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【Inter BEE 2025】11月19日~21日、幕張メッセで開催 メディア&エンタメの未来を映す大型イベント開催概要と歴史、今年の見どころ 注目の出展情報もまとめました

メディア、エンターテインメントのプロフェッショナルが集結する日本最大級の総合イベント「Inter BEE 2025」。本記事ではその概要と見どころについて、お伝えします。今年はAIやDXの実装に焦点を当て、展示規模も拡大。業界の最前線を知るための本イベントの歴史的経緯、構造的な強み、そして2025年の具体的な進化のポイントを解説します。MICE TIMES ONLINEでも現地での取材を予定しています。

Inter Bee 2024の様子

Inter BEEとは…日本の放送技術とともに歩んだ歴史と権威

Inter BEE(インタービー)は、メディアとエンターテインメントのプロフェッショナルが集う日本最大級の総合イベントとして、60年近くに及ぶ歴史を持っています。はじまりは1965年(昭和40年)秋に開催された「放送機器展」に遡ります。当初は「国際放送機器展」ではなく、社団法人日本民間放送連盟(民放連)が主催した「第2回民放技術報告会」の併設展示会として、東京・虎ノ門の発明会館で小規模にスタートしました。

イベントの基盤は、創設後すぐに強化。1968年(昭和43年)の第4回からは主催が電子機械工業会(現在の一般社団法人電子情報技術産業協会、JEITA)に一本化され、民放連は協賛団体という形に移行しました。1974年(昭和49年)の第10回には日本放送協会(NHK)も協賛団体として加わり、日本の放送産業における製造供給側(JEITA)、民間放送(民放連)、公共放送(NHK)という三者の強固なトライアングル体制が完成しました。この体制が、Inter BEEが放送機器分野における国内唯一のデファクトスタンダード(事実上の標準)展示会として機能し続ける決定的な構造的要因となっています。

国内での評価が高まり、海外からの参加者が増加したことを受け、1982年(昭和57年)の第18回開催時に、名称を現在の「国際放送機器展(Inter BEE)」へと改称。1990年(第26回)からは幕張メッセでの開催となり、2000年代以降は放送のデジタル化やネット配信の台頭に合わせて展示分野が広がり、音響映像通信のプロフェッショナル向けメディア総合イベントへと発展しています。

Inter Bee 2024の様子

権威あるトライアングル体制とイベントの構造的特徴

Inter BEEの大きな特徴は、その歴史的経緯に裏打ちされた権威性と実利的な機能性にあります。主催はJEITAが務め、総務省や経済産業省、NHK、民放連といった官公庁や業界団体の幅広い後援協力を得ています。

本イベントは単なる情報発信の場に留まらず、高度な商談と研究開発のハブとして設計されています。来場者の79パーセント以上が製品やサービスの購入導入に関与しているというデータがあり、イノベーションの買い手と売り手を物理的にマッチングさせる機能を持っています。

現在のInter BEEは、プロオーディオ、映像制作放送機器、エンターテインメントライティング、メディアソリューションの四つの主要展示カテゴリーを基盤として運営されており、従来の放送局関係者だけでなく、ソフト制作会社、配信事業者、デジタルマーケティング企業など広範な分野をカバーしています。

Inter BEE 2025 の開催概要とテーマ

※画像をクリックすると公式サイトが表示されます

開催概要

名称:Inter BEE 2025(インタービー)
会期:
11月19日(水)10:00~17:30
11月20日(木)10:00~17:30
11月21日(金)10:00~17:00
会場:幕張メッセ
入場:無料(全来場者登録入場制)
対象の業種(放送事業者、放送ラジオ局、機器・製造メーカ、ポストプロダクション事業者、プロダクション事業者、映画・映像制作会社、ビデオソフト制作会社、レコード制作会社、音響・PA関連事業者、CATV関連事業者、舞台・演出・美術・照明関連事業者、コンテンツ制作関連会社、インターネット関連会社、通信事業者、コンテンツ配信事業者、施設・店舗関連事業者・官公庁・団体、商社、広告代理店、関連大学・専門学校)
主催:一般社団法人 電子情報技術産業協会

