
【取材】特別講演会に大阪府知事・吉村さん登壇!設立から10年を記念し大阪開催、過去最高の参加者数を記録(JCMA第10期社員総会)翌日には大阪・関西万博の視察
一般社団法人日本コンベンション協会(以下:JCMA)は、2024年度の社員総会を6月9日(水)に大阪府立国際会議場で開催しました。本年は設立10周年の節目。MICE業界を支えるキーマンが一堂に会し、過去10年の歩みと、業界のこれからを考える1日になりました。
「MICE TIMES ONLINE」編集部はJCMA会員として参加するとともに、イベントの様子をプレスとして取材を行いました。
本記事のポイント
・関西開催、関西支部の立ち上げ
・過去最多の参加者数を記録
・大阪府知事の吉村さんの講演、万博とMICEの可能性を提示
イベント概要:JCMA第10期(2024年度)社員総会
本年はJCMA設立10周年の節目として、総会と記念事業を大阪で開催。翌6月10日には、大阪・関西万博会場内の視察および交流会も行われました。「東京以外での開催は参加者数への不安もあった」とのことですが、過去最多の参加者を記録し、意見交換会には340名が参加するなど、大きな盛り上がりを見せました。
会期: 2025年6月9日(月)14:30~19:30
会場:大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)
参加者:JCMA会員および業界関係者 約 350 名
「社員総会」および「意見交換会」に参加したJCMA会員限定で、翌10日には、JCMA 10周年記念企画「大阪・関西万博 視察プログラム」が実施されました。


スケジュール
14:30-16:00 第10期(2024年度) 社員総会
16:15-17:15 特別講演会 大阪府知事・吉村 洋文 氏
17:30-19:00 意見交換会

10日のイベントの様子はこちら


設立から「10年」合併と発展の軌跡
JCMAは2015年度、業界を牽引してきた日本PCO協会(JAPCO)と日本コンベンション事業協会(CPA)の2つの協会の統合により発足しました。スタート時点での会員数は197団体。10年を経て新たに88団体が加わりました。
当時は、観光庁の設立や政府によるMICE戦略の推進、G20・G7といった国際会議の国内開催など、“国を挙げてのMICE振興”が進められていた時期。「業界が2分されている場合ではない」と、統合に至った背景があります。コロナ禍という最大の危機を乗り越えながらも、JCMAは着実な成長を遂げてきました。



2025年の活動方方針はプレゼンスの向上
2025年度のJCMAの活動方針として掲げられたのは、MICE産業全体のプレゼンス(認知度・地位)の向上です。6月の総会では、2年に一度の役員改選が実施され、新たな体制が2025年6月〜2027年6月の任期でスタートしました。
代表理事を務める武内紀子さん(株式会社コングレ 代表取締役社長)は、「次の世代を見据えて、業界でイキイキと活躍できる環境を整えていきたい」と語ります。
「関西支部」始動と「若手人材」への投資
活動のキーワードのひとつが「関西支部」の立ち上げ。これまで東京に活動拠点が集中していたJCMAですが、地域の会員も積極的に参画できる仕組みづくりが進められています。今回の大阪開催は、その“第一歩”なのですね。
一方で、MICE産業の持続的な発展には、次世代を担う若手人材の確保と活躍の場の創出が欠かせません。JCMAでは人材育成に関する委員会を通じて、若い世代が業界で活躍しやすい場をつくりたいと武内さん。次世代委員会の設立や、若手主導のプロジェクトチームの編成も進行しています。
代表理事:武内 紀子さん(株式会社コングレ 代表取締役社長)
副代表理事: 近浪 弘武さん(日本コンベンションサービス株式会社 代表取締役社長)
人材育成委員会:奥野 晃治さん(株式会社 JTBコミュケーションデザイン取締役執行役員)
会員交流委員会:芳澤 明信さん(キッセイコムテック株式会社 取締役)
広報委員会:前野 伸幸さん(株式会社ホットスケープ 代表取締役)
ダイバーシティ推進委員会:西田 美樹さん(株式会社PCO 代表取締役社長)
国際交流推進委員会:馬鳥 誠さん(株式会社横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)常務取締役)
次世代委員会:南﨑 康貴さん(株式会社放送サービス 代表取締役社長)
SDGs委員会:小島 規美江さん(株式会社JTB総合研究所 客員研究員)
関西支部:松田 健さん(日本コンベンションサービス株式会社 執行役員)
事務局長:藤 泰隆さん(日本コンベンションサービス株式会社)

