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就活生必見!MBTI無料診断の落とし穴と安全な自己分析3ステップ:元MBTI認定ユーザーが伝えるMBTIの本来の姿【MICEキャリアナビ】

就活の自己分析で人気のMBTI無料診断。MBTIの利用には本来は専門家であるMBTI認定ユーザーの正しいフォードバックが必要です。しかし「16Personalities」などの“もどき”診断には危険性も。採用差別や機会損失のリスクを避け、ビッグファイブなど科学的な方法で安全に自己分析を進める3ステップをMBTIのことをよく知る、元MBTI認定ユーザーが解説します。

MBTI無料診断ブームの舞台裏――学生がハマる3つの理由

就職活動において「自己分析」は避けて通れない重要なプロセスです。そのツールとして、近年、多くの学生が「MBTI」や「16タイプ診断」といった性格診断に注目しています。手軽に自分を知るきっかけとなり、友人とのコミュニケーションツールとしても機能するこのブームは、なぜこれほどまでに広がったのでしょうか。

ブームの背景にある学生の心理と社会的な要因を解き明かし、分析していきます。一見便利なツールが、実は就職活動という重要な局面で思わぬ落とし穴になる可能性も秘めているのです。

検索急上昇ワード「16タイプ診断」とは何か

就活生の間で「自己分析の定番」かのように語られる「16タイプ診断」ですが、その正体は何なのでしょうか。多くの人が利用しているのは、主に「16Personalities」という無料のオンライン診断サイトです。この診断は、4つの心理的な指標(興味関心の方向:外向E/内向I、ものの見方:感覚S/直観N、判断の仕方:思考T/感情F、外界への接し方:判断J/知覚P)の組み合わせによって、性格を16のタイプに分類するとされています。

この診断の最大のメリットは、何と言ってもその手軽さです。無料で会員登録も必要なく、約10分という短時間で診断結果が得られるため、多くの学生が気軽に試すことができます。結果は友人との会話の種になったり、自分自身を少し客観的に見る最初のきっかけになったりするでしょう 。しかし、その手軽さの裏には大きなデメリット、すなわち「誤解」が存在します。この診断は、スイスの心理学者カール・ユングの理論を基に開発された、国際的に認められた正式な性格検査「MBTI(マイヤーズ・ブリッグス・タイプ指標)」とは全くの別物なのです。日本MBTI協会も、16PersonalitiesはMBTIのタイプ表記を模倣しているものの、質問内容や結果の算出方法が根本的に異なると明確に注意を促しています。

参考:日本MBTI協会
16Personalities性格診断テストを「MBTI®」だと思って受けられた方へ

https://www.mbti.or.jp/attention

したがって、この診断の活用法としては、あくまで友人とのコミュニケーションを豊かにするエンターテイメントや、自分について考える「最初のとっかかり」程度に留めるべきです。就職活動のような、自身の将来を左右する重要な意思決定の根拠として、結果を鵜呑みにすることは非常に危険と言えるでしょう。当然、採用活動にそのまま利用しているような企業がいれば、MBTIの倫理規定にも触れることになるため、注意が必要です。

表1:「MBTI®」と「16Personalities」の主な違い

特徴MBTI® (公式)16Personalities(無料診断サイト)
運営団体Myers-Briggs Foundation, 日本MBTI協会などNERIS Analytics Limited
理論的背景C.G.ユングの心理学類型論独自モデル「NERIS」(MBTI+ビッグファイブ要素)
プロセス認定ユーザーによる対話形式のフィードバックが必須Web上で質問に回答し、自動で結果が表示される
目的自己理解を深め、個人の成長やチームの発展に活かす自己探求のきっかけ、エンターテイメント
科学的信頼性長年の研究とデータ蓄積、国際的な利用実績学術的な検証や研究蓄積は限定的

SNS拡散で広がる“自己分析=MBTI”という思い込み

なぜ多くの学生が、16Personalitiesを正式なMBTIと混同し、「自己分析の決定版」のように感じてしまうのでしょうか。その背景には、SNSによる爆発的な情報拡散があります。この診断は、「提唱者(INFJ)」や「建築家(INTJ)」といった、個性的でキャッチーな名称と、親しみやすいイラスト付きで結果が表示されます。「シェアしたくなる」デザインが、特に若者世代の心をつかみ、SNS上で瞬く間に広がりました。この拡散こそが、「就活の自己分析といえばMBTI」という短絡的な思い込みを社会に定着させた大きな要因です。