公式Webサイト https://www.inter-bee.com/ja/

今年の開催は、昨年(2024年)の開催実績を上回る活況が期待されており、展示規模も幕張メッセの展示ホール2から8ホールに加え、国際会議場やイベントホールも使用する大規模な計画となっています。2024年が業界の課題(CTV、AIなど)を特定する年であったのに対し、2025年は明確に「ソリューションの実装」へとフェーズを移行させているのが大きなテーマです。AIを活用した新技術や製品の増加が著しく、主催者であるJEITAは本年の開催を「新たな進化のスタート年」と位置付けています。

Inter Bee 2024の様子

2025年の主要パビリオンと具体的な見どころ

Inter BEE 2025の会場設計は、現代のメディア産業の複雑なワークフローを物理的なゾーニングでマッピングするという高度な戦略を採用しています。

機能別ゾーニングと体験型デモ

会場内は、機能別に以下の特別企画(パビリオン)が配置されています。コンテンツ制作の最新ツールやクリエイティブワークフローに焦点を当てるのが INTER BEE CREATIVE エリアです。ここではヴァーチャルプロダクションやVFXなど先端技術の実演展示が予定されており、映像制作の未来形を垣間見ることができます。

伝送インフラとDXを推進するのが INTER BEE DX x IP PAVILION です。ここではIPを基盤とし、ソフトウェアベースのワークフロー、リモート制作、クラウド活用に対応する次世代のコンテンツ制作の効率化が提案されます。

メディアビジネスの戦略と収益化に焦点を当てるのが INTER BEE MEDIA Biz であり、プラットフォームや国境を越えたコンテンツビジネスの機会を探求する場となります。

未来技術と研究開発を担うのが INTER BEE IGNITION × DCEXPO であり、AI、XR(VR AR MR)、先端コンテンツ技術、スタートアップや大学の研究室が結集します。

恒例の体験型デモも充実しています。国内最大世界品質のSRスピーカーイベント INTER BEE EXPERIENCE X-Speaker は10回目を迎え、新たなブランドも加わり、極上の音体験を提供します。プロ向けヘッドフォンやマイクロフォンの試聴体験コーナー(X-Headphone X-Microphone)も引き続き実施されます。

Inter Bee 2024の様子

AIとDXの実装に踏み込んだコンファレンス

カンファレンスプログラム(INTER BEE FORUM)は、2025年において「いかにしてAIとDXを実装するか」という具体的なテーマ設定に進化しています。AI DXキーノートでは「Cloud-Driven Media DX」や「Reimagining Media & Entertainment with AI」といったテーマが掲げられ、AIとクラウドの主要ソリューションプロバイダーであるマイクロソフト社の幹部などが登壇を予定しています。

本イベントが対象とするメディアの定義が拡大していることを示す象徴的な事象として、スポーツテクノロジーの最先端を走るロサンゼルスドジャース傘下のベンチャーキャピタルからの特別ゲストを招いた基調講演も予定されています。

昨年創設され、先進性や将来性に優れた展示を表彰する INTER BEE AWARD が今年も実施されます。会場内では、ロケ弁グランプリやコーヒーマルシェ、ARスタンプラリーといった来場者特別サービスも提供され、ビジネスパーソンが快適かつ有意義に過ごせる環境が整えられています。


Inter BEE 2025 注目の出展者情報

生成AIが拓くクリエイティブの最前線 INTER BEE IGNITION×DCEXPOが注目技術を集結

一般財団法人デジタルコンテンツ協会が主催する特別企画「INTER BEE IGNITION×DCEXPO」では、生成AIやXRなど、未来のコンテンツ産業を形づくる先端技術が一堂に会します。会場では、研究機関・企業・クリエイターによる革新的な展示やデモンストレーションが行われ、AIによる表現の可能性を体感できます。

展示の目玉の一つは、口真似音声から効果音を合成する「PronounSE」(京都産業大学×産総研)。ほかにも、遠隔操作で複数のタスクを行うロボットハンド「Handoid」(東京大学)、長さ10メートル超の布状スピーカー「NWON」(槌屋)、スマホで鳴らせる鳩時計型デバイス「OQTA Heart Poppo」(inoree)など、多彩な技術が登場します。

