1. HOME
  2. MICEあれこれ
  3. MICEメシ(グルメ)、食の話題
  4. 【レポート】アヌーガ・セレクト・ジャパン2025 国際色豊かな食の展示会。韓国、ポルトガル、エクアドル…海外からの出展者を取材して、これからの「食」のヒントを探る
MICEメシ(グルメ)、食の話題

【レポート】アヌーガ・セレクト・ジャパン2025 国際色豊かな食の展示会。韓国、ポルトガル、エクアドル…海外からの出展者を取材して、これからの「食」のヒントを探る

東京ビッグサイトで4月15〜17日に開催された国際食品見本市「アヌーガ・セレクト・ジャパン2025」。世界最大級の食品・飲料専門展示会「アヌーガ」の日本版です。国際色豊かな出展者が集い、高品質で革新的な食品・飲料、最新トレンドを発信する絶好の機会。国内外の食品業界プロフェッショナルとの出会いや、新たなビジネスチャンスの創出が期待できます。取材レポートを通じて、どのような展示会なのかご紹介いたします。

アヌーガ・セレクト・ジャパンの概要

アヌーガ・セレクト・ジャパンは食の未来を先取りしたいビジネスパーソンにとって、有望な商談・情報収集の舞台となります。今年のテーマは「Healthy Food for a Healthy Planet」。気候変動や高齢化に対応する次世代フードソリューションを直接体感し、海外展開の足掛かりを掴む絶好のチャンスです。

アヌーガ・ジャパンは、世界100カ国とダイレクトにネットワークを持つ、日本国内で唯一の国際食品展示会です。世界から選りすぐりの食品や飲料が展示されるだけではなく、これから海外市場への展開を目指す国内企業が海外のバイヤーとの商談を行うための重要なビジネスプラットフォームとなります。

公式Webサイトより引用

名称:Anuga Select Japan 2025 (アヌーガ・セレクト・ジャパン)
会期:2025年4月15日(火)~17日(木)連日 10:00~17:00
会場:東京ビッグサイト 東展示棟
後援(予定) 各国大使館、その他
公式Webサイト https://www.anuga-japan.jp/

5展同時開催のスケール感。会場の一角がアヌーガ・セレクト・ジャパンです

会場の様子

開場の10時、東京ビッグサイトのゲート前にはスーツ姿の来場者の列が伸び、受付を通過した瞬間から「まずは名刺を」と商談が始まっていました。ISM Japan 2025、FABEX東京、プレミアムフードショーなど5展合同開催で縦横に広がる総面積4万㎡超のフロアではマップ片手に移動する姿が目立ちます。その一角、「アヌーガ・セレクト・ジャパン」のエリアに足を踏み入れると各国の食文化がパノラマのように展開されていました。

ヨーロッパの出展者はエコシステムなどのテーマに対して、メディアに自社をアピールする熱量を感じました。一方、韓国などアジア勢は日本における販路拡大を熱心にアピールする様子が見られました。
来場者数は終日安定し、おおむねどのブースにも来場者がいて会話されているようでした。


アヌーガ・セレクト・ジャパンらしさが光った出展者をご紹介

A DROP OF GOLD(ギリシャ):クレタ発、厳格な認証をクリアしたエクストラバージンオリーブオイルのプロジェクト

ギリシャ・クレタ島の協同組合を母体に500のオリーブオイル生産者が結集した「A DROP OF GOLD」は、年間約6,000トンを製造し、欧州・米国・UAEなどへ輸出しています。EUが3年間で総額約150万ユーロを出資、支援しています。
ブースでは酸度0.5以下のエクストラバージンのみをボトル展示し、コールドプレス製法・ノンケミカル・トレーサビリティといったサステナブル価値を解説。非常に厳しいEUの認証(PDO認証)をはじめ、各国の基準を満たしていることで、品質を裏付け、生産ラインがエクストラバージンのみである点も強調しました。サラダやポテト料理への使用例を示しつつ、コレステロール低減効果を紹介し、日本市場を「オリーブオイルを薬のように評価する潜在需要の大きい市場」と位置づけています。このプロジェクトは3年間限定のもの。今後はSNSやプレスイベントで認知拡大を図る方針です。