この現象にはメリットとデメリットの両側面があります。メリットとしては、性格タイプが一種の「共通言語」となり、他者との違いを認識し、コミュニケーションのきっかけを生む点が挙げられます。例えば、「自分は内向型(I)だから、初対面の人と話すのは少しエネルギーがいるんだ」といった形で、自分の特性を相手に伝えやすくなるかもしれません。(ちなみにMBTIの「内向」は内気な性格を指すものではありません)

しかし、デメリットはより深刻です。この手軽な「ラベリング」は、「私は〇〇タイプだから、リーダーシップは向いていない」といった自己限定や、「あの人は△△タイプだから、きっと計画性がないだろう」という他者への偏見や固定観念を助長する危険性をはらんでいます。これは、かつて日本で流行した血液型性格診断が、科学的根拠なく人を分類し、時として人間関係に悪影響を及ぼした構図と酷似しています。誰かとの相性診断のように活用する方も見かけますが、そもそも、MBTIには相性論はありません。

診断結果は、あくまで自分や他者との対話のきっかけとして活用するのが賢明です。診断結果のラベルで相手を判断したり、自分の可能性に蓋をしたりするのではなく、「自分にはこういう傾向があるのかもしれない」「あなたの場合はどう?」と、お互いの多様性を理解するための一つの材料として捉える健全な姿勢が求められます。

無料診断アルゴリズムが結果を左右する仕組み

無料診断サイトの結果は、一体どのような仕組みで導き出されているのでしょうか。16Personalitiesが採用しているのは、MBTIの理論をベースにしつつも、現代心理学で最も信頼性が高いとされる「ビッグファイブ理論」の要素を一部取り入れた、独自の「NERISモデル」と呼ばれるものです。具体的には、MBTIが用いる4つの指標に加えて、ビッグファイブ理論の「神経症的傾向(感情の安定性)」に関連する「-A(Assertive:自己主張型)/-T(Turbulent:激動型)」という5番目の指標を加えています。これにより、同じ4文字のタイプでも、例えば「INTJ-A」と「INTJ-T」のように、より細分化された結果が表示されるのです。これは、MBTIの理論を独自に拡張・再解釈したものであり、純粋なMBTIとは異なるアルゴリズムに基づいています。

この仕組みのメリットは、アルゴリズムによる自動判定のため、診断後すぐに詳細な結果が得られるという即時性と利便性にあります 。一方で、デメリットとして、この独自モデルの学術的な妥当性や信頼性が、長年の研究蓄積を持つMBTIやビッグファイブ理論そのものと同等に検証されているとは言えない点が挙げられます。さらに、多くの利用者が経験するように、診断を受ける時々の気分や体調によって結果が変わりやすいという不安定さも指摘されています。これでは、一貫した自己理解の指針とするには不十分です。

したがって、診断結果は、その時々のあなたの心理状態を写し取った「スナップショット(瞬間写真)」のようなものだと理解することが重要です。もし何度か試して結果が異なるのであれば、「一つの結果が絶対的な自分だ」と固執するのではなく、「自分にはこういう側面も、ああいう側面もあるのかもしれない」と、自身の多面性を知るきっかけとして捉えるべきでしょう。


MBTIもどきを就活自己分析に使うと危ない3つのリスク

ここまで、無料の16タイプ診断ブームの背景とその仕組みについて解説してきました。手軽で面白いツールではありますが、就職活動という人生の重要な岐路で「自己分析の柱」として用いることには、看過できないリスクが伴います。次は、その危険性を「キャリアの機会損失」「採用における不当な評価」「個人情報」という3つの具体的な観点から深掘りし、皆さんが陥りやすい落とし穴について警鐘を鳴らします。

タイプ固定化によるキャリア選択の機会損失

無料診断がもたらす最大のリスクの一つは、診断結果を過度に信じ込むことで、無意識のうちに自分の可能性を狭めてしまうことです。例えば、「あなたは論理学者タイプ(INTP)です。内向的で、論理的な思考を得意としますが、単純作業や感情的な対応は苦手です」といった結果を見て、「なるほど、自分はそういう人間なんだ」と深く納得してしまうと、心理学で言う「ラベリング効果」が働きます。つまり、貼られたラベルに合わせて、自分の行動や考え方を無意識に制限してしまうのです。

一時的に「自分はこういう人間だ」とタイプ分けされることで、複雑な自己分析から解放されたような安心感や、自己理解が深まったかのような感覚を得られるかもしれません。しかし、これは幻想のようなもの。この安心感の代償は、計り知れない「機会損失」です。診断結果が示す典型的なイメージに合わないという理由だけで、特定の業界や職種を最初から検討対象外にしてしまうことで、本来であればあなたが輝けたかもしれない、数多くのキャリアパスを自ら閉ざしてしまうことになるのです。