NWON(ニューオン)/(株)槌屋
NWON(ニューオン)/(株)槌屋

ドローンで運搬可能な軽量メッシュ型LEDディスプレイ(MPLUSPLUS)、人の動作をAIで再学習する「SHOSABI」(SHOSABI)、AIによるアート生成「LookingGlass」(ETH×ディズニー・リサーチ)など、まさに“未来のコンテンツ体験”が集結。生成AIと人間の創造性が融合する新たな表現の地平を、来場者は直に感じることができます。

パナソニック コネクト:クラウドで変わる映像制作の未来 “つながる現場”を提案

パナソニック コネクト:クラウドで変わる映像制作の未来 “つながる現場”を提案

パナソニック コネクトは、Inter BEE 2025で「現場がつながる・変わる・広がる」をテーマに、フルクラウド化とIP化を軸とした次世代の映像制作モデルを紹介します。メインステージでは、東京2025デフリンピックの競技会場と連携し、クラウド環境でニュース報道番組を制作するデモンストレーションを実施。字幕や手話などのアクセシビリティも強化し、誰もが楽しめるライブ配信の形を提案します。同社は報道サブシステムの導入シェアNo.1を誇り、長年培った技術をもとに、リモートアクセスによる運用や自動化を進めています。クラウド化により機材や人員の負担を軽減し、災害時などでも柔軟に対応できる持続可能な放送運用を実現します。

パナソニック コネクト:クラウドで変わる映像制作の未来 “つながる現場”を提案

展示では、世界初のオートフォーカス搭載4Kスタジオカメラ「AK-UCX100」や、同プラットフォームの新型ボックスカメラ「AK-UBX100」、新リモートコントローラー「AW-RP200GJ」などを公開。さらに、AI広告審査サポート、Media Production Suiteの画質調整プラグイン、映像制作プラットフォーム「KAIROS」など、効率化と表現力を両立する最新ソリューションを体験できます。

キヤノン:次世代映像制作の未来を提示 バーチャルプロダクションから新カメラまで一挙展示

キヤノン:次世代映像制作の未来を提示 バーチャルプロダクションから新カメラまで一挙展示

キヤノン(Canon)は、映像制作と放送の両分野を支える最新機器・ソリューションを披露します。ブースは「LIVE/BROADCAST」と「CREATIVE/PRODUCTION」の2ゾーンで構成され、現場の効率化と表現力の拡張をテーマに展開します。放送向けゾーンでは、複数のリモートカメラをメインカメラと連動させる「マルチカメラオーケストレーション」を参考出展。省スペースでも多彩な映像演出を可能にする次世代PTZスタジオを提案します。

新開発のCINE-SERVOレンズ「CN5×11 IAS T/R1」や、被写体を際立たせる映像表現「Novel Look」を実現する放送用レンズなども登場します。制作ゾーンでは、RFマウント通信を活用した「バーチャルプロダクションシステム」や、新型デジタルシネマカメラ「EOS C50」、放送用屋外カメラシステム「U-4SR」などを展示。さらにVR撮影システム「EOS VR SYSTEM」では、「Apple Vision Pro」での視聴デモも実施し、映像制作の新たな可能性を体験できます。

テレビ朝日クリエイト:放送現場の“生字幕”をAIで革新 『J-TAC Pro』進化版を展示

テレビ朝日クリエイト:放送現場の“生字幕”をAIで革新 『J-TAC Pro』進化版を展示

テレビ朝日クリエイトは、AI生字幕制作システム『J-TAC Pro』の最新版をInter BEE 2025に出展します。字幕制作のプロが開発したこのシステムは、AI音声認識によって放送音声を高精度にリアルタイムでテキスト化し、自動改行機能で読みやすい字幕を生成。人間は誤認識部分を修正するだけで、生放送に即した字幕を迅速に完成させることができます。

テレビ朝日クリエイト:放送現場の“生字幕”をAIで革新 『J-TAC Pro』進化版を展示

今回の展示では、さらに進化した3つの新機能を体験できます。報道支援システム「Japrs」との連携による原稿テイクの自動化、クラウド・オンプレミス両対応の音声認識エンジン選択、そして動画SNS配信やイベント映像への字幕付与対応です。ニュース報道からライブ配信まで、幅広い現場での柔軟な運用が可能となりました。ブース(ホール5・小間番号5510)では、日本製クラウド型テロップシステム「mashup」との連携展示も実施。話した言葉を即座に映像へ反映する次世代テロップ制作の実演も予定されています。

