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【台湾主要展示会】アジアビジネスを牽引する台湾展示会の概況。主要な展示会カレンダーとその概要をまとめました

台湾は、世界有数の安全性や質の高い医療・公衆衛生環境という重要な安心材料を背景に、アジアのMICEハブとして著しい進化を遂げています。台湾政府が強力に推進する半導体、ICT(情報通信技術)、精密機械、グリーンエネルギーといった国家戦略産業と完全に同期した戦略的なイベントが多く開催されています。本記事では、台湾市場への進出やアジアでのパートナーシップ構築を目指すビジネスパーソン向けに、2025年に開催される主要な国際展示会を月ごとに整理し、その戦略的価値と開催会場をご紹介いたします。

目次 / Table of Contents

台湾のMICEイベントは、単なる商談の場ではなく、国家の産業振興策と一体化した「戦略的ショーケース」としての役割を担う

2025年の台湾におけるMICE市場は、世界的な産業エコシステムと深く連携する戦略的プラットフォームとしての地位を確立しています。台湾政府・経済部国際貿易局が2009年から推進するMICEブランド「MEET TAIWAN」は、台湾MICE産業の司令塔として機能しています。その支援は、国際会議の誘致、ビザ取得の迅速化、情報提供といったワンストップサービスから、具体的な財政支援(補助金制度)、海外プロモーション、専門人材の育成まで多岐にわたります。この成果は、MICE業界の権威ある賞であるM&C Asia Stella Awardsで「最優秀コンベンション&ビジターズビューロー」を連続受賞していることからも証明されています。

主要なトレンドとして、「AIの全面的浸透」と「サステナビリティへの強いコミットメント」が年間を通じて読み取れます。COMPUTEX TAIPEISEMICON TaiwanTIMTOS(台北国際工作機械見本市)といった基幹イベントは、AIが各産業をどう変革するかの未来像を世界に提示する場となっています。

台北南港展示ホール(台北南港展覧館、TaiNEX)

台北と高雄による「デュアルハブ戦略」

地理的には、首都・台北がグローバルビジネスとテクノロジーイベントの絶対的中心地として機能する一方、高雄がAIoTやグリーンエネルギー分野の新拠点として台頭する「デュアルハブ戦略」が台湾MICEの強靭性と多様性を支えています。

• 絶対的中心地・台北: 政治・経済の中心であり、台北南港展示ホール(台北南港展覧館、TaiNEX)を中心にグローバルなビジネスイベントが集積。ICT、半導体、金融といった産業背景を活かし、COMPUTEXSEMICON Taiwanなど世界的なテクノロジーイベントの開催地となっています。

• 戦略的新拠点・高雄: 重工業都市からAIoTや5Gのハイテク産業ハブへと変貌。高雄エキシビションセンター(KEC)を拠点に、造船や重工業の歴史を活かしたイベントや、グリーンエネルギー、スマートシティといった新分野の展示会を誘致。

桃園市のメッセ桃園など新しい施設も注目されています

この「デュアルハブ戦略」により、台湾は多様な産業分野のイベントを効果的に吸収し、リスク分散とキャパシティ拡大を両立させています。

台湾、年間主要展示会・イベント

台湾では年間を通じて、その産業力を世界に示す大規模な国際見本市が目白押しです。以下に主要なイベントを月次でご紹介します。

イベント名開催都市主要産業分野
1月Taipei Game Show(台北ゲームショウ)台北ゲーム、エンターテインメント
2月Taipei International Book Exhibition(台北国際書展)台北出版、書籍
3月TIMTOS(台北国際工作機械見本市)台北工作機械、スマート製造
TAIPEI CYCLE(台北国際自転車展)台北自転車、Eバイク、モビリティ
4月TAIPEI AMPA(台北国際自動車部品・アクセサリー展)台北自動車部品、EV、スマートモビリティ
5月COMPUTEX TAIPEI(コンピューテックス台北)台北ICT、AI、半導体、スタートアップ
6月FOOD TAIPEI(台北国際食品展)台北食品、食品加工技術
7月BIO Asia–Taiwan(バイオアジア・台湾)台北バイオテクノロジー、医薬、ヘルスケア
ART TAICHUNG(台中アートフェア)台中現代アート
8月TAIROS(台湾ロボット自動化展)台北自動化技術、産業ロボット、AI
9月SEMICON Taiwan(セミコン台湾)台北半導体製造技術、電子部品
10月TITAS(台北国際繊維応用展)台北繊維、アパレル技術
Energy Taiwan & Net-Zero Taiwan台北再生可能エネルギー、カーボンニュートラル
11月Taiwan International Fisheries & Seafood Show台北漁業、水産業
12月Taipei Building Show(台北国際建築建材展)台北建築資材、スマートビルディング

