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【レポート】大阪初開催[関西]ネプコン ジャパン。関西での開催はどのような意義があったのか、出展社ブースの取材から探る

2025年5月、インテックス大阪で開催された「関西ネプコンジャパン」。「ネプコンジャパン」としては初めて大阪で開催された本展示会。会場やブースはどういった様子だったのか、初日の5月14日に取材を行いました。

会場の様子

2025年5月14〜16日にインテックス大阪で初開催された「第1回[関西]ネプコン ジャパン ―エレクトロニクス開発・実装展―」は、西日本最大級の電子・製造技術の総合展です。
同時開催の高機能素材 Weekに向かう流れも多いものの、ネプコン各ホールにも朝から技術者が続々と入り、はんだごて体験やVR組立など“触って学べる”ブースには終日列が絶えませんでした。会場で飛び交う言語は日本語のみならず中国語・韓国語・フランス語・タイ語と多彩で、多言語パンフレットを用意する企業が目立ち、グローバル調達の商談が活発化している様子がうかがえます。

AI外観検査や協働ロボットは「省人化と高精度」を掲げ、既存技術を現場で扱いやすく磨き上げた提案が中心。特に次世代SMTラインのデモ前では名刺交換がひっきりなしで、通路が人で埋まるほどの熱気でした。ヒューマノイドロボットの実演には毎回50名ほどが集まりカメラを向ける姿が多数。女性の姿は少ないものの、先日開催された「関西物流展」よりも多いように感じました。


会場全体では出展数も多く、カンファレンスのプログラムも充実

開催概要

名称:第1回[関西]ネプコン ジャパン -エレクトロニクス開発・実装展-
会期:2025年5月14日(水)~5月16日(金) 10:00~17:00
会場:インテックス大阪
主催:RX Japan株式会社
同時開催展
 ・[関西] Factory Innovation Week 2025
 ・第13回 高機能素材 Week[大阪]-Highly-Functional Material Week-
 ・第5回 Photonix[大阪]-光・レーザー技術展-
 ・第1回 リサイクルテック ジャパン[大阪]
出展社数:530社
来場者数:38,000名(見込み)

「ネプコン」とは?

「National Electronic Packaging & Production Conference」の略です。「エレクトロニクス機器の多機能化・高性能化を支える世界最先端の電子部品・材料や製造・実装・検査装置が出展。国内外のエレクトロニクス、半導体・センサ、電子部品、自動車・電装品メーカーとの商談の場として定着しています。」(ネプコンジャパン公式Webサイトより引用)


注目の出展社をご紹介

株式会社アナモルフォーシスネットワークス(Anamorphosis Networks):AIによる外観検査で半導体の不良を見つけるデモを展示

京都からの出展となる同社のブースでは、AIで自動検出する外観検査システム NuLMiL (ヌルミル)のデモ機が披露されました。実際に高解像度カメラ(従来比約2倍の画素数)が取得した画像をリアルタイム解析し、半導体ウエハ内部の微小な欠陥を即座に見つける様子がモニターに映し出され、足を止める来場者が絶えません。

FA事業本部 営業部の松本龍樹さんにお話を伺いました。
「従来はおよそ100枚の初期画像が必要でしたが、7〜10枚で学習を開始できるため導入ハードルを大幅に低減。未学習パターンは「未知の不良」として抽出されるため、見落としリスクも抑えられます。目視よりも短時間かつ精緻な検査が可能で、省人化と品質向上を両立できます。」
半導体向けに特化した展示ながら、自動車部品や鋳造分野からの応用相談も多く、半日で数十件の名刺交換が行われるなど高い関心を集めていました。

会社Webサイト https://anamorphosis.net/
NuLMiL Webサイト https://nulmil.net/

株式会社大電社:ラフ積み段ボールもOK!協働ロボットを用いた自動検品システム

進和株式会社のブースでは、協働ロボットJAKAの多彩な活用例を商社やシステムインテグレータ各社が実演していました。その一例として、大電社はアーム先端にCOGNEX製ビジョンカメラと北陽電機製センサを搭載した移動式の「自動検品システム」を展示していました。段ボールがラフに積まれていても、カメラの自動ピント調整機能により貼付されたQRコードを確実に読み取り、入出荷時のバーコードスキャンを無人化できる、と訴求。車輪付き台座を採用しているため、午前中は検品、午後は別ラインへと柔軟に移動・稼働できる点も差別化要素です。

開幕から数時間で具体的な引き合いが相次ぎ、単純作業の自動化需要の高さがうかがえました。同じブース内では、カメラと力覚センサを組み合わせた研磨デモなど、各社が異なるアプリケーションを提示し、「JAKA 一台で省人化・省力化を多方面に提案できる」 こともうかがえました。

