MICE施設の管理者がつくった予約管理システム。施設運営の悩みを解決する【SPMクラウドシステム】を開発した玉城さんの思い
施設運営で日々直面する「時間が足りない」「人手不足」といった課題。そんな悩みを解消するための強力なツールが、公共施設やMICE施設向け予約管理システム「SPMクラウドシステム」です。
開発されたのは実際に施設運営を行っているOTS MICE MANAGEMENT株式会社。代表取締役社長 玉城 国博(たまき くにひろ)さんに「SPMクラウドシステム」が誕生した経緯、そしてどんなシステムなのかお話を伺いました。
「オンラインで予約できない現状を変えたい」 現地に行かなければ解決しない不便さに疑問を感じた
沖縄県那覇市に本社を置く同社は、「地域社会の課題解決」を企業方針とし、MICEイベントの開催支援や、インターネットを活用した非対面対応の推進や、業務効率化を実現するITツールを提供しています。
玉城さん:「もともと旅行会社グループの一員として設立され、社内ベンチャーからスポーツイベント運営事業をスタートしました。初めは社内のレクリエーションイベント運営から始まり、次第に学術大会やMICEへと活動の幅を広げていきました。
その中で、我々自身が施設を利用するユーザーとして、現地に行かなければ予約ができない、オンライン申請ができないといった不便さに疑問を感じたのが、2016年頃のことです。調べると、県内外で同様のサービスがほとんどないことを知り、補助金を活用しながらパートナー企業に協力を得て、システム開発に着手。2018年にはイベント事業に加えて、IT事業の展開も本格的に始めました。
2020年以降は指定管理※業務も手掛け、現場に根ざした施設運営をしています」
※地方公共団体が指定する法人や団体に、公の施設の管理や運営を委ねる制度
—利用者目線から生まれた疑問をきっかけに、現在では施設運営とITツールの開発にも携わっていらっしゃるのですね。
SPMクラウドシステムがあれば、利用者が現地に行かなくても施設予約ができる。施設の管理者にも使いやすいシステム
玉城さん:「施設管理を行う現場の声から生まれた予約管理システムです。利用者・管理者の立場に立ったこだわりの機能を搭載し、公共施設でのIT推進を図ります」
機能
・クラウドで予約管理、OSを選ばずに利用できる
・管理者も利用者もID・パスワードを使い、Webサイトにアクセスするだけ
・デザインもシンプルで誰でも使いやすい
・入金管理、利用者の統計や履歴も残る
・利用者のアカウント管理まで行える基幹システムベネフィット
・従来の手書きの申請書が提出不要
・管理者が、正確な利用者アカウントの管理ができます
・利便性の向上、業務効率化の両方を叶えます
公共施設ならではの「運営の縛り」に対応する
玉城さん:「公共施設の場合、さまざまな利用者に配慮するよう細かく条例が定められており、それに沿った運営の縛りがあります。例えば、市民には割引を適用するなど、料金体系が複雑です。こうした特有の運営条件に対応するための機能を備えています」
全国200以上の多様な施設で導入
玉城さん:「ハコを貸し出す施設であれば、体育施設、文化ホール、文化施設、アクティビティ施設など、カテゴリーは選びません。現在、全国200以上の施設で導入・稼働しています」
導入実績はこちら:https://www.o-mm.jp/ja/case#section1
紙やExcelからのオンライン化、別システムからの乗り換えなど導入のケースは様々
玉城さん:「システムがまったく導入されていない施設もあれば、紙の台帳やExcelを使って管理されている施設もあります。これだけでも事務作業が煩雑です。すでに何らかのシステムを導入している場合でも、別システムの導入を検討されることもあります。具体的には以下のような状況です」
・紙での予約管理、事務作業がとにかく煩雑で多い
・一日中電話や窓口対応に追われ、同じことを何度も回答している
・利用者からのオンライン予約に関する要望が多い
・予約システムを探してみても、施設の料金表が複雑でマッチするものがない
・設備管理・清掃管理など予約管理以外にもやるべきことが多くある
—それらの問題を、SPMクラウドであれば解決できるということですね!