1月:ゲーム・エンタメの幕開け

Taipei Game Show 2025(台北ゲームショウ)

年の初めを飾るのは、アジア最大級のゲーム展示会である台北ゲームショウです。家庭用ゲーム、オンラインゲーム、モバイルゲーム、eスポーツなど、ゲームとエンターテインメント全般をテーマとしています。業界関係者向けのビジネスデイ(B2Bゾーン)と一般公開日(B2Cゾーン)が併催されるのが特徴で、2023年には30万人超の来場を記録するなど、非常に盛況です。インディーゲームアワードなども実施され、国内外からゲームファンと業界プロが集結します。

開催場所:台北市の主要なMICE拠点である台北南港展覧館 Hall 1(TaiNEX 1)


2月:文化と出版の祭典

Taipei International Book Exhibition 2025(台北国際書展)

アジア最大級の国際ブックフェアであり、出版・書籍(文学、マンガ、児童書、学術書、出版技術など)をテーマに開催されます。新刊書籍の展示販売だけでなく、作家の講演会やサイン会、版権ビジネスマッチングなど多彩なイベントが実施されます。毎年テーマ国を招き、2025年はイタリアを特別招待国として関連展示を開催しました。一般読者から出版業界まで幅広く対象とし、2025年には6日間で57万人もの来場者を記録しました。

開催場所:台北市の中心的な展示施設の一つである台北世界貿易センター(TWTC)

台北国際フランチャイズ春季展

飲食から小売、サービス業まで、多様なフランチャイズビジネスが一堂に会し、新たなビジネスモデルや起業の機会を求める参加者で賑わうイベントです。台湾市場の消費動向を把握するための重要な指標となります。

開催場所:台北世界貿易センター


3月:製造業とモビリティの核心

工作機械分野の国際見本市 TIMTOS 2025(台北国際工作機械見本市)

2025 Opening Ceremony

工作機械分野でアジア有数の規模を誇る専門見本市。TIMTOSは世界三大工作機械展の一つに数えられ、世界の製造業の動向を左右する重要なイベントと位置づけられています。切削・研削加工機、工具、スマートマニュファクチャリングなどがテーマで、2025年実績では1,038社が出展し、3万人超の専門来場者を記録するなど、台湾を代表するB2B製造業イベントとして活況を呈しました。

開催場所: 台北南港展示ホール(TaiNEX)Hall 1・2、および台北世界貿易センターの複数の会場を使用して開催されます。

スマートシティサミット&エキスポ (SCSE)

スマートシティとネットゼロ(カーボンニュートラル)に関するソリューションが一堂に会するアジア最大級の展示会です。台北と高雄で同時期に連携して開催されるユニークな形式をとります。

開催場所: 台北南港展示ホールが中心となります

自転車産業の最新トレンド TAIPEI CYCLE 2025(台北国際自転車展)

世界三大自転車展の一つであり、完成車からEバイク、サイクルパーツ・アクセサリーまで、自転車産業の最新トレンドが集結します。スポーツ・フィットネス展示会(TaiSPO)と同時開催され、1,000社超の出展規模を誇ります。2025年実績では1.7万人以上が来場するなど、国際的な影響力は絶大です。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1・2


4月:次世代モビリティとEV技術

TAIPEI AMPA 2025(台北国際自動車部品・アクセサリー展)

