【取材】TechGALA Japan 2026(テックガラ)名古屋の街を舞台に開催。あの世界的イベントSXSWを思わせる回遊型のテックMICE
1月27日から29日にかけて開催された「TechGALA Japan 2026」。Day1、Day2は名古屋・栄エリア、Day3は鶴舞のSTATION Aiで行われました。編集部が注目したのは「会場」です。TechGALAでは、ひとつの大きな会場に集約せず、街に点在する複数の会場を回遊するスタイルが採用されていました。
- 会場の使い方
- 会場間の移動は現実的なのか
- 分散してもイベントは成立するのか
初日に栄エリアの会場をすべて徒歩で巡りました。一緒に歩きながら見ていきましょう!

SXSWを想起させる、TechGALAの都市回遊型の設計
TechGALA(テックガラ)は世界中から、現在の社会をリードする各分野のプロフェッショナルたちが集結するイベントです。一般社団法人中部経済連合会、名古屋大学、愛知県、名古屋市、浜松市等のコンソーシアムで運営されます。
イベントの詳細はこちら https://micetimes.jp/pre-techgala2026/
扱われるテーマはテクノロジーにとどまらず、アートや音楽にも広がっています。このスタイルは、見本市や音楽フェス、映画祭が同時開催される世界最大級のビジネスカンファレンス兼フェスティバル「South by Southwest(SXSW)」が想起されます。街全体の会場を分散して使っているのも似ています。登壇者には、SXSWの最高商務責任者(CCO)であるPeter Lewis氏も名を連ねており、イベント設計や運営に、SXSWのエッセンスが反映されている可能性があると思いました。
SXSW2026について https://micetimes.jp/news-sxsw-2026/

歩いて回れる栄エリアで、1日6会場でイベント同時開催
Day1・Day2は名古屋・栄エリア、Day3は鶴舞エリア。3日間で計10箇所で行われました。サイドイベントを含めると、会場の数はグンと増えます。
今回まわった会場たち ※マップの青印の箇所です
・中日ホール&カンファレンス
・マツザカヤホール
・日経ビル名古屋支社
・ナディアパーク(ナゴヤイノベーターズガレージ)
・明治安田生命ビル
・アーバンネット名古屋ネクスタカンファレンス
地下鉄・栄駅からスタートです。
9:20【中日ホール&カンファレンス】基調講演の会場となった栄駅直結の拠点

地下鉄・栄駅からすぐ。2024年に開業した中日ビル内の「中日ホール&カンファレンス」。6階に多目的イベントホールと、全8室の貸し会議室があります。運営はマグネットスタジオ。

約600㎡のフラットな多目的空間「中日ホール」では、キーノートやセッションが行われました。
動かせる観覧席が約300席ほど。前方にはメディア・エグゼクティブ・スポンサー席、後方に一般参加者席とムービー撮影をするメディアを配置。オープニング時は満席で立ち見する人の姿も見られました。混雑を避けるため入口と出口を分けた動線設計がされていました。


オープニング、クロージングにはそれぞれアーティストによるパフォーマンスがありました。幕開けには家電や古い楽器をリメイクした楽器で演奏する 「エレクトロニコス・ファンタスティコス!」のライブ。テクノロジーを使ったTechGALAらしいチョイス。名古屋の高校生もパフォーマンスに参加しました。


Monika Bielskyte氏の基調講演の様子。縦長LEDパネルを連結して大きな映像を映し出す演出がされていますね。

ホワイエは展示、受付、交流の場となっていました。ちなみに立食パーティーだと約250名の利用ができるようです。


ルーム2は、シアター形式で約150名まで対応可能な会議室。冒頭はキーノートの中継を流す会場として使用。英語で行われたピッチも、日本語通訳付きで配信されていました。「話が聞ければ十分」「落ち着いた環境で参加したい」という方にとっては、ちょうどいい距離感の会場です。結果として、メイン会場の混雑緩和にもつながりますね。
キーノート終了後は、通常のカンファレンスエリアとして、セッションが行われていました。