施設が直面する人件費、人手不足の問題。現場の厳しい局面を肌で感じる
玉城さん:「ご案内しても、まったく響かない方も確かにいらっしゃいますね。施設が直面しているのは、人件費が上がっていることと、人材不足です。昨年、営業しても全く響かなかった施設から、突然連絡が来て、導入の相談をされることもあります。人手がどんどん足りなくなっている状況で、厳しい局面を迎えていることを肌で感じます。
また、利用者からも『いまどきWeb予約ができないのか? 』という問い合わせが増えており、そういった声も導入を後押しする要因となっています」
SPMクラウドシステム「導入前」の管理者、利用者の声
管理者の声
・導入してみたいが予算面が不安
・職員が高齢であるため、操作が難しいのではないか
・慢性的な人不足なので業務効率化を図りたい
・予約管理のみならず、様々な資料を準備する必要がある。総合的に管理できる仕組みを構築したい利用者の声
・申請のために施設に出向くのが大変
・空き状況の確認が、電話でないと分からなくて不便
・手書きの申請書を何度も記入するのが面倒
・Webで予約、支払いもクレジットカードなどで済ませたい
玉城さん:「人材不足が導入を検討される大きな理由ですね。また、導入したいけれども予算が不安というお声もあります。民間企業が運営されている場合には、我々も予算が厳しいということは理解をしているので、機能調整を行いながら金額面でも協力をしています」
「導入後」管理者、利用者の利便性が大きく向上
管理者の声
・窓口対応や電話対応の時間が大幅に削減できた
・利用者情報の検索などが早くて便利
・集計作業が効率化できて助かる
・自主事業に時間が取れるようになった利用者の声
・手書きの必要がなく、利用当日に施設に行けばいいのが楽
・いつでも好きな時間に予約操作ができて良い
玉城さん:「業務効率化ができたというお声が多いです。これまで忙しくて手が回らなかったSNS、Webサイトの更新に手がつけられるようになったと聞きました。
また、利用率アップにつながっている施設がほとんどです。利用者のアカウントが増えることで、若年層の利用など新規利用者の獲得をされています。すると収入も増え、設備を修繕することや、備品の購入が可能になります。導入時のコストだけで判断するのではなく、得られる効果もご理解いただければと思います。
人件費を削減するためのコストカットではなく、その分サービスを充実させていくという方向性が、イメージとしては近いと考えています」
—予約管理やそれに付随する複雑な工程で時間がかかっていた業務を、SPMクラウドシステムに置き換えることで、業務効率化が進んで楽になる。なおかつ、他のサービスを充実させて、施設の価値を高めることができるのですね。
【導入事例1】沖縄空手会館/Excel管理からのデジタル化、DX推進
主な施設:空手道場、研修室、屋外鍛錬場など
導入時期:2020年4月~
Webサイト:https://karatekaikan.jp/
施設紹介ページはこちら
電話対応が激減、空いた時間でSNS集客、ショップの運営、オンラインストア運営に挑戦
玉城さん:「沖縄空手会館(沖縄県豊見城市)は当社が指定管理業務を行っている施設です。運営開始当初の2020年以前は、すべてアナログで管理。Excelデータに空き状況を入力してPDF化し、ホームページで掲載していたため、リアルタイムの空き状況を伝えられませんでした。そのため、電話での問い合わせも多く発生。時間を間違えるエラーも生じ、対応人員も必要でした。2020年4月に空き状況閲覧サービスの利用からスタートし、2021年7月よりWeb予約受付サービスを開始して、段階的にデジタル化を進めました。
システム導入後、利用者を100%Webサイトに誘導した結果、導入前と比べて電話対応が激減し、窓口勤務職員1名減を達成しました。空き状況に関する問い合わせは0件、今でもほとんどありません。料金についても予約操作を進めることで自動的に表示されるようになり、問い合わせがなくなったことも大きな改善点です。さらに浮いた人員で自主事業に力を入れることができ、SNS集客や飲食店・ショップの経営、さらにオンラインストア運営に挑戦しています」
導入に不安を感じていた年配のスタッフでも操作できるシンプルな管理画面
