
【レポート】「食」も万博に向けて受け入れ準備。ラーメン文化発信に石破総理からのコメント。FOOD STYLE Kansai 2025(ラーメン産業展 in Kansai/外食経営DX EXPO)
1月22日(水)・23日(木)の2日間、インテックス大阪で「FOOD STYLE Kansai 2025(同時開催:ラーメン産業展 in Kansai、外食経営DX EXPO)」が開催されました。関西では最大規模のフード関連の商談展示会です。需要が高まる訪日外国人を対象としたサービスを展開する出展者に、今後の展望についてうかがいました。
※2025年1月22日取材 ※担当:編集部 藤井、今岡
開催概要
名称:FOOD STYLE Kansai 2025/ラーメン産業展 in Kansai/外食経営DX EXPO
会期:2025年1月22日(水)・23日(木)
10:00~17:00(最終日は16:00まで)
会場:インテックス大阪 1・2号館
入場料:無料(事前登録制)
出展者・団体数:952社・団体/出展小間数:853小間/出展地域数:47都道府県・海外(2025年1月10日 現在)
主催:FOOD STYLE Kansai 実行委員会(運営:イノベント)
Webサイト:https://foodstyle.jp
FOOD STYLE:日本中の食を全国へもっと!世界の食を日本にもっと!

「FOOD STYLE」は外食、中食、小売業界への販路拡大をするための商談展示会です。2025年で初開催から20回目を迎えます。2025年は、東京・愛知・福岡・大阪開催に加えて、4年ぶりとなる沖縄開催を含む、全国5都市にて食の業界横断型展示会「FOOD STYLE」が開催されます。「FOOD STYLE Kansai」は、関西最大級の開催規模を誇り、大阪での開催です。

販路を拡大したい出展者と、全国のバイヤー、購買担当の方とをつなぐ役割を担っています。商談会としての機能も兼ね備えているため、事前にアポイントを取り、個別に商談を行うことも可能です。
出展分野
・外食フードスタイル
・弁当、給食、宅食、フードスタイル
・スーパーマーケットフードスタイル

新商品のお披露目の場にもなります。今回は160の商品が発表されました。

万博目前!大阪から世界へ がんこ流集客術の極意に迫る

大阪の外食産業におけるインバウンド集客の最前線を探るべく、「がんこ流インバウンド集客の極意」に参加しました。本セミナーの提供は一般社団法人 大阪外食産業協会、登壇者には 株式会社GANKOの代表取締役社長 小嶋達典氏が登場。
新型コロナ禍も明けた2025年、訪日外国人の数は増加の一途を辿っています。訪日旅行の目的の第1位は「日本食を楽しむこと」だと言われています(出典:ジャパンブランド調査)。過去には年間148万人ものインバウンド集客を記録した日本食業界のリーディングカンパニー「がんこ」。代表取締役社長の小嶋氏が成功事例を交えながら、具体的な手法を解説するセミナーが開催されました。「がんこ」のインバウンドへの取り組みは、団体旅行・MICE・FIT(海外個人旅行)の3つに分類されます。
今回はその中からMICEに焦点を当てたセミナー内容をレポートします!


行政とのタイアップ
観光局や自治体を対象に、日本文化を体験するプログラムを実施しています。たとえば、能などの伝統芸能を鑑賞する場に「がんこ」の食事ブースを設置し、芸術と食を一度に楽しめる体験を提供。また、ハラール対応の食事を用意した実績もあります。
研修旅行と和食
大学、学会、企業を対象に、「がんこ」の取り組み事例を紹介。世界遺産である和食と屋敷文化を通じ、非日常的で特別な食事体験を提供しています。
これらの事例に共通するのは、「モノ(消費)」ではなく「コト(体験)」の提供という視点です。小嶋氏は、自身が行きつけの焼肉店で外国人と交流した経験を交え、その重要性を次のように語ります。
「その土地の味を楽しみたい、その国の文化に触れたい、その国の人と交流したい…。喜びのポイントは、日本人も外国人も同じだ」と締めくくりました。
本セミナーを通じて「がんこ」が展開するインバウンド集客戦略の先進性を学ぶことができました。特にMICE分野における「コト(体験)」重視の取り組みは、他業界にも応用可能なヒントを多く含んでいます。大阪・関西万博を契機に、インバウンド市場がどのように進化するのか、今後の動向にも注目です。
出展者にインタビュー(なぜ出展?今後の展開は?)
株式会社二宮:ハラール専門食品、たこ焼き、お好み焼き、大阪グルメもおまかせ

日本国内では、ムスリムの来日や居住が増加し、ハラール食品への需要が高まっています。ハラール対応の食品を中心に、東南アジア各国より食材を輸入。製造や加工もされており、正式なハラール食品を約800アイテム扱い、大学や、宿泊施設、国際会議やイベントなどの”MICE”にも密接に関わっています。
出展の意図をお聞かせください
本社は東京ですが、大阪はうちのお客さんが多くいらっしゃることもあり、こちらの展示会には毎年必ず出展をしています。
現在どのようなニーズがありますか
関西では大阪・関西万博に向けて周辺のホテルなどからお問い合わせをいただく機会が増えていますね。さらに、新型コロナ禍を経て急速に航空需要が回復しました。機内食や空港ラウンジで提供されるハラール対応食品が増えつつあります。
今後の展望を教えてください
一部の施設では「ハラール対応がなければ開催できない」と認識されるほど、国際的なイベントにおけるハラール対応が重要視されています。大阪らしい食品として「ハラールたこ焼き」を展示会では試食として提供しています。
株式会社二宮 Webサイト https://www.ninomiyacorp.co.jp/


