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持続可能なイベント運営の新しい基準となる「SDGs for MICE評価制度」:仕組みと活用ポイント説明編

会議や展示会をはじめとするビジネスイベントは、多くの人が集まり交流する貴重な場であり、地域経済を大きく活性化させる力を持っています。その反面、大量の資源を消費して廃棄物を生み出すなど、環境への配慮が不可欠な領域でもあります。公益財団法人大阪観光局が展開する「SDGs for MICE評価制度」は、こうしたイベントの持続可能性を高めるための仕組みです。この記事では、同制度の目的や仕組みについて、わかりやすくご紹介します。

SDGs for MICE評価制度

SDGs for MICE評価制度

ビジネスイベントが抱える環境課題の解決へ。サステナビリティ活動の支援と普及を目指して

多くの企業や参加者が集う大規模な催しでは、会場を彩る装飾やブース設営のための資材、空調や照明による膨大なエネルギー消費、さらには提供される食事のロスなど、環境に与える影響が少なくありません。ビジネスイベントを通じた技術の交流や地域の発展は欠かせないものですが、地球環境や地域社会に配慮しない運営は、長期的に見て参加者からの共感を得にくくなっています。

そうした課題を解決するために立ち上げられたのが、「SDGs for MICE評価制度」です。この制度は、主催者が参加者や関連事業者、地域住民などすべてのステークホルダーに配慮した催しを開催できるように作られました。主催者と参加者の安全と安心を守りながら、持続可能な開発目標の達成に向けた良い循環を生み出し、イベントそのものの価値を底上げすることを最終的な目標としています。公益財団法人としての非営利事業であり、純粋にイベント業界におけるサステナビリティ活動の支援と普及を狙いとしている点が大きな特徴です。

大阪観光局「SDGs for MICE評価制度」
https://mice.osaka-info.jp/event_planning/guidelines/sdgs_for_mice/

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主催者の不安を取り除く二つのメリット:サポート体制と取組内容の可視化

環境問題への対応が重要だと頭では理解していても、実際に何から手をつければよいのか悩む担当者は多くいらっしゃいます。同制度には、そうした主催者の悩みに寄り添い、具体的な行動へと導くためのメリットが用意されています。

1)経験豊富な専門アドバイザーによる手厚いサポート体制

1つ目のメリットは、専門家による伴走型の支援を受けられることです。制度側が、取り組むべき活動をまとめたアクションリストを提供します。主催者はそのリストの中から、自分たちの催しの規模や目的に合致し、無理なく実行できる項目を選んで実行をお約束します。

その際、中立かつ公平な立場を持つ専門員がアドバイザーとしてつきます。アドバイザーは環境マネジメントシステムの審査員資格や、事業者向け環境カウンセラー資格を有するプロフェッショナルです。専門家からの適切な助言があるおかげで、持続可能性に関する専門知識がない企業や団体であっても、安心して活動を一歩前へ進めることができます。

2)宣言書と評価証による取り組み内容の明確な可視化

2つ目のメリットは、自分たちが行った工夫や努力を、客観的な形として外部に示せることです。

まず、事前の段階で、事務局から取り組みへの意思を証明する宣言書が発行されます。受け取った主催者は、これから開催するイベントが環境や社会に優しいものであることを、協賛企業や一般参加者に向けて発表できます。

さらに、イベントが終了したあとには有識者が実際の取り組み結果を評価し、評価証という形でフィードバックを返してくれます。この評価証があることで、持続可能性への貢献を社会全体に対して透明性を持って報告でき、次回の開催に向けた継続的なモチベーションの向上に役立ちます。ホームページなどで宣言書や評価証を公開することは、企業価値を高める有効な手段となります。


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制度の対象となるイベントの条件と利用にかかる費用

どのような催しであればこの制度を利用できるのか、気になる条件や費用について見ていきましょう。

対象となるイベントの幅は非常に広く設定されています。開催される期間の長さ、参加する人数の規模、あるいは利用する施設の種類などによる制限は設けられていません。また、大阪を拠点とする制度ではありますが、大阪以外の地域で開催されるイベントであっても申請を行うことが可能です。気をつけるべき点として、会場を全く持たずインターネット上だけで完結する完全オンライン開催のイベントは、受付の対象外となっています。

費用の面はとてもシンプルで、申請にかかる金額は一律で税別10万円の定額制です。予算管理がしやすい設計になっています。補足事項として、大阪府以外の都道府県でイベントを開催する場合に限り、審査委員が現地へ赴くための交通費を別途負担する必要が生じる場合があります。