玉城さん:「空手の団体利用が多く、管理者の方は『今まで電話で予約をとっていたのに』という声がないのか心配されていました。特に、空手の先生方にWebの予約を促せるのか不安があったようです。半年ほど時間をかけてご理解いただいた団体もあります。
これまでは開館時間外に一切の手続きを行えませんでしたが、システムの導入により、いつでも行えるようになりました。利便性が上がることを理解いただき、操作が簡単であることを知ってもらうことが、まず必要だと思います。
管理者の中には、60歳以上のスタッフもいるため、操作については不安もあったようです。しかし管理画面もシンプルで、特に困ったというお声はないですね」
—実際に触っていただいて、利用者の方にとっても管理者の方にとっても、便利になることをご理解いただくということですね。
玉城さん:「新型コロナウイルス流行に伴い、ITリテラシーが全体として上がったことも不安の声が出づらくなった要因だと考えます。ワクチン接種など、Webでの申請も増えましたよね。オンライン会議の導入も一気に進みました」
【導入事例2】SSプラザせんだい/効率化のため運営開始時から導入
主な施設:多目的ホール、会議室
導入時期:年月~
Webサイト:https://www.sendai-sta-cvp.jp/
玉城さん:「SSプラザせんだい(鹿児島県薩摩川内市)は、PFI形式※で、20年間管理をすることが決まっている施設でした。運用開始当初から効率的な運用水準を求めてシステムの導入を決めていただきました。応札の計画を立てる段階でアドバイスをすることも可能です。我々は、システムを開発するだけではなく、施設を運営しているため、先方の事情も理解しながらお話ができるのは強みだと思います」
※公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法
導入後の管理者、利用者の感想は次のようなものでした。
管理者の声
・週ごとに予約状況が見られるのが便利(集計時に便利)
・利用者側で団体名や個人情報を直接登録してもらうため、情報を確認するだけでいいのが助かる
・入金済か申請済かが、色分けされていて分かりやすい
・利用者ごとに予約を検索できる
・利用者の過去の履歴が分かるのが便利
・メモ欄があり、利用者との打合せ内容や注意事項が他職員と共有できる利用者の声
・利用者登録を1度すれば、申請書に住所を書かなくて済む。再度利用時に手間が省ける
・登録名で領収書の宛名が自動発行されるところがスムーズ
・空き状況が24時間、誰でも確認できる
キャッシュレス、LINE連携、リモートロック対応…ニーズに合わせて新機能を追加
玉城さん:「SPMクラウドシステムはキャッシュレス対応、LINEとの連携、レジシステム連携などいろんな機能があります。最近注目されているのはスマートロックですね。当社では『リモートロック機能』としてご紹介しています。システムとAPIを通じて連携し、ナンバー入力式でのドアの自働開錠・施錠が可能です。たとえば無人施設や、大きな施設で受付に行かなくても、ダイヤルを回して入室できるため、手間を省き、窓口対応を減らします。導入が増えているのは、学校。これまで人がいない時間帯には、誰かが開けなければいけませんでしたが、自動解錠、施錠することで人材不足問題の解決に繋がっています」
■Editor’s note 取材を終えて
公共施設の運営には、複雑な業務が伴い、時間や人手不足が課題となっています。そうした中、SPMクラウドシステムは、施設運営のDX化を強力に後押しするツールになります。さらに業務効率化の枠を超え、利用者満足度や施設価値向上にも寄与。今後、さらに多くの施設でDX化の波を巻き起こす可能性を感じさせる取材でした。
SPMクラウドシステム について
Webサイト https://info.spm-cloud.com
動画
OTS MICE MANAGEMENT 株式会社 Webサイト
https://info.spm-cloud.com/company/
設立 2014年4月1日
東京本社 〒110-0005 東京都台東区上野7丁目2-8 岡田タイルビル2階
沖縄本社 〒901-0155 沖縄県那覇市金城1丁目12-17 2階