1. HOME
  2. MICEキャリアナビ
  3. MICE業界のことを知る
  4. MICE業界は「エシカル就活」の対象となるか?未来を創る仕事の魅力と社会的意義【MICEキャリアナビ】
MICE業界のことを知る

MICE業界は「エシカル就活」の対象となるか?未来を創る仕事の魅力と社会的意義【MICEキャリアナビ】

近年、企業の社会的意義や環境への配慮を重視する「エシカル就活」が若者を中心に広がり、注目されています。国際会議や展示会を扱うMICE業界は、一見すると大規模な消費産業に見えるかもしれません。しかし、実はMICEは、世界中から多様な人々が集まり、ビジネス交流や知見の共有を通じて「未来を創るための戦略的な産業」と位置づけられており、その活動は極めて倫理的(エシカル)な要素を内包しています。本記事では、MICEキャリアナビの視点から、この業界が学生にとって魅力的なエシカルな就職先である理由を見ていくことにします。

エシカル就活

エシカル就活とは何か?

現代の労働市場において、特にZ世代を中心とする求職者は、給与や福利厚生といった従来の要素に加え、企業の社会的意義、環境への配慮、ダイバーシティの推進といった「エシカルな要素」を就職先選定の決定的な動機付け要因として重視し始めています。最新の調査データでも、約半数の学生が地方創生や省エネといった企業の倫理的・社会的な活動に注目しているという事実があります。これは、単なるボランティア精神の発露ではなく、マズローの欲求段階説におけるより高次の自己実現の欲求や社会貢献の欲求を職業を通じて満たそうとする動きであり、自身の働く時間が環境や社会にとって「善」であるかを厳しく問うプロセスなのです。

エシカル就活

MICE業界が持つ3つのエシカルな側面

MICE産業がエシカルであることは、環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)というESGの多角的視点から検証できます。

環境への責任とグリーンMICEの実践

大規模な人の集まりを伴うイベントでは、大量のエネルギー消費や廃棄物の発生が課題となりがちです。しかしMICE業界は現在、「サステナブルMICE(グリーンMICE)」へと劇的に舵を切り、持続可能(サステナブル)なイベント運営を進めています。

業界団体である日本コンベンション協会(JCMA)は、ごみや食品廃棄物の削減、リサイクル、脱炭素など、環境負荷抑制に努める方針を掲げています。例えば、大手企業では会場の電力を再生可能エネルギー由来に置き換える「CO2ゼロMICE」という提案が開発され、温室効果ガス排出削減に貢献しています。また、国際規格であるISO20121(イベント持続可能性管理システム)の取得や準拠が推奨されており、実際に日本では、食用に適さない古米を原料としたバイオマスプラスチック「ライスレジン」をゴミ袋に採用するなど、実効性のある素材革命も進行しています。

エシカル就活

地域社会との連携と経済活性化への貢献

MICEが開催されることで、開催都市や地域にもたらされるメリットは非常に大きく、MICE産業はその社会的責任に自覚的です。MICE産業は、年間約8万2千人分 あるいは約8万5千人分 にも及ぶ雇用を創出し、経済波及効果は莫大で地域の活性化に直結します。

特に注目すべきは、MICE参加者の消費額の高さです。国際会議の外国人参加者は一人あたり平均で一般観光客の2.58倍 あるいは5倍以上 の消費を行うとされています。この高い消費額の差額分が、開催地の地域経済、地元の宿泊業、飲食業、交通機関へと流れ込みます。これは、寄付や補助金に頼らない、自立的な地域経済支援の在り方であり、地域創生に関心を持つ学生にとって有効なツールとなるでしょう。

さらに、歴史的建造物などをイベント会場として活用する「ユニークベニュー」という手法は、維持管理が困難になった文化財に新たな経済的価値を与え、その保存を可能にするエシカルな事業モデルです。MICE事業者は、単にイベントを運営するだけでなく、地域の持続可能なまちづくりの核となり、ポジティブな“レガシー”(遺産)を残すことが期待されています。

ダイバーシティと働き方の推進

MICE業界は、多様な参加者が安心して参加できる場を提供するため、ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)の推進に力を入れています。

実際のイベント現場では、会場のバリアフリー化や手話通訳、音声ガイドの提供により障がいのある方も安心して参加できる環境を整備しています。さらに、食事面でもベジタリアン、ヴィーガン、ハラール、アレルギー対応食を提供するなど、多様なニーズに応える運営が徹底されています。

業界内でも多様な人材が活躍できる職場づくりが進められています。特にMICE業界は女性の活躍が目覚ましい分野であり、顧客との接点が多いオペレーション部門では女性が70パーセントを占める事例も見られます。また、かつてイベント業界につきまとっていた長時間労働のイメージを払拭するため、イベントプラットフォームの導入など、デジタル技術(DX)を活用してテレワークでのイベント運営を可能にする働き方改革も進められています。これは、持続可能な働き方を実現するための必須インフラとなりつつあります。

MICEキャリアナビが提唱する「共感マッチング」の重要性

MICE業界は社会的な意義が大きいにもかかわらず、学生からの認知度が低いという特有のジレンマを抱えています。学生は、イベントや学会に参加者として関わっても、それらが「MICE」という産業カテゴリーによって支えられていることを認識する機会は極めて稀です。

そこでMICE専門メディアが展開する当MICEキャリアナビでは、従来の勤務地や初任給といった「条件」による検索ではなく、企業の理念や事業の「ストーリー」への共感を入り口とする「共感マッチング」を提唱しています。ニュース記事を通じて業界のリアルな課題解決の現場に触れ、そこで働く人々の想いに共感すること、つまり「この人のようなプロフェッショナルになりたい」と思えるロールモデルを見つけること が、入社後のミスマッチを防ぎ、長く活躍するための強固な基盤となります。

エシカル就活

MICE業界は社会を変えるプラットフォーム

MICE業界は、環境への配慮、地域社会への貢献、多様性の尊重といった面で様々なエシカルな取り組みを業界全体で展開しています。無論、国際的な移動を伴うイベントではカーボンフットプリントの問題など課題もありますが、業界全体でそれを認識し改善に努めている点は評価できます。

「人や地球環境、社会に配慮した企業を選びたい」という若い世代の期待に応えるMICE産業は、「社会課題解決の実践の場」へと進化を遂げています。国際交流の最前線であり、多くの産業と関わり社会にインパクトを与えられるMICE業界は、価値観重視で就職先を選ぶ学生の皆様にとって、自身の社会貢献意欲を仕事で実現できるポテンシャルを秘めた、エシカル就活の観点からも注目に値するフィールドであると言えるでしょう。

関連記事:MICE業界を知る

関連記事:MICEとSDGs

アジア太平洋のMICEの祭典
現地取材/韓国MICEの今を追いかける
お問合せはこちらから
スマホアプリができました
過去記事から探す
カテゴリー