【取材】大津市MICE推進室/京都からわずか9分、大津市でのMICE開催のすすめ/立地・自然・歴史・施設…バランスのよさが大きな魅力
大津市と聞いてどんなことをイメージされるでしょうか。私は大津市のお隣の京都市に住んでいます。滋賀県の県庁所在地と知っていても「どんな町なのか」と具体的に答えられる方は関西でも少ないと実感しています。私は大津、琵琶湖のことがとても好きで、会社では市内で宿泊施設を直営していたこともあるほどです。観光地としてもビジネスを行う町としても魅力があることを、もっと知ってもらいたいと日頃から思っています。
せっかくMICEのメディアをやっているわけですから、大津市のMICE推進室を訪ねて、その魅力や取り組みについて伝えることから始めよう。そう思い立って、今回は大津市の観光振興課 MICE推進室にお邪魔しました。
※この記事の画像は大津市MICEWebサイト・プロモーションツールのものを使用しています。
大津はこんな町:湖のそばに発展した都市としては国内最大級
大津市は滋賀県の県庁所在地。人口 34.3万人(2024年)。県南部に位置し、京都市に隣接しています。かつての大津宿は東海道最大の宿場町で京都方面への玄関口として交通の要所でもあり、歴史的に重要な役割を果たしていました。日本最大の湖「琵琶湖」が広がり、比叡山や近江八景など、美しい自然と歴史的景観が魅力です。2024年の大河ドラマ「光る君へ」でも注目された石山寺、数多くの映画やドラマのロケ地になった三井寺をはじめとした観光地の魅力に加え、京都や大阪への通勤圏内に位置するため、住みやすいベッドタウンとしても注目されています。
市内には6つの大学・キャンパスがあり、大手メーカーの工場も多く立地します。
世界で湖のそばにある都市といえば、シカゴやトロント、杭州などの大都市が知られています。ヨーロッパのジュネーブやチューリッヒのような自然と調和した文化都市のイメージもありますね。国内では、同じく琵琶湖に面した彦根や長浜のほか、諏訪や松江が知られていて、いずれも自然と文化、歴史が調和した町です。大津は本州の中ほどにあって、交通の便がよく、気候も穏やかです。
近年では、国内外のビジネスや学術交流を促進し、地域経済の活性化と都市の魅力向上を図るため、MICEの誘致に力を入れています。MICE開催地の候補になるポテンシャルが十分ある都市です。
びわ湖大津トラベルガイド https://otsu.or.jp/
「大津市MICE推進戦略」を策定し、取り組みを進めています
2022年3月に策定された「大津市MICE推進戦略」は、2022年度から2025年度までの4年間を計画期間とし、MICE誘致による地域のにぎわい創出と経済活性化を目的とした指針です。
大津市MICE推進戦略の概要
戦略が作られた際に課題としてあげられているのが、ワンストップ窓口の不在、二次交通の脆弱性、プロモーション不足、コアとなる公共MICE施設の不在でした。数値目標は国際会議開催件数を2025年度に2件→5件に、コンベンション開催件数を26件→35件に、主催者満足度80%です。
具体的な施策・取り組みとしては、大きく3つ。
1)主催者にえらばれるMICE都市となるために:問合せ窓口の整備、誘致プロモーションの強化、主催者支援の充実、参加者利便性の向上、市内情報の積極的な発信、SDGsの取り組み強化
2)開催事業者と共に創り、磨き上げるMICE都市となるために:関連事業者との効果的な連携、関連事業者の取り組みへの支援、関連事業者の拡大とMICE人材の育成
3)人がつながり、成長するMICE都市となるために:地域へのMICE開催効果の享受、課題解決につながるMICE創出
詳細はこちらからご覧ください
大津市 Webサイト https://www.city.otsu.lg.jp/soshiki/025/1616/g/keikaku/47902.html
MICE推進室 林田さんにお話をうかがいました
現在の取組:自前のプロモーションツールとしてWebサイトを制作。積極的に働きかけも実施
「令和2年度にMICE推進室を設置、MICE推進戦略を作って取り組みを進めてきました。どのコンベンションビューローさんも自前のプロモーションツールを持っていらっしゃるため、窓口とするべくMICEのWebサイトの制作(公開は2025年1月14日)をしました。英語版については3月末までにリリース予定です。今はまだ国内の学会の誘致がメインです。医療系や理工系の大学、IME(MICE関係者向けの商談会)への参加などで働きかけをしています」
大津市MICE Webサイト https://otsu-mice.jp/
京都からわずか2駅・9分、アクセスの良さは大きな強み、エクスカーションにも向いている