※ハラル
引用:https://jhalal.com/halal-cert/about-halal
ハラールとは、神さまと預言者ムハンマドが(クルアーンとハディースの中で)ムスリムに対して許可したものです。単に食べ物や飲み物についてだけではなく、ムスリムの日常生活のあらゆる場面にかかわることを含みます。
いわさき:食品サンプルで集客や展示にインパクトを

まるで本物と見間違うほど、色鮮やかで美味しそうな食品サンプルたち。つい足が止まりますね。
出展の意図をお聞かせください
主に、食品サンプルをサブスク感覚で利用できるプランをご案内しています。月々お手頃な価格で、常に美しい状態のサンプルを使え、必要に応じて料理を入れ替えることが可能です。飲食店にとって非常に便利なサービスですよ。
インバウンド向けの対応はされていますか
プライスカードを英語表記に変更するサービスを提供しています。また、『スマートオーダー』という食品サンプルを利用した撮影システムをお勧めしています。外国人のお客様が店頭で食事サンプルの写真を撮り、それをスタッフに見せて注文できる仕組みです。言語の壁を越えて迅速かつ正確な対応が可能になり、店舗の回転率向上も期待できます。
今後の展望を教えてください
今回の『FOOD STYLE Kansai 2025』のような展示会でもブースで活用いただいています。飲食店向けのショーケース型だけでなく、ポスターやメニュー型の販促ツールもご用意しています。大阪・関西万博にも携わる予定ですので、インバウンド需要を中心に、より多くの人々に食品サンプルの魅力を広めたいですね。
株式会社いわさき Webサイト https://www.iwasaki-ts.co.jp/


アビオ:日本食文化とイタリアの技術を。日本で1番の抹茶ジェラートを目指す

サービスについて教えてください
イタリアの技術と和文化を合わせたジェラートを提供しています。贅沢抹茶、蜜とうふ、極み小豆の3種類を展開。インバウンドを意識して、パッケージは和柄をモチーフに、フレーバーは日本テイストのものを選ばれています。関東の展示会では「今までの抹茶ジェラートの中で1番美味しい」という言葉もいただきました。
出展の意図をお聞かせください
秋田からやってきました。関東の展示会には出展していましたが、「FOOD STYLE Kansai」は初出展です。関西万博などインバウンド需要も高まる関西での認知度を高めたいです。
今後の展望を教えてください
ジェラートアイスは、老若男女みなさまが食べやすいものだと思っております。インバウンドに限らず、国内の方にも食べていただきたいです。
アビオ株式会社 Webサイト https://www.abbioworld.com/about-2/


編集部も試食しました。京都宇治茶抹茶を使った抹茶ジェラートは、後に甘さが残らず、すっきりとした味わいです。
会場を彩る魅力的なブースたち



新潟県上越市で就労継続A型・B型支援事業として農薬不使用・減農薬で栽培、加工、販売をされています。バジル塩糀、まるかじりメギス、手作りしそジュースキットなど土地を活かした商品を紹介いただきました。オンラインストアからもお買い求めいただけます。

浮世絵や京都の神社仏閣、富士山などをプリントした茶缶です。インバンドのお客様にも手にとっていただけそうなパッケージですね。

新ラインナップが出た!麺なし「NO MEN」。食後の〆にカロリーを摂りたくないというニーズから生まれた商品。お気に入りは博多とんこつです。
「ラーメン」は世界をつなぐ。日本のラーメン文化を支えるサービスの展示

「ラーメン産業展」は、ラーメン業界に特化した展示会として、業界の販路拡大やビジネスの活性化を目的に開催されました。会場では食材や飲料、設備、サービスを扱う企業が集まり、業界全体を繋ぐ重要な場となっています。


併催イベント「ラーメンコンペティション日本2024」では、各地の国内産小麦を使用した生中華麺がすらり。
ラーメン文化振興議員連盟の会長を務める石破内閣総理大臣からの祝電も。
美味しい麺が国内産小麦の需要拡大につながり、日本の「ラーメン文化」を支えているのですね。

まもなく開幕されます大阪・関西万博を控え、大きな盛り上がりを見せる関西の食業界。
内閣総理大臣 石破茂
携わる皆さまが観光誘客、人材育成等でまちの活性化を目指して活動をされておりますことに経緯と感謝を申し上げます。
今や世界的な食と言える「ラーメン」の発信により、日本の文化と地域発展に貢献して頂けますよう
ご期待するとともに、本会ご盛会と皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
ラーメン協会のパンフレットには「ラーメン1杯1000円以上を提言します」というメッセージ。
原材料の高騰による価格設定への課題に対して提言しています。ラーメンが産業としてさらに発展するためには、持続できるビジネスモデルの確立が不可欠です。この展示会は、そうした未来を見据えた出会いと連携を生む場でもあるのです。
日本ラーメン協会では、依然として止まることのない食材・水光熱・人件費の高騰、
一般社団法人 ラーメン協会
そして新紙幣対応(券売機の備品交換等)によるコスト負担を踏まえ、
全国のラーメン店様へ商品価格の転嫁を推奨しております。
お客様のご負担が増えてしまうことは大変心苦しく思いますが、
業界を代表してお詫びするとともに、ご理解とご支援のほどお願い申し上げます。
■取材を終えて「Editor’s note」
「FOOD STYLE Kansai 2025」では、2025年春の大阪・関西万博を見据えたセミナーや展示がされていました。MICEでも欠かせない「食」。万博に訪れる国内外の来場者を迎え入れるための準備が求められています。万博を契機に、大阪以外の地域からも新たなサービスや取り組みをアピールする動きが見られました。安心、安全、清潔、そして美味しい食を通じて、日本の魅力を発信するため、国際的な視点を取り入れた受け入れ体制の整備が進んでいます。