ボードルーム。後ろは展示ブース、前に50名ほど座席が並びます。
中日ホール&カンファレンス https://chunichi-hall.jp
(徒歩6分)


11:45【マツザカヤホール 】百貨店の中でひらかれる、アートと多様性のセッション
松坂屋名古屋店・南館8階にあるマツザカヤホール。


ダイバーシティ、アート、創造性をテーマにしたセッションが展開されていました。空間の半分が客席、半分が展示スペースです。

DJブースと、焚き火をイメージした休憩スペース

現在、大規模リニューアルが決まっています。美術売場として面積を2.5倍に拡大し、百貨店では日本唯一の「ワンフロア全部をアート空間」に生まれ変わるようです。このホールが見られるのは今だけかもしれません。開業は2027年春の予定です。


「SPAC演劇から学ぶ効率化・最適化の先にある調律という経営技術」の様子

出展されていた株式会社すみなすの西村史彦氏。佐賀市でアート特化型の就労継続支援B型事業所「GENIUS」を運営されています。GENIUSの特徴は育成のプロセスがあること。精神的な負担を感じている方や、これまでアートに触れてこなかった“初心者”が、自分の内側にある感情や感覚を、少しずつ形にしていく。その過程を、事業として丁寧に支えています。一見すると、アートと福祉の文脈に見える取り組みですが、彼らはスタートアップでもあります。今回のTechGALAにおいても無関係ではありません。
株式会社すみなす「GINIUS」 https://geniusart.jp

マツザカヤホール https://www.matsuzakaya.co.jp/nagoya/floor/8f-s.html
(徒歩13分)

13:15【日経ビル名古屋支社】NIKKEI THE PITCH共催の特別イベント
TechGALAのメディアパートナーの「NIKKEI THE PITCH(これは全国のスタートアップ/アトツギベンチャー企業/次世代の社会起業家を支援するためのプロジェクト)」と共催でオープンイノベーションを支援するための特別イベントが行われました。
Day1はNIKKEI THE PITCHプロデュースの「次代のユニコーン」「スタートアップ」「リバースピッチ」のテーマでセッション、ネットワーク交流会。Day2は、TechGALAプロデュースによる海外のスタートアップが参加するセッションと、コラボレーション企画が行われました。


会場となったのは、日本経済新聞社 名古屋支社の大会議室です。会場後方には配信用カメラとモニターが設置されており、ハイブリッド開催を前提とした設計になっていました。後方席からでも内容が把握できるよう、モニターで映像を補完するなど、視認性への配慮も感じられます。
「日経ニュース プラス9」「NIKKEI日曜サロン」のキャスターを歴任してきたキャスターの方を、モデレーターにして進行されました。落ち着いた進行で、議論のポイントが整理され、聴きやすかったです。

「伝統×革新〜新しいイノベーションのかたち」の様子。1時間ほど参加しました。こちらはまた記事にします。
NIKKEI THE PITCH https://pitch.nikkei.com
(徒歩13分)

14:40【ナディアパーク】プレゼン・展示・セッション
栄ミナミエリアに位置するナディアパークは、名古屋市が所有するデザインセンタービルを核とした複合施設です。地下1階から7階までに、ナゴヤイノベーターズガレージ、デザインギャラリー、展示空間などが入っています。

・アトリウムでの企業プレゼン
・デザインホールでの出展
・ナゴヤイノベーターズガレージでのセッション が展開されていました。


2階吹き抜けのアトリウムは、上層階まで音が響いていました。ステージが設けられ、40名ほど立ち見も交えながら20分ずつの企業プレゼンが行われていました。目的を持って来た方だけでなく、たまたま通った方も巻き込めます。

広さ553㎡、天井高8mのデザインホールに、約70社が出展。椅子や長机を置かず、立ち話前提の展示でした。2026年は250社が出展。1社ずつが来場者との距離も近く、企業の出展数を重視した設計でしょうか。


