1. HOME
  2. 取材・レポート・コラム
  3. イベントの取材・レポート
  4. 【取材】宇宙ビジネスが集結する「第2回 SPEXA」出展社1.7倍増。会場で見つけた運営の工夫9点(写真60点以上)
イベントの取材・レポート

【取材】宇宙ビジネスが集結する「第2回 SPEXA」出展社1.7倍増。会場で見つけた運営の工夫9点(写真60点以上)

RX Japanが主催する、宇宙ビジネスに関するすべてが集まる展示会「第2回 SPEXA(スペクサ) -[国際]宇宙ビジネス展-」が2025年7月30日~8月1日、東京ビッグサイトで開催されました。本記事では、SPEXAの会場レポートとともに、展示会の見せ方に学べるポイントに着目してご紹介します。(取材日:7月30日)

宇宙開発は一部の限られた世界ではなく、私たちのビジネスチャンスに

かつて宇宙開発は、一部の国家機関や専門企業による限られた世界でした。現在では、宇宙産業は急速に裾野を広げ、民間ビジネスの舞台として注目を集めています。SPEXAを訪ねてみて、宇宙は遠いものではなく、ビジネスチャンスとして取り組めるのだと分かりました。

概要が分かる記事はこちら

2024年の総来場者は11,588人

宇宙業界の方をはじめ、製造・小売・官公庁、自治体など業界の方々が来場対象となっています。2024年の総来場者は11,588人です。

来場対象者

・下記宇宙ビジネスに関するあらゆる企業の、経営者 / 設計・研究・開発 / 製造 / 解析 / 品質管理などの部門
 衛星、ロケット、打上げ / 軌道上サービス機器、宇宙関連設備、地上設備、電子、通信機器、探査ロボット / 採掘機器 など
・測位、通信・放送、リモートセンシング、衛星運用など宇宙を活用した事業・サービスに関連する方々​
・宇宙ビジネスを支援するパートナー
 投資ファンド、投資家、大企業の新規事業部門、大学の研究室 など
・政府・自治体・研究機関・大学関係者など
・大学生・大学院生など

前回から出展者大幅増の”120社”超え

第2回目にして、120社を超える企業が出展。第1回(約70社)と比較しても大幅な増加となり、宇宙ビジネスの可能性が大きくなっていることがうかがえます。

エリアは「開発・インフラ支援エリア」と「衛星データ・宇宙空間 活用エリア」の2つのエリアで構成されています。ロケットや衛星通信といった宇宙輸送関連に加え、素材開発・AI解析・保険・金融サービスなどの出展がありました。

会場の様子


出展企業にお話を聞きました

QPS研究所:SAR画像は天候や時間に左右されず、レーダー特性で地表観測

福岡から出展、世界トップレベルの高精細小型レーダー衛星「QPS-SAR」を開発し、SAR画像を提供しています。天候や時間に左右されず、レーダー特性で地表観測できるのが特徴です。世界トップクラスの分解能/画質を誇ります。能登半島地震でも観測し、行政機関や報道機関に提供。災害が多い日本において、SAR画像は注目です。

SAR(サー)
Synthetic Aperture Radar(合成開口レーダ)の略称。マイクロ波という電波を使って、跳ね返りの信号の強さから地上の事象を観測します。

スカパーJSAT:製造業から「何かできないか」、宇宙事業の可能性を感じてもらいたい

ブースでは、スカパーの公式キャラクター「スカッピー」が宇宙服姿で来場者をお出迎え。

衛星通信や多チャンネル放送のイメージが強いスカパーですが、宇宙事業「スカパーJSAT」を展開しています。ブースでご紹介いただいたのは、SAR衛星データを活用し、Web上で地表面の変動をモニタリングできる「LIANA(リアーナ)」。地震や地盤沈下などのリスク管理にも活用が期待されます。

同社は2024年の「第1回 SPEXA」にも出展しており、製造業の方から「自分たちの技術を活かせないか」といった声を多くいただいたとのこと。展示を通じて宇宙事業の可能性を何かしら感じてもらいたいと話します。スタートアップ支援プログラムも展開されており、新しいアイデアに対してもオープンな姿勢でした。