会社Webサイト https://www.daidensha.co.jp/

株式会社エンジニア:潰れネジも楽々外す多機能ペンチ。夏にはネジから始めるSDGsを万博でも発信

株式会社エンジニアのブースでは、つぶれたネジを確実につかんで回せる多機能ペンチ「ネジザウルス」を中心に、頭が埋まった皿ネジや六角穴付ボルトを抜き取る「ネジモグラ」など、用途別ソリューションを実演していました。なかでもソフトケース入り工具一式は売れ筋で、現場に一つあればドライバー類を大量に持ち歩く手間を解消できます。さらに、ChatGPTを活用したどの工具を選べばいいか支援してくれる「ネジチャット」や、出張対応まで行う無料相談窓口「ネジレスQ」を紹介し、工具販売にとどまらないサポート体制を強調していました。

髙崎充弘社長自ら「ネジは寿司」を掲げ実演し、来場者の困りごとに即応する開発姿勢をアピール。展示会で寄せられた要望から短尺版ネジモグラを開発した経緯も紹介し、旬のニーズを取り込むフットワークの軽さを示しました。近年は女性ユーザーを意識したカラー展開や握りやすい形状にも注力。AIやロボットが脚光を浴びる中でも「スタートはネジ」、8月には大阪・関西万博で「ネジから始めるSDGs」を掲げ、ネジ再利用による廃棄削減を世界にアピールしたいと意気込みを語っていただきました。

会社Webサイト https://www.nejisaurus.engineer.jp/

株式会社ゲートジャパン:必要機能だけ厳選したレーザー機器は「B級グルメ」?低価格レーザーが現場を変える

ゲートジャパンは、同社が総代理店を務める中国・マクトロン製レーザー刻印機を中心に、溶接機や複合機まで代表取締役の西澤耕一さんいわく「必要機能だけを残して低価格化したB級グルメ型ツール」を展示していました。金属刻印用ファイバーレーザー機は、国産品で高価だから敬遠されていたものを、78万円なら「買おうか」となる。その価格帯で提供するのが最大の訴求点で、導入ハードルの低さから既に数百台を販売済みです。

刻印したQRコードで製品トレーサビリティを強化できるほか、波長を変えることで樹脂や木材にも対応できるため、訪れた来場者は用途拡大の可能性に関心を示していました。狭い通路を活かした呼び込みで会話が弾み、価格のインパクトに驚く声が相次いだ点も印象的です。西澤さんは「高機能を求めるより、まずは現場にレーザーを入れてもらうことが重要」と述べ、金型市場の後継者不足や高コスト構造の課題に触れつつ、海外提携工場を活用したモノづくり体制と合わせて低価格・高可用性を強調していました。今後は国内外の展示会出展に加え、中国現地法人のデモ設備で実機を見てもらう体制を整え、レーザー機器需要を広く開拓したいとも考えているそうです。

会社Webサイト https://www.gatejapan.co.jp/

仕燿股份有限公司(SHIN YAO):成形から組み立てまで一貫対応できる強みを活かし日本への販路を広げるなか、関西でも初出展

台湾パビリオンに出展した仕耀は、プラスチック部品とゴム部品の射出成形から組み立てまで一貫対応できる点を強みとしています。親会社である車載用ハーネス大手・CTEテックの受託生産から出発しましたが、売上拡大を目的に日本や米国のメーカーへも販路を拡大し、医療機器やドローン部品など高付加価値案件を手掛けています。

大量生産を好む中国企業と異なり、日本市場の少量・多品種ニーズにも柔軟に応え、2〜4年に及ぶ開発を経て長期取引へつなげてきた実績が評価されているそうです。お話いただいたマーケティングマネージャーの李依珊さんは日本大学の卒業。ビジネス日本語に精通する李さんが窓口を務め、図面作成から品質管理まで日本語で対応できる点も信頼を高める要因です。東京ビッグサイトでの出展歴は10年以上ですが、関西圏顧客の開拓は今回が初挑戦。李氏は「少量でも品質重視のお客様と長く付き合える関西市場に期待しています」と語り、細かなカスタマイズ需要の取り込みに意欲を示していました。

会社Webサイト http://www.shinyao.com.tw/jp/

(取材担当:廣島)


ヒューマノイドロボットの特別展示

まとめ:多様な出展社が集い、関西初開催の意義が見えた「関西ネプコンジャパン」

インテックス大阪で初開催となった関西ネプコンジャパンでは、AI外観検査から物流の自動検品、低価格レーザー加工、潰れネジ対策、樹脂・ゴム一体成形まで、課題も領域も異なる企業が一堂に集結し、それぞれが販路拡大へ挑戦していました。関西初出展の企業や地元関西の企業の出展も多く、狭い通路や体験型ブースを巧みに活用して来場者と対話を深める姿が随所に見られました。各社が展示会というリアルの場で機会をつかみ、課題解決型の提案を行う——その熱気こそが、関西開催の意義が見えた取材でした。

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