
湖国に“流転”するアートの波「国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2025」 9月20日開幕、11月16日まで 滋賀県近江八幡市が舞台
滋賀県近江八幡市を舞台に、歴史と自然が息づく地で繰り広げられる「国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2025」。今年は2025年9月20日(土)から11月16日(日)まで開催されます。第11回目を迎える本芸術祭は、総合ディレクター中田洋子のキュレーションのもと、国内外から約70組のアーティストを招聘し、“流転〜FLUX”をテーマに、湖国全体をアートで彩ります。近江八幡市内の空き町家や歴史的建造物が作品展示の舞台として再生され、訪れる人々に特別なアート体験を提供します。

アートが誘う、滋賀の新たな息吹:BIWAKOビエンナーレ2025の概要
“流転〜FLUX”が問いかける生命と創造の循環
今回のテーマ「流転〜FLUX」は、生命の根源的な変化と再生、そしてアートが持つ不変の力を探求します。私たち自身の細胞が常に生まれ変わり、一瞬たりとも同じ自己ではあり得ないように、アートもまた、人類が存在する限り消えることのない、本質的な営みであるという信念が込められています。この深遠なテーマのもと、国内外のアーティストたちはそれぞれの解釈で作品を展開し、鑑賞者に現代社会における存在と変化を問いかけます。
歴史と自然が織りなす3つの主要エリア

近江八幡旧市街地エリア
会場は、近江八幡市を中心に、「近江八幡旧市街地」「沖島」「長命寺」の3つのエリアに分かれています。 近江八幡旧市街地エリアは、豊臣秀次により築かれ、近江商人発祥の地として栄えた城下町に、江戸から明治期にかけての町家や蔵が多く残るメイン会場です。ここでは、日本独自の花柄毛布を用いた大型立体作品で知られる江頭誠や、バルーン状のインスタレーションを手掛ける奥中章人、フランスで彫刻家として活躍するジュリアン・シニョレといった国内外の多彩な作家が、伝統的な建造物に新たな生命を吹き込みます。
旧八幡郵便局、まちや倶楽部、藤ya、カネ吉別邸、禧長、旧伴家住宅、旧西川家住宅、西川庄六別邸、幸村邸隠居、山本邸、旧扇吉もろみ倉、八幡山展望館 江戸〜明治期にかけて建てられた町家や蔵が多く残る、近江商人ゆかりの「近江八幡旧市街地」を中心としたメインエリアです。
プレスリリースより
琵琶湖に浮かぶ日本唯一の淡水湖の有人島である沖島エリア
漁業が盛んな自然と共生する島の暮らしの中にアートが溶け込みます。中国の祝祭的な絵柄・色調を取り入れたバルーン作品の周逸喬や、「生命力」をテーマに目に見えない事象を造形化する田中太賀志らが、島ならではの風景と対話する作品を展示します。地元の小学生が近江八幡で採取できる「土」から絵の具を制作し、巨大な絵を描くワークショップも開催され、地域との協働を深めます。
(鑑賞パスポートなしでの入場可能)

琵琶湖を一望する絶景の地 長命寺エリア
今回から初めて会場に加わる長命寺エリアは、聖徳太子ゆかりの霊場であり、西国巡礼三十三番札所としても知られ、標高約250mの山腹から琵琶湖を一望できる絶景の地です。杭州の雷峰塔をモチーフにした作品を本堂に展示する中国人作家の陳見非や、社会批評的なパフォーマンスを展開する石川雷太、空間の個性を活かしたストレッチ布の作品を手掛ける宇野裕美などが、歴史的・精神的な重層性を持つこの場所に現代アートの新たな対話を生み出します。
(島全体に点在、鑑賞パスポートなしでの入場可能)

近江八幡エリア エクステンション会場
ティースペース茶楽(カフェスペースに展示、鑑賞パスポートなしでの入場可能)
町の繁栄に水路として大きな役割を果たした大動脈「八幡堀」を望むカフェ

パスポート情報と特別なイベント
鑑賞パスポートは、一般3,500円(前売り3,000円)、学生2,500円(前売り2,000円)で提供され、近江八幡市民には割引があります。中学生以下と障がい者は無料です。なお、沖島エリアと長命寺エリアはパスポートなしで入場可能です。会期中には、まちや倶楽部にてパフォーマンスコンサート「流転」も開催され、南江祐生(東京バレエ団)やタリナイナニカといったアーティストによる特別な舞台が鑑賞できます。



