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【レポート】「TechGALA Japan」5つのテーマを通して見る産業と技術の最前線

「TechGALA Japan」が2025年2月4日(火)〜6日(木)に愛知県名古屋市栄地区・鶴舞地区を中心に開催されました。同イベントでは、Mobility、Sustainable Environment、Material、Life Science / Well-being、Advanced Technologyという5つのテーマを中心に、多様なセッションや展示が展開されました。それぞれのテーマに関連した取り組みやサービスは、未来の社会や産業の形を垣間見るきっかけを与えてくれます。本記事では、その中でも特に注目を集めたブースや事例を通じて、イベント全体の魅力をお伝えします。

前回のレポートはこちら

ナディアパーク3Fの企業展示ブース

未来を切り拓く5つのテーマ

本イベントでは、テーマが5つ設定され、それぞれに沿ってピッチコンテストやセッションが展開されています。今回は、その中からMobility、Material、Advanced Technologyに関連する取り組みと、これらをつなぐサービスを提供する出展ブースをピックアップして紹介します。

中日ビル6Fの企業展示ブース

ピッチコンテスト会場

MOBILITY:境界を超えるモビリティ革命

未来の移動のあり方を広げて、より豊かな暮らしを実現するためには、どのような要素が必要なのかを考えます。

SCSK株式会社:マイクロモビリティ「地産地消」のサイクルを目指す

モビリティ事業グループ SDM事業開発センター 技術部 立松様

SCSK株式会社は、総合ITサービス企業として、自動車産業に長年携わってきました。そこで培った経験を活かし、現在マイクロモビリティサービスの導入と定着を進めています。
立松様には、沖縄県の離島での導入事例をご紹介いただきました。
印象的だったのは、「モビリティ地産地消」の考え方です。導入地域で車両やシステムを開発し、地元住民や企業が利用・運営するサイクルを構築することで、地域社会と密接に連携しながら持続可能なモビリティサービスを実現しています。

現地の観光における移動サービスの向上と高齢者の移動支援を実現し、2030年には自動運転ができるよう企画検討を進めたい、という強い意気込みを感じました。

Webサイト:https://www.scsk.jp

MATERIAL:産業の進化と未来社会への影響

新しい素材の開発や既存素材の進化が、産業全体をどのように強化し、未来の社会を変えていくのか。革新的なマテリアルがもたらす新たな可能性について考えます。

日本特殊陶業株式会社:近隣工場のCO2から生まれた みかん

CCU(Carbon Capture and Utilization)という言葉をご存知でしょうか。これは、二酸化炭素の回収と貯留、利用を意味します。
日本特殊陶業株式会社は、地域に根ざしたCCU技術を活用し、カーボンニュートラル社会の実現を目指します。エネルギー事業本部 カーボンリサイクル開発部 カーボンデザイン課の川瀬様、田中様が取材に応じてくださいました。
ブースでひときわ注目を集めていたのは「地域CCU温室みかん」です。同プロジェクトは近隣の工場から排出されるCO2を「無くす」のではなく、光合成に必要な「資源」として再利用し、みかんのハウス栽培に活用するものだそうです。
同社はもともと、自動車の内燃機関関連製品の製造を主力事業としていました。しかし、EV化の進展という社会の潮流を受け、新たに環境・エネルギー分野へ挑戦するプロジェクトを推進しています。2023年には英文社名を「Niterra」に変更し、「地球を輝かせる企業となる」という想いが込められました。

Webサイト:https://www.niterragroup.com

ADVANCED TECHNOLOGY:テクノロジーとの共生を通じた産業革新と社会変革

デジタルインクルージョンが促進される社会において、AI、ロボティクス、量子コンピューティングといった先端技術がもたらす新たな価値の創造および解決される社会課題について考えます。

株式会社New Ordinary:独自AI技術で「出かけたい」を引き出す

「名古屋観光デジタルマップ」

株式会社New Ordinaryは、「NOSPOT」というAIを活用した目的地レコメンドサービスを提供しています。通常、やりたいことや行きたい場所は、自身の知識や経験に基づいて選ぶものですが、このサービスを使うことで、自分の好みや状況を反映させた最適な選択が可能になります。利用者は、年齢や性別などの基本情報に加え、使用時の気分などを入力することで、AIがパーソナライズされた提案を行います。サービスはWebページなどで利用可能です。

販売促進を担当されている又吉様に南海電鉄とコラボレーションした事例について詳しくお話を伺いました。New Ordinaryは南海電鉄から「沿線に訪れる観光客のデータを分析したい」と依頼を受け、「NOSPOT」を用いて訪れた観光客に向けておすすめスポットを提案しました。サービス提供を通じて得られたデータをもとに観光客の行動パターンや人気のあるスポットが明確になり、大阪府や和歌山県での観光回遊施策の検討に役立てられました。

