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MICE業界のことを知る

MICEで役立つスキル・役立つ資格 誰にでも活躍できるチャンスがある世界です MICEはあなたの身近にある

「MICE(マイス)」という言葉を聞いたことがありますか?もしかしたら、国際会議や展示会など、少し堅苦しくて自分とは遠い世界の話だと感じているかもしれませんね。しかし、皆さんが毎年楽しみにしている「東京ゲームショウ」はMICEイベントであり、さらには大学の学園祭も、実はこのMICEという枠組みに似たものといえます。MICEは、人々が集まり、交流し、新しい価値が生まれる「場」を創り出す、ダイナミックで創造的な産業です。この記事では、皆さんの身近にあるMICEの正体から、その世界で「つくる側」として活躍するために本当に役立つスキル、未来のキャリアを力強く後押ししてくれる資格まで、学生の皆さんの視点に立って、解説していきます。この記事を読めば、MICEがぐっと身近に感じられ、あなたの経験の中に眠る「MICEの才能・経験」に気づくはずです。

MICE

MICEって何?意外と身近なイベントの世界を覗いてみよう

MICEの基本的な「M・I・C・E」を知ろう

MICEとは、特定のイベント名ではなく、目的を持って人が集まる催しの総称です。具体的には、以下の4つの英語の頭文字を組み合わせた言葉で、それぞれが開催地域の経済を潤したり、新しいビジネスやイノベーションを生み出したりする大きな力を持っています。

  • M (Meeting):主に企業が主催する会議、研修、セミナーなどを指します。例えば、グループ企業の役員会議や、海外の投資家を対象としたセミナーなどがこれにあたります。
  • I (Incentive):企業の従業員や代理店の中で、特に優秀な成績を収めた人々を表彰し、さらなる意欲向上を目的として実施される報奨・研修旅行のことです。単なる観光旅行とは違い、特別な体験や豪華な表彰式がプログラムに組み込まれるのが特徴です。
  • C(Convention):国際機関や国の政府、あるいは専門的な学会などが主催する大規模な会議を指します。G20サミットのような首脳会談や、世界中の医師や研究者が最新の研究成果を発表する学術会議などが代表例です。
  • E(Exhibition/Event):新しい製品やサービスを多くの人に紹介するための展示会や見本市、そして文化的なイベントやスポーツ大会なども含まれます。この「E」は、学生の皆さんにとって最も身近で、イメージしやすいMICEの形と言えるでしょう。

参考記事:MICEってなんだろう?

大学の学園祭もはMICEに似てる?身近なイベントとのつながり

MICEの中でも、特に「E (Exhibition/Event)」は皆さんの生活に深く関わっています。毎年多くのファンが詰めかける「東京ゲームショウ」や、同人誌即売会として巨大な経済効果を持つ「コミックマーケット」、そして好きなアーティストが出演する音楽フェスティバルも、すべてMICEの「E」に分類されるイベントです。これらのイベントは、参加者を楽しませるだけでなく、関連する企業にとっては絶好のビジネスチャンスの場であり、開催される地域にとっては多くの人が訪れることでホテルや飲食店が潤うなど、大きな経済効果をもたらします。観客を楽しませるためのエンターテインメント(スポーツ・音楽)イベントは、MICEの定義から外れるとする声もありますが、仕組みや運営はMICEとほぼ同じものであり、実際にはMICEと同じ会場が利用されて、MICE業界の方が多く活躍しています。

大学のキャンパス

観光学部や外国語学部の学生以外も、MICEにつながる活動をしているかも

さらに身近な例として「学園祭」を考えてみましょう。学園祭の実行委員会は、まさにMICEの仕事を凝縮したような活動です。テーマやコンセプトを企画し、予算を管理し、出店団体やステージ出演者と調整を行い、来場者を集めるためにSNSやポスターで広報活動をする。当日はタイムテーブル通りに進行を管理し、予期せぬトラブルに対応する。この一連のプロセスは、プロのイベントプランナーが行う仕事と本質的に何ら変わりません。この事実は、MICE業界が観光学や商学といった特定の分野を学んだ学生だけのものではない、という非常に重要な意味を持っています。文学部の学生が企画したシンポジウム、理工学部の学生が運営したロボットコンテスト、体育会系の部活が主催した地域交流イベントなど、皆さんがこれまで主体的に関わってきた「人を集め、目的を達成する活動」のすべてが、MICE業界への扉を開く貴重な経験となり得るのです。大切なのは、「専門の経験がない」と考えるのではなく、「自分の経験をMICEという舞台でどう活かせるか」という視点を持つことですよ。

