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【MICEさんぽin宇都宮】東京から新幹線で約50分。二荒山神社、老舗ホテル、先代県庁舎、2022年開業のコンベンション施設まで層の厚いMICE施設を訪ね歩く/LRTライトラインにも注目

コラム

突然ですが、出張先に前乗りすることになって、午後が丸々自由になりそうなときどうしていますか?本日、私からひとつご提案したいのが「MICEさんぽ」です。MICEを見つけながら、次の目的地まで歩くという、思いつきの企画なのですが、早くも3回目を迎えることになりました。
今回、歩いたのは栃木県の「宇都宮」です。北関東最大の人口を抱える中核市です。歩いたから、気づけたことがたくさんありました。ただのお散歩記事です、肩肘張らずに、お読みくださると私が喜びます。

栃木県庁
県庁展望ロビーより。都市が広がっている様子がうかがえます

ことのはじまりは、出張先への前乗り

宇都宮観光コンベンション協会さんのお招きでMICEツアーに参加することになったのですが、京都からでは当日朝、間に合わないため前日に宇都宮入りすることになりました。行きの新幹線では、仕事:ドラクエを6:4くらいでこなし、午後には宇都宮に入りました。京都からは3時間半、思った以上に近いのです。ぶらぶら遊ぶということができない中途半端にマジメな私は、宇都宮にお招きいただいたのだから、と宇都宮のMICEを紹介するための記事を書くネタにもなればと「MICEさんぽ」することにしたのです。

宇都宮とは。関西人にも知ってほしい餃子とカクテルと新型路面電車LRTの街

ものすごい失礼と偏見を承知で、関東の方が鳥取と島根がどちらかわからないくらいに、関西の人間は栃木と群馬の区別がついていません。ましてや県名と県庁所在地の名前が違うとなると、もはや「地理のテスト?」となるも必至。だから、関西人に向けていえば「栃木は右(東)」であり、「栃木は宇都宮」(郡馬は前橋)と今回はっきりとお伝えしたい。

頭文字Dでいえば、主人公たちは群馬の人であり、赤城や妙技や碓氷も全部群馬。対して栃木といえば、ランエボを駆る須藤京一率いるエンペラーが日光を拠点にしていました。マンガやアニメだと一部の人にはわかりやすいですね。
※この「MICEさんぽ」は他の記事と編集方針が違うので、時々読者を置いてけぼりにします。

新幹線
東京駅からこの緑の新幹線に乗る。これも関西人には馴染みが薄い

宇都宮市は栃木県の県庁所在地で、人口約51万人(宇都宮市統計、2026年推計)を擁する中核市です。宇都宮都市圏人口は約100万人規模とされ、北関東最大級の都市圏を形成しています。

街のはじまりは、約1600年前創建と伝わる宇都宮二荒山神社の門前町にあります。その後、中世に宇都宮氏が勢力を拡大し宇都宮城を築城、城下町として整備されました。江戸時代には日光街道と奥州街道の結節点として宿場町機能を担い、交通の要衝として発展しました。現在は餃子のまちとして知られ、ジャズやカクテル文化も根づいています。

産業面では製造業が強く、自動車・精密機器関連企業が集積し、製造品出荷額等は中核市上位。東京からは東北新幹線で最短約50分と近接し、北関東の広域ハブとして機能しています。75年ぶりの新規開業となる路面電車(LRT)が初年度から好調でいまなお発展を続けています。


宇都宮城址公園

スタート地点は宇都宮城址公園。
私が宇都宮を訪ねるのは、実に四半世紀ぶり。城好きとしては、素直にまずは城趾からスタートするのが礼儀と考え、やってきたのがココ。広場があってイベントも行われているようですが、MICEカウントはせずにスタートします。

宇都宮市役所

城址公園のすぐ前に見えているのは宇都宮市役所です。宇都宮には大きなターミナルとして西に東武宇都宮駅、東にJR宇都宮駅があります。このあたりは東武宇都宮駅近く。JR宇都宮駅に向かって進んでいく約5キロが想定しているルートです。

ライトライン

宇都宮市役所には「ライトラインは西へ」の掲示が。現在、LRTはJR宇都宮駅の東で営業をしています。それを西にも延伸しようということです。

町並み

さらに北に歩を進めます。遠くに見える東武百貨店、あのあたりが東武宇都宮駅でしょう。しかし、気になるのは手前の尖塔ではありませんか?