具体例を挙げましょう。ある学生が「論理学者(INTP)」と診断され、「自分には思考力が求められる仕事が向いていて、ルーティンワークは向いていないはずだ」と思い込んだとします。その結果、適職として紹介されやすいIT業界やコンサルティング業界だけに視野を狭めてしまうかもしれません。実際には、製造業における緻密なデータ分析を伴う品質管理、建設業界での新しい工法を考案する技術開発、金融業界での数理モデルを用いたリスク分析など、彼の論理的思考力を活かせる現場は、思いもよらない多様な業界に無数に存在します。診断結果への固執が、こうした未知の可能性を発見する目を曇らせてしまうのです。

MBTI認定ユーザーになるための研修では「どの職業にどのタイプが向いているというものはない」と明確に教わります。どの職業にも16のすべてのタイプの方がいるからです。自分のタイプをその職業でどのように活かすのかを考えるのに、MBTIはとても有効ですが、適職判断ツールのような使い方は誤った使い方です。

採用プロセスでの不当評価と法的リスク

エントリーシートや面接の場で、「私の強みは、ENFP(広報運動家)タイプとしてのコミュニケーション能力です」といった形で、無料診断の結果を安易に自己PRとして使ってしまう学生が見受けられます。いうまでもなく、非常に危険な行為です。科学的根拠が不十分な診断結果に基づいて、採用担当者に意図しない偏見やステレオタイプを抱かせ、不当な評価につながるリスクがあるからです。

そもそも、国際的な性格検査であるMBTIの公式機関でさえ、採用選考のような「人を選別する目的」でこのツールを使用することを、倫理的な観点から明確に不適切であると定めています。にもかかわらず、一部の採用担当者が、学生の性格を手軽に判断するための参考情報として、これらのタイプ論に関心を持ってしまう可能性は否定できません。学生にとっては、本来の能力やポテンシャルとは無関係な「タイプ」というラベルだけで、「自社の社風には合わないかもしれない」と判断されてしまう、計り知れない不利益が生じます。企業側にとっても、診断結果というフィルターを通して、本来は優秀な人材を見逃してしまう損失につながります。

さらに、厚生労働省は「本人の適性や能力に関係のない事項を採用基準とすることは、就職差別につながるおそれがある」という見解を示しています。特定の性格タイプを直接的な不採用の理由とすることは、この「公正な採用選考」の原則に反する可能性があり、法的・倫理的な観点からも極めて問題のある行為なのです。例えば、「協調性」を重視する企業に対して「指揮官(ENTJ)」というタイプを伝えた場合、その学生が本来持っているチームへの貢献意欲や協調性とは無関係に、「個人主義的で強引かもしれない」というラベルのイメージだけで、不適切な評価を受けてしまう可能性があるのです。

参考:厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」
https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html

診断サイトの個人データ二次利用&プライバシー問題

「無料」で利用できるサービスの裏側には、必ず何らかのビジネスモデルが存在します。無料の性格診断サイトも例外ではありません。慈善事業で運営されているわけではなく、利用者が診断を受ける過程で入力した情報、すなわち「あなたの性格に関するデータ」を収集し、ビジネスに活用していると考えられます。

利用者にとってのメリットは、言うまでもなくサービスを無料で享受できることです。その対価として、私たちは自分自身の性格や価値観といった、極めてプライベートで機微な情報をサイト運営者に提供しています。実際に、16Personalitiesのプライバシーポリシーには、診断への回答データが「サービスの改善」や「科学的・統計的調査」の目的で利用される可能性があると明記されています 。もちろん、データは個人を特定できない形で処理されると記載されていますが、自分の情報が具体的にどのように扱われ、分析されているのか、利用者に完全に透明化されているわけではありません。

具体的には、診断サイトは収集した膨大な性格データを分析し、新たな有料サービス(より詳細な分析を提供するプレミアムレポートなど)の開発や、マーケティングリサーチに活用しているかもしれません。悪質なサイトになると、診断の際にSNSアカウントとの連携を要求し、診断とは直接関係のない個人情報(友人関係や投稿内容など)まで不正に取得しようとするケースも報告されています 。私たちは、「無料」という言葉の裏で、自分自身のデータが商品となっているという現実を、冷静に認識する必要があります。