なぜ今MICEが注目されているの?その大きな影響力

MICEは、単に参加者を楽しませるだけでなく、経済や地域社会に大きな影響をもたらすことで注目されています。

  • 経済効果: MICEイベントには、多くの人が国内外から訪れます。参加者は宿泊、交通、飲食、観光体験など、幅広い分野で消費をします。観光庁の報告では、国際MICE参加者の1人当たり総消費額は、企業会議で約84.4万円、報奨・研修旅行で約83.4万円と試算されています。2023年の国際MICE全体の経済波及効果は約8,520.6億円に上るとも公表されており、ホテルや飲食店が潤うなど、開催地域に大きな経済効果をもたらします。
  • イノベーションの創出: 国際会議や展示会では、最新の研究成果が発表されたり、新しい技術やサービスがお披露目されたりします。これにより、企業間の新しいビジネスやイノベーションが生まれ、IT業界や製造業の技術革新が促進されることもあります。
  • 地域活性化と交流: MICEは、地域の魅力を国内外に発信し、観光客を誘致するきっかけにもなります。スポーツ分野の国際大会ではスポーツを通じた交流と地域活性化が期待でき、観光分野の旅行博では世界各地の文化や観光資源が紹介され、国際交流が進みます。

キャンパス

MICE業界で活躍するために必要なスキル、役立つスキル

MICEは、一人のスーパースターが創り上げるものではなく、多種多様な専門家がそれぞれの役割を果たし、チームとして連携することでイベントを成功させています。そのため、IT、デザイン、マーケティング、物流、語学、ホスピタリティなど、多様な分野の専門知識が活かせる構造を持っています。

国際会議や学術大会の運営を専門とするPCO(Professional Congress Organizer)、音楽フェスや企業の新製品発表会などクリエイティブなイベントを創出する企画・制作会社、インセンティブ旅行の手配や海外参加者向けの観光ツアーを担当する旅行会社・DMC(Destination Management Company)、東京ビッグサイトやインテックス大阪のような施設やホテル、さらには会場設営、映像・音響・照明、ITシステム開発、通訳・翻訳、警備など、無数の専門企業が関わっています。皆さんがご覧になっている「MICE TIMES ONLINE」もMICEに特化したメディアとして関わっています。

文系・理系問わず役立つ5つのコアスキル

MICE業界で活躍するために、出身学部や専攻以上に大切になる、誰もが学生生活の中で磨くことのできる普遍的なスキルが5つあります。

  1. プロジェクトマネジメント能力:イベントはまさに一つのプロジェクトです。目的を設定し、計画を立て、予算とスケジュールを管理し、多くの関係者をまとめながら、最終的なゴール(イベントの成功)へと導く力は、MICE業務の根幹をなす最も重要なスキルです。学園祭の実行委員長やサークルの合宿係、ゼミの研究発表のリーダーなど、目標達成のために仲間と協力し、全体の進行を管理した経験は、すべてこの能力をアピールする材料になりますよ。
  2. コミュニケーション能力:MICEの仕事は、主催者であるクライアント、会場の担当者、技術スタッフ、運営スタッフ、そしてイベント参加者まで、非常に多くの立場の人々と関わります。それぞれの要望や意図を正確に汲み取り、自分の考えを的確に伝え、円滑な人間関係を築く能力が不可欠です。グループワークでの議論や、アルバイトでの接客経験が直接活かされるスキルです。
  3. 課題解決能力:イベントの現場では、予期せぬトラブルがつきものです。機材トラブル、悪天候による交通機関の乱れ、重要なゲストの到着遅れなど、計画通りに進まない事態は日常茶飯事です。そんな時、パニックにならずに冷静に状況を分析し、限られた時間とリソースの中で最善の解決策を導き出す柔軟な対応力が求められます。
  4. 創造力・企画力:人々の記憶に残り、「参加してよかった」と思ってもらえるような体験を創り出すためのアイデアを生み出す力です。クライアントがイベントで達成したい目的を深く理解した上で、それを実現するためのユニークなテーマ設定や人を惹きつける演出、効果的なプログラムを考案する能力が求められます。ゼミの発表で「どうすれば聞き手の興味を引けるか」を考え抜いた経験も、この企画力のトレーニングになります。
  5. ホスピタリティ精神:参加者一人ひとりに対する「おもてなし」の心は、イベント全体の満足度を大きく左右します。参加者が安全かつ快適に過ごせるように細やかな配慮をしたり、困っている人に積極的に声をかけたりする姿勢が求められます。飲食店や販売のアルバイトで培ったお客様の立場に立って考える力は、MICEの現場で大いに役立ちます。

