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【取材】韓国有望スタートアップ7社が登壇、AI、SaaS、ビッグデータ、フィンテック、エネルギー…「Plug in : Osaka #3」韓国スタートアップのソリューションは日本社会の課題を解決するのか

韓国のスタートアップ市場はいま、国をあげてスタートアップ支援に力を入れています。その勢いを日本でも体感できるイベント「Plug in : Osaka #3」が、10月17日大阪で開催されました。ピッチイベントとネットワーキングを通じて、参加者は韓国の最新テクノロジー企業と直接交流。今回登壇した7社はいずれも、韓国・釜山創造経済革新センター(BCCEI)のアクセラレーションを受ける注目スタートアップです。

それぞれの企業がどんな挑戦をしているのか、そして日本の社会をどう捉え、海外展開を進めているのかをレポートします。


「Plug in : Osaka #3」が良かった3つのポイント

1.韓国の有望スタートアップが集まっていた
AI・Fintech・素材など、多彩な分野で注目される韓国企業が登壇。現地ではなかなか出会えない“次に来る企業”と直接話せる貴重な機会でした。

2.大阪にいながら韓国の企業とつながれた
ピッチのあとのネットワーキングでは、登壇者も参加者も垣根なく交流。名刺交換をきっかけに、その場で次の打ち合わせを約束する姿も見られました。

3.日韓逐次通訳で、言葉の壁を気にせず参加できる
ピッチは日韓逐次通訳で行われ、日本語での質問にも通訳が対応。国を超えたコミュニケーションに自信がない方でも、安心して参加できる環境でした。(ちなみに編集長・藤井は英語も韓国語も話せません…!)


AI・Fintech・高齢化社会・素材…日本企業、社会の課題にアプローチする7社がプレゼンテーション

ピッチは1名の通訳担当者による日韓逐次通訳で進行。各社の発表ごとに、最前列に着席したNTT西日本、神戸市、JETROなどの関係者4名が登壇者へ質問を投げかけました。

今回登壇した7社は、AI・フィンテック・ビッグデータ・エネルギー・ケアソリューションなど、多様な分野で注目を集める韓国のスタートアップです。その中から、3社をご紹介します。


旅先での認証・決済をワンストップで:クロスハブ株式会社(CROSSHUB Co., Ltd.)

2025年5月にローンチしたばかりの同社は、すでに27万人の顧客を獲得し、韓国の4社から出資を受ける注目のフィンテック企業です。2025年の資金調達額は5億円を突破。

展開するのは2つのサービス。
パスポート情報をもとに本人確認ができるSSI認証サービス「IDBlock」。
多国間でシームレスな決済を可能にする統合ウォレット「B-Pay」。

旅行先で「支払いができない」「本人確認で止まる」とう不便を解消するために、パスポートを基盤とした認証・決済ソリューションを開発しています。

情報の安全性を担保するのが「ゼロ知識証明」と呼ばれる暗号技術。個人情報を暗号化することで、同社側も閲覧できない設計となっており、情報流出のリスクを根本から防ぎます。MetaやGoogle、Samsungといった世界企業も同技術を採用しています。

Q. 日本市場への展開において、どのような戦略を考えていますか?
A. B2Cでは、地方都市で観光客を呼び込むような取り組みにつなげたいと思っています。現在はHISと協力し、ID認証と決済を一体化したサービスを準備中です。観光客向けには、地域の体験や商品を引き換えられるデジタルバウチャーの提供なども検討しています。

Q.日本で事業を拡大する上での障壁は?
A. 日本市場はやや保守的な面があると感じています。信頼関係を築くうえで、間に立って橋渡ししてくれるパートナーの存在が重要だと思います。

クロスハブ株式会社 Webサイト https://idblock.co/


最短3分でバイヤーをマッチング!グローバルセールス専用のAIエージェントで、海外進出・営業を自動化する:リンダAI株式会社(RINDA AI Co., Ltd.)

