
【取材】BitSummit the 13th、京都開催の国内最大級インディーゲームイベントに行けなかった方も必見!ビジネスデイで見つけた国内外のおもしろゲームたち
国内最大級のインディーゲームイベント『BitSummit the 13th』が、2025年7月18日(金)から20日(日)まで京都市勧業館みやこめっせで開催。国内、海外問わずインディーゲームの関係者が集まる場となっていました。記事では「ビジネスデイに行きたかったけど、都合が合わなかった…」「どんな企業が出展していたの?」「どんな準備をしていけばいい?」という方のために、イベント初日のビジネスデイの様子をレポートします。
開催概要:BitSummit the 13th(ビットサミット ザ サーティーンス)

開催日程:2025年7月18日(金)~7月20日(日) 10:00~17:00
※18日はビジネスデイです。
会場:京都市勧業館 みやこめっせ 第2展示場(京都府京都市左京区)
主催:BitSummit 実行委員会
一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)
(キュー・ゲームス / ピグミースタジオ / Skeleton Crew Studio / BlackSheep Consulting)
京都府
共催:KYOTO CMEX
制作:オリコム
チケット料金:ビジネスチケット 20,000円(税込)
一般(前売り)一般・大学生 2,000円(税込)/高校生 1,000円(税込)/中学生以下 無料
(当日)一般・大学生 2,200円(税込)/高校生 1,200円(税込)/中学生以下 無料
※小学生以下は同伴が必要 ※いずれか1日入場可能
来場者数:38,333人(2024年)
公式Webサイト https://bitsummit.org

そもそもインディーゲームとは? 『マインクラフト』『8番出口』も実はインディー作品!
インディーゲームとは、大企業の資本や流通網に頼らず、少人数の開発者が自由な発想で制作するゲームを指します。近年はSteamやNintendo Switchなどダウンロード販売が普及し、開発環境も低コスト化したことで参入障壁が下がり、個性的な作品が次々に生まれています。
代表的なインディーゲームには、『Minecraft(マインクラフト)』、『8番出口(The Exit 8)』、『Undertale』、『Among Us』 などがあります。
SNSやクラウドファンディングでファンと直接つながる文化も根付き、コミュニティ主体で盛り上がるのが特徴です。インディーゲームイベントでは開発者が自らブースに立ち、デモプレイや開発裏話を共有するため、プレイヤーは作品の背景や思いを体感できます。世界的な賞で評価され大手パブリッシャーと契約に至る例も多く、市場規模は年々拡大しています。こうした流れは地域イベントや観光資源と結び付いた新たなビジネス機会も生み出しており、MICEの視点でも注目すべき分野です。
イベントの様子:インディーゲームであればジャンルを問わない広さを感じる

30度を超える暑さでしたが、会場はその暑さを上回るほどの熱気にあふれていました。オープン前の10時には、すでに入口に数十人の列が。スタッフの方も対応できるよう、各入口に3人以上配置されていました。ビジネスデイはビジネスチケットがないと入場ができません。一般の方が来場される日はさらに賑わうのでしょう。


2025年のBitSummitのテーマは”Summer of Yokai / 妖怪たちの夏祭り”。会場は黒を基調に、照明もあえて落とし気味。ライトアップがまるでお化け屋敷のような雰囲気を演出しています。


みやこめっせの1階と3階には300を超えるブース出展があり、地下1階はBtoB向けのミーティングルームとして使われていました。

各ブースはゲームの世界観を伝えるような趣向を凝らしていて、見ていて飽きません。デジタルゲームはもちろん、特殊デバイスを使った体験型ゲームやボードゲームなど、ジャンルはさまざま。インディーゲームであればジャンルを問わないという印象です。








基本的にほとんどのブースで試遊ができ、机にPCやモニター、コントローラーが並べられています。中には自宅のように、くつろいで遊べるブースも。



気になるゲームがあれば、話を聞いて、その場で気軽に実際に遊んでみましょう!
来場者の様子:あちこちから聴こえる英語、商談風景もそこかしこで

出展者・来場者ともに海外からの参加者が多く見られました。あちこちのブースで英語が飛び交います。ビジネスデイということもあり、20代から50代くらいまでの年代の方が、ゲームを体験したり、商談したり、情報交換をしていました。今や、インディーゲームを海外に展開することは当たり前。海外の参加者が多いのも納得です。
会場で気になったブースをご紹介します
COLDBLLD Inc.『NEVERWAY』:日本のプレイヤーに遊んでもらいたかった

紫と緑の若干病みを感じるドット絵に惹かれて訪れました。ゲームタイトル『NEVERWAY』は、ホラー系人生シミュレーション・アクションRPGです。
会社を辞め、移住先で農業を営みながら新生活を始めたフィオナは、ある夜、死神の不死なる使いとなる。島の住民たちと絆を結び、恐怖と戦いながら、悪夢の世界「ネバーウェイ」を探す。崩壊しない人生を送れ。
Steam Neverwayより
カナダから来日されました。COOのHEIDY MOTTAさんにお話を伺いました。ゲーム開発者の女性と、ピクセルアーティストの男性、あわせて3名で運営されています。出展の背景は「日本の文化が大好きで、日本のプレイヤーにプレイしてもらいたかったんです」とHEIDYさん。BitSummitの存在はインターネットで知りました。