ニッシン・パーテクチュアル:製造業がフェムト秒レーザーで挑む“微細加工”の宇宙展開

ニッシン・パーテクチュアル株式会社、荒木技研工業株式会社、株式会社東京チタニウムの3社が合同でブースを出展。今回は、ニッシン・パーテクチュアル常務取締役の田口さんにお話を伺いました。

会場で披露されていたのは、「フェムト秒レーザー」による超精密加工技術。その受託加工を提供されています。金属、プラスチック、セラミックス、ガラスなど、さまざまな素材に対して微細な加工が可能で、非熱的加工や発色、撥水・親水機能の付与など、用途は多岐にわたります。

SUSサンプルプレート(50ミリ角)を見せていただきました。表面には繊細な模様やテクスチャーが加工されており、国内ではほとんど取り扱いがないそうです。「展示会のように“直接触れてもらえる場”での出会いが大切」と田口さんは言います。これは実物を見てこそ、ディテールの精巧さが分かると思います。

もともと自動車分野で冷間鍛造用の金型製作を行ってきた同社ですが、今後の事業展開を見据え、新たな柱として宇宙産業への参入を視野にSPEXAへ初めて出展されました。


SPEXA会場で発見、展示会運営の工夫9点

2回目の開催にして、出展者数は第1回から50社以上増加。これだけ多くの企業・来場者を集められる背景には、展示会運営の“基本”を丁寧に、そして新しさを取り入れる姿勢があるように感じました。MICEのメディアらしく、”運営における発見”をピックアップしてご紹介します。みなさんの気付きになれば嬉しいです。

1.情報発信のスピード:前日の様子をWebでタイムリーに更新

公式Webサイトで初日の写真・動画が、翌日には公開されていました。30日に展示会に行き、31日にWebサイトを見たのですが、すでに動画が出来上がっていたのには驚きました。会期は3日間あるため、参加を迷う来場者の背中を後押しする効果がありそうです。


2.入場証の印刷・入場・情報管理

「A4で事前印刷を」という案内はあるものの、現地での印刷対応も抜かりなし。会場入口にプリンターが数台設置された「バッジ印刷カウンター」がありました。

スマホに表示したQRコードをかざすだけで、A4用紙の半分のサイズで、その場で印刷されます。中央にはあらかじめ折り目が入っているため、あとはホルダーに入れるだけです。

バッジ印刷カウンターの横には、個人情報保護方針や参加規約がパネルで掲示されていました。

また、会場の入退場口は1か所に集約されており、スタッフがQRコードを読み取る方式。このQRコードは、出展者側も読み取ることができ、来場者情報の取得や商談の記録にも活用されているようです。


3.ブースの社名表示が大きく視認性が高い

各ブースにはどこの団体・企業なのかを示す「社名板」がありますが、SPEXAでは大きな社名板が採用されていました。遠くからでも社名がはっきり読み取れて、特定の企業を探すのも探しやすい。さらに、海外来場者も意識した日英併記です。来場者のストレス軽減に一役買っていたと思います。


4.COMNEXTとの同時開催で広がる異業種連携

会場では、「SPEXA」だけではなく、第3回目となる次世代通信技術展「COMNEXT」も同時開催されていました。フロアは分かれているものの、どちらかの入場パスを持っていれば両展示会を自由に行き来できる仕組みになっており、来場者にとっては一度に複数分野の最新技術に触れられる機会になります。

次世代通信技術と人工衛星との親和性が高いことから、宇宙分野との連携や新しい技術提携の可能性も感じられました。異業種が同じ空間に集うことで、これまでにないビジネスの出会いやコラボレーションが生まれる場としての価値も高まりそうです。


5.思わず撮りたくなる実寸大の小惑星探査機「はやぶさ2」

大型模型やネオン装飾など、SNS拡散を意識した写真スポットが数か所ありました。思わずカメラを向けたくなります。「#spexa」をつけてSNSに投稿、公式SNSアカウントフォローを促します。

