
オンライン面接で合格を勝ち取る 準備と話し方において大切なこと【MICEキャリアナビ】
コロナ禍を経て、オンライン面接は就職活動において完全に「常識」となりました。2024年卒の学生の多くがWeb面接を経験しており、企業側も地理的な制約を超えて多くの候補者と会える効率性から、この形式を継続しています。企業の9割がオンライン面接を実施しています。しかし、準備不足が「熱意がない」と評価される落とし穴が存在します。面接官はオンラインだからといって評価基準を緩めてはいません。本記事では、数多くの学生を面接してきた専門家の視点に基づき、オンライン面接で損をせず、むしろあなたの真剣な姿勢と魅力を最大限に伝えるための具体的な準備方法と話し方の秘訣を徹底的に解説いたします。

面接官がオンラインで本当に見ている評価基準
オンライン面接の対策を始める前に、まず面接官が「何を評価しているのか」を正しく理解することがとても重要です。対面の面接と変わらず「誠実さ」「礼儀正しさ」「清潔感」といった基本的な要素は重視されます。特に企業がチェックしているのは、入社意欲、すなわち「本気で入社したいと思っているのか」という点です。これは見た目からも判断されています。
熱意と人柄の伝わりにくさは伝わりづらい、どう対策すればいいか
オンライン面接における最大の壁は、「本気度」「熱意」「本音」といった非言語的な情報が対面よりも伝わりにくいという事実にあります。表情の細かな変化や場の空気感が大幅に減るため、面接官は「会社の雰囲気と合うか」「内定を出しても辞退されないか」といった感覚的な部分の判断に難しさを感じています。この不安を払拭するため、意図的に熱意を伝える工夫が必要です。
評価を左右する「準備力」の重要性
対面面接においては、受付での態度や移動中の振る舞いも評価の一部でしたが、オンラインではその代わりに「事前準備の質」が評価のスタートラインとなります。通信環境の安定性、整えられた背景、クリアな音声など、準備が完璧な学生は、それだけで面接のために時間をかけた「真剣な姿勢」を無言でアピールできます。それは採用においては本質的には関係ないのでないかと思われるかもしれません。しかし、普段の生活で私たちは同じように、お店やサービスを判断していないか思い返してみましょう。