アジアを代表する自動車アフターマーケット見本市であり、世界第2位規模の自動車部品展とも評されています。会場ではエンジン部品、車体用品から最新の車載電子機器、電動車(EV)ソリューションまで網羅されます。Autotronics Taipei(車載電子展)や2035 E-Mobility Taiwan(電動モビリティ展)など関連展示会と同時開催され、部品サプライチェーン全体を一度に見渡せる点が特徴です。来場者は延べ5万人超、出展社数は1,000社規模にのぼります。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1・2

Touch Taiwan

ディスプレイ技術とスマート製造に特化した国際専門展であり、マイクロLEDやフレキシブルディスプレイなど、世界のディスプレイ産業の最先端技術が披露されます。

開催場所:台北南港展示ホール


5月:グローバルICTの最前線

COMPUTEX TAIPEI 2025(コンピューテックス台北)

世界最大級のICT見本市の一つであり、PC・半導体からAI・次世代技術まで最新トレンドが集まる、テクノロジー業界の最重要イベントです。AI、5G、エッジコンピューティング、スタートアップといった先端分野に焦点を当てており、2024年には85,179人という驚異的な来場者数を記録しました。基調講演にはNVIDIAやIntelなどのCEOが登壇し、技術の未来像が語られる場ともなっています。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1・2と台北世界貿易センターを使用して大規模に開催されます


6月:アジア最大の食のサプライチェーン

Food Taipei Mega Shows (台北国際食品見本市メガショー)

台湾最大の食品産業総合見本市で、「Food Taipei Mega Shows」として食品加工機械展、包装展、ホレカ展など計5展が同時開催されます。世界各国の食品・飲料メーカーが集まり、新製品の試食や商談が行われ、日本からもジャパンパビリオンが設置されPRが盛んです。2025年は出展1,700社・来場4万5千人規模と過去最大級となり、海外バイヤーは93か国から3,000名が参加しました。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1・2

MEDICAL TAIWAN(台湾国際医療・ヘルスケア見本市)

医療機器、ヘルスケア製品、デジタルヘルス、スマート医療に焦点を当てた国際医療専門展です。台湾が得意とするICT技術と医療分野を融合させた製品・サービスが多数出展されます。

開催場所:台北南港展示ホール(TaiNEX)


7月:バイオ・ヘルスケアの国際連携

BIO Asia–Taiwan 2025(バイオアジア・台湾)

アジアを代表するバイオ産業イベントで、国際学会カンファレンスと大型展示会が併催されます。新薬開発、精密医療、体外診断、デジタルヘルスなど幅広い分野の最新技術・製品が紹介されます。2023年は来場者10万人超と大盛況で、一対一の商談も5,500件以上設定されました。

開催場所:台北南港展示ホール

ART TAICHUNG 2025(台中アートフェア)

中部台湾・台中市で開催される台湾有数のアートフェアです。ホテルの客室をギャラリーブースに仕立てたユニークな形式が特徴で、台湾内外の約70の画廊が参加します。

開催場所:台中ミレニアムホテル(台中市)


8月:産業自動化とAI応用のショーケース

TAIROS 2025(台湾ロボット自動化展)

台湾最大級のロボット・自動化産業見本市です。製造業の自動化ニーズに応える最新ロボット技術が集結し、多くの専門家や企業が参加します。産業用アームロボットからサービスロボット、AI搭載のソリューションまで幅広く展示されます。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1・2


9月:半導体王国の戦略的イベント

SEMICON Taiwan 2025(セミコン台湾)

半導体産業におけるアジア最大級の見本市であり、台湾が世界トップの半導体供給基地であることを象徴するイベントです。ウェハー加工、製造装置、材料、IC設計、パッケージング・テストなど、サプライチェーン全体を網羅します。2025年は出展1,200社・来場者10万人超の規模を記録しました。2025年は30周年の記念大会となり、「国際半導体ウィーク」へと規模を拡大。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1・2

Taiwan SMART Agriweek 2025(台湾スマート農業ウィーク)

農業分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマにした国際見本市です。スマート農機や精密灌漑システム、作物の成長を最適化するAI技術、畜産の自動化設備など、効率化・高度化につながる最新ソリューションが紹介されます。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1


10月:グリーン・エネルギーと先端素材

TITAS 2025(台北国際繊維応用展)