「大津市?どこにあるの?となる場合もまだ多いです。京都から(JRで)2駅・9分ということを伝えると「そんなに近いの?」と驚かれることも多いです。関空からは90分、大阪国際空港(伊丹)からも70分とアクセスはよいです。Webサイトでも「選ばれる理由」としてあげています。
やはり、大津に滞在してもらいたいと考えています。観光地も多くエクスカーション※の実施にも向いていると思います。文化財の寺社も多数あれば、ミシガンクルーズ(琵琶湖を巡る遊覧船)といった湖の周遊も特徴的です。Webサイトにもエクスカーションの「モデルプラン」もあげています。坂本の町並みや琵琶湖のアクティビティなどもおすすめしたいです。」
※エクスカーション:MICEの場合、開催に合わせて前後で観光や旅行を楽しむこと。開催地に同伴される家族などの観光してもらうことも含まれています。
主催者への支援:県と市あわせて最大1200万円の支援、施設の早期予約も相談可能
「大津で開催される場合には大津市コンベンション開催等事業補助金(最大200万円)と滋賀県コンベンション開催助成金(最大1000万円)をあわせて最大1200万円の補助があります。細かな部分で言えば、資料を入れるコンベンションバッグやクリアファイルを無償で提供しています。加えて、多言語対応の観光パンフレットの提供やエクスカーションのご提案をしています。
エクスカーションの補助金もあります。市外で開催されるコンベンションに付随して実施するエクスカーションでもご利用いただけます。公共施設については、早期予約のご相談にも乗っております。」
詳しくはこちら https://otsu-mice.jp/support/
大津市の魅力・強み
「戦略のなかでも謳っていますが「都市型レイクフロント」「サスティナブルな環境があること」「まち・自然・歴史が調和していること」があると思います。おごと温泉もあるので「温泉MICE」的な催しもできます。山もあれば、湖もあります。
立地と自然環境、開催施設が揃っているという点では大津はほどよくバランスが取れていると思います」
主催者の声にも注目
Webサイトには次のような声があげられています。
「湖畔の会議施設は景観が美しい」「自然環境、歴史、食文化が参加者から高く評価」「大人数にも対応可能な施設や良好な交通アクセス」「手厚い支援制度」など大津の魅力を実感していただけているようです。
詳しくはこちら https://otsu-mice.jp/testimonials/
英語版はWebサイトで公開されています。 https://otsu-mice.jp/pr-video/
まずは大津に足を運んでみてください!
京都にいらした際に、人が多すぎる、店は混んでる、バスに乗れない!と思われた方。もっと静かでいいところはないの?穴場に行きたいと願った方。JR京都駅から2駅・9分で大津に着きます。祇園付近にいるなら、三条から京阪京津線に乗れば25分ほどで目の前が琵琶湖の「びわ湖浜大津駅」です。京津線は山越え路線、路面電車で移動時間も楽しめるおすすめの鉄道です。まずはこの近さを知ってください。クルマでも大津ICは大津駅に近く、すぐに市街地に出られて、大変便利です。京都や大阪のにぎやかさもいいですが、大津は静かでそれでいて決して不便ではありません。このバランスの良さは実は貴重だと思います。
そして琵琶湖の雄大さと比良山系の美しさの虜になりましょう。初めて琵琶湖を間近で見た方は「でかい!」「すごい!」「知らんかった!」と目を丸くします。私調べですが、お連れした方は100%、そうでした。
琵琶湖畔は散策ができるように整備されていて、おしゃれなお店が並ぶ一角もあります。大型ホテルやMICEが開催できる施設もすぐそばです。穴太積みの美しい石垣が見られる坂本は日吉大社や比叡山延暦寺の門前町。町並みは趣があり、旧竹林院や日吉大社はユニークベニューとしても活用されています。
琵琶湖にはミシガンなどの遊覧船のほか、SUPなど水上アクティビティも充実。釣りが好きな方にはバスフィッシングもいいかもしれません。グルメも充実。近江牛だけではなく、近江米やお酒もとても美味しいです。伝統のある名店から、雰囲気のよいカフェやレストランも充実しています。
誰が言ったか「近江を制する者は天下を制する」とはよく聞きますが、昔から栄えたこの地域。MICE開催には歴史や文化にちなんだものも向いていそうです。桜が彩る春の寺社、緑鮮やかな夏の琵琶湖、秋のびわ湖バレイの紅葉、雪を冠る比良山系、どの季節も印象的です。
いきなりのMICE開催はハードルが高いかもしれませんが、旅をされる際に大津、琵琶湖地域のことを思い出してください。きっと後悔はしませんし、ファンになった暁には大津でのMICE開催もぜひご検討ください。
こちらは私が数年前に撮影したもの。比叡山延暦寺の根本中堂(世界遺産)と大津祭・宵宮の様子です。