安全で科学的な自己分析へ乗り換える3ステップ

ここまで、無料の16タイプ診断に潜む様々なリスクについて解説してきました。「では、一体どうすれば安全に、そして効果的に自己分析を進められるのか?」という疑問が湧いてくるはずです。リスクをともなう“もどき”診断から卒業し、就職活動で本当に役立つ、客観的で科学的な自己分析を行うための3つのステップを紹介します。診断ツールを「答え」として鵜呑みにするのではなく、「自分を深く知るためのきっかけ」として賢く使いこなし、より豊かな自己理解へと繋げるための実践的な方法論です。

エビデンス重視ならビッグファイブ性格検査

信頼できる自己分析の第一歩として、まず知っておくべきなのが「ビッグファイブ理論」です。現在の心理学において、個人の性格を記述するモデルとして最も科学的なコンセンサスが得られている理論です。人を16種類などの「類型」に分類するのではなく、人間の性格は基本的に5つの主要な特性(因子)の組み合わせで説明できるとする「特性論」に基づいています。

その5つの因子とは、「開放性(新しい経験や知的な物事への好奇心の強さ)」「誠実性(真面目さ、計画性、責任感の強さ)」「外向性(社交性、活発さ)」「協調性(優しさ、他者への配慮、協力的な姿勢)」「神経症的傾向(感情の安定性、ストレスへの耐性)」です。これらの5つの因子のスコアがそれぞれどのくらい高いか、あるいは低いかによって、個人の性格の輪郭を捉えようとします。

ビッグファイブ理論を用いる最大のメリットは、その科学的信頼性です。長年の膨大な研究によって、この5つの因子が文化を越えて普遍的に見られることや、その測定の信頼性・妥当性が確認されています。特に「誠実性」の因子は、多くの職種において仕事のパフォーマンスと有意な相関関係があることが示されており、採用担当者も注目する重要な指標の一つです。一方でデメリットとしては、「あなたは〇〇タイプです」というような分かりやすいラベルが提供されないため、結果の解釈が少し難しく感じられるかもしれません。

ここで最も重要なことをお伝えします。それは、ビッグファイブといえども、その結果に依存しすぎるのは危険だということです。 人間の行動は、持って生まれた性格だけで決まるわけではありません。その場の状況や、これまでの経験、人間関係など、様々な要因が複雑に絡み合って決まります(これは心理学で「状況相互作用論」と呼ばれます)。したがって、診断結果は「絶対的な自分」ではなく、あくまで「自分を客観的に理解するための一つのデータ」として冷静に受け止める姿勢が不可欠です。診断結果のスコアの高低に一喜一憂するのではなく、「自分にはこういう傾向があるのか」と自己を客観視するための材料として活用しましょう。例えば、「誠実性」のスコアが高く出たなら、それを裏付ける具体的なエピソード(ゼミ活動での役割、アルバイトでの工夫など)を過去の経験から探し出し、説得力のある自己PRへと繋げていくのです。

※MBTIでは認定ユーザーのフィードバックをもとに自分がしっくりくる「ベストフィットタイプ」を見つけます。このベストフィットタイプはその後の人生において「変化」することもあります。

表2:科学的自己分析の第一歩「ビッグファイブ」5つの要素

因子 (Factor)傾向が高い人の特徴傾向が低い人の特徴就活でのヒント
開放性(Openness好奇心旺盛、創造的、新しいことにオープン現実的、伝統を重んじる、安定志向企画職、研究職、クリエイティブ職など、新しい発想が求められる仕事で強みを発揮しやすい。
誠実性 (Conscientiousness責任感が強い、計画的、真面目で努力家柔軟、アドリブに強い、楽観的多くの職種で仕事の成果と関連が深い最重要因子。自己管理能力をアピールできる。
外向性(Extraversion社交的、活発、人と関わることでエネルギーを得る内向的、思慮深い、一人の時間を大切にする営業職、接客業、チームをまとめるリーダー職などで対人能力を活かしやすい。
協調性 (Agreeableness優しい、協力的、共感性が高い、チームワークを重視主張が明確、競争心がある、独立的チームでの業務やサポート職、顧客対応などで円滑な人間関係を築く力として評価される。
神経症的傾向 (Neuroticismストレスに敏感、感情の起伏が大きい、心配性情緒が安定、冷静、ストレスに強い高い場合は繊細さや慎重さ、低い場合はストレス耐性として捉えられる。自己理解が重要。

