
【取材】エアロマート名古屋2025 航空宇宙分野の国際展示商談会 9月26日、展示商談会の様子をお届けします
第6回エアロマート名古屋2025は、航空宇宙産業におけるビジネスチャンスを拡げる国際的な展示商談会です。本イベントは、航空宇宙分野のビジネスマッチングにおいて世界的に実績のあるフランスのadvanced business events(BCIエアロスペース)が主催。B2Bマッチングと展示会を融合した形式で開催されます。製造サプライチェーンの参加者間でオープンマッチングを行うことにより、新たな商談機会とネットワーク構築の機会を提供することを目的としています。開催地である名古屋は、日本の航空宇宙生産の50%以上が集積する地域であり、国内外のOEMやサプライヤーが集結します。

第6回エアロマート名古屋2025 開催概要
- 9月24日(水):セミナー(カンファレンス)
- 9月25日(木):展示商談会・ワークショップ(B2B商談会)、交流会
- 9月26日(金):展示商談会・ワークショップ(B2B商談会)およびStudent Dayが開催
会場:ポートメッセなごや
公式Webサイト https://www.aeromartnagoya.com/index.php/ja/
プログラム構成と商談形式
本イベントは、セミナー、ワークショップ、商談会、ブース展示という主要な活動で構成されています。
商談会は、商談機会と効率を高めるマッチングサービスを活用したオープンマッチング形式で行われます。国内外メーカーから各種サプライヤーまでのオープンマッチングにより、新たな商談機会とネットワーク構築の機会が提供されます。
ブース展示では、サプライヤー企業が製品・技術・サービスを展示PRできますが、商談にフォーカスするため、ブースの大きさやデザイン、装飾に費用と時間をかけない基本ブース仕様が特徴です。
セミナーでは、国内外メーカーによる講演が行われ、航空宇宙分野の将来における持続可能性、デジタル変革、サプライチェーンの回復力などに関する洞察を得ることができます。ワークショップでは、参加者による製品や技術のPRプレゼンテーションが行われます。

Student Dayについて
会期最終日の9月26日(金曜日)は「Student Day」として、航空業界を目指す全ての学生に無料で開放されます。学生が参加するメリットとしては、入場無料のフリーパスが得られ、実際の航空宇宙業界に触れ、体験できるチャンスであること、業界で働いているプロと交流し、将来のキャリア形成につなげられること、セミナーに参加して業界でのキャリアや求められている技術などを学ぶ進路のヒントを得られること、航空に関連する専門学校や大学が出展するブースで新しい学びを発見できること、早期に業界のプロとのつながりを持ちネットワークを形成できること、が挙げられます。
学校側にとっても、無料で出展スペースを設け、学習プログラムや学位などを展示し、高校生や大学生といった未来の人材を発掘できるメリットがあります。実際に会場ではそういったブースが見られました。

主要な登壇者と参加企業
本イベントには、OEMs、Tier 1サプライヤー、メーカー、技術提供者、スタートアップ、学者など、国内外の業界リーダーや意思決定者が参加対象とされています。カンファレンスやセミナーには、多くの著名企業・機関の専門家が登壇する予定です。
登壇者(一部)
- 国内外の航空機・エンジンメーカー:Rolls-Royce JapanのHasbi Ahsan氏、BoeingのJon Lilja氏、Boeing Japan株式会社のAlisa Schackmann氏、川崎重工業株式会社の餝雅英氏、三菱重工業株式会社 総合研究所の井野元誠氏、三菱重工業株式会社の石川佳太郎氏、株式会社SUBARUの山根章弘氏、日本航空株式会社の大島亮祐氏、エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン株式会社の芝田耕大氏などが登壇予定です。
- 公的機関・コンサルティング:経済産業省の古市茂氏、JAXAの上野宗孝氏、一般財団法人防衛技術協会の池上敦士氏、Alton Aviation Consultancyのジョシュア・アング氏や高山祐一氏、Government of TelanganaのPraveen PA氏などが参加予定です。
- 宇宙・新モビリティ・スタートアップ:SkyDriveのAdam Hollis氏、ispaceの神谷秀有氏、Astroscale JapanのSatoshi Ito氏、アクシオムスペースの若田光一氏、株式会社SPACE WALKERの米本浩一氏、ヒエンエアロテクノロジーズ株式会社の御法川学氏、AstroX株式会社の大谷和彦氏などが講演やパネルディスカッションに参加します。

