【インタビュー】「日本観光ショーケースin大阪・関西」実行委員長(マイナビ執行役員 落合様)に聞く「イベント会場選びのコツ、リアル vs オンライン、今後のイベントの展望」
2024年7月に行われた「日本観光ショーケースin大阪」の実行委員長を務める、株式会社マイナビ執行役員の落合様に、「会場選びで重視すること」「リアル、オンラインの開催について」「今後のイベントの展望」について伺いました。
就職・転職・進学情報を扱う大手人材・広告企業の株式会社マイナビ(以下、マイナビ)は、インターンシップ・総合就職サイトとしてお世話になった方も多いのではないでしょうか。合同説明会をはじめ、仕事・業界研究ができるイベントを全国各地で開催しており、「第3回 日本観光ショーケース in 大阪・関西」(以下、日本観光ショーケース)など、ジョブ関連以外のイベントにも携わっています。
第3回 日本観光ショーケース in 大阪・関西 について詳しく知りたい方
過去の記事をご覧ください。
実行委員長・落合様(マイナビ執行役員)へのインタビュー
—2023年はインテックス大阪、2024年は大阪国際展示場で開催されました。会場選びはどのようにされていますか?
株式会社マイナビ 執行役員 就職情報事業本部 キャリアデザインセグメント企画運営第1統括本部 統括本部長 落合和之様
マイナビは北海道から沖縄までの全国700箇所でイベントを行うため、自社で作成した各地の会場リストを持っています。それらをもとに選びます。
選ぶ基準は正直なところ、収益がでるかどうか。もう少し細かくお伝えすると、利用料金と広さ、交通アクセス、会場周辺の雰囲気を重視しています。周辺にお店がない、夜になると真っ暗になる、会場から駅まで遠い会場については来場者の安全施策も考えます。特に学生さんを呼ぶイベントは、注意しなければなりません。明るいうちにイベントを終了させると、開催時間が短くなり、来場時間が制限され、来場者数も減ってしまいます。
—展示会・イベントの役割について、どのようにお考えですか?
展示会の役割は「マッチング」「情報収集」という話もありますが、どうしても陳腐に感じます。うまく言えないので良いキャッチコピーが欲しいですね。
インターネットだと目当てのものを探し、ダイレクトにアクセスしますが、偶然の出会いはあまりないんですよ。ネットサーフィンをしても、関連する中からしか出会いがありません。けれども、会場に足を運ぶと、全く予想もしなかったものがポンとあったりするわけです。ショッピングと同じで、目に入ることで偶然の発見があり、それらを実際に体感できます。展示会の役割は、偶然の出会いのきっかけづくりだと考えています。
—オンラインでの開催も増えましたが、リアルでの開催を選ぶ理由はありますか?
当時はマイナビの専務が日本展示会協会(主催者、展示会場、支援企業の三者で構成される日本最大級の展示会業界団体)の会長で、私は会長補佐でした。協会では「リアル(開催)の良さは分かるが、なぜオンライン(開催)よりリアルが良いのか」という議題が上がりました。しかし、上手く言語化できないままでした。
きっかけは、2020年の新型コロナウイルスの飛沫感染の危険性から、リアルのイベントは中止せざるを得なくなったこと。マイナビの就活イベントは全国各地で開催するはずでしたが、直前で開催できなくなり、一番苦しかったですね。取材予定のメディアも、設営を担当する会社も、予約が入るはずだった会場も。みんなが痛みを負っていました。
展示会がなくなって一番苦しむのは、出展するはずだった中小企業だと考えています。自社内に営業マンをたくさん抱えられる会社は良いです。ただ、抱えられない会社がどのように商品を売るのか。展示会とは違い、オンライン商談は物には触れないし、生の営業トークは聞けなくなる。リアルの展示会だからこそ、売れる要素があると理解はしています。なぜオンラインより良いのか、うまく言えなかったんです。
私の回答は「スイッチが入ること」。
緊急事態宣言が出た2020年4月以降、徐々に人数制限をしながら就活イベントを再開しました。
ある時、就活生の女性が「家でオンラインで就活をしていたら、表面上のことばかりでよくわからなかった。でも会場に来ると、話している人の熱気、言葉の息遣い、隣に参加した学生の表情が見えました。そこでスイッチが入りました。」とテレビ取材のインタビューに答えていました。オンラインは画面の向こうにいる人の様子はわかりますが、隣にいる人がどういう表情で聞いてるのかは、わからないですよね。
リアルとオンラインでは、受け取れる情報量が違います。オンライン開催のメリットは、ロケーションを選ばなくて済むこと。関西の学生が東京ビッグサイトへ行くのには、新幹線で往復 数万円を払って行かなくちゃいけない。ある意味、自宅から参加できるようになったのはお財布にも優しく良いことです。でも現地に行き、大量の情報量を浴びることによって感じるものがあります。
我々が開催する「日本観光ショーケース」は観光をテーマにした展示会ですが、旅行もその場所に行き、風景や人に出会うから楽しいのであって、オンラインでは補えない部分があると考えています。
—今後のイベント運営の展望について教えていただけますか
「日本観光ショーケース」の主催者としては、継続・成長させ、工夫を続けます。「マイナビ」という会社としては、観光と仕事を組み合わせたイベントがつくれると考えているんです。いずれにしても、日本が持つ観光資源は世界に誇れるもの。マイナビの持つ強さを活かして、関わっていきたいです。
■取材を終えて「Editor’s note」
稼働させたいのに人手不足で十分に運営できず、お客様に満足のいくサービスを提供できないといった、MICE業界の切実な現状を耳にしたことがありました。そうした課題を解決するためには、人材の確保や育成、さらには業界全体の働き方の見直しが必要であると感じています。
株式会社マイナビが持つ就職・転職・進学に関する情報や、イベント開催の豊富なノウハウを活かすことは、業界の未来に新たな可能性を示す取り組みになります。「日本観光ショーケース」を含め、イベントがどのように発展を遂げるのか、とても楽しみです。落合様お忙しい中、ありがとうございました!