公式Webサイト https://adropofgold.eu/ja/

BUGAK KIM (PLACE5 Inc.)(韓国):教育業の企業が、プレミアムな「海苔」製品で日本へ売込み

PLACE5 Inc.は、100%韓国産海苔を用いた海苔天スナックを展開。他社で見られる辛味やワサビ風味を加えず、海苔本来の味を追求し、贈答向けにプレミアムなパッケージを採用することで高級ブランドイメージを確立。他社との差別化は“海苔だけの味”にある点です。
同社は家庭教師プラットフォーム運営が本業ですが、海苔産地出身の社長が幼少期から親しんだ味を商品化し、近年この事業をスタート。ブースでは塩味を抑えたシンプルな試食を提供し、パリッとした食感と自然な旨味を体験してもらっています。
初出展の理由は、日本人が海苔をたくさん食べることや、韓国との距離の近さは輸入に便利だろうということから。「美味しく健康的な商品は日本でも受け入れられる」と判断したそうです。今後は赤ちゃんから高齢者まで“ヘルシーなお菓子”として楽しんでほしいとお話いただきました。

公式Webサイト https://bugak.kim/

get your wellbeing by Biogena(オーストリア):70ヶ国に輸出する高品質サプリメント

オーストリアのサプリメントメーカー Biogenaが展開する「get your wellbeing」は、幸福度向上を掲げる高品質栄養補助食品ブランドです。自社ラインでパームオイル・砂糖・添加物を排除し、高食物繊維とたんぱく質を備えた処方を開発、臨床試験で効果を検証しています。

ブースでは主力サプリを並べ、日本食に通じる発酵・オーガニック志向との親和性をアピール。欧州では肉の摂取を週2日に抑え、残り5日を植物食に切り替えるフレキシタリアン層(柔軟なベジタリアン)が増え、“沈黙の炎症”対策として同社のヴィーガン対応商品が支持を集めています。主市場はオーストリア、ドイツ、スイスで、UAE・ロシアを含む70ヶ国に輸出。韓国のコーヒーメーカー、中国のサプリ企業と提携しアジア進出を開始しました。出展の狙いは流通・小売パートナー獲得と市場フィードバック収集。生産は品質維持のため今後もオーストリアに据え置き、透明性と“食のイノベーション”を武器に世界シェア拡大を目指します。日本は興味深い市場ということです。

公式Webサイト https://getyourwellbeing.com/en/

Pastelaria e Confeitaria Rolo, Lda(ポルトガル):太陽光&排水再利用でつくる環境配慮菓子メーカー

「Pastelaria e Confeitaria Rolo」は1990年創業の家族経営の菓子メーカーです。パンケーキやベルリンボールなどを製造。常温・冷凍の商品があり、電子レンジ加熱1分で食べられる手軽さが特長。7工場体制で顧客要望に応じたフィリング変更にも柔軟に対応します。ポルトガル市場で高シェアを誇り、IFSやレインフォレスト・アライアンス認証を取得。工場には太陽光発電と排水再利用を導入し、環境負荷を低減しています。既に欧米や韓国へ輸出実績があり、さらなる成長を目指して出展。今後は包装材削減とサステナビリティ部門の強化でさらなる成長を図ります。