無料かつ高精度な代替ツール3選の比較ポイント

ビッグファイブ理論の有効性を理解したところで、次に気になるのは「どこで診断できるのか?」という点でしょう。幸いなことに、ビッグファイブ理論に基づいた、無料で利用できる信頼性の高い診断ツールがいくつか存在します。闇雲に検索して出てきたサイトを使うのではなく、信頼できるツールを選ぶことが重要です。

代表的なツールとしては、月間約5万人が利用し、多くの教育機関や企業でも活用されている「BIG5-BASIC」が挙げられます。また、学術的な利用も想定されたオープンソースのプロジェクトとして開発されている「BigFive-Test.com」なども手軽に試せる選択肢の一つです。これらのツールを比較検討する際のポイントは、「質問項目の数(一般的に多いほど精度が高まる傾向にある)」「結果表示の詳しさ」、そして特に「ライスケール(虚偽回答傾向の測定指標)の有無」です。

ライスケールとは、回答者が自分を良く見せようとしていないか、あるいは過度に悲観的に回答していないかといった、回答姿勢の歪みを検出するための指標です。「BIG5-BASIC」のように、このライスケールを導入し、診断結果の信頼性そのものを評価してくれるツールは、より客観的で冷静な自己分析を行う上で非常に有用です。

ツールを活用する際は、一つの結果を信じ込むのではなく、可能であれば複数のツールを試してみることをお勧めします。異なるツールで共通して高く(または低く)示された因子があれば、あなたの性格の中核をなす、比較的安定した特性である可能性が高いと考えることができます。その結果を参考に、自分の強みや弱みを具体的な言葉で表現する練習をしてみましょう。

※くれぐれもあくまで「診断ツール」であることを忘れないようにしましょう。出てきた結果は答えではなく、自分を知るための「ヒント」です。MBTIにしても、ビッグファイブにしても診断結果が答えにはなりません。

面談・ワークシートで自己分析を深める実践術

性格診断ツールは、あくまで自己分析の「入り口」に過ぎません。自分自身を本当に深く、立体的に理解するためには、ツールが提示するデータと、自分自身の具体的な「経験」とを結びつける作業が不可欠です。そのために最も有効なのが、「ワークシートを用いた内省」と「他者との対話」、特に「大学のキャリアセンターでの面談」です。

自分史やマインドマップといったワークシートは、過去の出来事を時系列で書き出し、その時々の感情やモチベーションの浮き沈みを可視化することで、自分の価値観や何に喜びを感じるのか(モチベーションの源泉)を具体的に発見するための強力なツールとなります。一方、大学のキャリアセンターは、皆さんのキャリア形成を支援するために存在する専門機関です。経験豊富な相談員との面談を通じて、自分一人では気づけなかった客観的な視点や、新たな強み、可能性を発見することができます。これらの方法は、10分で終わるオンライン診断とは異なり、確かに時間と労力がかかります。しかし、得られる自己理解の深さは、比較になりません。

具体的な活用法として、作成した自分史やビッグファイブの診断結果を持参してキャリアセンターで相談してみましょう。そうすることで、単に「自己分析を手伝ってください」と訪れるよりも、はるかに具体的で、あなた個人に寄り添った深いアドバイスを得ることが可能になります。

MBTI認定ユーザーからのフィードバックを受けることで「多様性の理解」につながる

そして最後に、もしあなたがMBTIという理論そのものに強い興味を持ったのであれば、日本MBTI協会が認定する専門家(認定ユーザー)によるフィードバックセッションを体験することを検討してみてください。これは、オンラインの“もどき”診断とは全くの別物です。私も昔、3日間におよぶ研修と課題(試験)を経て、認定ユーザーの資格を得ました。理論だけではなく、倫理規定や使い方について多くの時間が割かれていました。それはかつてアメリカで、ビジネスパーソンの多くが名刺にMBTIタイプを記載するほどの熱狂があり、結果としてMBTIがその価値を見失った過去があるためです。「考え方」が向いていないと判断された受講者は、資格取得ができなくなる、それほど徹底されていたことが印象的でした。

単に診断結果を渡されるのではなく、専門家との対話を通じて、様々な角度から自分自身を吟味し、「自分にとって最も自然でしっくりくるタイプ(ベストフィットタイプ)」を主体的に探求していくプロセスです。この対話的な体験は、自分自身のまだ見ぬ可能性を発見するだけでなく、自分とは異なるタイプの人々の価値観を尊重する「多様性の理解」にもつながります。それはきっと、これからのキャリアを歩む上で、何物にも代えがたい豊かで価値のある経験となるはずです。

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