30秒のプレゼン:新入会員17社が登壇しPR
新たにJCMAに加わった17名の新入会員による30秒プレゼンテーションも行われました。時間は30秒。それぞれの立場から見るMICE業界への思いや期待が、簡潔かつ力強く語られていたのが印象的でした。
当メディア「MICE TIMES ONLINE」も、新入会員として登壇の機会をいただきました。登壇後の交流会では、「先ほどアプリの話をされていた方ですよね?」と声をかけてくださる方も。短いプレゼンがしっかり届いていたこと、そしてPRの場として大いに機能していたことを実感しました。会員としてこのような機会を得られるのは、とてもありがたいことです。

吉村知事の講演:万博の「成功」を大阪の「成長」へ
特別講演には、大阪府知事・吉村洋文さんが登壇。テーマは「万博の成功を大阪の成長と未来につなげる」。万博を単発のイベントにとどめず、MICE都市・大阪の未来戦略の一部として捉える姿勢が示されました。
万博の目玉である『大屋根リング』は、直径約2km。世界最大級の木造建築です。東京の参加者にも分かりやすいよう「スカイツリーの高さと、大屋根リングの直径は同じなんです」と紹介する場面も。”世界に売り出せる日本の強み”として、万博施設の価値を伝えました。

これまで、『G8財務大臣会合』や『Sibos(サイボス)』『G20大阪サミット』『G7大阪・酒井貿易大臣会合』『ツーリムズEXPOジャパン2023 大阪・関西』など、数々の国際イベントを成功させてきた実績を持つ都市です。こうした背景から、吉村知事は「MICEの実績と環境がそろった場所であることを、もっと知ってもらいたい」と力を込めました。
また、2030年秋頃の開業を目指し、統合型リゾート(IR)の整備が進められています。IRは、大規模会議場や展示場、ホテル、エンターテインメント施設などを一体化した“オールインワンMICE施設”。現在の日本には、こうした世界基準のMICE複合施設が少なく、IRが整備されることで国際競争力の高いMICE誘致が可能になると吉村知事は期待を寄せました。

交流会:10周年を祝う演出、韓国からも参加
総会後には、約1時間半にわたる交流会が開催されました。参加者同士が自由に語り、業界の横のつながりを築く貴重な場となりました。




※MOUとは
契約や条約、協定などが正式に締結される前段階の合意文書(覚書)のこと。条約や契約書と異なり、法的な拘束力はありません。







サステナビリティを意識したスマートな運営

ペーパーレスの取り組みが進められていました。資料は事前にパスワードと閲覧期限付きのPDF形式で共有。参加者は各自のPCやタブレットで確認し、必要な方のみ印刷するスタイルが採用されていました。



入場には、bravesoft社のイベントDXツール「eventos」が活用され、QRコードをかざすだけでわずか1秒ほどで入場が完了。煩雑な受付手続きを省き、スムーズな導線を実現していました。

Editor’s note:MICEは価値のある仕事
イベントの最後に締めくくられた言葉は「MICEは価値のある仕事です。誇りをもってほしい」。MICEの認知をどう広げていくのか。そのためには次世代の育成と、地域への活動拠点を広げていくことを重要視するという方針が話されました。その価値を信じ、MICEの認知を広めていくJCMAの挑戦が始まっています。