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京都市が推進する「京都観光・MICE振興計画2030」の目的と今後の施策

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京都市が新たに策定した「京都観光・MICE振興計画2030」は、観光客と市民、そして事業者が共存できる持続可能な観光とMICEの発展を目指す重要な方針です。コロナ禍を経てインバウンド需要が急回復する中、京都市は一部の観光地での混雑やマナー問題など、市民生活に影響を与える課題に直面しています。新たな計画がどのような課題を解決し、どのような未来を描こうとしているのかを見ていきましょう。

京都観光・MICE振興計画2030が策定された背景と目的は?

京都には、千年を超える歴史の中で培われた文化芸術や美しい自然景観など、多彩な魅力があります。国内外から多くの観光客が訪れることで観光消費額は1兆9075億円に達し、市民の年間消費支出の約70パーセントに相当する大きな経済効果を生み出しています。また、観光による雇用効果も21万7千人相当となり、市内雇用者の4人に1人以上を占めるなど(令和6年)、地域経済を支える重要な基盤となっています。観光消費額の単価増加や、外国人観光客の宿泊割合が伸びるなど、観光の質的な向上もみられます。

しかしその一方で、観光客の集中による公共交通機関の混雑や観光マナーの問題は、多くの市民が迷惑を感じている深刻な課題です。一部の区間や時間帯における道路の混雑が発生しているほか、日本や京都の文化や生活習慣に馴染みのない外国人観光客のさらなる増加が予測されており、オーバーツーリズム対策の重要性が高まっています。ビジネスイベントであるMICEについても、高い経済効果をもたらす反面、市民への認知度が低く、その効果を市民の暮らしにどう還元していくかが問われています。

このような背景から京都市は、市民生活と調和した持続可能な観光とMICEを実現し、さらにその先を見据えた新たな計画を策定しました。計画期間は2026年度から2030年度までの5年間。多彩な共創で未来を切り拓く観光とMICEを目的に掲げ、課題対策を徹底しながら、すべての人が満足できる環境づくりを進めるとしています。

京都市Webページ 「京都観光・MICE振興計画2030」について
https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000351851.html

多彩な共創で未来を切り拓く3つの主要プロジェクト

目指す姿を実現するために、京都市は具体的な3つのプロジェクトを設定しています。それぞれのプロジェクトがどのような内容を含んでいるのかを詳しく見ていきます。

1)市民生活と観光をつなぐプロジェクト

このプロジェクトは、観光課題への対策をより一層強化し、市民生活と観光の調和を図ることを目的としています。具体的には、観光の時期や時間や場所の分散化を進めるとともに、道路や市バスの混雑対策、手ぶら観光の推進などを実施します。宿泊施設等の関係法令の見直しを国に要望することや、条例改正を含めた民泊規制のあり方についても検討を進めます。また、市民が観光の効果を実感できるよう、市バス等における市民優先価格の導入や、宿泊税の税率見直しを活用した都市基盤の整備などが検討されています。

特に重要な指標として、混雑やマナー違反に迷惑している市民の割合を、ゼロパーセントにするという高い目標値を掲げています。困難であったとしても市民の存在を看過せず、その割合をゼロにするべく不断の努力を行うという、京都市の強い決意が込められています。そして、観光客に対してはツーリストシップという分かりやすい言葉を用いて責任ある行動を促し、相互に尊重しあう関係づくりを進めます。

2)暮らすように旅をつむぐプロジェクト

観光客が京都の本質に触れ、長く滞在したくなるような質の高い観光体験の提供を目指します。幅広い世代を対象に、寺社や歴史だけでなく、自然やアクティビティなど、新たな魅力を掘り起こします。混雑が少ない多様なエリアでの観光振興や、近隣自治体と連携した広域周遊も促進されます。

高付加価値な観光体験を創出し、その収益の一部を文化財等の維持や継承に活用する仕組みづくりを促します。宿泊観光の促進においては、朝や夜の混雑していない時間帯の観光を推奨し、消費単価の向上と混雑緩和の両立を図ります。宿泊施設におけるバリアフリー化の促進や、文化的あるいは宗教的背景から多様化するニーズへの対応など、あらゆる人が快適に観光できる受入環境の整備も進められます。先端技術を活用したきめ細やかな情報発信や、海外の有力メディアやインフルエンサーと連携した発信強化にも取り組みます。また、観光関連事業者のデジタル化支援や、観光関連従事者の育成支援を行い、京都の観光業界で働き続けたいと思う従事者の割合を、70パーセントに引き上げる目標を設定しています。

3)MICEでつどうプロジェクト

MICEの誘致強化と、開催による効果の最大化を図るプロジェクトです。MICEとは、企業等の会議や報奨旅行、国際会議、展示会などのビジネスイベントの総称です。MICE参加者は一般の観光客に比べて消費額が大きく、約4倍の経済効果をもたらすとされています。2024年の国際会議1件あたりで、平均約9200万円の経済波及効果がありました。また、曜日や季節に関係なく開催される傾向があるため、観光の時期の分散化にも大きく寄与しています。

このプロジェクトでは、MICE参加者と市民や学生や企業との交流の場を創出し、ビジネス機会の創出や学術の振興につなげます。また、歴史的建造物などを会場とするユニークベニューの活用や、伝統産業製品の購入などを組み込んだ京都らしいプログラムの提案を働きかけます。

MICE振興に向けた具体的な施策と数値目標

都市間のMICE誘致競争が激化する中で、京都市は国際的なMICE都市として選ばれ続けるための施策を展開します。国際会議開催件数の世界ランキングにおいて30位を目指し、年間開催件数も400件という高い目標を掲げています。

目標達成に向けた取り組みとして、商談会への出展などを通じた世界とのネットワーク構築や、持続可能な社会に貢献するサステナブルなMICEの開催支援が進められます。また、MICE事業者の人材育成支援や、施設間連携による受入体制の構築など、環境整備も行われます。MICEの意義や効果を市民に分かりやすく発信し、市民公開講座などを通じて知見向上につなげることも、重要な施策として位置づけられています。

計画を確実に推進するための組織体制

計画の推進には、行政や事業者や市民がそれぞれの役割を果たし、連携することが不可欠です。京都市観光協会や京都文化交流コンベンションビューローなど、関係機関との連携を強化し、一体となって取り組みます。また、データに基づく施策の立案や改善を徹底し、宿泊税を効果的に活用するための宿泊税基金の創設も予定されています。計画の進捗を管理するためのマネジメント会議を設置し、効果や課題を定期的に分析して柔軟な対応ができる仕組みを構築します。

京都が目指す持続可能な観光の未来

「京都観光・MICE振興計画2030」は、目の前の課題解決にとどまらず、京都の魅力を未来の世代へ引き継ぐための包括的な計画です。市民が心豊かに暮らし、事業者が安定して経営を行い、観光客が深い感動を得られる環境の実現が求められています。

すべての関係者がお互いを尊重し、責任ある行動をとることが、この計画を成功させるための重要な要素となります。千年を超える歴史の中で培われた京都の多彩な魅力は、観光に関わる人々の行動によって失われてしまう可能性もはらんでいます。市民生活との調和を第一に考えながら、国際文化観光都市としての価値をどのように高めていくのか、京都市が推進する今後の施策の展開が重要となります。

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