カトリック教会

大谷石を用いたカトリック教会

カトリック松が峰教会」です。
そばにあった案内に「わが国に残る最大の大谷石(おおやいし)建築。函館のトラピスチヌ修道院を設計したスイス人建築家Mx.ヒンデルによる設計。昭和7年(1932年)竣工」とあります。双塔の教会はまるで海外のもののようです。大谷石は旧帝国ホテルでもふんだんに用いられたものですね。偶然見つけたものですが、散歩じゃないと見落としてしまいそうな名建築です。

映画館

教会の付近にはまだ少し、昭和の香りが残っていました。◯◯座1・2なんて映画館の名称は、全国で見られたものです。奥にはアーケードが見えています。

オリオン通り

アーケードはオリオン通りです。かなり立派なアーケードで、空きテナントもほとんどありませんが、日中は静かです。夜ににぎやかになるのでしょう。

オリオンスクエア

MICEその1!オリオンスクエア

正式名称は宇都宮市オリオン市民広場。公式サイトによると「中心市街地において市民の憩いとふれあいの場を提供することを目的として~誕生しました。発表会,展示会など各種イベントに利用することができる屋根が付いた屋外イベント広場」であり、2020年にリニューアルしたそうです。210インチの大型モニターが設置されています。

本町

本町交差点。
「本町」(ほんまち・ほんちょう)という地名は、本当に多く見られます。一般的には、城下町や宿場町においてその町が形成された際の起点や中心地を指します。古くから商人が集まる経済の拠点や、役所が置かれる行政の中枢として機能してきた歴史があり、現代でもその多くがビジネス街や主要な商店街となっているのが特徴です。一言で言えば、その街の最も古くから栄えたルーツといえる場所です。宇都宮の本町は「ほんちょう」と読み、やはり県庁、市役所に近く、銀行やオフィス、文化施設が集まっています。

栃木県総合文化センター

MICEその2!栃木県総合文化センター

県内最大級の文化拠点です。1,604席のメインホールやサブホール、ギャラリー、会議室を備え、演劇やコンサート、国際会議などのイベントまで幅広く活用されています。県庁・市役所を結ぶシンボルロードには栃木県の県の木・トチノキが。トチノキはフランス語でマロニエと呼ばれ、とても立派なマロニエ並木が見られます。葉が繁る季節にはさぞ見事でしょう。

栃木県総合文化センター

ギャラリー棟。

栃木県総合文化センター

7月にはコロッケさんが来ます。ポスターの百面相ぶりが圧巻。

栃木県庁

栃木県庁です。
栃木県庁には次のような話があります。明治維新後の県合併により、当初の栃木県庁は栃木町に置かれました。しかし、県内での利便性を求める移転運動が高まり、1884年に三島通庸県令(県令は現在の知事のような役職)のもとで宇都宮へ移転されました。その結果、県名は「栃木」のまま、県庁所在地は「宇都宮」という現在のねじれのような形が定着したのです。

栃木県庁

15階には展望ロビーがあって、無料で開放されています。レストランもあって、ベンチもたくさん。奈良県庁屋上広場もいいですが、栃木県庁もおすすめしたいリストに追加です。南と北に展望ロビーがあります。

栃木県庁

北側(西方面)には日光の男体山と女峰山が見えるはず…ですが、たぶんこのあたりです。見える日には富士山も望めるという展望ロビー、外せないスポットでは?散歩の翌日にはよく晴れて市内から富士山と日光の山々がはっきりと見えましたよ。

栃木県庁

県庁玄関の吹き抜け。大谷石を使った迫力のある構造でした。一見の価値があります。

栃木県庁」

MICEその3!昭和館

昭和13年から平成15年まで使われていた4代目の県庁舎の正面玄関部分を移築して復元したものです。正庁、貴賓室などを見学できるほか、多目的室もあり、イベント会場としても利用できるようです。栃木県の式典でも使用されることもある、ユニークベニューのひとつといえます。

栃木県庁

古い庁舎によく見られる、この様式の階段。ドラマや映画のロケでも使用されることがあるそうです。それにしてもMICEさんぽのコースでは一般の観光客をほとんど見かけません。ずらし観光にもなっているのかも。昭和館も現地で偶然見つけて、見学しました。

朝ドラ

栃木は2026年朝ドラの舞台に

昭和館の横で見つけたもの。そう、3月30日から始まるNHK朝ドラ「風、薫る」は栃木県が舞台のひとつとなります。栃木観光の一大チャンス到来です。

二荒山神社

昭和館を出て、左を見やるとこんもりした丘のようなものが。次に目指すのは二荒山神社です。

町並み

昭和の都市風景・防火建築帯を発見!

