【コラム】15年を迎えた「京まふ2026」は京都に何を生み出しているのか?「アニメ・マンガ・ゲームが好き」を入口に、 人材確保と産業への道筋をつくる
マンガやアニメが好きな中高生が、イベントに遊びに来る。そこで初めて、作品をつくる仕事や、それを学べる学校を知る。数年後、自分でも作品をつくるようになり、今度は企業や編集者に作品を見せる。そんなふうに、イベントを入口として、人と産業との関わりを段階的につくることはできるのでしょうか。
2026年9月19日、15回目を迎えた「京都国際マンガ・アニメフェア2026(京まふ)」を訪れました。開催目的には、コンテンツ産業の振興だけでなく「クリエイティブ人材の創出・育成・定着」が掲げられています。
会場を歩き、その周辺で行われている取り組みまで調べていくと、京まふだけですべてを完結させるのではなく、人がコンテンツ産業に関わるための「次の場」が段階的につくられていることが見えてきました。
MICEと人材育成と産業の関係性を考えます。
(音声・動画が流れます 2025年の様子)
京都国際マンガ・アニメフェア「京まふ2026」現地取材
「京都国際マンガ・アニメフェア」、通称「京まふ」は、マンガ・アニメ・ゲームを扱う西日本最大級の総合見本市です。2012年にスタートし、2026年で15回目を迎えました。
今年は9月19日(土)、20日(日)の2日間、みやこめっせ、ロームシアター京都、京都国際マンガミュージアムを会場に開催されています。主催は京都国際マンガ・アニメフェア実行委員会と京都市です。出版社やアニメ関連企業などによる展示、グッズ販売、ステージイベントなど、多彩な企画が展開されています。

会場には、親子連れや中高生、大学生、大人まで、幅広い世代の来場者が参加。マンガ・アニメ・ゲームのグッズを求め、長蛇の列ができていました。
各ブースでは人気作品の最新情報やグッズをPRしています。



「京都国際マンガ・アニメフェア2026(京まふ / KYOMAF)」開催概要
- 開催期間:2026年9月19日(土)~ 9月20日(日)
- メイン会場:みやこめっせ(京都市勧業館)、ロームシアター京都(京都市左京区岡崎)
- 第2会場:京都国際マンガミュージアム(京都市中京区烏丸通御池上ル)
- 主催:京都国際マンガ・アニメフェア実行委員会、京都市
- 共催:KYOTO CMEX 実行委員会、京都国際マンガミュージアム、京都コンピュータ学院・京都情報大学院大学
- 協力:「伝統産業の日」実行委員会、京都伝統産業ミュージアム、京都外国語大学
好きと仕事の間を埋める接点マッチングより前にある「仕事を知る」という役割
京まふの4つの開催趣旨
コンテンツを活かした新産業の創出・成長
クリエイティブ人材の創出・育成・定着
世界的な文化都市としてのブランド力向上
京都に愛着を持つ関係人口の創出・拡大
作品を楽しんでもらうだけでなく、その先にある産業や人材の育成まで見据えていることが分かります。

企業と学生が集まる京都
今の京都には、任天堂やトーセ、モノリスソフト、ポノスといった既存のゲーム会社に加え、サンジゲン、ライデンフィルム、グリオグルーヴ、GAINAX京都、グラフィニカ、マジックバス、ILCA、スタジオコロリドなどのアニメ・ゲーム・CG制作に関わる企業のスタジオや拠点が立地しています。

さらに、京都は学生の街でもあります。京都精華大学や京都芸術大学、京都市立芸術大学、京都コンピュータ学院など、マンガ、アニメ、ゲーム、デザイン、情報分野を学べる大学や専門学校もあります。
コンテンツを「つくる企業」と、これからその分野に関わる可能性のある「学生」の両方がいることになります。

京まふの出展対象にも、マンガ、アニメ、ゲーム関連企業だけでなく、コンテンツ人材の教育に関わる企業、大学、専門学校などが含まれています。実際の会場でも、学生たちがブースに立ち、来場者へ積極的に声をかける姿が見られました。

では、京まふは企業と学生を直接つなぐ「マッチングの場」なのでしょうか。
現地を歩いた限りでは、そうした仕組みが前面に出ているわけではありませんでした。むしろ京まふが担っているのは、その一歩手前にある、より広い「入口」なのではないかと感じました。
私自身、大学4年生の頃、ひょんなことからチケットをいただいて京まふを訪れたことがあります。当時、コンテンツ産業やMICEについて考えていたわけではありません。ただ、会場が楽しくて「来年も行きたい」と思ったことは覚えています。入口とは、そういうものなのかもしれません。

京まふには、「マンガ・アニメ・ゲームが好き」という気持ちからイベントを訪れ、そこで作品だけでなく、それをつくる企業や、仕事を学べる学校の存在を知る。そうした最初の接点をつくる役割があるのではないでしょうか。

仕事を知る動線まではつくれても、次にどこへ行けばいいのでしょうか。学生であることが分かるパスがあったり、業界に興味がある学生と企業が話せる場所があったりすれば、偶然の出会いをもう一歩先につなげられそうです。
と思って調べてみると、京都市では京まふ以外にも、若手クリエイターと企業・プロとの接点をつくる取り組みが進められていました。

京まふの約2か月後に開催「京まふCREATIVE文化祭」
2026年11月21日、京都コンピュータ学院京都駅前校で「京まふCREATIVE文化祭」がトライアル開催されます。京まふ開催の前日、9月18日に京都市から発表されました。将来のキャリア形成や新たな協業のきっかけを生み出すことを目的としています。
対象となるのは、京都で学ぶ学生や若手クリエイターに加え、京都での活動や就職に関心を持つ人たちです。自分の作品を展示し、他の出展者や企業関係者などから直接フィードバックを受けることができます。同会場で行われる「マンガ出張編集部」では、マンガ家志望者が自分の作品を持ち込み、編集者と接点を持つことができます。
京まふCREATIVE文化祭 Webサイト
https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000358352.html
ビジネス支援のプラットフォーム「KYOMAF B-SIDE」
「京都から、未来へつなぐコンテンツビジネスのプラットフォームで、京まふをはじめとするコンテンツ産業振興を通じて築いてきたネットワークを生かし、クリエイター、企業、学校、行政などをつなぐ取り組みです。
京都在住、または京都への移住を考えているクリエイターやコンテンツ事業者に向けた相談窓口を設けているほか、クリエイターに必要な技術を学ぶセミナー、企業から提示された課題に取り組むアイデアソンやハッカソン、企業同士の交流会なども実施しています。
KYOMAF B-SIDE Webサイト
https://kyomaf-b-side.city.kyoto.lg.jp/

一つのイベントで完結させず、次の段階をつくる
こうして並べてみると、それぞれのイベントの役割は少しずつ異なります。一つのイベントですべてを完結させるのではなく、それぞれの取り組みを並べてみると、人の関わり方に応じた段階の異なる接点として捉えることができます。MICEを一過性の集客で終わらせず、地域の人材や産業につなげていくためのヒントがありました。