地域と共に歩むアートの軌跡:BIWAKOビエンナーレがもたらす影響
BIWAKOビエンナーレは、2001年に大津市で産声を上げ、公共空間でのアート展示やコンサートという当時としては画期的な試みで、その後の地域芸術祭の先駆けとなりました。2003年からは近江八幡市に拠点を移し、旧市街地に点在する歴史的建造物を会場として再生させる取り組みを続けています。単にアート作品を展示するだけでなく、江戸や明治期から残る町家や酒蔵、醤油蔵といった地域固有の貴重な文化財をアートの力で修繕・清掃し、公開空間として蘇らせることで、その保存と継承を目指すものです。
主催者側は、「日本人の持つ美意識の回復」を目標に掲げており、アートを通じて地域の魅力を再発見し、国内外の人々の記憶に深く刻まれる機会を創出することに力を入れています。2025年は、大阪・関西万博や滋賀国体が開催されるなど、関西地域が国際的な注目を集める年であり、BIWAKOビエンナーレもこの波と共鳴し、一層の発展が期待されます。アートが歴史的建造物に新たな価値を与え、地域コミュニティを巻き込みながら、文化的な交流と経済的な活性化を促す、現代における地域創生モデルのひとつと言えるでしょう。

国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2025は、滋賀の豊かな歴史と自然の中で、アートが地域と深く結びつき、新たな価値を創造する希有な機会を提供します。国内外のアーティストたちが“流転”というテーマのもと、古民家や島、霊場といった特別な空間で繰り広げる表現は、鑑賞者に五感を超えた感動をもたらすことでしょう。歴史的建造物の再生と地域振興への貢献を通じて、BIWAKOビエンナーレは、アートが持つ無限の可能性を私たちに示してくれます。この秋、滋賀でアートの旅に出てみてはいかがでしょうか。

<参加アーティスト(予定) 9ヵ国 70組 *うち、地元アーティスト5名>
赤松音呂、秋永邦洋、あわ屋、飯島剛宗 + 池原悠太、池原悠太、石川雷太、市川平、伊藤幸久、井上剛、宇野裕美、うらゆかり、江頭誠、大崎晶、奥中章人、河合晋平、北浦雄大、北野雪経、北村侑紀佳、マチュー・キリシ(フランス)、パオラ・ニウスカ・キリシ(フランス)、草木義博、小曽川瑠那、小松宏誠、サークルサイド、saiho + 林 イグネル小百合、坂本太郎 + 市川平、塩見亮介、ジュリアン・シニョレ(フランス)、周逸喬(中国)、周子傑(中国)、SHU DA舒達(中国)、瀬賀誠一 + 大野哲二、田代璃緒、田中太賀志、田中哲也、田中誠人、田中真聡、タリナイナニカ(日本+イギリス)、趙夢佳(中国)、陳見非(中国)、津守秀憲、長田綾美、南江祐生、新野恭平、西島雄志、野田拓真、ロバート・ハイス(スウェーデン)、原菜央、檜皮一彦 + 城山恵美<車いす編み機実行委員会>、沈宾 + 孫瑋(中国)、藤原昌樹、オード・ブルジン(フランス)、エヴァ・ぺトリッチ(スロヴェニア )、ニウラ・ベラヴィンハ(ブラジル)、本郷芳哉、Kikoh Matsuura、ホセ・ルイス・マルティナット(スウェーデン)、三木サチコ、幸小菜、三好_槇田、村山大明、本原令子、ガブリエラ・モラウェッツ(ポーランド)、森島善則、森山佐紀、八木玲子、山田正好、米谷健 + ジュリア(オーストラリア)、米津真理奈、クラウディア・ラルヒャー
プレスリリースより
開催概要
展覧会名:国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2025
テーマ:流転〜FLUX
会期:2025年9月20日(土)〜 2025年11月16日(日)
水曜定休日(11月12日(水)は開場)10:00〜17:00(最終入場:16:30)
会場:滋賀県近江八幡市(旧市街地、沖島、長命寺)
公式Webサイト https://energyfield.org/biwakobiennale/
※画像はプレスリリースまはた主催者提供
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