グローバルに活躍するための語学力と異文化理解

G7サミットのような国際会議はもちろん、多くの展示会やイベントで海外からの参加者が増えている今、語学力はMICE業界で働く上で非常に大きな武器となります。特に英語を中心とした外国語の力は欠かせませんし、中国語や韓国語など訪日客が多い言語ができればさらに強みになるでしょう。

しかし、ただ流暢に話せるだけでは十分ではありません。
海外からの参加者に対して、日本の文化や「おもてなし」の心を伝え、彼らの文化的な背景を理解した上でコミュニケーションをとること。これがイベントの付加価値を大きく高めます。MICEにおける語学力は、異文化間の架け橋となり、イベント体験そのものを豊かにするための戦略的なスキルなのです。

海外からのVIPを案内する際に、ただ施設を説明するだけでなく、その土地の歴史や文化に触れるエピソードを交えて紹介できれば、参加者の満足度は格段に向上するでしょう。まずは英語の施設ページや資格サイトを読んで、語彙を増やすところから始めるのも良いですよ。

作業

デジタルスキルとサステナビリティへの意識

近年、MICEの現場ではデジタル技術の活用とサステナビリティへの配慮がますます重要になっています。

  • ITリテラシー(デジタルスキル):コロナ禍以降、オンライン会議やバーチャルイベントの機会が増えたことから、ITの活用スキルもますます重宝されています。イベント管理ソフトやオンライン配信ツール、データ分析ツール、SNSマーケティングなど、最新のデジタル技術を使いこなす能力はもはや必須スキルです。特に若い世代はデジタルへの適応力が高いと期待されていますから、日頃からパソコンやICT機器に慣れておき、WordやExcelなど基本的なソフトの操作はもちろん、必要に応じて動画編集や配信の方法なども学んでおくと役立つでしょう。今後はAIの活用など新しい技術への対応力も求められると考えられます。
  • サステナビリティ(ISO 20121の考え方):イベント運営の環境・社会・経済面の影響を管理するための国際規格「ISO 20121」というものがあります。これは、イベントの計画から実施、改善までの仕組みを求めます。2024年版では持続可能性原則の明確化が進み、包摂性や透明性などの要素が強調されています。現場では廃棄物削減、資材再利用、地域との協働、バリアフリーなどで実践されます。企画書にサステナビリティ目標(廃棄物削減、包摂性)を入れてみるのも良い経験になりますよ。

参考記事:パシフィコ横浜がISO 20121を取得


オフィスの様子

学生のうちから始められるMICEキャリアへの道

MICE業界は近年、急成長に伴う人材不足に直面しており、これは若い方にとって大きなチャンスです。イベント需要の拡大により求人も増えており、意欲ある人であれば若いうちから重要な役割を任される機会もあります。

資格は必須じゃないけれど、知っておくと有利なもの

MICE業界では、資格という知識の証明も評価されますが、それ以上に「現場での実践経験」が何よりも重視されます。ただし、将来のキャリアを有利に進めるために、知っておくと良い資格はいくつかあります。

展示会・イベント分野の主要資格として、CEMは会場運営や出展者・来場者対応など展示会実務を9科目で体系的に学ぶ国際プログラム、CSEPはスペシャルイベントの企画・制作・評価までを網羅したプロフェッショナル認証、DESは配信やオンデマンド、チャット、参加ログなどを組み合わせたデジタル/ハイブリッド運営とデータ活用を体系的に学ぶ資格であり、いずれも実務能力を国際的に証明する指標となります。