小惑星探査機「はやぶさ2」の実寸大 模型
2026年度 火星圏へ出発予定の「MMX」模型

6.シャイな方でも安心、アンケートも質問もしやすい

セミナー会場の椅子やスクリーンには「QRコードを読み取ってください」の案内がありました。読み取ると質問ができます。参加者がスマホから気軽に、質問・意見を送れるということですね。アンケートも可能です。

その場で手を挙げて質問するのはハードルが高いと感じる人も多い中、こうした仕掛けがあることで参加者の声を集めやすく、セッションがより参加しやすくなるでしょう。フィードバックやアンケートも集めやすくなるため、結果として登壇者と参加者双方の満足度向上にも繋がるものだと思います。


7.課長職以上はVIP(無料)登録を促す

VIPラウンジと海外来場者向けラウンジが用意されており、休憩や商談の場として活用されていました。

主催者は課長職以上の来場者は「VIP登録(無料)」を促しており、入場証を見ることで属性がひと目で分かるようになっています。出展者は決裁権のある相手かどうかを把握した上で効率的に声をかけます。結果として、時間に対してのアプローチの質の向上が見込めると思いました。


8.星に願いを込めて、みんなで創るSPEXA2026

一角には、「みんなで創ろう!SPEXA2026」と題された参加型コーナー。星空を模したパネルに、来場者が“願い”や“アイデア”を星型カードに書いて飾る演出が用意されています。七夕を想起させられました。

来年は展示会の中心に特別イベントエリアを設けるようで、宇宙ビジネスの課題解決に繋がる、ワクワクする企画を大募集中。参加者から声を拾いやすく、「来て終わり」ではなく「一緒に創る」展示会を感じさせられました。出展社向けの朝カフェ交流会場、めっちゃええなあ…(個人の感想です)。


9.対応可能言語の見える化

「対応可能な言語」を明示しているブースが見られました。これは、来場者にとって有り難い配慮です。

「英語で話しかけなくちゃいけないかも」と不安に感じても、日本語対応と書かれていれば安心して立ち寄ることができます。海外の来場者にとっても、自分の言語に対応できるブースが一目で分かることで、声をかけるハードルがぐっと下がります。

言語のハードルは、展示会におけるコミュニケーションの壁になりがちですが、「話せる言語の見える化」は、壁を少し低くしてくれる工夫になります。

今後、海外からの参加者(来場者・出展者)を想定するイベントでは、「英語対応:日常会話レベル」「通訳あり」など、対応レベルまで含めて表示できると、展示会全体の交流の質も高まるのではないでしょうか。


Editor’s note:良い場をつくるには工夫を積み重ねる

2回目の開催にして出展者数が大きく増加。宇宙産業そのものの盛り上がりに加え、細部にわたる工夫が随所に感じられた展示会でした。もちろん、出展者として参加された方の立場では、また異なる視点や課題もあるかもしれません。私は、展示会運営の経験豊富なRX Japanらしい、こなれた印象も残りました。

出展者と来場者が気持ちよく参加できる”場づくり”にはキリがありません。その工夫を積み重ねることが、良い場と作り出すことに繋がると考えます。


第2回 SPEXA -[国際]宇宙ビジネス展- 開催概要

会期 2025年7月30日(水)~8月1日(金)
時間 10:00~17:00
会場 東京ビッグサイト 南展示棟
主催 RX Japan(株)
後援 内閣府 宇宙開発戦略推進事務局、宇宙開発フォーラム実行委員会、ASE‑Lab.
Webサイト https://www.spexa.jp/


SPEXA当時の様子ギャラリー

宇宙関連の記事はこちら

東京ビッグサイト関連記事はこちら

大阪・関西万博関連の記事はこちら
お問合せはこちらから
MICEのキャリアコーナー 9月OPEN
夏季休業のお知らせ

平素は格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。誠に勝手ながら、当社では下記期間を夏季休業とさせていただきます。期間中ご不便をおかけいたしますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

【夏季休業期間】
2025年8月10日(日)~8月17日(日)

スマホアプリができました
毎月の要点を一気読みで振り返り!
過去記事から探す
カテゴリー