【レポート】「まちの未来を創るあなたへ」・東京会場では過去最多人数が来場・主催者インタビュー/賃貸住宅フェア2024in大阪
2024年12月5日から6日にかけてインテックス大阪で「賃貸住宅フェア2024in大阪」が開催。「空き家活用サミット」、「テナント・土地活用展2024」も同時開催され、多くの人で賑わう会場。そんな活気あふれる中、インターンシップの今岡が取材を行いました。 ※2024年12月5日 に訪問
賃貸住宅フェア2024in大阪とは
賃貸住宅を中心とした不動産業界における情報を、企業ブースとセミナーで収集できる、賃貸業界最大級の展示会です。
公式Webサイトより一部引用
大阪会場のコンセプトは「まちの未来を創るあなたへ」。
人口減少が叫ばれるいま、人を呼ぶため、地域の魅力づくりを仕掛け、発信に取り組む企業やオーナーを講師に迎えて、未来を見据えたまちづくりのヒントを探します。
開催概要
名称:賃貸住宅フェア2024in大阪
会期:2024年12月5日(木)~ 6日(金)10:00~17:00
会場:インテックス大阪
参加費:無料(事前登録制)
主催:全国賃貸住宅新聞・地主と家主
同時開催展:テナント・土地活用展
Webサイト:https://zenchin-fair.com/2024/osaka/
出展カテゴリー:
1.土地活用 2.住宅設備・建材 3.業務支援システム/サービス 4.リフォーム・リノベーション・修繕
5.保証・保険 6.投資 7.管理受託 8.法律・税務 9.FC本部 10.その他
110社超の企業ブースの出展と62のセミナーが開催。「まちの未来を創るあなたへ」というコンセプトを出展者はどう捉えているか、お話を伺いました。
建物の再生でまちに魅力を
千島土地株式会社:アートを切り口とする地域活性の試み
大阪市住之江区北加賀屋でのアートを活用したまちづくりを推進する千島土地(ちしまとち)株式会社。
地主としてまちづくりを行ってきた芝川代表取締役 名誉会長のセミナーに参加しました。
同社は名村造船所跡地を芸術活動拠点「Creative Center OSAKA」として再生し、DIY可能な低コスト賃貸物件で多くのクリエーターを支援。空き地を活用した「みんなのうえん北加賀屋」では、農業のプロセスを共有しながらみんなで一緒に農園づくりを行うコミュニティとして機能します。
「不動産という仕事は、当然ながら、その場所から動けない。活性化のためには地域をじっくりと見つめ、アプローチをする必要がある」
行政と連携した挑戦的な経営姿勢と地域住民との密な交流が、地元とアート文化の発展に寄与しています。
千島土地 Webサイト
https://www.chishimatochi.com/
おおさか創造千島財団 Webサイト
https://chishima-foundation.com
全国古民家再生協会 大阪府連合会:古民家再生でまちづくりを推進
地域に残る日本の伝統的建築である古民家を次代に受け継ぐため、古民家の調査、再生、活用、地域の未来を見据えた活動を実施する全国古民家再生協会。大阪府連合会は全国各地にある支部の一つです。
お話を伺った長井さんは、島本町の古民家再生に長年携わり、行政とのまちづくり戦略会議に住民代表として参加されています。「日本では、住民がまちの発展に寄与するという意識が少ない。府民と行政をつなぐ橋渡し役となり、ボトムアップを図りたい」と、大阪愛溢れる姿が印象的でした。
全国古民家再生協会 大阪府連合会 Webサイト
https://www.kominka-osaka.com/
地域の未来を育む視点 人を惹きつける施設と住まいの調和
株式会社ファクター・ナイン:魅力的な投資先とは
札幌市を中心に、賃貸用デザイナーズマンションの一棟単位の企画販売、投資用不動産仲介を主要とした不動産売買事業を展開する株式会社ファクター・ナイン。北海道からはるばる「賃貸住宅フェア2024in大阪」に出展した理由の一つは、同社物件に対する関西での需要が高いことだそうです。部長 兼 東京支店長の木村様が取材に応じてくださいました。
「半導体工場のラピダスが進出した千歳市、エスコンフィールドHOKKAIDOが誕生した北広島市。そういった新施設の情報にアンテナを張っている」と、投資の決め手となった要因の一つに、まちのシンボルとなる施設の存在が挙げられました。
また、「別荘地のような土地でも、実際は交通利便性がよくないこともしばしばある。人気エリアとして注目を集めていても、事前に十分なリサーチをして、これから伸びそうなまちに投資したい」と、デベロッパー視点のご意見を伺うことができました。魅力あるまちづくりには、象徴的な施設と生活者の観察が鍵になりそうです。
株式会社ファクター・ナイン Webサイト
https://factor9.co.jp/
株式会社カシワバラ・コーポレーション:まちの建物の流れをつくる
インフラメンテナンス事業、マンション大規模修繕事業、建築事業、内装リフォーム・リノベーション。あらゆるニーズに対応し、多岐にわたるサービスを提供する株式会社カシワバラ・コーポレーション。山口県をルーツとして、全国各地に営業所・事業所を抱えています。「『獺祭(だっさい)』の新工場もうちが作っているんですよ」と教えてくださったのはリフォーム事業戦略本部 副本部長 山本様。
