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【韓国取材】KOREA MICE EXPO 2025に出展する”テック企業”。AI通訳・翻訳/MICE特化人材採用プラットフォーム/イベントナビゲーションシステム【韓国2025秋特集3】

KOREA MICE EXPO フロアプラン

フロアマップを見て、MICEに新しい風が吹いている!とワクワクしました。これが「KOREA MICE EXPO2025」の第一印象です。日本ではまだ見かけないテックが、自然に導入されていたのです。

本展示会は、ソウル「COEX」にて過去最大規模で開催されました。編集部が注目するのはテック分野。16社の出展がありました。韓国のMICEテックを提供する会社に直接インタビュー。その動向を探ります。


Freegrow:人の流れを“見える化”するナビゲーション&データ分析システム

ぱっと見てこれは便利に違いないと思ったのが、デジタルサイネージ型ナビゲーションシステム「growmaps」

展示会や複合施設の「どこに何があるか」をリアルタイムで案内してくれる、“迷わないMICE”を実現するソリューションです。本展示会の開場である「Coex」にも導入されています。建物案内だけでなく、イベントや展示会そのものの情報も表示できる点がユニークです。

行きたい場所をタッチするだけで現在地からのルートを案内してくれます。検索も可。建物内や地下エリアなどに設置されたQRコードを読み込むことで、自分の現在地をマップ上に表示でき、迷うことなく目的地へと移動できます。

利用データを自動で集計・可視化

システムの利用履歴から、特定期間の利用者数・使用回数・機器情報などを確認。ユーザーの移動経路をリアルタイム分析、人気エリアの滞在時間・流入経路の視覚化、運営者向けのウェブダッシュボードで統計把握、商業施設では人気店舗の把握、病院では待機エリア分析、空港では混雑予測に応用可能。

どこが注目されているのか、どの導線が効果的なのか把握することで、展示会やイベントにおいては、イベント運営の改善や動線設計の最適化に役立ちます。来場者満足度だけでなく、主催者の集客効果や回遊率向上に貢献します。

Freegrow Webサイト https://grow-space.io/en


MICESTAFF:MICE人材採用プラットフォーム

日本ではMICE業界の人手不足が深刻化しています。「韓国でも同様の課題がある」と、リュ・ウンジさんは話します。

展示会やイベントの現場では、業務に携わるスタッフが欠かせません。従来の求人サイトではMICEに特化していないため、適合した人材採用が難しいという課題がありました。
MICESRAFF(マイスタッフ) では、データベースのMICE人材採用プラットフォームを提供。

独自の仕組み

・プラットフォームに求人掲載
サイトにはイベント名がずらっと並んでいます。それぞれ応募できる求人です。

・採用された方と1:1の面談

・能力分析レポート
職務態度と行動能力データを基に、コミュニケーション、問題解決能力、信頼性など、業務成果に影響を及ぼす指標を事前に把握できます。

・データを蓄積
イベント終了後には、採用した運営会社からフィードバックを収集。スタッフごとの評価データを蓄積し、次回採用時のマッチング精度向上につなげています。

・業界に特化した人材を自社で養成
現在5,000名が登録。専門性の高いカリキュラムを教えます。2024年にはソウル経済振興院(SBA)と協力して若者の就職を支援する「AI活用MICE企画者養成課程」をソウルソフトウェアアカデミー 冠岳(クァナク)キャンパスにて開講されています。

※出展:MICESAFF

MICESTAFF Webサイト https://micestaff.io/


JM CONNECTED :国際連合公式ベンダー、AIを用いた韓国の通訳・翻訳

政府機関や大手企業の国際会議、カンファレンスなどで幅広く採用されている、韓国の通訳・翻訳専門の会社です。主なクライアントには、国際連合(UN)、韓国政府機関・公共機関、Deloitte、KBS(韓国放送公社)、SAMSUNG SDS、HYUNDAI、LGなどが名を連ねています。グローバルな現場で積み上げた経験が、確かな信頼を支えています。

スマートフォン1台で利用できる同時通訳アプリを展開。1対1のビジネスミーティングから大規模カンファレンスまで対応可能。168ヶ国語に対応、日本語にも完全対応しています。

注目したいのは、AI技術を活用した通訳ソリューション。AIクラウド人工知能通訳、AI+人間通訳のハイブリッドモード、オンプレミス型AI通訳(オフライン環境でも可)の3つがあります。Android/iOSアプリ、Windows/Macソフトウェア等のサポートあり。

代表を務めるのは、かつて同時通訳として活躍していたジミン・イムさん(写真右)。妹さん(写真左)は十数年にわたり日本で勤務経験があり、取材時にも日本語で丁寧に対応してくださりました。

編集部と記念撮影

JM CONNECTED CO., LTD.
http://www.jmconnected.co.kr/index_en.htm


Editor’s note:MICEの課題は日本とも重なる。日本からの来場者を見かけない会場で感じたこと

お話をうかがったテック企業の多くは、韓国を拠点としながら海外市場に展開していました。MICEは国境をまたぐ産業。ましてや、もっとも近いお隣の国です。抱えている課題やニーズは、似ているのでしょう。一方で、日本からの出展はわずかで、来場者には日本からと思われる方はほとんど見られません。その背景には、ほかの産業同様に内需に頼った構造や、海外進出のハードル、国の支援などいくつかの事情がありそうです。

海外の展示会やイベントには、日本国内では出会えないアイデアやサービスを知る大きな機会があります。私たちも実際に参加する中で、主催者のメディア対応、来場者や出展者への配慮の違いをはっきりと実感しました。お金も時間もかけずに、取り入れられそうなものを多く見かけました。
日帰り弾丸出張も叶う距離感。海外MICEを体験する絶好の機会にもなります。KOREA MICE EXPOへの視察、来年のカレンダーに加えてみてはいかがでしょうか。

KOREA MICE EXPO https://koreamiceexpo.com/

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