2024年5月のパブリックリリース以降、月間平均45%の成長率を見せる同社。「海外に売りたい。でも、バイヤーを探すのは簡単じゃない」韓国では年間およそ27億ドル(約3兆円)が海外展開に使われているにもかかわらず、実に99%の企業が進出に失敗しているといわれています。

そこで登場したのが、AIエージェント「Rinda」。条件を入力するだけで、AIが世界中のバイヤー情報を収集・分析し、最適なマッチングリストをわずか数分で生成します。経営者や営業責任者は、AIの提案を確認して意思決定するだけ。“営業を自動化するパートナー”です。

現在は1日あたり平均1,300件のマッチングを実現。リード創出に特化していますが、今後は営業現場やアフターケア領域への拡張も視野に入れているといいます。

Q.ターゲットとなる企業は?

A. 主なターゲットは製造業ですが、美容関連や消費財を扱う企業も多く登録されています。特に海外進出に苦労している中小企業を支援対象としています。日本や韓国など、自力での海外展開が難しい企業の課題を解決したいと考えています。

リンダAI株式会社 Webサイト https://www.grinda.ai/


カメラを使わず大切な人の異常を未然に防ぐ見守りサービス:ベル株式会社(BELLE Co., Ltd.)

「カメラがあると、ずっと監視されている気がする。」カメラを使わずにプライバシーを守りながら、24時間365日、そっと寄り添う見守りを実現します。

室内に設置されたセンサーが生活の変化を検知し、対象者の“いつもと違う動き”をAIが学習・分析。小さな兆候や異常をいち早く発見・予測し、緊急事態を未然に防ぎます。

現在は地域全体での見守り体制構築にも取り組んでおり、まずは1,000世帯での導入を計画中。将来的には、2028年までに日本全国で30万世帯への展開を目指しています。

ベル株式会社 Webサイト https://www.carebell.kr/ja/


そのほかにも、こんな企業が集まりました

・AI設計アルゴリズムに関して国内外で10件以上の特許を保有
・日本・ヨーロッパ市場への展開を進める企業
・炭素排出をゼロに近づけた環境素材を開発する企業
・サウジアラビアに1,800㎡の工場を構え、中東進出を準備中の企業
・運営資金10億ウォン(約1億580万円)を確保している企業
・すでに日本支社を設立し、事業拡大を進める企業


登壇者・主催者・参加者と話せるネットワーキング

ピッチイベント後、会場は一気にリラックスした雰囲気に。登壇者もレビュワーも主催者も関係なく、フードとドリンクを片手に自由に移動しながら談笑します。参加者が登壇者に質問を投げかけ、名刺を交換する光景があちこちで見られました。この“距離の近さ”こそ、Plug in Osakaの魅力。

ドリンクは烏龍茶、コーヒー、紅茶、瓶ビールの4種が用意され、軽食のオードブルとともに立食形式で提供されました。

後半には、ちょっとした遊び心のあるプレゼント抽選も。受付時に渡した名刺を“抽選箱”に入れる仕組みで、番号札よりも実用的かつスマート。当選者には、韓国ブランドのルームフレグランスやコスメなど、センスの光るギフトが贈られました。フォーマルすぎない交流の場になっていました。


海外で戦う覚悟、そして日本との共創へ

日本市場を的確に捉えながら、海外展開を着実に進めている企業ばかりでした。今後も各地で「Plug in」シリーズの開催が予定されており、日本にいながら海外スタートアップと直接つながることができます。出資・協業・新規事業開発など、共創の可能性を探るには絶好の機会です。


釜山創造経済革新センター(BCCEI)

韓国では、政府主導でスタートアップ支援を強化しています。その支援を担う機関の一つが「釜山創造経済革新センター(BCCEI)」です。韓国のスタートアップと日本を結びつけるイベント「Plug in(地名)」を各地で主催。「Plug in : Osaka #3」は福岡に続く、第3回目の開催となりました。


開催概要『Plug in : Osaka #3』

日時 : 2025年10月17日(金)15:00~18:00(18:00以降 ディナー&ネットワーキング)
会場 : Quint Bridge
参加者 : 韓国スタートアップ7社、日韓の投資家・産業界・政府関係者 など
    スタートアップのオープンイノベーションに関心のある方
イベント内容 : 韓国スタートアップによるピッチ&Q&A、テーブルミートアップ、ネットワーキング(ディナー含む)など
主催/主管 : 釜山創造経済革新センター(BCCEI)

会場となったQUINTBRIDGEは、NTT西日本が運営するオープンイノベーション拠点。普段からピッチイベントや展示などが頻繁に行われており、初めて訪れる人でも立ち寄りやすい雰囲気です。

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