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【取材】香川発のスタートアップ祭典「かがわスタートアップフェスタ2025」に参加した大勢の親子連れ 実際に参加してどうだったのか、お話を聞いてみました

2025年9月14・15日、香川発のスタートアップの祭典「かがわスタートアップフェスタ2025」〜スタートアップと描く香川の未来〜 がサンポート高松の高松シンボルタワーにて開催されました。香川県内のスタートアップが生まれ育つよう、起業家や支援者との交流を目的とした祭典です。1日目はビジネスコンペ、2日目日は企業のPRブースに加えて、子ども向けのワークショップやプログラミング教室など体験型のコンテンツが盛りだくさん。さらに同会場ではスプレーアートやダンス発表会もあるということで、親子連れを集客したいという主催者側の意図も感じました。「子どもから大人までがスタートアップに触れ、理解を深め、応援する機運を醸成する」ということがイベントの目的に掲げられていることもあり、今回は参加した親子の皆さんに注目して、イベントの様子をお伝えします。

※2025年9月15取材

会場のサンポート高松 高松シンボルタワー
会場のサンポート高松 高松シンボルタワー
かがわスタートアップフェスタ

まるでアニメの世界!車からロボへリアル変形する「ファイバリオン」の操作体験

Stage A会場で一際目を引いたのは、真っ赤に輝くロボット「ファイバリオン」。見た目だけでなく、ロボットと自動車の変形を現実世界で具現化したというのだから驚きです。身長2.5メートルのロボットが、行動走行可能なミニカーに変身します。勇者ロボット基礎構造フレーム「ジェムストンフレーム」を内部構造にもつ1号機です。

会場では実際にアーム部分を動かす体験ができました。小さなお子さんでも簡単に操作可能なので、親子連れの行列ができていました。わたしも並んでいざ体験!

レバーでアーム部分の上げ下げをしたり、センサー付きの手袋を装着すると、指の動きがトレースされて、花束を握るという繊細な動きも再現できます。この展示だけでも、本イベントがどのようなテーマを掲げているのか、すぐに理解ができました。

動画:音が流れます

勇者ロボはこうして生まれた!勇者技術研究所の挑戦

開発しているのは「勇者研究所」というサークル。ロボット建造師の石田さんの会社である株式会社BRAVE ROBOTICSさんのアイデア、香川で長年医療機器・システムをつくってきた尾路医科機械さんの技術力、ICOMAさんのスタイリング・デザイン力を結集し、まずは色んな可能性を試せるサークル活動として製作を進めています。

かがわスタートアップフェスタ

株式会社BRAVE ROBOTICSのロボット建造師の石田さん(右)尾路医科機械の尾路さん(左) ロボット大会で競争相手として出会い、今は一緒に開発する仲間となるというこれまたアニメのような胸熱な展開のお二人

モーターけで年単位の開発期間、最新テクノロジーで目指すロマン

特に注目すべき革新的な技術は、「薄型モーター」といいます。この大きさのロボットにベストなサイズのモーターを開発するところに最初の2~3年は費やしたそうです。同技術が人型ロボットの可能性を大きく広げ、応用することで工事現場で車を動かす人型ロボット誕生につながるのではと期待が高まります。

人間が行うのに危険な仕事や、災害などの危険な環境で働ける人型ロボットができるとしたら、ヒーローロボットアニメの世界も夢じゃないかも!ゆくゆくは各都道府県や自治体ごとにロボットを置いて欲しいというお二人の夢もお聞きできました。


かがわスタートアップフェスタ

なんと講師は小学生!宇宙開発に応用される折り紙ワークショップ

香川発のロケット開発ベンチャー企業・株式会社スペースボアは新型ロケットエンジンの開発で香川県の産業を活性化させ、ロケットを用いたより実践的な科学技術教育をおこなっています。かがわスタートアップフェスタでは、PRブースの他に「宇宙開発と折り紙ワークショップ」を開催。ワークショップには小学生くらいの子ども達が多数参加していました。
登場した講師の先生は、なんと小学5年生のDr.HALくん。日本折り紙協会公認のクリエイターで、折り紙講師として活動されています。

まずは折り紙と宇宙の関わりについて、スライドを用いて解説するDr.HALくん。
宇宙ソーラーパネルには「ミウラ折り」という日本人の方が開発した折り紙の折り方が採用されていて、もっとも効率よく折りたためて、展開も簡単と説明。HALくんの手元を大画面で映しながら、子どもたちも一緒にミウラ折りに挑戦していました。


かがわスタートアップフェスタ

子どもがここからうごかない!?レゴで作るワクワクロボット

Stage C会場でも親子で溢れている場所がありました。香川高専 詫間キャンパスの提供するレゴでつくる簡単ロボット教室です。

かがわスタートアップフェスタ

高専生も一緒に楽しむものづくり

高専4年生と2年生の彼らは、「休日に子どもに教える係をやりたい人〜?」と聞かれた時に自ら手をあげて立候補してきたのだとか。熱中している子どもたちの様子に、「何もない状態からアイデアがすごい」と刺激を受けている様子でした。