「建設、管理、解体。まちの中の建物の流れを作っていきたい」。工場や社宅を含め、産業が地域に根付く一連の過程を共にするそう。建物が持つ可能性について真摯に語ってくださいました。
株式会社カシワバラ・コーポレーション Webサイト
https://www.kashiwabara.co.jp/
まちづくりを支える新しいサービス
株式会社グローバルトラストネットワークス:外国人の力で少子高齢化問題にアプローチ
外国人の住まい探しや、家賃保証から、スマホの契約、働き先でのサポートなど、彼らの困りごとに向き合い、サポートすることで、日本の力になる人を応援する株式会社グローバルトラストネットワークス。まちづくりの事例として、 渋谷区での「外国人のスタートアップ企業の支援」と、「西武線新生活応援キャンペーン」をご紹介くださいました。
前者は、外国人起業家向けにスタートアップビザを提供し、渋谷を拠点に事業を展開するための支援を行う取り組み。スタートアップ同士のネットワーキングやイベントを活用し、企業の成長をサポートしているそうです。
後者は、大学や日本語学校が多く集まる西武線沿いに住む留学生が、授業プログラム終了後も住み続けられるようサポートするキャンペーン。交通支援や賃貸物件の紹介、契約手続きの支援、さらに、沿線エリアでの生活に役立つ地域情報や観光スポットを多言語で案内するなど、外国人が安心して暮らせる環境づくりが行われました。
日本の人口の約4分の1が後期高齢者となる2025年。超高齢化社会を迎えることで発生する社会問題が目の前に差し迫る今、外国人の力を借りて少子高齢化にアプローチします。
「私たちの活動が、外国人にとって生活しやすい環境づくりのためのフィルターとして機能することで、同じ地球人として共存する未来を実現させたい」と、多文化共生実現の最前線の方のお話を伺うことができました。
株式会社グローバルトラストネットワークス Webサイト
https://www.gtn.co.jp/
Shibuya Startup Support Webサイト
https://shibuya-startup-support.jp/
外国人の方必見!西武線新生活応援キャンペーン2022-23 Webサイト
https://www.gtn.co.jp/news/20220801
totonoü:あなたのまちを「サ旅」目的地に
サウナのみならず、“サウナ文化そのもの”を日本に届けるべく、2020年より始動したtotonoü。「サウナと共にある暮らし」を日本で最速で実現することをミッションとしています。
Co-Founderの小林様からは、「言葉を選ばずに言えば、観光力のない地域との相性は良いのかもしれない。『サウナー』は国内外問わず、良いサウナを求めてどこにでも行くので、経済を回すものとして機能しているのではないか」と、サウナとまちの活性化について教えていただきました。
totonoü Webサイト
https://totonou.co/
まちを創る鍵は不動産にあり
「賃貸住宅フェア2024in大阪」主催の全国賃貸住宅新聞社、企画開発部 遠藤様へのインタビューの機会をいただきました。
_「まちの未来を創るあなたへ」というコンセプトについて教えてください。
これまで東京、大阪、名古屋、福岡など複数の都市で開催してきた『賃貸住宅フェア』ですが、大阪での開催はコロナ禍を経て5年ぶりでした。
来場者の多くは不動産会社や地主。 彼らの持つ課題の解決を目指していますが、東京以外の地域では、物件管理で、例えば新しい設備を導入することはなかなか少ないので、まず、まちに人を呼ぶことが重要になってきます。そういったところで、今回のコンセプトを掲げました。
_出展する会社にはどのような傾向がありますか。
不動産業界も人手不足なので、業務効率化という観点で、新しいシステムの導入を進める会社が多いかと思います。
_今後、貴社は、まちづくりにどうアプローチしていくのでしょうか。
その土地を生かすか殺すか、その鍵を握るのは不動産です。どこに何を建てて、そのお金を誰が出して、誰が運営するのか。そういったところをこれまで以上に一生懸命考えていく必要があると思います。
なので、これまで築いてきた土地オーナーや不動産会社との関係性を保ちつつ、金融機関や自治体、DMOなど、これまで接点のなかった団体との繋がりも作っていきたいですね。
「賃貸住宅フェア2025in東京」出展者募集中!
◾️取材を終えて Editor’s note
過去最高の1万7026人が来場した東京会場に続き、開催された「賃貸住宅フェア2024in大阪」。不動産業界の未来を考える展示会で、地域活性化や市場の最新トレンドを学べる機会が満載でした。また、不動産オーナーや業界関係者が、課題解決やビジネス拡大のヒントを見つけられる場として機能する様子が見て取れました。多くの学びを持ち帰るとともに、次世代への展望を共有できるイベントだったと思います。2025年東京開催ではどのような提案や未来像が示されるのか、今から期待が高まります!
同イベントのプレスリリース記事はこちら