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国際イベント運営で求められるサイバーセキュリティ対策―参加者情報と関係者の信頼を守るために/寄稿記事

参加者情報や決済データ、登壇者の資料を、安心して扱える体制は整っていますか。国際会議や展示会では、受付から情報共有、ライブ配信まで、さまざまな場面でデジタルサービスを利用します。海外の関係者や外部パートナーとのやり取りも多い中、開催準備に追われて、セキュリティの確認が後回しになっていることはないでしょうか。今回は、国際イベント運営で求められるサイバーセキュリティ対策について、ProtonMailを提供するProtonに寄稿いただきました。

Protonとは

Proton(プロトン)は、2014年にCERN(欧州原子核研究機構)で出会った科学者たちがスイスで設立した、プライバシー保護を重視する企業です。暗号化メール「Proton Mail」をはじめ、VPNやクラウドストレージ、パスワード管理などのサービスを提供しています。運営会社の筆頭株主は非営利団体のProton Foundation。利用者のデータを販売しない方針を掲げ、オンライン上のプライバシーと自由を守ることを目指しています。

グローバルな参加者・パートナー・運営情報を守るためにできること

日本でも近年、国際会議や展示会などのMICEの開催が活発化する中、イベント運営におけるサイバーセキュリティ対策の重要性が急速に高まっています。国際展示会、カンファレンス、スポーツ大会、ビジネスサミットなどには世界各国から参加者が集まり、参加者情報や決済データ、スポンサー情報、登壇者資料など、多くの重要な情報が日々扱われています。

さらに、申し込み受付やチケット発行、参加者管理、ライブ配信、イベント後のフォローアップまで、多くの業務がデジタル化されたことで、イベント運営を取り巻くセキュリティリスクも複雑化しています。万が一、情報漏えいやシステム障害が発生すれば、イベントの運営継続だけでなく、主催者や関係企業の信頼にも大きな影響を与える可能性があります。

国際イベントでは時差や言語の違いに加え、多数の外部パートナーとの連携も必要となるため、通常の企業活動以上に厳格な情報管理体制が求められます。本記事では、国際イベント運営で押さえておきたいサイバーセキュリティ対策と、その実践的な取り組みについて解説します。

MICE(マイス)とはなんですか?
https://micetimes.jp/whats-mice/
国際会議

1)国際イベントがサイバー攻撃の標的になりやすい理由

大規模イベントは、サイバー犯罪者にとって狙いやすい標的です。
イベント主催者は短期間で大量の個人情報を収集します。参加登録時には氏名、メールアドレス、所属企業、役職、電話番号などが登録されるケースが一般的です。さらに有料イベントの場合は決済情報も取り扱うため、攻撃者にとって価値の高い情報が集まります。
また、イベント開催前後は運営担当者の業務負荷が高まり、セキュリティ確認が後回しになりやすい時期でもあります。こうした状況を狙って、フィッシングメールやランサムウェア攻撃が仕掛けられることがあります。

国際イベントでは複数の国や組織とのやり取りが発生するため、メールの添付ファイルやリンクの数も増加します。その結果、不正なファイルを開いてしまうリスクも高まります。
特に近年は、イベント公式サイトを装った偽サイトや、公式運営を装ったメールによる詐欺が見られるようになっており、主催者側だけでなく参加者への注意喚起も重要な業務の一つとなっています。

セキュリティ

2)参加者情報を安全に管理するデータ保護体制

イベント運営で特に優先すべきセキュリティ対策の一つが個人情報の保護です。
国際イベントでは、国外からの参加者データを取り扱うケースも多く、各国のプライバシー規制への対応が求められます。適切なデータ管理が行われていない場合、情報漏えいだけでなく法的リスクにもつながりかねません。

そのため、参加者情報へのアクセス権限は必要最小限の担当者に限定することが重要です。
また、クラウドサービスを利用する場合は、データの暗号化や多要素認証(MFA)などの機能が提供されているかを確認する必要があります。

さらに、イベント終了後もデータを無期限に保管するのではなく、利用目的に応じて適切な保管期間を設定することが推奨されます。
どれだけ優れたイベント企画であっても、個人情報の管理に問題があればブランド価値は大きく損なわれます。参加者が安心して登録できる環境づくりこそ、現代のイベント運営に不可欠な要素といえるでしょう。