申請手続きから評価証の受け取りまでの全体スケジュール

SDGs for MICE評価制度

最初のステップとして、イベントが開催される3ヶ月前までに、主催者はアクションリストから実行する内容を選んで事務局へ申請書を提出します。事務局での受付が完了すると、開催の2ヶ月前には申請内容に関する審査が行われます。

開催の1ヶ月前になりますと、専門アドバイザーから主催者へ向けて、当日の活動をより良いものにするための助言が書面で伝えられます。それと同時に、取り組みの意思を示すための宣言書が正式に発行され、主催者の手元に届きます。

SDGs for MICE評価制度

イベントの開催期間中、主催者はアドバイザーからのアドバイスに従ってサステナビリティに配慮した運営を行います。この期間内には審査委員が実際の会場に足を運び、計画通りに活動が行われているかを現場で確認します。

イベントが終了して2ヶ月が経過した頃に、主催者は実施した内容をまとめた活動報告書を作成し、事務局へ提出します。そして開催から3ヶ月後に、事務局と評価委員からの詳しい評価コメントが添えられた評価証が交付され、一連の手続きが完了となります。


制度の利用にあたってよく寄せられる質問と回答

ここで、制度に関心を持たれた方から、よくいただく質問とその回答をまとめました。

申請できるのは主催者だけ?
基本的には主催者が対象となります。ただし、申請の窓口となるのは主催者に限定されず、運営を担う関連事業者の方からでも申請の手続きを行うことが可能です。制度としては、主催者と関連企業が互いに連携を深めながら活動を進めていくことを推奨しています。

申請のタイミングはいつがいい?
イベントの開催が正式に決定したあとであればいつでも受け付けています。スムーズな手続きのために、遅くとも開催の3ヶ月前までには申請を終えるのがいいでしょう。また、制度から提供されるアクションリストやハンドブックは、次年度内までに開催されるイベントを対象としたものになっています。

持続可能な開発目標として掲げられている17のゴールすべてに取り組む必要があるのか?
すべての目標を無理に満たす必要はありません。学会や展示会など、それぞれの催しの特性に合わせて、主催者が自ら実行できる目標を一つ、あるいは複数選んで実行すれば問題ありません。ただし、原則として一度申請したあとに目標の項目を変更することはできませんので、事前の見極めが重要です。

制度を利用したあとに情報が公開されるのか?
実施後には、大阪観光局のウェブサイト上にある実績一覧に内容が掲載されます。そこには主催者の名称に加えて、協力して活動を行った連携事業者の名称も記載されます。企業の方針等で掲載を希望されない場合は、事前に事務局へ申し出ることで掲載を控える対応も行っています。


SDGs for MICE評価制度
SDGs for MICE評価制度 Webサイトに評価制度実績一覧が掲載されています

実際のイベントでどのように活用されているか

具体的な事例については別の記事でさらに詳しくご紹介しますが、どのような成果が出ているのかを少しだけお伝えします。

過去に大阪で開催された大規模なアート展覧会では、日本で初めてこの評価制度を取り入れた運営が行われました。ごみの細かな分別や資源の再利用を徹底したほか、再生可能エネルギーを利用する仕組みも導入しました。結果として、イベント期間中に発生する温室効果ガスの大部分を相殺することに成功しています。評価制度を利用することで、環境への優しさを活動実績として客観的に証明できた例です。

SDGs for MICE評価制度

持続可能な社会に向けてイベント業界が踏み出す一歩

大阪観光局が推進する「SDGs for MICE評価制度」について、制度の仕組みからメリット、具体的な利用方法までをお伝えしてきました。

ビジネスや文化の発展に欠かせないイベント産業ですが、これからの時代は社会や環境に対して責任ある運営がこれまで以上に求められます。この評価制度は、主催者がその責任を果たすための道しるべとなり、参加者や地域住民からの信頼を集め、イベントそのものの付加価値を大きく引き上げるための支援ツールとなります。

専門家による中立的で手厚い助言を受けられること、そして取り組みのプロセスと結果が宣言書や評価証という形で社会に広く証明されることは、新しい挑戦への不安を和らげ、持続可能性への確実な一歩を踏み出すための後押しとなります。イベントの規模の大小や、開催される地域を問わず幅広く門戸が開かれている点も、社会全体の意識を底上げしていく仕組みだと言えるでしょう。

これから各種催しの企画や運営に関わる皆様におかれましては、ぜひこの評価制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。環境に優しく、社会全体の利益に貢献するイベントを作り上げることは、未来の地球と社会に向けた非常に有意義な行動となります。制度をうまく活用して、社会的に価値あるイベントの開催を実現させてください。そして、大阪を先駆けとして、各地に同様の評価制度が広がっていけばと思います。

大阪観光局「SDGs for MICE評価制度」
https://mice.osaka-info.jp/event_planning/guidelines/sdgs_for_mice/

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