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第2回 ボードゲームの可能性を求めて―海外、国内各地のボードゲームイベントとのつながりから生まれるものは

「BGBEが描く来場者2倍の夢。挑戦する人たちを1年にわたって追う」第2回

国内ボードゲーム市場を盛り上げるべくその最前線を駆け回るのが、国内最大級のボードゲームビジネスイベント「Board Game Business Expo Japan」を手がける高橋さんです。海外展開のリアル、地方活性化のヒント、異業種コラボの可能性まで、来年のイベントにどのようにつながっていくのか、高橋さんの視点からボードゲームイベントの未来を探ります。

Tabletop & Hobbies Thailand2025 (タイ)にて

海外への出展や視察―直接足を運ぶことでグローバルな視点を持ち、ネットワークを広げる

高橋さんが海外のボードゲームイベントに積極的に足を運ぶのは、グローバルな視点で市場を理解し、海外のボードゲーム関係者とのネットワークを構築することが大きな目的です。海外イベントの情報も、足を運ぶことで知ることができ、相手から誘ってもらえる機会も増えていきます。話に聞くだけではわからない、各国の市場規模やトレンド、どのような出版社(パブリッシャー)がいるか、日本のゲームの浸透度などを肌で感じることが重要だと高橋さんは語ります。

現地イベントこそが市場の状況や業界のキーパーソンを直接知るための貴重な機会になります。現在はアジア地域、特に東アジアに強い関心を寄せ、フィリピン政府が関わるイベントへの参加も予定しています。

(アジア各国のボードゲーム業界の方々との写真。現地に出向くことで次々とご縁がつながっていきます)

海外での活動を通じて、自社のゲームだけでなく日本のボードゲーム全体を海外に広める足がかりを築きたいという思いも強く持っています。そのため現地イベントで自社のゲームを遊んでもらい、友人やファンを増やすことが長期的な展開につながると考えています。言葉が通じなくても、ルールが分かればボードゲームはコミュニケーションツールになり得ます。

2024年開催の韓国でのボードゲームイベント、韓国は自国産業の支援に積極的と言います

日本からの海外イベント参加者が少ない現状を踏まえ、高橋さんはイベントレポートをSNSで発信し、興味を持つ仲間を増やしたいと考えています。海外イベントへ参加する際の準備相談にも積極的に応じ、日本の優れたコンテンツを世界へ広げるきっかけを作りたいと語ります。

韓国のボードゲームイベントを訪問したときのこともお話いただきました。韓国では出展料・入場料が無料になるなど政府の積極的支援が市場の盛り上がりにつながっています。日本でもそういった支援があることで、できることの選択肢が増えるのではないかと期待を寄せます。

公式Xより 次々と各地のイベントとの連携を深めています

【国内各地との連携――全国的なボードゲームシーンの活性化】

国内では北海道から沖縄まで各地でボードゲームイベントが活況を呈しています。
高橋さんは自身の経験を活かし、各地のイベント主催者との連携を強化しています。ゼロから立ち上げたボードゲームイベント「BGBE」の経験から、地方でイベントを開催する難しさやノウハウ共有の重要性を痛感しているといいます。

名古屋や岐阜など地方イベントの規模拡大に向けて、運営ノウハウや集客への取り組み、県外からの参加者へのアピールといったアイデアを共有し、互いに協力して市場規模の拡大を目指しています。特にSNSを活用した告知協力は認知度向上に不可欠であり、情報を共有し合ってイベントを盛り上げることを重視しています。開催日が重複しないようイベントカレンダーに登録する、情報サーバーに主催者が集まり情報共有を行うことで、より多くの人がボードゲームを楽しめる環境づくりを目指しています。

自分たちが主催するイベントだけでなく、それぞれがつながりを意識して、業界全体を盛り上げていくというのは、素晴らしい動きですね。

「地方イベントの盛り上がりの要因として、大都市の大規模イベントに参加しにくい層でも地元イベントには参加しやすいこと、小規模イベントならではの出展者と参加者の距離の近さ、交流の深さがある」と高橋さんは感じています。
地方のポテンシャルを引き出し、全国でボードゲームが盛り上がる仕組みづくりを目指しているのです。高橋さんは地方イベントへの参加を通じ、地域ごとのニーズやトレンドを把握し、それが自らの活動の糧になっているそうです。

BGBEの成功・成長が地方での新規イベント開催を後押ししているとも感じています。各地のイベントで生まれたアイデアにも面白いものがあるんですよ、あるイベントでのアンケート方法について教えていただきました。

※リストバンドの返却をアンケートに転用するアイデア。各地のイベントで生まれたアイデアがお互いのイベントでもヒントになります。

地方創生にもつながる動きとして、BGBEにも滋賀パビリオンとして出展された地元商工会のような事例が増えて、それこそ47都道府県のパビリオンが並ぶようになればと夢を語る高橋さん。地方では顔見知りの多いコミュニティの中でボードゲームが楽しまれる土壌があり、パチンコなど他の娯楽と比べても健全だという認識が広がっています。自治体との連携も視野に入れ、遊ぶ場不足という課題に対し、福祉施設での活用など新たな可能性を模索していけるのではないかと語っていただきました。

世界最大規模のアナログゲームイベント「SPIEL Essen 2024」アジア以外にも足を運びます

新たな刺激を求めて―異業種連携と海外のユニークな事例

海外イベントではお菓子メーカーがスポンサーになったり、ピザの箱がゲームになったりと、異業種とのコラボレーション事例を多く知ったそうです。高橋さんは日本でもこうした連携が広がれば認知度向上につながると期待し、BGBEでも異業種連携を模索中で具体的な話が進んでいるそうです。

たとえば、タイではバスターミナルにボードゲームショップ兼プレイスペースが設けられ、待ち時間を利用して遊ぶ人やお土産として購入する人を見かけました。このような地域密着型のユニークな展開は日本でも応用可能で、空港の待合スペースでの活用もアイデアのひとつになりえます。また、タイでは日本のアニメや音楽が人々に身近な文化として受け入れられていることも知りました。アニメを通じて日本語を知るシーンが印象的だったそうです。自分になかった発想を知る、その背景にある文化を知ることの大切なをあらためて意識したといいます。

2025年7月~8月は昨年に引き続き、北米最大のアナログゲームの祭典「GenCon025」に「JAPANパビリオン」として出展準備を進めています!

4月からは京都国際マンガミュージアムとイベントを共催。こちらのイベントも編集部にて取材予定です。


クローズアップポイント

高橋さん大きな武器は“現地力”だと強く感じました。直接足を運び、関係を作り、各地に友人を作っていく。できそうで、なかなかできないことです。マーケティングツールがいくら発達しても、AIが賢くなっても、AI同士が交流するわけではありません。業界全体が盛り上がるために歩みを止めない姿勢が、これまでのBGBEを作り、これからのBGBEの発展につながっていくのだと確信しました。

MICEクローズアップ
「BGBEが描く来場者2倍の夢。挑戦する人たちを1年にわたって追う」第2回
取材:MICE TIMES ONLINE 井上浩二

本企画は1年間に渡り「Board Game Business Expo Japan2026」までの長期連載企画となります。
※取材:2025年4月18日

BGBE 公式Xアカウント https://x.com/BGBEJAPAN

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