3)国際チームを支える安全なビジネスメール環境

国際イベントでは、主催者、スポンサー、登壇者、制作会社、会場運営会社など、多数の関係者が国境を越えて連携します。こうしたやり取りの中心となるのがメールです。

しかし、イベント関連のメールには契約情報、予算、出演者情報、イベント資料など機密性の高い情報が含まれていることも少なくありません。個人向けメールサービスやセキュリティ対策が不十分な環境を利用すると、情報漏えいやなりすまし被害のリスクが高まります。

そのため、イベント運営チームでは暗号化や高度なセキュリティ機能を備えたビジネスメールの導入を検討する企業も増えています。例えば、海外拠点や外部パートナーとのやり取りが多い組織では、安全な通信環境を確保しながら情報共有できる法人向けメールサービスを活用することで、セキュリティと利便性の両立を図ることができます。

また、メールアカウントの権限管理やアクセスログの確認を行うことで、不審なアクセスの早期発見にもつながります。
イベントの成功を支える日々のコミュニケーション。その基盤となるメール環境の整備は、サイバーセキュリティ対策の中でも特に優先度の高い取り組みといえるでしょう。

セキュリティ

4)フィッシング攻撃とBEC(ビジネスメール詐欺)への対策

国際イベント運営において、現実的な脅威の一つがフィッシング攻撃です。
イベント開催が近づくと、関係者は多数のメールを処理する必要があります。こうした状況を利用し、攻撃者は実在する取引先やスポンサーになりすまして偽メールを送信することがあります。

特に危険なのがBEC(Business Email Compromise)と呼ばれるビジネスメール詐欺です。
例えば、
• 会場費の振込先変更依頼
• 広告費請求書の再送
• 登壇者契約書の差し替え
• スポンサー契約内容の修正
といった業務上自然に見える内容で担当者を誘導します。
こうした攻撃を防ぐためには、メールの送信元確認を徹底することに加え、高額な支払いは別ルートで確認する運用ルールを設けることが重要です。
また、定期的な社員教育を実施し、不審なメールを見分けるトレーニングを行うことで、人為的なミスによる被害を減らすことができます。
技術的な防御だけでなく、組織全体のセキュリティ意識向上も欠かせません。

5)ハイブリッドイベント時代に必要なセキュリティ対策

近年はオンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッドイベントが一般化しています。
ハイブリッド形式には多くの利点がありますが、その一方で攻撃対象となるシステムも増えます。

ライブ配信プラットフォーム、オンライン参加システム、チャット機能、ネットワーク環境など、守るべき対象が広がるためです。
例えば、
• 配信アカウントの乗っ取り
• オンライン会場への不正参加
• DDoS攻撃※によるサービス停止
• 配信映像の無断取得
などのリスクがあります。
これらを防ぐためには、多要素認証やアクセス制御の導入に加え、配信プラットフォーム選定時のセキュリティ確認も重要となります。
さらに開催当日は、万が一のシステム障害に備えたバックアップ回線や緊急対応手順を準備しておく必要があります。
イベント当日にトラブルが発生すると、参加者体験に直接影響するため、事前準備が成功の鍵になります。

※DDoS(ディードス)攻撃とは
多数の端末からウェブサイトやサーバーに大量の通信を送り、サービスを利用しにくくしたり、停止させたりする攻撃です。店の電話に大勢が一斉に電話をかけ続け、本当のお客さんの電話がつながらなくなる状況に似ています。攻撃者は、ウイルスに感染させた他人のパソコンなどを使うこともあります。サイトが開けない、予約や買い物ができないといった被害が生じ、企業の営業や利用者の生活に影響します。

6)信頼されるイベント運営のために求められるセキュリティ文化

サイバーセキュリティはIT担当者だけの課題ではありません。

国際イベントに関わる全てのスタッフが基本的なセキュリティ知識を持ち、日常業務の中で安全な行動を取ることが重要です。
例えば、
• 強力なパスワードの利用
• 多要素認証の活用
• 不審なメールの報告
• データ共有ルールの遵守
• 定期的なセキュリティ研修
といった基本的な取り組みが、大きなリスク低減につながります。

また、サイバーセキュリティへの取り組みを積極的に公開することで、参加者やスポンサーからの信頼向上にもつながります。特に国際イベントでは、多くの企業や団体が協力してプロジェクトを進めるため、「安全に情報を扱える組織であること」が信頼につながる要素となります。

今後さらにイベントのデジタル化が進む中で、セキュリティは単なるリスク対策ではなく、イベントの価値を高める重要な経営戦略の一部となっていくでしょう。

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