公式Webサイト https://gruporolo.com/

Truong An Production Trading Co., Ltd(ベトナム):クリーンなベトナム産食品を世界に届ける

「Truong An Production Trading」は20年前に設立されたベトナム企業で、コーヒー、カシューナッツ、ココナッツを使った菓子・飲料を自社工場で製造、販売も手掛けます。ブースではココナッツコーヒーの芳しい試飲と、コーヒー味・ワサビ味のカシューナッツ菓子を提供。丁寧にローストしたサクサク食感と程よい甘み、ワサビの香りを訴求し、日本人の嗜好に合わせた提案をしていました。
有機ラインも備え、複数のオーガニック認証を取得。クリーンなベトナム産食品を世界に届けたいと出展しました。日本には20年来の取引パートナーがあり、国内エコ志向の高まりを追い風にシェア拡大を狙うほか、欧州・中国・韓国への輸出も強化する方針です。

エクアドル大使館・商務部/Friendly Organic Foods、NOVA ALIMENTOS S.A.(エクアドル) サステナビリティに非常に力をいれる南米・赤道直下の国

エクアドル大使館商務部 (PRO ECUADOR) は、自国産品の魅力を訴求するため、ドライフルーツ系スナックの Friendly Organic Foods と、冷凍ブロッコリー専業の NOVA ALIMENTOS を伴って出展しました。ブースには本物のカカオの実が展示されていました。

Friendly Organic Foods:ドライフルーツやバナナをベースにしたシリアルバーなどドライフルーツやチアシードを使用したスナックを展開。日本での販売を目指します。試食すると、キャラメルのような食感があり甘みが強くないと感じました。

NOVA ALIMENTOS S.A.:冷凍ブロッコリーの製造と販売する会社。高地栽培のため害虫被害が少なく、農薬使用量を抑制できる点を強調し、日本市場で約7割のシェアを獲得していると説明がありました。ふだん口にしているブロッコリーは実はエクアドル産かもしれませんね。

エクアドル政府は SDGs という言葉が生まれる以前から環境・労働保護を国家方針に掲げ、児童労働を排し、最低賃金や製品ごとの品質基準、トレーサビリティを徹底。エビ養殖は広い池で抗生物質を使わず行い、失われたマングローブ4,000ヘクタールを再生しています。赤道直下の気候を活かし、植え付け時期を調整してバナナやブロッコリーを通年出荷できる点も強みです。

会場で配布された資料では、冷凍ブロッコリーの栄養価保持法と、砂糖不使用のシリアルバーの製法を詳解。「日本企業のSDGs志向の高まりで輸出額が過去2年で倍増した」とのことで、包装削減や再生可能エネルギー導入などさらなる改善策も紹介しました。他国にもエクアドルの手法を学んでほしい、それによって地球を守っていきましょうと呼びかけていました。


Editor’s note:「Healthy Food for a Healthy Planet」これからの食の流れを俯瞰できる展示会

「アヌーガ・セレクト・ジャパン2025」は「Healthy Food for a Healthy Planet」のテーマのもと、健康と環境を両立させるこれからの食の流れが見える展示会でした。展示品はオリーブオイル、海苔スナック、ヴィーガンサプリ、環境配慮型菓子、オーガニックココナツコーヒーや高地栽培ブロッコリーまで幅広く、添加物削減、農薬低減、再生可能エネルギー活用といった環境への配慮をアピールするものが多数を占めます。海外からの出展者には日本食や日本のライフスタイルが、このテーマに合っていると考えられていることも取材を通して実感できました。

各社の取り組みから学べるのは、SDGs、サステナビリティが単なるスローガンではなく、原料調達から製造、包装、流通までサプライチェーン全体に組み込まれている点です。気候変動や高齢化が進む中、食のサステナビリティは世界的に必須条件となり、透明性と環境負荷低減をどう示すかが今後の重要なセールスポイントになります。アヌーガ・セレクト・ジャパンは、その潮流を先取りし、来場者に次世代フードビジネスを提示したものでした。

関連記事

大阪・関西万博関連の記事はこちら

イベント主催者を1年にわたり追いかける

韓国・釜山のMICE、ワーケーション特集

MICEインサイト:一気読みで振り返り!

万博/パソナパビリオン内覧会

カテゴリー