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イベントの取材・レポート

【取材】IVS2025「未来のCEO」たちの熱量!学生が夏の京都を目指すワケ。学生記者が学生に声をかけまくった1日

2025年7月2日から4日、国内最大規模のスタートアップカンファレンス「IVS 2025」が開催されました。学生をはじめ、国内外で活躍する起業家や投資家が京都に集まる、夏の一大イベントです。今年からは小中高校生向けのイベント、「IVS Youth」も開催されるなど、起業家を養成する気運が一層高まりました。

筆者も京都の大学に通う傍ら、個人事業主として活動しています。今回は「MICE TIMES ONLINE」のライターであり、学生という、少し変わった立場でイベントに参加しました。
この記事では、筆者と同世代に焦点を当て、彼らとの出会いや交流を通じて獲得したものをお伝えします。「IVSという言葉は知っているけど、普通のビジネスイベントとはどう違うの?」と参加をためらっている方、必見です。

IVS2025 開催概要

テーマ: “Reshape Japan with Global Minds”
日程::メインイベント: 2025年7月2日(水)〜4日(金)/ IVS Youth: 2025年7月5日(土)
場所::京都市勧業館「みやこめっせ」、ロームシアター京都 他
参加者:約13,000人(公式Xより)
主催: IVS KYOTO実行委員会 (Headline Japan / 京都府 / 京都市)

IVSは「お祭り」。学生でも対等に熱く語り合える

学生の多くはビジネス系のイベントと聞くと、「スーツを着たビジネスパーソンにせわしなく話しかけられるのでは」という心配が勝ります。筆者も仕事で、平日に行われるイベントに何度か足を運んできました。仕事と割り切って参加しても、学生の身分が足を引っ張り、肩身の狭い思いをしたことがあります。

しかし、IVSはまさに「お祭り」。
夢を追う起業家や新たな才能を探す投資家、そして、様々なバックグラウンドを持つ学生が参加しています。会場では、立場は関係ありません。誰もが対等に、未来について熱く語り合える環境がありました。
筆者も仕事でありつつ、学生という立場での参加。会場に着くまでは、「声を掛けられてセールストークをされないだろうか」と、少し心配でしたが、杞憂でした。IVSは、参加者にあまねく門戸を開いています。

首から下げるパスで学生を見分けられる!

たくさんの参加者がいる中、どのようにして目的の人物を見つけられるのでしょうか?

その方法は簡単です。参加者が首からぶら下げるパスは、4種類に分かれており、「ATENDEE」、「STARTUP(非上場かつ設立15年以内のスタートアップに勤務)」、「EXECUTIVE(売上1億円以上企業の決裁者又はVC/CVC/個人投資家)」、そして「STUDENT」があります。それぞれパスの色が違うので、すぐに見分けられます。

例えば、「STUDENT」のパスを持っている学生のところに、「ATENDEE」や、「EXECUTIVE」のパスを首から下げた参加者が話しかけている、といった場面が多く見かけられました。

また、会場に用意されたシールをパスの空欄に貼付し、身分以外にも自分の興味関心をアピール可能。「初参加」や「Deeptech」、「○○ドルまで投資可能」など、様々な属性を表示しておけます。
筆者も今回、「STUDENT」のパスを持った参加者に積極的に話しかけ、約20人の学生にお話を伺いました。

出会いや商機を求める学生の声を聞く

学生参加者の声を聞いているなかで、印象に残ったのが次の2タイプでした。ひとつは、既に学生起業をしていて、会社や事業を多くの人に知ってもらうために参加したタイプ。あるいは、起業をしたいと考えていて、先輩にアドバイスをもらったり、コネクションを求めたりしているタイプです。

どちらも「誰かと話したい!」と強い志を抱いて参加していた学生ばかり。取材にも快く対応していただき、IVSが「交流の場」として機能していると感じました。

「先輩、教えてください」起業するために来た

福本さんは、大阪国際工科専門職大学3期生。ゲームプログラミングを学んでいるそうです。しかし、自分の専門とは違う分野での起業を考えているそうです。
彼女にとってメインイベントと同じぐらい印象的だったのは、サイドイベント。みやこめっせを飛び出して、更に率直に意見交換できる場が用意されています。「ベンチャー・キャピタルの方と、アイデアの壁打ちができたのが何よりもの収穫です」と、福本さんは言いました。

京都ほか各地で開催されるサイドイベントはIVSの大きな魅力

期間中は京都の街全体を使って、有志によるサイドイベントが企画されています。参加者は専用のマッチングサービスを利用して、自由に参加可能。特定の話題により特化したイベントが開催されるため、密度の高い交流が期待できます。
「たくさんの起業家や投資家の方とお話できました。自分の課題を共有し、次に進める機会になりました」と話を終え、福本さんは雑踏に消えていきました。来年は、「STARTUP」のパスを持った彼女と会えるかもしれません。

