【インタビュー】函館市役所で、函館市のワーケーション事情・企業への支援について教えていただきました
全国屈指のブランド都市・函館はワーケーションも快適
大東建託(東京)が初めて発表した「自治体ブランドランキング」で1位となった函館市。60歳以上の訪問率は40%以上、20~39歳の訪問率は約20%。とても高い訪問率ですね。ブランド総合研究所が毎年実施する「地域ブランド調査2024」では函館市は5年ぶり7度目の1位となりました。観光意欲度においても札幌市に次いで2位でした。
函館はあらためて説明する必要がないほど、人気・ブランド力のある地域です。しかし、訪問したことのある方も、これから行ってみたいと思っていらっしゃる方も「観光・グルメ」のイメージが強いのではないでしょうか。
実は函館は「ワーケーション」でも全国屈指の実力を誇る町でもあります。観光・グルメを楽しみながら、様々なスタイルのワーケーションを実施できる町です。MICEやビジネストラベル、イベントにも適した函館で当編集部ではこの夏、8日間のワーケーションを行いました。函館は交通手段、ワークスペース、宿泊施設、観光などがバランスよく揃い、快適にワーケーションができる町だと実感しました。
函館滞在中に函館市役所 経済部の今井様と阿部様にお時間をいただき、函館のワーケーション事情について詳しくお話をうかがいました。(取材は2024年8月に行いました)
函館市役所へ到着!
函館市電の「市役所前」から徒歩5分。函館市役所に到着しました。建物は雰囲気たっぷりで吹き抜けが見事でした。建物好きな方には十分観光になります。
函館市役所 経済部 今井さん/阿部さんに伺います
左:今井さん 右:阿部さん
函館でのワーケーションの取り組み
—現在、どのようなことを函館市では取り組んでいますか
私たちは企業誘致を目的として、企業が函館に来てくれるきっかけを増やすため、ワーケーションの取り組みを行っています。余暇を楽しみながら仕事をするだけではなく、企業の方にサテライトオフィスを開設することも検討いただきたいです。
「函館にしかない」ものがある
—私たちは、京都から函館にワーケーションとして来ました。ここには関西・京都にはない魅力がいっぱいあります。例えば 海。大阪・神戸とも違う海があり、暮らしてるところのすぐ側にあり、風も気持ちいい。海に囲まれているというのがとてもユニークです。
函館の最もくびれた部分は、両方の海に挟まれているため「1キロ通」という名前がついています。函館に海があることは誘致のポイントにもなっています。「心にうみかぜを」というキャッチフレーズをテーマにして、函館ワーケーションガイドを作りました。函館らしさが伝わる良い言葉だと思います。
「函館ワーケーションガイド」
資料はこちらからご覧いただけます。
http://cms.h-workation.jp/wp-content/uploads/2024/01/all.pdf
—涼しくて過ごしやすい、ご飯が美味しい、高いビルが少なく空が広い、市電が町中で走っている…など来てみて分かった魅力がありました。市電は、叙情があり町の良い風景になるんですよね。他の町では無くなっているものを大事にされていることが分かります。それでいて不便でないことを考えると、ものすごくバランスがいい場所なんですよね。
いきなり中長期の滞在は難しくても、2~3日、1週間の単位でも過ごすことで、ハードルが下がるのかもしれません。
函館にはいくつかワーケーションができるワークスペースを用意しています。函館山の麓に元々 喫茶店・飲食店だったところを借りて、自由にワーケーションができる施設整備をしている方もいらっしゃいます。1週間、3週間と来ていただき、普段と違うところでリラックスしてもらう。それが生産性の向上、仕事の効率にも繋がるという発信をしていきたいですね。
—函館は青森とも近いので日帰りで行くこともできることも魅力的だと思います。たとえば、弾丸ねぶたツアーも実現できますね!鉄道で1時間ほどの大沼では北海道らしい自然を楽しむことができました。函館をベースキャンプにして、いろんなところに出かけられます。滞在中に少し足を伸ばすのも良いですね。
函館から車で1時間ほど行ったところにある、福島町の「青の洞窟」が有名です。狭い洞窟に入っていくので、天候や波の状況に左右されやすいですが人気のスポットです。このほかにも同じく車で1時間の場所には、ゴルフ場もあります。函館競馬場の夏競馬もいいですね。季節に合わせて、楽しんでいただけると思います。
青森に行ったときの様子。日帰りで青森のねぶた祭りに参加しました
大沼は8月なのに23℃!自然に包まれた素晴らしいコワーキングスペースもありました
先日、フランスの老舗の「ド・モンティーユ&北海道」というワイナリーができました。ヨーロッパが気候変動し、ブドウ栽培が難しくなってきているようなんです。世界中でブドウ栽培に適した土地を探していたところ、ワインづくりの場所として函館は気候・温度などの条件から、適地だと認めていただきました。裏夜景と呼ばれる函館を逆から見た地形の高台にワイナリーが作られています。その様子は「ヨーロッパの地方の小さなブドウ畑に立ったときと同じ風景だ」と言っていただきました。一般開放は2024年9月から行われています。
—ワインが作れるのですね!函館の人の目線では気づきづらいかもしれませんが、他から見たときに魅力に気がつくのですね。
ド・モンティーユ&北海道 Webサイト
https://www.demontille-hokkaido.com
函館市のワーケーション支援・企業立地支援
函館に拠点を置くことを検討をされている方には、1社につき1名5万円、最大3名まで15万円、視察に要する交通費や宿泊費等を補助する制度を用意しております。職員のアテンドを含む視察などの要件を満たせばワーケーションもOKです。またオフィス開設に関わる費用は最大2分の1、100万円まで補助をします。おかげさまで好評です。
私たちが「函館市はいい場所ですよ」と伝えるだけではなく、検討するための入口として、函館に来て実感していただきたいと思っています。今年度の補助金の申請は、令和7年2月28日(金)までなので、検討される方はお早めに!
函館市の地方拠点開設にかかる整備費用を補助について
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2023071000067/
■Editer’s note 取材を終えて
私たちが函館をワーケーションのための滞在場所として選んだ理由は、過ごしやすい気候と観光資源の豊富さです。8月の京都は38度を超える日がありましたが、函館では24度。気候が穏やかだと、日常のストレスも大きく軽減されることを実感しました。そう感じるのはきっと私だけではないはず。函館でのワーケーション、計画してみてはいかがでしょうか。
ビジネスとして重要なのは、ワーケーションが次のビジネスチャンスに繋がるかどうかです。函館は適度な人口規模と多様な産業を持ち、ビジネスの可能性も豊富です。もし地域での需要やチャンスがなければ、ただの観光と変わらず一過性のものになってしまいます。ド・モンティーユ&北海道さんのような、地域のニーズやビジネスチャンスがあることを教えていただき、企業にとっても新たな市場として魅力的だと分かります。
さらに、地方に企業が進出する意味は「人材」にもあります。ワーケーションをきっかけとして、企業立地誘致が進めば、函館に住む人々にとって、企業や職種の選択肢が増えることになります。進出する企業にとっても、地域に根ざした優秀な人材を確保する機会となります。ビジネスや人材採用のマッチングが成功すれば、ワーケーションは一度きりの訪問ではなく、持続的な取り組みへと発展していくものとなりそうです。