LiveU:IBCで話題を呼んだ最新IP映像技術が日本初公開

LiveU:IBCで話題を呼んだ最新IP映像技術が日本初公開

LiveU Japanは、IBCで注目を集めた最新のIP映像ソリューションを初公開します。ブース(ホール8・小間番号8108)では、映像伝送から制作、配信までを網羅する「LiveUエコシステム」の全容を紹介。リモートおよびオンプレミス制作の効率化、信頼性の向上を実現する次世代ワークフローを体験できます。

主な展示は、eSIMとMIMOアンテナを搭載した次世代フィールドユニット「LU900Q」、クラウドネイティブ・ゲートウェイ「LiveU Nexus」、ライブ制作リソースを統合管理する「LiveU Schedule」、そしてAI駆動型モニタリングプラットフォーム「Actus X」。これらを組み合わせることで、撮影から配信までのプロセスを一気通貫で最適化します。

ソニーとの協業で開発されたデータトランスミッター「LiveU TX1」も登場。新型カメラPXW-Z300に対応し、LRT™技術で安定したファイル伝送を実現します。ニュース、スポーツ、エンタメなど、あらゆる現場での映像制作を変えるLiveUの最新ソリューションに注目です。

NextorageとRecursive:テレビ局の映像検索を劇的効率化 人物検出AIを共同開発

NextorageとRecursive:テレビ局の映像検索を劇的効率化 人物検出AIを共同開発

メモリー・ストレージメーカーのNextorageとAIスタートアップRecursiveは、テレビ局が保有する膨大なアーカイブ映像の検索作業を大幅に効率化する「人物検出AIシステム」の共同開発を開始しました。オンプレミス環境で完結する設計により、クラウド依存によるセキュリティリスクや高額なGPUコストといった課題を解消します。

このシステムでは、人物名を入力するとAIが映像を自動解析し、該当人物が登場するフレームを抽出。映像検索にかかる工数を最大90%削減し、番組制作のスピードと品質を同時に向上させます。基盤には台湾Phison ElectronicsのオンプレミスAIソリューション「aiDAPTIV+」を採用。GPUのVRAM不足を補いながら高いセキュリティを維持し、低コストでの導入を実現。Inter BEE 2025では、Nextorageブース(ホール8・小間番号8312)にてデモを初公開。映像制作の現場に新たな革新をもたらす注目の展示となりそうです。

SEETRONIC JAPAN:初出展で屋外対応の防水・防塵コネクターを展示 

SEETRONIC JAPAN:初出展で屋外対応の防水・防塵コネクターを展示 

音響・照明・映像機器向けの接続ソリューションを手掛けるSEETRONIC JAPAN(運営:株式会社Advance Bloom)が、Inter BEE 2025に初出展します。ブースでは、屋外使用に対応する防水・防塵型コネクターシリーズを中心に、多チャンネル光ファイバーケーブルや音声・照明制御用ケーブルブランド「COSMICONN」などを展示します。

舞台・放送用途に向けた電源コネクターやXLRコネクター、スピーカー用・RJ45コネクターなど、堅牢性と高い耐久性を備えた製品群がそろいます。既存ブランドとの互換性を保ちながら、コスト面でも優れている点が特徴です。屋外イベントやライブ現場など、過酷な環境下でも確実な接続を実現する設計が施されています。会場では、実際に製品を手に取り、そのロック構造や操作感を確かめることができます。ブースはホール3・小間番号3211。機材レンタル業者や音響・照明関係者にとって、新たな選択肢となる展示となりそうです。

リーダー電子×バルス:AIで実写とCGを自然に融合する新ソリューションを披露

クロマキー処理前→クロマキー処理後→カラーグレーディング後
クロマキー処理前→クロマキー処理後→カラーグレーディング後

放送・通信計測器メーカーのリーダー電子と、XRライブやVTuber制作を手掛けるバルスは、AIで実写映像とCGを自然に融合させる新たな制作ソリューションを発表しました。これまで時間と手間がかかっていたクロマキー合成やカラー調整などをAIが自動化し、撮影から仕上げまでを効率化します。VTuberと実写アーティストの共演映像や広告動画など、多様な映像表現への応用が期待されています。リーダー電子ブース(ホール5・小間5218)でデモ映像を参考出展予定です。AIが切り開く新時代の映像制作を、会場で体感できます。

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