福本さんのXはこちら: https://x.com/karintou__626

IVSはラフな場。次のビジネスの足掛かりを探しに

清水さんと橋本さん。清水さんは慶応義塾大学総合政策学部に通う傍ら、既に事業を起こした経験がある才媛。また、橋本さんは「2025ミス館林フラワーレディ」を務めているそうです。とても経験豊富な二人にお話を伺いました。

「新しい事業を立ち上げようと、コネクションを作りに来ました」と、清水さん。筆者が取材のために声をかける前もビジネスパーソンと話すなど、忙しそうでしたが、時間を割いて対応してくれました。「東京の似たイベントにも行きましたが、IVSの方が『ザ・スタートアップ』って感じで、ラフに喋れるのが特徴だと思います」と、魅力を教えてくれました。

清水さんのプロフィールはこちら: https://lit.link/nikishimizu
ミス館林フラワーレディのXはこちら: https://x.com/flower_misst3

「営業に来ました」取材を受ける時間がない現役学生社長も

声をかけた瞬間に、本気度が伝わってくる学生もいました。京大生向けの履修管理を効率化するサービスを展開している学生社長は、「今回は広告主さんを探しに、純粋に営業です」と、早口で言います。彼のような参加の仕方もOK。名刺交換だけをして足早に取材を切り上げ、去っていきました。

学びや出会いだけでなく、明確な事業目標を掲げて参加した学生社長にとって、この3日間はビジネスの最前線なのでしょう。彼に限らず、様々な想いを持ってイベントに臨む学生たち。持ち前の体力を武器に、広大な会場を縦横無尽に動き回っていました。

社会人に聞く学生の印象は「エネルギッシュ」

「ATENDEE」として参加していた方や投資家の方に、学生の印象を聞いてみました。多くのビジネスパーソンが語ったのは、「(参加学生は)エネルギッシュさ」を持っていると言います。

「広い会場を歩き回るのは一苦労ですが、私もつられてしまいます。明日は筋肉痛確定ですね(笑)」と、無料で配布されたRed Bullを片手に語ってくれました。ちなみに、会場は1階と3階、そして地下1階と、みやこめっせ全体を使っていて広大です。
学生インターンを募集している企業も多く、歩いていると筆者も何度か声を掛けられました。「IVSに来ている学生はみんな真剣なので、去年に引き続きいい人材を確保したいです」と、採用担当者。

「IVSスカラシップ」制度を使って来場する学生たち

学生の参加者たちを支えているひとつに、「IVSスカラシップ」という制度があります。これは、将来のスタートアップ業界を担う次世代の挑戦者に向けて、IVS参加機会を無償で提供するプログラム。対象は小学生から大学院生まで幅広く、採用されると交通費や宿泊費を運営が負担してくれます。

「IVSで楽しさと悔しさを感じる。地方には機会が少ない」

佐賀から来た梶原さんも、スカラシップに選ばれました。普段は、一般社団法人InnoDropsで理事を務め、地元で中高生向けの教育事業を展開しています。
「私のように地方で若者向けに事業を展開していると、IVSを見て楽しさと悔しさを感じます」と、梶原さん。「悔しさ、ですか?」と筆者が問うと、「地方には機会が少ないんです。分からなくても、IVSのような世界があると知るべきです。でも、地元の中高生はそれを知る機会さえない。だから悔しいんです」と、続けました。

「IVSスカラシップ」に投資するメリットは、全国から集まる「未来の起業家や幹部候補人材」との接点をつくれること。単なる協賛ではなく、「未来の人材と出会う」実践的な機会を得られるという点に、多くの企業が興味を示しています。
今後さらにスカラシップの制度が拡充されて欲しいです。進学という理由だけでなく「様々なきっかけで若者が京都に集まって、会えればいいな」と筆者は感じました。

一般社団法人InnoDrops:https://www.innodrops.org/


普段出会えていないだけで、世間にはこんなにも多く、志を持った同世代がいるのか……

優秀な学生と、どのようにして出会えるか――そのような悩みを解決するために、IVSはうってつけです。明るい未来を、自らの手で掴もうともがく学生と出会う環境があります。彼らの渇望は、同世代の筆者とも強く共鳴しました。本記事を書くにあたっても、背中を押されています。

IVSに参加する学生は、決して受け身ではありません。まだ見ぬ取引先と出会うために力を入れる学生社長、先輩や投資家と話すため奔走する起業家の卵など、明確な目的と熱意を持った挑戦者ばかり。筆者は将来を共有したいと思える、優秀な学生にたくさん出会えました。この機会をいただけたことに感謝しています。

日本の未来を担う若者の熱意に触れたいなら、IVSは最高の場所です。夏の京都に来れば彼らに会って、話ができます。「優秀な学生人材を確保したい」と、少しでも考えたことがあるなら、チャンスを逃す手はありません。

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