日本の関連資格は、イベント業務管理士(実務経験が必要)を頂点に、基礎を学べる前段階として学歴・年齢不問のイベント検定があります。実務で役立つ汎用スキルとしてはTOEIC(まずは600点以上、可能なら700~800点台)や、ビジネス実務マナー検定・秘書検定・サービス接遇検定などのマナー系資格が有効です。旅行領域では、旅行商品の取引条件を管理・監督する国家資格の旅行業務取扱管理者、訪日客のガイド業を行うための国家資格で語学力と日本理解が問われる全国通訳案内士が挙げられます。いずれもMICE実務での信頼性や就職時のアピールにつながります。

経験を積むのが何よりも大切!実践的な学び方

MICE業界では、学生時代に実践力を磨くための最も効果的な方法が、インターンシップやボランティアへの参加です。首都圏、京阪神エリアの学生にチャンスが多いのは事実ですが、地方でも探せば機会は見つかります。都道府県、市町村、地域単位でMICEの取り組みをしている団体もあるため、探してみましょう。

  • インターンシップ:MICE関連企業が実施するインターンシップは、業界のリアルな仕事を肌で感じる絶好の機会です。プログラムは企業によって様々で、業界全体について学ぶセミナー形式のものから、実際の国際会議の運営を手伝うものまであります。社員の方々と直接交流し、仕事のやりがいや厳しさを聞くことで、業界研究や自己分析が格段に深まりますよ。
  • ボランティア:大規模な国際会議やスポーツイベント、音楽フェスティバルなどでは、運営をサポートする学生ボランティアが募集されることがよくあります。受付や会場案内、海外からの参加者の誘導、簡単な通訳補助など、役割は多岐にわたります。運営の最前線で多様な人々と協力しながら一つの目標に向かう経験は、チームワークや課題解決能力を養う上で、授業やアルバイトでは得られない大きな成長をもたらします。そして何より、イベントが成功裏に終わった時の達成感と感動は、この仕事の魅力を知る最高の経験となるはずです。
  • 学内・地域イベントで実践する:学園祭、オープンキャンパス、ゼミ企画、地域フェス、商店街の催しなどは、MICEの基本動作(企画、広報、当日運営、振り返り)を学ぶ格好の場です。規模は小さくても、役割をはっきり決め、KPI(来場者数、満足度、収支)を設定し、短いレポートにまとめると、就職活動で話せる貴重な経験になります。
  • 施設見学・イベント視察で「現場感」を持つ:首都圏在住なら、東京ビッグサイト、パシフィコ横浜、幕張メッセなどのMICE拠点で開催中の展示会や会議を視察し、動線、導線サイン、受付、警備、バックヤード、スポンサー露出の置き方などを観察してみましょう。施設の公式情報で機能や特長を確認し、現地で裏取りすると理解が深まります。
  • ボランティア・アルバイト募集を探すコツ:大学のキャリアセンター、イベント主催者の公式サイト、施設サイトのイベント一覧などから、大型展示会や国際会議の受付、誘導、語学サポート、SNS運用などの募集を探すことができます。

参考記事:おもな展示会場

まとめ:MICEは身近なところにあります。自分の経験や学びを活かせる世界です

MICE業界は、国際会議や展示会といったイベントを通じて新しい技術や文化を広め、町や地域を元気にする大切な役割を担っています。一見すると縁遠い世界のようですが、そのイベントはゲームや漫画、旅行や学術研究など多岐にわたり、私たちの身近な興味・関心とつながっています。

皆さんが学生生活で培っているプロジェクトマネジメント能力、コミュニケーション能力、創造力といったスキルは、このダイナミックな業界で直接活かせます。資格取得は将来の武器になりますが、まずはインターンシップやボランティアに挑戦し、MICEの現場が持つ熱気と感動を実際に体験してみてください。そこから、あなたの新しいキャリアの扉が開かれるかもしれません。MICE業界は今後さらなる発展が期待されており、皆さんの「面白そう」「やってみたい」という挑戦を歓迎してくれるはずです。あなたの若い力が、未来のMICEをさらに盛り上げていくことでしょう。

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