こういった長屋のビル前の歩道に屋根がついたもの見かけたことはありませんか。これは防火建築帯と呼ばれています。
戦後復興期の日本で見られる、鉄筋コンクリート造の連棟式ビル群による街並みです。都市の不燃化を目的に国が推進したもので、建物全体が火災の延焼を防ぐ壁(防火壁)の役割を果たしています。

ビルの1階部分が道路側に開放されたピロティ構造になっており、歩道に屋根があるアーケードのような空間を作っているのが特徴です。これは雪国の伝統的な通路である雁木の知恵を現代建築に取り入れたもので、雨や日差しを避けながら買い物ができる機能性を備えています。宇都宮の大通り沿いなどにも多く残り、昭和の面影と合理性が共存しています。

私の好きな都市風景である防火建築帯。防火建築帯を訪ね歩くマニアもいるそうです。MICEさんぽもマニアックではありますが。
気になる方はこちらのサイトのお話が面白いので、ぜひご覧ください。
(防火建築帯の意義に立ち返る まちなみトランジット)http://machitra.net/archives/133

二荒山神社

MICEその4!宇都宮二荒山神社

宇都宮二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ)は、宇都宮市中心部の明神山に鎮座する、下野国一之宮として古くから崇敬を集める神社です。創建は約1600年前とされ、第10代崇神天皇の皇子であり東国の開拓にあたった豊城入彦命を主祭神として祀っています。
ユニークベニューとして様々なイベントや企画が行われています。
※日光の二荒山神社は「ふたらさんじんじゃ」、宇都宮は「ふたあらやまじんじゃ」と読みます。

二荒山神社

街のメインストリートである大通りから見上げる、95段の長い石段がこの神社の象徴です。かつては「宇都宮大明神」と呼ばれ、源頼朝や徳川家康といった名だたる武将たちも参拝に訪れました。「宇都宮」という地名自体が、この神社が「一之宮(いちのみや)」であったことに由来すると言われるほど、街の成り立ちと深く関わっています。地名の由来は戦勝祈願をしたことによる「討つの宮」ほか諸説あります!

二荒山神社
95段、頑張りました

現在も宇都宮の顔として、商売繁盛や厄除けの神様として親しまれています。1月の「おたりや」などの祭事には多くの市民が集まり、ビルが立ち並ぶ現代のオフィス街にあって、歴史の重みを感じさせる静謐な空間となっています。

二荒山神社

あの大通りをLRTが走る様子が市役所で見たイメージに描かれていましたね。

餃子通り

宇都宮といえば…餃子通り!

餃子通りは、人気店「みんみん」と「正嗣」の本店が並ぶ約160メートルの通りです。戦後、満州から帰還した兵士たちが本場の味を伝えたのが始まりで、スタミナ食として市民に定着しました。90年代に市が日本一の消費量を生かしてPRしたことで、現在の「餃子の街」としての地位を築いたとされています。この日も、どのお店も長い行列です。

カフェ

しかし、すぐ近くに素敵なカフェを見つけたのです。その名も「fudan cafe」(フダン・カフェ)さん。おじゃまします

カフェ

スープのプレートをいただきました。お野菜がこれでもかと美味しくたくさんいただけます。近所にあったら週2で行くレベルで好きです。店内の雰囲気もよくて、テラスもあります。暖かい日なら間違いなく選んでしまいそう。

ホテルニューイタヤ

MICEその5!創業140年の名門老舗ホテル・ホテルニューイタヤ

宇都宮MICE公式サイトにも掲載されている老舗ホテルです。そのサイトには「創業140年、ホテルならではのくつろぎ、やすらぎ、はなやぎを体感できる都市型ホテル。割烹料理を楽しめる大小10室の割烹和室や、最大600名まで収容可能な会場を大小20室用意」と書かれています。創業は明治15年、1972年に「ホテルニューイタヤ」として現在の姿になったようです。早い時期からMICEに地元の名門ホテルです。

