新日本海フェリーの新造船「けやき」就航:京都の美意識と最新技術が融合
新日本海フェリー株式会社は、2025年11月14日に新造船「けやき」を小樽-舞鶴航路(小樽発舞鶴行き)に就航しました。本船は現行船「はまなす」の代替船として、北海道と京都府を結ぶ主要航路を運航します。船内空間のコンセプトには「京都・歴史」が掲げられており、上品で優雅、かつ温かみのある空間が追求されています。設備面では、国内フェリー初となるイマーシブ体験空間や高速Wi-Fiサービスなど、最新のデジタル技術を搭載し、安心かつ快適な船旅を提供することで、ビジネス利用や観光など多様なニーズに応えます。
新造船「けやき」が実現する快適性と革新性

船内空間に息づく「京都・歴史」のコンセプト
「けやき」の船内は、伝統と革新の融合を体現しており、「京都・歴史」をテーマにした上質で温もりある空間が広がります。随所に京都や丹後ゆかりの名称や意匠が取り入れられ、乗客の旅情を誘います。コース料理を提供するグリルレストランは、百人一首・小式部内侍の歌に由来する「大江山」と名付けられました。また、船首部にある2層吹き抜けのフォワードサロンは、宮津・白竜の滝に由来する「白竜」です。さらに、船内には3層吹き抜けのエントランスとシースルーエレベーターが備えられており、開放的で快適な船旅が演出されます。
多様な客室と船上エンターテイメント

船室は、オーシャンビューの浴室を設けたスイートルームをはじめ、専用テラス付きのデラックス、シャワー・トイレが完備されたステート洋室、家族旅行に最適なステート和洋室など、多様なラインナップを用意しています。ペットと同伴できるウィズペットルームも設けられており、ツーリストクラスもプライベート空間が確保された寝台によって快適性が保たれます。グリルを含むレストランでは海を眺めながら食事を楽しむことができ、最上階には日本海の風を肌で感じられる露天風呂も備えられています。
国内フェリー初のイマーシブ体験空間と高速通信環境

「けやき」の新造船ならではの特長として、二つの革新的なサービスが挙げられます。一つは、国内フェリーで初めて導入されたスクリーンルーム「龍宮」でのイマーシブ(没入型)体験です。プロジェクションマッピングを駆使したコンテンツにより、物語に入り込むような新たな感動体験を提供します。この施設名「龍宮」は、日本最古の「丹後風土記」に描かれる浦嶋子(浦島太郎)の物語の舞台となった浦嶋神社に由来し、非日常体験を意味しています。もう一つは、全客室で利用できる高速Wi-Fiサービス「フェリーWi-Fi」です。Starlinkを活用したこのサービスにより、洋上でも快適な通信環境が実現し、ビジネスシーンを含めた船旅を強力にサポートいたします。
最新鋭の省エネ技術の採用
本船は、全長199.0m、総トン数14,157トン、旅客定員286名、最新鋭の省エネ技術が採用されています。国内のフェリーで初めてダックテールを有するバトックフロー船尾船型や垂直船首形状などにより、従来船と比べ約5パーセントの省エネを実現しました。さらに、アンチローリングタンクとフィンスタビライザを組み合わせた省エネ型減揺システムにより、水の抵抗が低減され、快適な運航を可能にしています。
伝統と革新が融合した新時代のフェリー
新日本海フェリーの新造船「けやき」は、伝統的な文化要素と最新のデジタル技術を融合させ、乗客に安心で快適な船旅を提供する新しい時代のフェリーです。ビジネスでの移動やMICE、観光、家族旅行など、多様な目的を持つ利用者のニーズを高いレベルで満たす設計となっています。なお、本船の姉妹船となる新「はまなす」も2026年6月に小樽-舞鶴航路に就航予定であると発表されています。
新日本海フェリー Webサイト https://www.snf.jp/



