【現地取材】ひょうごこども万博2026 in 神戸とは?「子どものやってみたい」を地域×企業と形にするイベント
皆さんは幼い頃に「やりたかったこと」を思い出せるでしょうか。
2026年9月12、13日の2日間、神戸国際展示場3号館で「ひょうごこども万博2026 in 神戸」が開催されました。会場には企業・団体による仕事体験ブースが並び、子どもたちが地域の仕事や産業に触れました。主催は兵庫県です。子どもの「やってみたい」を起点に、企業や地域が関わり、イベントを通じて社会との接点をつくる。ひょうごこども万博の現場から、地域×企業×子どもをつなぐイベントの仕組みを見ました。

「夢」ではなく「やりたいこと」から始まった
「ひょうごこども万博」は、子どもたちが自身の夢や可能性を発見し、主体的に社会とつながる機会を提供する体験型イベントです。
その始まりは、コロナ禍でした。
主催者の株式会社こどもCandy 手塚麻里さんが、子どもと友だち12人と自宅で過ごしていたとき、「将来の夢は?」と尋ねると、「大人はそればかり聞くね」という辛辣な対応…。それなら「やりたいことは?」と聞き方を変えると、「家中の壁に落書きしたい」「お風呂いっぱいのゼリーを作りたい」など、次々とアイデアが出てきました。
生まれた128個の「やりたいこと」を、一つひとつ実現していき、自宅ではできないことは場所を探し、子どもたち自身がお店に連絡して体験させてほしいと頼むことも。活動が広がり、2022年9月には神戸で初めてイベントを開催しました。
自宅から始まった小さな活動は、回を重ねるごとに規模を大きくし、これまで34回開催、約10万人が参加したイベントへと成長しています。

大阪・関西万博で約2.4万人が来場
こども万博は、2025年には大阪・関西万博の公式会場であるEXPOメッセ「WASSE」でも開催されました。目標の5,000人を大きく上回る約2万4000人が2日間で来場しました。
2025年の取材記事はこちら
【取材】大阪・関西万博で開催された子どもが主役の2日間「こども万博」/出展企業はなぜ出展して、何を得たのか。主催者、出展者にお話を聞きました
2026年、舞台を神戸へ移して開催されたのが「ひょうごこども万博2026 in 神戸」です。2025年の大阪・関西万博で展開された「ひょうごフィールドパビリオン」の理念を、万博レガシーとして次世代へつなぐ取り組みとして、兵庫県が主催し、株式会社こどもCandyが運営しました。

地域の仕事を「体験」に変える20の企業・団体
会場となった神戸国際展示場3号館には、中央のステージを囲むように、20の企業・団体によるブースが並びました。会場の広さは2025年の約2倍です。


製造業、防災、航空、IT、伝統工芸など、出展分野は多岐にわたります。それぞれの仕事や地域の産業を、子どもたちが実際に触れ、体験できるコンテンツとして展開していました。

能美防災株式会社:消火・救助に挑むデジタルアトラクション「DIY-ビークルミッションズ」、本物の防災士から学ぶ「きょうりゅうたまごのげんさいボトル」「げんさいラジオ」の制作体験

JUNBOw(イラストレーター):兵庫県マスコット「はばタン」の作者から直接教わる「はばタンを描こう!」イラストレーター体験


その他、日本テクノロジーソリューション株式会社、JICO(日本精機宝石工業株式会社)、丹波立杭陶磁器協同組合、オリバーソース株式会社、Boeing Japan、阪急阪神不動産株式会社、PEPPY KIDS CLUB、兵庫県地域振興課、中央出版、VISIOLIZE、modegination、ZAPPA VILLAGE、兵庫芸スポ、キッズゆうえんち等が出展。
企業を訪ね、仕事を知り、アイデアを出し、商品化する
こうした会場での体験に加えて、開催前から地域企業と子どもたちが関わるプログラムも行われていました。

「こども起業家体験プログラム」は、イベントの2〜3か月前から始まっていました。子どもたちは兵庫県内の協力企業3社を訪問し、仕事を知るところからスタート。その経験をもとに企画を考え、制作、発表、商品化まで取り組みました。
協力したのは兵庫県内の企業、株式会社ナガサワ文具センター、オリバーソース株式会社、神戸北野ホテルの3社です。

ナガサワ文具センターでは、キャラクターデザイナーのJUNBOw氏と連携し、子どもたちがオリジナルキャラクターの制作に挑戦しました。こども万博から夢・ワクワク・未来などテーマを提示。「自分が作りたいキャラクター」と「依頼側が求めているもの」との間で葛藤があり悩んだ子もいたといいます。完成したキャラクターは文房具となり、会場で販売されました。

9月12日のステージでは、事前のプログラムを終えた子どもたちが登壇しました。準備してきた大きな台本を広げながら、考えたことや商品の魅力を自分の言葉で発表しました。

自分の好むキャラクターをデザインして終わりではなく、相手の求めるものに応え、アイデアを形にして商品化をして届けるという、ものづくりの一連のプロセスを体験していました。イベント当日の体験だけではなく、開催前から企業と子どもたちをつなぎ、その成果を社会に届けるところまでを含んだプログラムになっていました。
主催者の手塚麻里さんより
「私たちが大切にしているのは、一過性のイベントではなく、同じ地域で継続的に子どもと関わり続けることです。裏側を知ることで『今度はお父さん・お母さんと行きたい』という地域への流れが生まれるのも、期待しています」

まとめ:子どもの「やってみたい」を、地域で受け止める
ひょうごこども万博を取材して、最後に残ったのは「子どもの夢を応援する」という言葉でした。
私が小学生の頃になりたかったのは、漫画家でした。漫画係を拝命し、新作を描いては教室の後ろに置き、友だちに読んでもらっていました。父から「大抵の人はプロにはなれない」と言われるうちに、いつの間にか絵を描かなくなりました。穴が開くほど、夢中で紙に向かっていたあの頃が愛おしいです。
もし、あのとき「やってみたい」をそのまま受け止めて、一緒に形にしてくれる人がいたら。そんなことをこども万博の会場で考えました。


こども万博の始まりも、「将来の夢は何か」という問いではなく、「やりたいことは何か」という問いでした。やりたいことを動かすために、地域の企業が関わっています。
子どもの「やってみたい」だけでは商品は生まれません。企業だけでも子どもとの接点は生まれにくい。両者をつなぐ「こども万博」があることで、両者の関係が動き始めます。子ども向けイベントとだけ捉えるのは少し違うのかもしれません。地域×こども×企業、その3つが交わることで成立する場になっていました。

ひょうごこども万博 in神戸 開催概要
開催日時 2026年9月12日(土)・13日(日)10:00〜17:00
会場 神戸国際展示場3号館
対象 兵庫県内の未就学児・小学生およびその保護者
想定来場者数 8,000人(2日間)
入場料 無料(一部有料コンテンツあり)
主催 兵庫県
運営 株式会社こどもCandy
公式サイト https://kodomo-banpaku.com/