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イベントの取材・レポート

【レポート】京都インターナショナル・ギフト・ショー/ブルネイ、サステナブル、アクリル折り鶴…出展者の視点から探る京都開催ギフト・ショーの”価値”

※2025/3/13(水) 取材

『京都インターナショナル・ギフト・ショー』は、2019年春からみやこめっせで開催されている、全国および海外から多様な商品が集まる展示商談会です。服飾雑貨やデザイン雑貨、インテリア雑貨、伝統工芸品、食品、販促品など、幅広いジャンルの商品が並びます。今年で6回目を迎えました。東京、大阪、福岡でも開催されるギフト・ショーですが、なぜ京都での出展を選んだのか? 何を期待しているのか? その理由を出展者の声から紐解きました。

出展者にインタビュー、なぜ出展?

知られざるブルネイの伝統工芸は、発信しないと日本に伝わらない

京都ギフト・ショーには、ブルネイや中国・韓国をはじめ、香港企業10社の団体出展など、海外からの企業も出展しています。

ブルネイのブース(Brunei Darussalam Pavilion)では、美しい金糸・銀糸が輝くバッグが展示。ブルネイの伝統的な手織物に、日本の職人の技術を組み合わせて仕上げられています。手織物はブルネイの工房に行き、直接オーダー。1つのバッグを完成させるまでに約1~2ヶ月かかるといいます。大量生産品ではなく、1点ものの逸品です。手にとると、想像以上に軽やか。和装にも普段使いにも馴染むデザインは、どこか京都のエッセンスを感じさせます。

さて、“ブルネイ”とはどのような国かご存知ですか? 東南アジアのボルネオ島の北に位置する石油や天然ガスといった資源が豊富に採れる裕福な国です。しかし、資源に依存する経済体質を脱却し、持続可能な産業を育てることが課題とされています。そんな中、ブルネイの織物文化を日本で広めるために立ち上がったのが代表の真山さんです。「ブルネイの上質な織物に日本の職人の技を掛け合わせれば、より素晴らしいものが生まれる。その価値を求めて、このバッグは生まれました。発信しない限りブルネイの織物は日本の方には届かない。上質なものをブルネイから発信をしたい」と熱く語ってくださいました。


この出展を支えたのが、国際機関日本アセアンセンターの伊藤さん。京都ギフト・ショーの事務局と何度も相談を重ね、京都での出展を決めたといいます。「東京のギフト・ショーへの出展も検討していましたが、”単価”と”量”が問題。質の高い商品が評価される京都のほうが適していると思いました」。

伝統工芸品が根付く京都だからこそ、伝わる価値があることが分かります。

国際機関 日本アセアンセンター https://www.asean.or.jp/
有限会社 真孝 https://takako-mutiara-japan.com


超インバウンド商品?日本文化×アクリルグッズの新提案


広島を拠点とするアクリル加工を得意とする印刷会社、原色美術印刷社のブース。カラフルな日本らしい建造物や折り鶴のかたちをしたアクリルのグッズが目を引きます。これまでの宮島の大鳥居や原爆ドームなど、広島の地域に根付いたデザインが中心でしたが、今回はインバウンド向けの商品に焦点を当てたと教えていただきました。

アクリルグッズは手に収まるコンパクトサイズ。デザインや企画で難しいのは一定のサイズ内に”らしさ”を表現して設計することだそうです。「どんなものが完成するのだろうと、想像してもらいながら組み立ててもらいたい」という考えから、あえて詳しい説明書を入れていません。

今回の展示会では、新たな京都向けの商品として、組み立て式の折り鶴【ACZURU 願いヅル】を発表。これは5つの願い(叶・結・寿・和・宝)に対応したデザインで、それぞれ”願い叶う”、”願い結ぶ”など、言葉遊びが取り入れられています。ペアになっているので、1つは自分用に、もう1つは神社に奉納するなど、寺社仏閣向けの新しいグッズとして提案されていました。

昨年には東京の展示会で“推し活”をテーマにしたグッズを展開。大成功したことを受け「インバウンド向けにも通じるのでは?」との考えから、出展を決められました。周囲が和紙や伝統工芸品などを扱うブースが多かったこともあり「アクリル質素材で差別化を図り、目を引くブースにしました」とのこと。カラフルでポップながらも、日本の文化や神社の要素をうまく取り入れた商品で、訪日観光客が求める“日本らしさ”“遊び心”をうまく融合させたアイテムは、今後さらに広がりを見せそうです。

株式会社 原色美術印刷社 https://www.genshoku.co.jp/


ご当地マグネットからOEMまで、ペノンが届ける特別な一枚

株式会社ペノンは「環境に配慮したものづくり」を軸に、文具や雑貨を手がけるメーカー。特にアップサイクルタイルを活用したアイテムは、日本の伝統技術とサステナビリティを融合させた、新しい価値を生み出しています。