アクリルキーホルダーなどのノベルティも配布されていました。

ブースは海外の方が多く立ち寄っており、英語での会話が中心。HEIDYさんとは日本語で会話しつつ、伝えづらい部分はGoogle翻訳を活用していました。
NEVERWAY Xアカウント https://x.com/coldbloodinc

Ysbryd Games『LOVE ETERNAL』:シンガポールのパブリッシャー
孤独で家族から引き離された少女マヤは、ある日城に閉じ込められ脱出を試みます。面白いのは重力を操れること。プレイしましたが想像以上に難しくパズルを解くようでした。ピクセルアートは繊細かつ、不気味さを感じるタッチです。
2025年末にリリース予定で、多くの人に知ってもらうために、シンガポールのパブリッシャー「Ysbryd Games」が出展。開発者はアメリカの方です。

『東京ゲームショウ』のような大規模なゲームイベントよりも、インディーに特化したイベントが向いていると判断し、BitSummitへの出展を決めました。
台湾最大のゲーム展示会『台北ゲームショウ2026(Taipei Game Show 2026)』

『台北ゲームショウ2026』のPRのために出展。2025年は1月23日~26日に開催されました。ドイツや韓国、中国など世界各国から346社が出展し、350タイトル以上のゲームが展示。インディーゲームエリアやビジネスエリアも用意されています。2024年は日本からは任天堂やCygamesなどが出展しています。2026 年は1月29日〜2月1日に台北南港展示センターにて開催。お見逃しなく。

Room6:毎年コンセプトを変える。今年はブースが図書館に変身

京都出町柳でゲームの開発とパブリッシングを行う「株式会社room6」さんです。BitSummitには10年ほど出展しているベテラン。もともとはゲーム開発をされていましたが、イベントに多数出展することで横のつながりができ、パブリッシングもできるようになりました。近年は、パブリッシャーやデベロッパーだけでなく、インフルエンサーとの出会いの機会にもなっています。
隣のブースにはインドネシア、韓国、台湾など海外の出展者が並び、「ほかイベントとBitSummitの違いは、海外との横のつながりができることでしょうか。関係性づくりができるのが良いですね」と話します。

毎年コンセプトを変えて出展しており、2025年は図書館がモチーフです。本棚に見立てたボックスにはゲームタイトルが書かれてあり、開くとゲームの説明があるという凝った作り。図書カードのようなカードを配布。禁書庫エリアはグッズ購入者、ウィッシュリスト登録をした方だけが入れます。撮影NGのため、現地に足を運んでみてくださいね。



松竹ゲームズ:ゲーム事業にも参入し1周年、生のプレイヤーの声を聞きたい

表のカウンターでグッズ販売、その周りを囲むように各ゲームの試遊台がありました。松竹ゲームは海外のタイトルを日本でパブリッシングを行っています。


「松竹といえば映画や舞台のイメージをされますが、ゲーム事業にも参入し、1周年を迎えました。ゲーム事業もしていることを広く認知してもらいたいと思っています。これまではtoB向けにと思っていましたが、BitSummitではtoCの海外ユーザーに知ってもらいたいです。ユーザーから直接話しが聞ける機会は限られています。プレイされてみてどうかを聞きたいと思います」
東京工芸大学:ビールサーバーがコントローラー?

特殊ディバイスエリアでは、イベントパートナーであるmake.ctrl.Japan事務局が『make.ctrl.Japan(メイク・コントロール・ジャパン)』を主催。通常のゲームコントローラーではなく、独自に制作したコントローラーを使用したゲームばかりが並びます。
なかでもユニークだったのが、ビールを注ぐ体験型ゲーム。東京工芸大学の中村教授がイチオシというこのゲームは、ビールと泡を7対3の割合でグラスに注ぐというもの。ビールサーバーとグラスがコントロラーです。サーバーを引くとビール、押すと泡が出るようになっていて、グラスの液晶パネルにビールがとくとくと注がれていきます。居酒屋でアルバイトしていた頃を思い出すほどのリアルさでした。

「就職する前に、会社では作れないような面白いゲームを作りたい」という思いから生まれたそうです。既成概念にとらわれない、学生の自由な発想が光ります。
そのほか、特殊ディバイスエリアの様子



もしも、BitSummitに行くならば…
BitSummitは国内、海外問わずインディーゲームの関係者が集まる場でした。
もしビジネス目的でBitSummitに参加するなら、英語でコミュニケーションがとれると強みになります。
私は英語が得意ではありません。「日本語は話せますか?」と尋ねると、「うちのメンバーは日本語が話せません」と返答されたり、Google翻訳を使いながら会話する場面も多くありました。台北ゲームショウ2026ブースのJing Paiさんも「日本語での会話はなかなか難しいですね」と少し困った様子でした。せっかく色々な人と話せるチャンスがあるのに、言葉の壁でもったいないなと感じることもあります。それはきっと出展者側も同じでしょう。
とはいえ、英語が苦手でも何とかなります。翻訳ツールを駆使したり、ジェスチャーを交えたりしながら意外とコミュニケーションは取れるものです。大切なのは、まず声をかけてみる勇気でした。
ゲームの試遊だけなら言葉の壁をあまり気にせず楽しめますが、ビジネスの話をしたい場合は、翻訳アプリを事前にダウンロードしておくことや、英語での説明資料、名刺、自己紹介を用意しておくと安心です。
海外からたくさんの出展者が集まるのは本当に素晴らしいこと。言葉の壁がもう少し低くなれば、出展者も来場者も、もっと気軽に交流できるようになるはずです。
BitSummitの様子を写真で紹介








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