宮の橋

遠くにJR宇都宮駅が見えてきました。手前に架かるのは宇都宮のシンボルのひとつでもある「宮の橋」。現在の姿は1995年(平成7年)に完成した現代の橋です。城下町の歴史を表現するために、あえて古風なブロンズの欄干や擬宝珠(ぎぼし)を採用したデザインになっています。

宮の橋

明治以来の「宇都宮の玄関口」としての役割を担っています。徳島駅近くの新町橋に似ていると感じました。眉山に向かう演出と通じるものがあります。かなり好きな演出です。

宇都宮駅
筆者の大好物、ペデストリアンデッキが立派です

JR宇都宮駅西口は大規模な開発に入っています。確かに現在はバスや自動車中心のつくりで、人がくつろげる、簡単に回遊できる雰囲気にありません。LRT西口延伸も合わせると大変な工事になるでしょうが、駅の東西をつなぎ、開かれた宇都宮になるのが楽しみです。

宇都宮駅

駅周辺の案内図。この中心エリアをほぼ歩いていますね。中心部だけならコンパクトで生活しやすいだろうなと思います。
スタート地点は左の緑の部分「城址公園」。そこからマロニエの並木道、県庁と歩き、二荒山神社からJR宇都宮駅というルートです。

宇都宮駅

東口から西口をつなぐ通路。十分に広く歩きやすい。右下にはライトライン(LRT)乗り場です。奥にはライトキューブ宇都宮。

宇都宮駅東口停留所の時刻表。約10分間隔での運行。

翌日撮影した平石停留所と車両。小さな電停とは違う、しっかりとした造りの小さな鉄道駅に見えますね。

ライトキューブ

MICEその6!2022年開業・ライトキューブ宇都宮

2022年11月30日に開業した、JR宇都宮駅東口直結の交流拠点施設です。最大2,000人収容の大ホール、702人の中ホール、大小17の会議室を備える北関東最大級のコンベンション施設。

ライトキューブ

建築家の隈研吾氏がデザイン監修を行い、特産の大谷石や地元産杉材を多用した「宇都宮らしい」意匠が特徴です。太陽光発電や地中熱を活用した環境配慮型の設計も採用されています。隣接するLRT停留所とともに、国際会議やイベントを誘致するMICEの拠点として、街の新たなランドマークとなっています。


宇都宮駅

若者の姿が印象的な宇都宮。歩くことで見えてくる地域の姿が、他の地域との違いをハッキリさせる

14時頃にスタートしたMICEさんぽ。すでに16時過ぎでした。実測で7キロ程度歩いていました。
MICEは街や地域の重要な役割を担っているからか、やはり今回も宇都宮の歴史やこれからを垣間見るMICEさんぽとなりました。宇都宮のはじまりにまつわる神社から、創業140年の老舗ホテル、2022年に開業したコンベンション施設まで、いくつもの時代がつながっていることが伝わったでしょうか。

町並み

JR宇都宮駅西口、ペデストリアンデッキからの眺め。中核都市特有の賑わいと、地方都市のローカル感がほどよくブレンドされていて、愛すべき都市風景です。

宇都宮を歩いて印象的だったことは、若者がとても多かったことです。至るところで若者の姿を見かけました。実際の人口比率とは別で、実際に次世代を担う若者が街の中にいて、元気であることは、街の活力を感じさせます。大学が多く集まっていることも影響しているでしょうか。歴史的な文脈を重んじながらも、コンベンション施設やLRTといった次世代インフラを実装し、能動的に変革を続ける宇都宮。そこには、MICEを起点とした地域経済の循環と、都市のレジリエンスを高めようとする設計が感じられました。

また、歩くこともやはり大切です。MICEでの地域のPRは、時間の都合もあってか、どうしても各スポットを点として扱い、町並みや地域について語られることや案内されることが少ないのです。しかし、歩くことで街や地域の姿が見えてきて、他との違いがハッキリするんだということは忘れてはいけないでしょう。

餃子と焼きそば

餃子は夜ご飯でいただきました。むしろ気になっていた宇都宮のソウルフード「宇都宮焼きそば」がお目当て。

ライトライン

夜のLRTも眺めに行きました。どの角度から見てもカッコよすぎますね。

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