美濃焼タイルに立体プリントをした【アートマグネット】は手に取ると、独特のタイルらしい風合いと重厚感。ザラザラと触感を楽しめるのも良いですね。【旅するマグネット】は、地域のオリジナルイラストを地元のクリエイターに依頼した、地域限定のマグネット商品。
「このタイルはもともと粘土100%ですが、リサイクル素材を50%以上使用することで環境負荷を軽減しています」。
ブランドの根底には、サステナブルなものづくりを意識した商品開発があります。


同社の商品は海外でも人気を集めているそう。「海外のお客様には、日本らしい浮世絵風のデザインが特に好まれます。小さいサイズの商品なので、お土産としても選ばれやすいですね」。京都のお土産店でも取り扱われています。

今回の出展について尋ねると、「京都の土産店の方や、動物園や博物館などのミュージアムショップの方が来場されています。オリジナル商品が作ってほしいというご依頼をいただくこともあります」と教えていただきました。

※OEM:Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)の略。他社ブランドの製品を製造すること、あるいはその企業。

株式会社ペノン https://penon.co.jp/


サステナブルとインバウンドをテーマにTシャツづくり

東京の下町・両国に工場を構えるプリント加工メーカーで、Tシャツを中心にオリジナルプリントを手がける企業です。もともとは下請けとしての仕事がメインでしたが、今年から自社商品を展開する新たなチャレンジを始めました。

葛飾北斎のデザインが多く並ぶ理由は、両国の国技館の近くにある工場で、葛飾北斎の生誕地もすぐ近くだから。自然と北斎や浮世絵をテーマにしたデザインを作る流れになったそうです。現在、成田空港や両国駅でも販売されており、海外からの観光客に向けたギフト需要にも対応されています。また、サステナブルな素材にも力を入れており、丹後ちりめんのB丹を使用。アパレル業界における廃棄ロス削減にも貢献しています。

展示会への出展はこれが初めてではなく、2025年1月には『インバウンド向けグッズEXPO』、2月に『東京インターナショナル・ギフト・ショー』に出展。京都ギフト・ショーに関しては「関西圏の訪日外国人向け販売に強いお土産店の方とつながりができれば」という期待から参加を決めました。「土産店を運営されている方、卸をされている方、日本の商品を海外に売りたい方、海外の方もいらっしゃいました。プリントについてもご相談いただきました」と、手応えを感じている様子でした。

B丹:織りむら、染めむら、色やけなどちょっとした難点のある和服用織物。

株式会社エー・ディー・ピー https://adp3000.com


■Editor’s note:京都だからこそ”価値”が伝わる

もともとプリント技術を得意とする企業が、自社商品を開発・展開し、新たなビジネスの形を模索している例が多く見られました。自社商品を土産店やミュージアムでの取り扱ってもらうことだけではなく、オリジナルグッズ制作へと広がる可能性も感じられます。
出展者にとって京都ギフト・ショーへの出展の意義は、“質の高いものに価値を感じる方が集まる“ことにあります。特に、ブルネイのブースはその好例ですね。京都は、伝統産業や職人技が根付く街であり、そうした価値を求める来場者が自然と集まるため、他の都市の展示会とは異なる独自の魅力を持っています。

【インタビュー】主催者にお聞きしました!

主催者のビジネスガイド社今井さんにお話を伺いました。公開は4月初旬の予定です。


開催概要

名称:第6回京都インターナショナル・ギフト・ショー2025
開催場所:京都市勧業館みやこめっせ(〒606-8343 京都府京都市左京区岡崎成勝寺町9番地の1)
開催日時:2025年3月12日(水)・13日(木) 10:00~18:00(最終日は17:00まで)
主催:株式会社ビジネスガイド社 インターナショナル・ギフト・ショー事務局(大阪支社)
入場:無料(事前登録制)
後援:京都府/京都市/京都商工会議所/(一社)京都知恵産業創造の森/(公社)京都市観光協会/(公財)京都文化交流コンベンションビューロー/(公財)京都伝統産業交流センター/(公財)京都産業21/(地独)京都市産業技術研究所/日本貿易振興機構(ジェトロ)京都/国際機関日本アセアンセンター/在日ドイツ商工会議所/ポルトガル投資・貿易振興庁/KOTRA大阪貿易館/タイ王国大阪総領事館商務部/台湾貿易センター大阪事務所/香港貿易発展局大阪事務所/(一財)対日貿易投資交流促進協会(ミプロ)/(一社)日本百貨店協会/日本チェーンストア協会/(一社)ジャパンショッピングツーリズム協会/(公社)インテリア産業協会/(公社)日本インテリアデザイナー協会/(公社)日本ジュエリーデザイナー協会/月刊ぎふとPREMIUM


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