繊維産業に特化した台湾唯一の国際見本市で、アジアでも有数の規模を誇ります。スポーツ・アウトドア用の高機能繊維や環境配慮型の再生素材、電子繊維など先端技術を持つ台湾企業が多数出展します。約3.5万人(2024年実績)の来場者はその多くが業界プロで占められ、繊維サプライチェーンの国際ハブとして機能しています。

開催場所:台北南港展示ホール

Energy Taiwan & Net-Zero Taiwan 2025

台湾におけるグリーンエネルギー産業の最大展示会で、太陽光、風力といった再生可能エネルギー技術から、エネルギー貯蔵システム、スマートグリッド、カーボン管理サービスまで幅広く網羅します。複数の専門展を統合して開催されています。

開催場所:台北南港展示ホール

Taiwan International Water Week 2025

水テクノロジー、上下水道処理、オートメーション・プロセス制御・デジタル化、浄水機器などをテーマとした環境技術専門展示会です。

開催場所:台北南港展示ホール

高雄フードショー (Kaohsiung Food Show)

台湾南部の豊かな農水産物や特色ある加工食品が集まる、地域を代表する食の見本市です。

開催場所:高雄エキシビションセンター(KEC)


11月:水産業と旅の国際商談

Taiwan International Fisheries & Seafood Show 2025(台湾国際漁業・水産展)

台湾の水産業に特化した国際見本市で、漁業から養殖、加工流通まで産業全体をカバーしています。スマート養殖技術や省エネ型漁船機器、最新の水産加工冷凍技術などが展示されます。出展社数約300社・来場者約1万3千人規模のイベントです。

開催場所:台北南港展示ホール Hall 1

台北国際旅行博 (ITF Taipei 2025)

アジア太平洋地域で最大級の規模を誇る旅行博です。世界の国々が観光PRを行うと同時に、台湾からのアウトバウンド、そして台湾へのインバウンド双方の最新旅行トレンドが集約されます。

開催場所:台北南港展示ホール

Taiwan International Coffee Show 2025

食品の国際展の一つであり、コーヒーや関連機器を専門に扱うイベントです。

Taiwan International Tea Expo 2025

台湾を代表する茶産業の総合イベントであり、良質なお茶や茶文化を国内外にPRする場です。


12月:建築・スマートホームの最新動向

Taipei Building Show 2025(台北国際建築建材展)

建築・建材分野で台湾最大のトレードショーです。構造材、外装・内装建材、キッチン・バス設備、スマートホーム機器など多岐にわたる製品が展示されます。2023年は400社超、2,300ブースと過去最多を記録しています。

開催場所:台北南港展示ホール

Healthcare+ Expo Taiwan

年末を飾る大規模な医療技術展で、広範なヘルスケア産業(デジタルヘルス、バイオ医薬、予防医学、長期介護など)をカバーします。台湾の優れた医療システムとICT技術が融合した、未来のヘルスケア産業の姿が示されます。

開催場所:台北南港展示ホール


台湾展示会を活用したアジア市場戦略の構築

台湾で開催されるこれらの大型展示会は、アジア市場進出の足がかりとして非常に有効です。台湾は中国やASEAN諸国など、広大なアジア市場へのゲートウェイとしての役割を担っており、展示会を通じて広域的なアジア市場への進出やパートナーシップ形成につなげることができます。台湾企業は日本企業との協業に積極的であり、技術提携や共同開発に前向きな姿勢を持つ企業も多く存在します。展示会を単なる製品紹介の場ではなく、市場調査や技術提携、販路開拓を実現する戦略的ツールとして活用することで、台湾市場における長期的なビジネス基盤を築くことが可能となります。

展示会選定にあたっては、自社の製品やサービスが明確にマッチする業種に特化し、B2B向けで専門性の高いイベントを選ぶことが、質の高い来場者との接点を持ち、商談成功率を高めるための重要なポイントとなります。特に台北南港展示ホール(TaiNEX)をはじめとする主要MICE会場で開催されるイベントは、グローバルな集客力と権威性を備えており、戦略的な商談機会を見出す上で最適といえるでしょう。

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