なお、このデザインホールは2026年3月31日で閉館予定です。

ナゴヤイノベーターズガレージは、2019年に中部経済連合会と名古屋市がタッグを組んで設立された、会員制のイノベーションハブです。

施設の中央に据えられているのは、大きな階段状のスペース。山形のような立体構造で、表からも裏からも参加できるつくりになっており、正面、上座といった概念がありません。高低差があるため視認性も高く、200名程度の参加でもストレスを感じにくい設計でした。

同じ空間にいても、黙々と作業している人がいれば、セッションの話を聞いている人もいる。それぞれが自分の距離感で関われる“自由さ”がある場所でした。

イノベーターズガレージ https://garage-nagoya.or.jp
ナディアパーク https://www.nadyapark.jp
(徒歩15分)

14:30【明治安田生命ビル】中日ビルの向かいにある、スピードデイティング専用会場


明治安田生命ビルでは、最上階の16階にあるカンファレンスルームが、スピードデイティング(ビジネスマッチング)会場として活用されていました。

スピードデイティングとは、スタートアップと、事業会社・VC・CVC・金融機関の担当者が、15分単位で対話する壁打ち形式のマッチング企画。事前予約制で、当日も空き枠を確認する参加者の姿が見られましたが、朝の時点でほとんどの枠が埋まっていました。
ホールは最大で380席。


中日ホール&カンファレンスがある中日ビルの向かいにあります。会場の行き来はしやすいですね。

(徒歩15分)

15:15【アーバンネット名古屋ネクスタカンファレンス】テーマ別セッションにちょうどいい
2022年に開業したアーバンネット名古屋ネクスタビル内にあるカンファレンス施設です。こちらもセッションの会場となっていました。

3階に位置し、A・B・Cの3室を連結することで約300㎡の一体空間として利用できます。この写真は3つのお部屋を連結した状態ですね。シアター形式では最大234名まで対応可能。
そのほか、全7室の会議室を備えており、1室あたり20名〜124名規模まで、分科会やテーマ別セッションに応じた使い分けができます。

アーバンネット名古屋ネクスタカンファレンス https://conference.nagoya-nexta.jp
【考察】分散型の開催は成立するのか
名古屋には大型のホールも複数あります。「施設がないから分散した」のではなく、1会場で完結させないことが、コンセプトとして組み込まれているのではないか、会場となる名古屋中心部を歩いて実感しました。
当日は朝から夕方まで会場を巡り、歩数は約16,000歩。すべての会場が徒歩15〜20分圏内に収まっており、タクシーを使わずに移動できました。街中では、TechGALAの紙袋を下げたビジネスパーソンや、タクシーで移動する人、制服姿で参加する高校生の姿が見られました。

分散していても体験が損なわれることはなく、むしろ移動することでリフレッシュできます。自分で参加したいものにめがけて好きなタイミングで抜けたり、移動したり、入ったりができますしね。そういう意味では音楽フェスなどとも似ているかもしれません。

マツザカヤホールであればアートや多様性、日経新聞社ビルならNIKKEI THE PITCHと、エリアごとにテーマが分かれていて、移動する意味も感じられました。会場の性格とコンテンツが噛み合っていれば、分散開催は相乗効果となります。
点ではなく線で生まれる経済効果
経済効果の面でも、街を会場として”線”で使うことの意味は大きいです。特定の施設だけを目的地にするのではなく、移動そのものをイベント体験に組み込むことで、消費は街全体へと広がります。私も、次のセッションへ向かう道すがら、ランチをいただいたり、街のカフェでコーヒーを買いました。

既存施設の再発見
参加者のなかには、会場を初めて知った方もいるでしょう。施設側にとっては、自分たちの空間を知ってもらうプロモーションの機会にもなったはずです。

今回使われていた会場は、基本的には会議室やホールが中心でした。今後さらに“GALA(祭典)”感を高めていくのであれば、劇場、歴史的建造物、バー、大学、屋外広場、大学、屋外広場、ホテルなど、よりユニーク性の高い場所(ユニークベニュー)が加わることで、といった、体験はさらに広がりそうです。
日本では、街や地域を舞台にしたイベントが少しずつ広がっています。TechGALAからは、街や地域の個性を背景にした回遊型の”名物イベント”が、新しいお祭りとして定着していく可能性を感じました。