評価を大きく下げるNG行為と成功のための徹底準備
オンライン面接では、応募者自身の事前準備で防げたはずの失敗が、面接官に「やる気がない」「段取りが悪い」「表情が暗い」というネガティブな印象を与えてしまいます。
失敗事例から学ぶ注意点
面接官への影響度が特に大きい失敗として、「上半身はスーツだが、下半身が私服だった」が挙げられています。これは立ち上がった際などに発覚し、面接官をがっかりさせる実例として報告されています。万が一を考え、服装は上下ともにスーツを着用することが基本です。また、カフェなどにいるせいで周囲がうるさかった、目線でカンペを読んでいるのがわかったといった失敗も、評価に大きく影響します。周囲が騒がしい場所や、ビジネスにふさわしくないバーチャル背景の使用は避けるべきです。
一度、試しに家族や友人とオンラインで面接を模して、話をしてみるとよくわかります。録画しておき、自分で見返してみましょう。相手の目線で見ると、気になる点を多く見つけることができますよ。
完璧な環境を整える技術面と身だしなみ
技術的なトラブルは不本意に評価を下げる要因につながります。安定したインターネット接続を確保するため、可能であれば事前に回線速度をテストすることを強く推奨します。端末は画面が大きくカメラ位置を固定しやすいパソコンの使用が推奨されます。スマホの場合は必ず三脚などで固定し、画面が揺れないようにすることが大切です。
画面映りにおいては、背景に洋服や散らかった部屋が映り込まないよう、飾りのない壁を背にするのが理想的です。また、照明を調整し、顔の正面から光を当てることで、表情が明るくポジティブに見えます。特に窓を背にすると逆光になり、顔が暗くなるため避けるべきです。身だしなみは、対面同様に清潔感が最重要であり、前髪で表情が隠れないように整え、男女ともに顔周りのケア(ヒゲを剃るなど)を徹底しましょう。プロフィール名やアイコンもビジネスにふさわしいものにしておく必要があります。イヤホンは有線のマイク付きが最適であり、クリアな音声を提供します。
画面越しで好印象を与える話し方と論理的な構成
オンライン面接で合格を出す学生は、「コミュニケーションが円滑」であり、「適切な目線とハキハキとした話し方」が特徴です。
デジタルボディランゲージの活用
オンライン面接で重要なのが「目線」です。面接官の顔が映る画面ではなく、「カメラのレンズ」を面接官の目と考えて、基本的にはカメラを見て話すことを徹底しましょう。画面を見ながら話すと、面接官からは目線が下に落ちているように見え、「自信がない」「集中していない」といったネガティブな印象を与えてしまう可能性があります。カメラの高さも目線と同じ、または少し上になるよう、本やボックスを敷いて調整しましょう。
また、声のトーンは普段よりワントーン高く、少し大きめに話すことを意識すると、明るく意欲的な印象を与えられます。対面よりもリアクションが伝わりにくいため、面接官の話を聞く際は、頷きや「はい」と声に出すといった相槌を、普段の1.5倍くらい大げさに表現すると、熱意を持って聞いている姿勢が伝わりやすくなります。ジェスチャーも胸から上の範囲で少し大きめに使うと、話に躍動感が生まれます。
仕事の現場ではオンラインの打ち合わせや商談も一般的です。これらの準備や対策は仕事の現場においても役に立ちます。
伝わりやすさを高める話のフレームワーク
面接官は一日に多くの候補者と面接をしていることがあります。話は「端的にわかりやすく」構成されている必要があります。結論から先に述べ、論理的に回答を構成するために、PREP法やSTAR法といったフレームワークの活用が有効です。一文を短くすることも大切です。
PREP法は、自己紹介や志望動機などに対して「結論→理由→具体例→結論」の順で構成することで、説得力が増し、相手に伝わりやすくなります。
過去の経験や能力を示す行動面接の質問には、STAR法が非常に有効です。これはSituation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の順序で説明するもので、「いつ」「何を」「どうしたか」「どんな成果があったか」を明確に伝えられ、具体的なエピソードによって説得力が増します。行動(Action)を述べる際は「私が行ったこと」を主語にし、チーム全体ではなく自分の貢献を強調することがポイントです。
カンペの賢い使い方
カンペ自体は有効な準備ですが、頻繁に見ると不自然で心のこもっていない印象を与え、面接官に気づかれる可能性が高いです。7割以上の面接官がカンペの使用に気づいた経験があると回答しています。カンペを丸読みするのは避けるべきですが、話の要点を忘れないための「キーワードを箇条書きにしたメモ」を手元に置くことは、準備力の表れとして肯定的に捉えられることもあります。メモは目線の移動が最小限で済むよう、カメラの真横に貼るなどの工夫をしてください。パソコンでのメモはタイピング音が聞こえる可能性が高いため、避けるべきです。履歴書のコピーを手元に用意しておくことも有効です。

オンライン面接成功のための3つの心得
オンライン面接は、準備と心構え次第で、対面以上にあなたの真剣さや対応力をアピールできる場となります。
一つ目は、準備は「至れり尽くせり」を目指すことです。技術的な環境整備から身だしなみまで、少しの準備で防げるミスを徹底的に排除することが、熱意を伝える最も雄弁な自己PRになります。成功のためのチェックリストを確実にこなし、万全の状態で臨みましょう。
二つ目は、画面越しでも「人と人」のコミュニケーションを意識することです。カメラの向こうには、あなたのことを評価する面接官が実際に存在します。適切な目線やオーバーな相槌を通じて、相手への配慮と真摯な姿勢を示しましょう。面接官は楽しく実りのある会話を求めています。
三つ目は、トラブル発生時も「冷静にリカバリー」する姿勢です。インターネット接続の不安定さなど、不可抗力なトラブルは起こり得ます。パニックにならず、事前に控えた企業の緊急連絡先を用いて誠実に対応する姿勢は、あなたの対応力と平常心を伝えるチャンスにもなり得ます。必ず開始5分前にはログインし、待機を完了させましょう。
これまでに私も数え切れないほどのオンラインの面接を行いました。
画面が暗い、顔が見切れる、声が聞こえない、時間に遅れる、画面が止まる、といったことは何度も経験しています。もちろん、一般的な面接同様に、応募先の企業のことを知る、求人情報をしっかりと読み込む、面接担当の質問に的確に答えるといったことはオンラインでも大切です。ネットでボタンを押せば応募が完了し、相手先まで出向かなくても面接が受けられる時代になりました。
確かに応募者(求職者)の売り手市場になっていますが、人気企業が難関であることに変わりはありません。準備と心構えは怠らないようにしましょう。