韓国釜山発、大型スタートアップイベント「BOUNCE 2025」レポート:スタートアップが世界とつながるオープンイノベーションの最前線
2025年9月22日から23日の2日間、韓国第2の都市である釜山のBEXCOにて、グローバルスタートアップフェスティバルである「BOUNCE 2025」が開催されました。今年で9回目を迎えた本イベントは、地域発のスタートアップが世界とつながるためのプラットフォームとして独自の進化を遂げています。5000人以上が来場し、熱気に包まれた現地の様子と、そこで生まれた具体的なビジネスの成果について詳しくレポートします。

韓国の地域スタートアップ事情とBOUNCEの役割
韓国のスタートアップエコシステムは、日本と同様に首都圏への一極集中が課題となっています。中小ベンチャー企業部のデータによると、韓国内のスタートアップの約7割が首都圏に拠点を置き、投資資金を供給するベンチャーキャピタルの9割近くがソウルに集中しているのが現状です。
そのような環境下で、釜山創造経済革新センターが2017年から主催しているのがBOUNCEです。このイベントは、単なる展示会や講演会にとどまらず、地域、スタートアップ、大企業、投資家、そして海外パートナーをつなぐ連結の場として機能しています。当初は著名人の講演が中心でしたが、2019年以降は実質的なビジネス創出に舵を切りました。ここ3年間でスタートアップと中堅、大企業のミートアップを1000件以上成立させるなど、韓国南部の最大級のスタートアップイベントとして定着しています。

2025年の新たな試みとイベントの特色
今年のBOUNCE 2025では、参加者の交流を促進するために空間演出やプログラム形式に大きな変革が見られました。
開催概要
日時:2025年 9月22日~9月23日 11:00~17:00
テーマ:「地域創業エコシステム」、「つながり」
スローガン:BIND LOCAL CONNECTION!
場所:釜山 海雲台 BEXCO 第1展示館 1ホール
参加費:無料
主催/主管:釜山広域市/中小ベンチャー企業部/釜山創造経済革新センター
公式Webサイト https://bswbounce.com/
会場となったBEXCO
会場全体を彩るミントカラーと自由な交流
会場に足を踏み入れると、今年のテーマカラーであるミント色一色の空間が広がります。これは革新の旅程を研究するスタートアップ研究所というコンセプトを表現したものです。参加者にはミント色の計算機やタンブラーなどのグッズが配布されました。堅苦しいビジネスイベントの雰囲気を払拭し、実験室のような遊び心ある演出が施され、参加者はリラックスして交流を楽しむことができました。
地域性を活かしたスマート海洋セッション
港湾都市である釜山の強みを活かし、今年は「スマート海洋」が注目セクターとして選定されました。オープニングセッションでは海洋産業の課題と可能性について議論が交わされ、韓国海洋水産開発院の専門家などが登壇。海洋分野は技術開発や検証に時間がかかるため民間投資が難しい側面がありますが、釜山には関連機関や大学が揃っており、これらを緊密につなぐことでエコシステムを成長させる必要性が強調されました。
一方的な講演を廃止したアンカンファレンス形式
今年は従来の講演形式を撤廃し、全セッションでアンカンファレンス形式が導入されました。登壇者と聴衆の境界をなくし、双方向でコミュニケーションを行うスタイルです。会場には階段式のステージやエアソファが配置され、参加者は専門家に気軽に質問を投げかけ、深い議論を行うことができました。

大企業との共創とグローバル展開の成果
BOUNCEの最大の特徴は、実質的なビジネスチャンスの創出にあります。今年も具体的な数字として多くの成果が報告されています。
オープンイノベーションとミートアップの実績
会場で最も熱気を帯びていたのが、大企業や投資家と直接商談ができるミートアップゾーンです。今年はサムスン重工業、ロッテ建設、NAVERクラウド、カカオモビリティといった韓国を代表する大企業や公的機関など約26社が参加しました。
現場では合計で382件ものミートアップが行われました。その場だけの顔合わせに終わらず、イベント終了後にはすでに24件以上の後続ミーティングが進んでおり、そのうち3社のスタートアップが実際に技術検証などの協業確定に至っています。
過去の成功事例として、建設大手のホバン建設とロボットスタートアップWPSの協業が紹介されました。昨年のBOUNCEでの出会いをきっかけに、アパート建設現場での外壁塗装ロボットの実証実験を成功させ、現在も協業を拡大しています。
日本を含む6カ国7都市から参加、グローバル市場への架け橋となるイベントに
海外進出を目指すスタートアップへの支援も充実しており、日本、ベトナム、シンガポール、ドイツ、オーストラリア、イスラエルなど6カ国7都市からパートナーが参加しました。
特に日本からは、沖縄のITイノベーション戦略センターやキヤノンマーケティングジャパンが参加し、日本市場への進出を検討する韓国スタートアップに対して具体的なアドバイスを行いました。キヤノンマーケティングジャパンの担当者は、日本企業との提携には信頼性の担保が必要であるとし、日本進出を目指す韓国企業に対して実証実験の機会創出などを支援する姿勢を示しました。期間中、海外パートナーとのミートアップは80件以上行われ、グローバル進出の足掛かりを作りました。
地域エコシステムのハブとしての可能性
BOUNCE 2025は、5000人以上の来場者を記録し、地域のスタートアップイベントとしての存在感を確固たるものにしました。首都圏に資源が集中する中で、地域ならではの産業特性である海洋産業や、製造現場に近いという利点を活かしたAI技術などを武器に、大企業や海外市場と連結させる戦略が功を奏しています,。
主催者である釜山創造経済革新センターは、来年迎える10周年に向けて、さらに規模を拡大し、深みのあるプログラムを用意すると発表しています。日本のスタートアップ関係者や投資家にとっても、釜山というフィールドが持つ可能性と、そこから生まれる新たなイノベーションの波は、今後ますます注目すべきものになるでしょう。
※本記事の作成にあたり釜山創造経済革新センター様から情報をご提供いただきました。