コロナ禍でリモートワークが一般化し、外出する人が以前に比べて減少しているという話もありますが、このサービスを利用すれば「ちょっと出かけてみようかな」と思えるきっかけになりそうです。愛知県内や日本国内にとどまらず、海外進出も計画されており、近い将来、国内外の旅行先で活用できるかもしれません。慣れない土地でも自分の好みに合ったスポットを簡単に見つけられるため、旅がより楽しく、効率的になること間違いなし。今後の動向もますます楽しみですね。

同サービスを活用した「名古屋観光デジタルマップ」:
https://nospot.new-ordinary.co.jp/maps/nagoya

Webサイト:https://new-ordinary.co.jp

企業同士をつなぐサービス

大同生命保険株式会社:「どうだい?」社長が集うプラットフォーム

「どうだい?」は、経営者同士をマッチングするためのプラットフォームです。リアルタイムで経営者の意見が投稿されるWebページには、経営者向けの有益な情報も掲載。経営支援ソリューション推進課の松田様は、全国のあらゆる企業の社長をつなぐ場として機能することを目指していると言います。「TechGALA」は、特に中小企業が多く集まる名古屋で開催されるスタートアップイベントであり、異なる業態の企業同士をマッチングさせるという点で、サービスとイベントの相性は非常に良いと考えられます。

松田様は、ブースに立ち寄る来場者が、協業先を探すスタートアップの経営者であることが多いと語ります。全国に拠点を持つ保険会社であるため、ユーザー層も広がりを見せています。スタートアップ支援が盛んな東海地方においても、今後さらに積極的に参入したいそうです。

Webサイト:https://www.daido-life.co.jp


ビジネスマッチング創出やネットワーキング促進の仕組み

サイボウズ社の名古屋オフィスを見学

イベントの拠点となる会場の中日ビルでは、サイボウズ株式会社とコクヨ株式会社のオフィスがMeeting Room&Loungeとして解放されています。今回は、12Fのサイボウズ株式会社を訪問しました。

広々とした開放的なスペースと、落ち着いた雰囲気の会議室が完備されており、特に多数のホワイトボードが設置されていた点が印象的でした。これなら、活発な議論が生まれやすいですね。
ビル内に入居する企業オフィスを参加者に向けて開放することは、イベントでの出会いを即座にビジネスに繋げる場として、非常に効果的に活用できる仕組みだと感じました。

中部電力 MIRAI TOWER(旧名古屋テレビ塔)が一望できます

Webサイト:https://cybozu.co.jp

軽食やドリンクを提供するレストラン

同じく中日ビル7FにはExecutive Loungeが設けられており、軽食やドリンクを提供する商談スペースとして利用できます。普段はオールデイダイニング「THE 7th TERRACE」として営業しています。
Executive/Speakerパスを持つ人のみが利用でき、サンドイッチやスイーツ、ジューズなど、豊富なメニューが提供されています。

前項のオフィスと比べ、よりラフな雰囲気での交流を希望する人にはピッタリです。

Webサイト:https://chunichi-building.jp/shop/p1011/

■取材を終えて「Editor’s note」:学生フレンドリーなイベント運営について考える

約100名ものスタッフが学生であるという点が、「TechGALA」の運営の特徴の一つです。彼らは武蔵野大学にアントレプレナーシップ学部に所属しています。会場案内は主に彼らが担っており、学生の私にとって話しかけやすく、親しみやすい雰囲気がありました。スタートアップの最前線に触れる時間は、彼らにとっても貴重な経験だったでしょう。

さらに多くの学生参加を促すための施策を考えてみました。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部のようなスタートアップとの距離が近い学部を対象に、予選を設けたアイデアコンテストの開催です。学生が自ら考えたアイデアを発表し、専門家や企業関係者がレビューする仕組みを取り入れることで、実践的な学びの場を提供できます。決勝戦をイベントのプログラムの一部として実施すれば、予選の結果に関わらず興味を持つ学生が集まりやすくなり、来場者の増加にもつながると考えられます。県外の学生にとっても身近に感じられる機会を提供することで、学生参加を促せるはずです。

勢いのあるスタートアップイベントの初回に参加できたことは、大変刺激的な経験となりました。今後、このイベントがどのように発展していくのか楽しみです!


開催概要

日時:2025/2/4(火)〜2/6(木)
会場:
愛知県名古屋市
■栄地区(2/4〜2/5)
・中日ホール&カンファレンス:https://chunichi-hall.jp/
・ナゴヤ イノベーターズガレージ:https://garage-nagoya.or.jp/
など
■鶴舞地区(2/6)
STATION Ai:https://stationai.co.jp/
主催:
Central Japan Startup Ecosystem Consortium
(中部経済連合会/名古屋大学/愛知県/名古屋市等)
スペシャルパートナー:
JETRO名古屋
STATION Ai株式会社

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