かがわスタートアップフェスタ

「市販のレゴにはない部品もあるから、そこも面白いんだと思う」
「女の子の参加もあって、高専は女子が少ないから、小さい時から機械やシステムに触れられる機会があるといいんじゃないのかな」

大人も子どもも夢中!レゴカーづくり

実際に参加していて、レゴカーの力作を組み立てていた親子の皆さんにインタビューしてみました。

かがわスタートアップフェスタ

・6歳(小1)このレゴカーを目当てにかがわスタートアップフェスタに来たそう。1時間ほど制作して「楽しい」と言っていました。モーター以外の部分にも可動パーツをつけて動かそうと試行錯誤中。

かがわスタートアップフェスタ

・4歳と3歳の兄弟 30分ほど滞在。普段からYouTubeでレゴの動画をみているお子さんで、職場の人からこんなイベントがあるよと教えてもらって、レゴ体験を目当てにイベントに参加されたとのこと。こだわりポイントは飾りの赤い羽の装飾。お父さんも夢中で大きなタイヤを組み合わせていました。

かがわスタートアップフェスタ

・中学3年生 2時間ほど滞在。お昼の時間帯になり、人が減った中でも黙々と作業を続行。ぜんまいパーツを組み合わせてオリジナルな動きを追求していました。

かがわスタートアップフェスタ

小さな手から可能性が広がる。年齢に合わせたものづくり体験

その横のブースでは、香川高専の高松キャンパスの先生方が、各年齢に合わせたものづくり体験コーナーをおこなっていました。初めてはんだこてをする子もいます。年齢とその時にかけられる時間に合わせて、小さいものから本格的なものまで体験できるブースでした。


かがわスタートアップフェスタ

初めてのプログラミング体験 2時間でゲームをつくっちゃおう

Stage D情報通信交流館では、株式会社ハイレゾ、さくらインターネット株式会社の2社共同による子ども向けプログラミング教室が開催されていました。私が取材した回は男の子10名、女の子4名の合計14名の子どもが参加されていました。

かがわスタートアップフェスタ

IchigoJamって何?子ども向けコンピューターの魅力

子ども向けコンピュータ「IchigoJam(イチゴジャム)」を使用し、BASIC言語を使ったプログラミングに挑戦してもらうというもの。2時間で川下りゲームをつくっていました。

これが使用されているIchigoJam。基盤とモニター、キーボード、電源を繋ぐだけで、キーボートからの入力でプログラミングを始められる装置です。

画面でどんな指示を出すか、試すかなど案内しながら、子ども自らがプログラミング。スタッフが間をまわりながら手助けをしていました。

かがわスタートアップフェスタ

参加者の声から見える学びのリアル

・小学4年生の男の子
「難しかったけど楽しかった」とのこと。学校でもらってきたチラシをみて、お母さんが息子さんがゲームが好きだし、興味がありそうだとおもって参加したそうです。学校ではタブレットは音声入力がメインなので、キーボードを使う良い機会だったとのこと。学校でできない体験ができる機会というのは、子どもにとって貴重ですね。

・小学4年生 男の子
「香川県のウェブサイトをみてお母さんが連れてきてくれた。プログラミングはやったことがあった。でもシステムで難しいところもあった」お兄ちゃんが2時間教室に参加している間、妹さんは近くで工作をするなど他に遊ぶ場所もあって、年齢の違う兄妹を連れてきても楽しめたとお母さんは話してくださいました。手に持っているピンクの工作は妹さんが香川高専のものづくりワークショップでつくったおもちゃ。

・小学5年生 女の子
イベントの中のスプレーアートに参加してみたくて、善通寺から高松まで1時間以上かけてやってきました。頻繁に高松のイベントはチェックしていて、面白そうなイベントがあれば今までも参加してきたそうです。プログラミングは「思ったより難しかった」とのこと。この後はランチやメインのスプレーアートを楽しまむ予定と教えてくれました。


あふれる子どもたちの熱量。地方のイベントで子どもが参加できるコンテンツが充実している意義を感じました

かがわスタートアップフェスタでは、子ども向けのプログラムが数多く用意されており、会場も多くの親子連れでにぎわっていました。夢中になってものづくりを楽しむ子どもの姿、プログラミングに熱中していた姿をみると、柔軟な頭脳の子どものうちに色んな体験をすることの大切さ、子どもが好きなことや興味のあることに出会うきっかけをつくることの重要性を改めて感じました。

体験したこと、実際に自分で見たもの、そこから考えたことが、子ども達の無限の可能性につながります。地方であっても「学ぶ機会」と「出会いの場」をつくることが、未来の人材育成につながります。

地方は、都心部と比べて起業する土壌が恵まれているとは言えないかもしれません。まずは身近なものづくりを通じて、子どもたちが「自分もできる」「こんなことをやってみたい」と体験を重ねることが、将来の起業や支援者につながる「はじめの一歩」になることは期待できます。会場では、遠くからイベント会場に足を運ぶ、小さな企業型のタマゴと出会えたように感じます。
取材にご協力いただいた親御さん、子どもたち、出展者の皆さま、本当にありがとうございました!

※記事の公開にあたり、取材を行った方に撮影許可・記事での公開について承諾を得ています。本記事の写真を無断で利用することはご遠慮ください(MICE TIMES ONLINE編集部)
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