出展者の概要
世界各国から幅広い企業・団体が名を連ねており、航空機、エンジン、宇宙、次世代モビリティなどのサプライチェーン全体をカバーしています。
航空機・エンジン製造・サプライヤー(バイヤー含む):
Boeing Japan株式会社(市場調査、サプライチェーン調査、共同研究、開発)、三菱重工業株式会社 民間機セグメント 調達部(民間航空機向け素材供給、複合材加工分野におけるサプライチェーン調査)、三菱重工航空エンジン株式会社(航空タービンの部品関係サプライチェーンを求めている)、株式会社 SUBARU 航空宇宙カンパニー 調達部(高い加工技術と品質保証及び積極的な改善とコストダウン提案などが出来るパートナー企業を募集)、SAFRAN AIRCRAFT ENGINES(新規調達先の開拓及び情報収集)、株式会社 IHI(eVTOL向けハイブリッドシステムに関心のある機体メーカーや、そのコンポーネントを供給可能な企業を探している)など、主要なOEMやTier1企業がバイヤーとして参加。
金属加工・特殊工程
DOWAサーモテック 株式会社(AS9100認証を取得した浜松北工場でステンレス鋼、チタン合金などへの熱処理サービスを提供)、TOKIエンジニアリング 株式会社(液体水素・超高圧水素ガスに於いて、繰り返し再使用可能なメタルシール「ハイドロブロッカー」で世界特許を取得)、株式会社 大窪鐵工所(NC旋盤50台、マシニング30台、研削盤30台を保有し、ミクロン単位の要求精度が求められる製品を量産対応、2026年7月JIS Q 9100取得予定)、株式会社 NAKANO(JIS Q 9100認証を取得し、難削材や非鉄金属の超精密加工に特化)、株式会社 前田精密製作所(JIS Q 9100・ISO 13485を取得し、インコネル、チタン、コバール等の難削材加工を手掛ける)などが参加。

宇宙・次世代モビリティ
将来宇宙輸送 株式会社(宇宙往還を可能とする再使用型ロケット「ASCA」の開発を目指す)、株式会社 SPACE WALKER(サブオービタルスペースプレーンの研究開発を進めている)、AstroX 株式会社(気球でロケットを成層圏まで輸送し、空中で点火・発射する「Rockoon」方式により、世界初の宇宙空間到達および人工衛星の軌道投入を目指す)、株式会社 IDDK(軽量・コンパクトなMIDの特性を活かせる宇宙バイオ実験プラットフォーム「Micro Bio Space LAB」の構築を推進)、株式会社 パワーレーザー(全天フラッシュライダー、レーザー給電、月面3Dプリンティングなど)、HIEN Aero Technologies 株式会社(ガスタービンハイブリッドeVTOLの開発企業)などが参加。
商社・サプライチェーンインテグレーター
大起産業 株式会社(航空・宇宙製品に関わる製造設備及び構造体の組立、生産技術・設計・組立・現地据付迄一貫生産の対応が可能)、大同特殊鋼 株式会社(エンジン関連鍛造素材を供給、一貫生産体制と確かな品質保証体制)、双日 株式会社(航空産業の誘致やサプライチェーン構築を企図したプロジェクトへの資機材や各種ソリューション・サービスの調達を推進)、岡谷鋼機 株式会社(AS9120認証取得のもと、調達・加工・物流・品質管理に至るバリューチェーン全体を支援)などが参加。

展示会の様子、来場者の声
配布される資料やブース名の表示は英語で、ブースでの商談も英語でされているシーンが見られました。軽くご挨拶というよりも熱心に意見交換をして、話し込んでいるといった様子です。愛知・名古屋、兵庫県、九州と地域ごとにグルーピングされているのも特徴的。セミナーにも多くの方が参加されていました。
来場者に本イベントについてお聞きしました。「(エアロマート名古屋の)開催は貴重な機会であり、かなり下調べをして、事前に連絡を取り合って参加している」ということや、「海外の主催者であることからか、海外からのブースが多く、直接名古屋で顔合わせができることがありがたい」とのことでした。