの広大な空間を活用することで、通常の展示会では難しい大規模なインスタレーションや、先端技術を活用した体験型ブースを設置することが可能です。

4. ネットワーキングイベントでの独自性

日本庭園や美術館のような洗練された空間でのネットワーキングイベントは、自然と会話を促し、参加者同士の距離を縮める効果があります。


日本らしいユニークベニューを活用する

1. 世界遺産を活用した国際会議

京都の清水寺や奈良の東大寺など、世界遺産を活用した会議では、参加者に日本文化の奥深さを体感させることができます。また、厳かな雰囲気が会議やイベントの格を引き上げます。

2. 地方都市での地域活性化イベント

地方の伝統工芸施設や産業遺産を活用した展示会やワークショップは、地域の魅力を直接体験してもらう絶好の機会となります。

3. 日本庭園でのインセンティブ旅行の特別プログラム

日本庭園を貸し切り、能や茶道などの文化体験を組み込むことで、参加者が日本の美学や心を深く感じることができます。これは特に海外の参加者に人気のあるプログラムです。

4. 自然環境を活かしたエコツーリズム型イベント

富士山周辺や琵琶湖などの自然豊かなエリアを舞台にしたイベントでは、環境への配慮を訴求しつつ、自然体験を通じて企業のCSR活動をアピールすることができます。

ほかにも博物館・美術館、商店街、公園・庭園・河川敷、テーマパーク・遊園地、駅や空港、工房…ユニークベニューとして活用できる可能性は数多くあります。


MICEでユニークベニューを活用する際の注意点

  1. 地域の文化・ルールの尊重
    歴史的建造物や自然保護区域などでは、利用制限や規制が設けられている場合があります。地元自治体や施設管理者との連携が欠かせません。宗教的な意味を持つ施設の利用時も注意が必要です。通常はベニューとして利用されていない場所や施設のため、特に慎重に利用を進めることが大切です。
  2. アクセスとインフラの確認
    ユニークベニューは時にアクセスが難しい場所にあるため、移動手段や必要な設備(音響、照明、Wi-Fiなど)の事前確認が重要です。できないこと・難しいことを見定めて、どのように開催するのかを検討しましょう。
  3. 参加者への文化の伝え方
    特に海外参加者にとって日本文化は新鮮ですが、同時に理解が難しい場合もあります。事前にガイドや通訳を手配することで、より深い体験を提供できます。

ユニークベニューとMICEの未来

ユニークベニューは、MICEイベントに独自性を与え、他にはない価値を提供する手段としてますます注目を集めています。さらに、デジタル技術やサステナビリティへの配慮を組み合わせることで、新たな可能性が広がります。

デジタルプロジェクションを使って歴史的建造物を現代的にアレンジしたイベントや、自然エネルギーを活用したエコフレンドリーな展示会が考えられます。これにより、伝統と革新が融合したMICEイベントが実現し、参加者に深い感動とインパクトを与えることができるでしょう。


ユニークベニューに恵まれた日本

ユニークベニューは、MICEイベントを成功に導く鍵となる要素のひとつです。変化に富んだ景観、豊かな自然、四季があること、長い歴史や文化があること、こう考えてみると日本は実にユニークベニュー大国といえるのかもしれません。それぞれの地域や街にユニークベニューを見出すことができます。
特に日本らしいユニークベニューを活用することで、参加者に文化体験や非日常感を提供しつつ、地域経済や観光振興にも貢献することが可能です。

年末年始について

誠に勝手ながら、以下の期間を年末年始休業とさせていただきます。
2024年12月28日(土) ~2025年1月5日(日)
新年は1月6日(月)から記事を公開いたします。

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