【MICEの基礎知識（3）】グローバルMICE都市ってなんですか

2024.10.11

グローバルMICE都市とは？

「グローバルMICE都市」について初心者向けにわかりやすく解説します。MICEは「Meetings（会議）」「Incentives（インセンティブ旅行）」「Conferences（学会・会議）」「Exhibitions（展示会）」の頭文字をとったもので、大規模なイベントを指します。「グローバルMICE都市」という言葉は、このMICEを推進する都市を指しています。詳しく見ていきましょう。

MICEについてくわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください

【MICEの基礎知識（1）】MICEとは

グローバルMICE都市とは？

「グローバルMICE戦略都市」とは、MICEイベントを積極的に誘致し、開催することで都市の経済や国際的な地位の向上を図ることを目的とした都市です。MICEを推進するためのインフラ整備や観光資源の充実、国際的なプロモーション活動を行い、ビジネスや観光の拠点としての魅力を高めています。2015年までは「グローバルMICE戦略・強化都市」とされてきました。現在は12都市を統一的に「グローバルMICE都市」と呼びます。

グローバルMICE都市の設置経緯

グローバルMICE戦略都市は、日本政府がMICEを活用して地域経済の発展と国際的な競争力の強化を図る目的で設置されました。観光立国を目指す中で、国際的な会議や展示会の誘致を促進し、地域ごとの強みを活かしたMICE戦略を推進することが求められてきました。

グローバルMICE都市を対象に、各都市における取組やベストプラクティス等を共有し、今後の取組について意見交換を行う会議「グローバルMICE都市・都市力強化対策本部」を2017年（平成29年）に設置しました。MICE誘致に係る知見や取組等を共有するとともに、最新動向を踏まえた課題と対策を具体化し、各都市の連携強化・MICE誘致競争力強化を図ることを目的としています。
観光庁Webサイトより

日本のグローバルMICE都市

12の都市が「グローバルMICE都市」に選定されています。これらの都市は国際的な交通アクセスが良く、ホテルや会議施設などのインフラが充実しています。

東京都（2013年選定）：日本の首都であり、アジアの経済の中心地のひとつです。東京ビッグサイトなどの大型展示施設があり、国際的な展示会や会議が数多く開催されています。あらゆるニーズに応える、都市機能を備えており、日本におけるMICEの中心地としての地位はゆるがないでしょう。
横浜市（2013年選定）：みなとみらい地区に代表される近代的な会議施設が整備されており、アクセスも良好です。パシフィコ横浜などの大型施設があり、国際会議の開催地として人気があります。古くから港湾都市として栄えた横浜は国際的なイベント開催に適した都市です。
大阪市（2013年選定）：関西・西日本の経済の中心地であり、インテックス大阪をはじめとした大規模な展示会場を持ち、商業と観光を組み合わせたMICEイベントを積極的に誘致しています。インバウンドでの人気も高く、近年はうめきたエリアを中心に会場、宿泊施設、観光拠点が整備され、都市としての発展は止まりません。
京都市（2013年選定）：歴史と文化の街としての魅力を持ちながら、国際的な学会や文化イベントを誘致しています。国立京都国際会館では多くのMICEイベントが開催されており、長い歴史を背景とした日本らしいユニークベニューの数々、世界的観光としてのおもてなしの精神など他の都市とは違う個性をもっています。大学が多い都市、サブカルチャーが盛んな都市、ベンチャー企業が集まる都市など様々な顔をもちます。
神戸市（2013年選定）：神戸国際会議場などの施設が整っており、港町としての国際的な魅力も活かしながら、MICEイベントを推進しています。
名古屋市（2013年選定）：中部・東海地方の中心都市。ポートメッセなごやなどの大型会議施設を有しています。ものづくりが盛んな地域の中心地であり、世界中から注目を集めています。近年、展示会場をはじめ環境整備が進んでおり、MICE都市としての魅力を高めています。
福岡市（2013年選定）：九州地域の中心都市です。よりアジアに近い地理的特性を生かし、交通アクセスが良いことから、国際会議の開催地として人気があります。空港と都心部が近いことなど他の都市にはない魅力があります。
札幌市（2017年選定）：北海道の玄関口として、豊かな自然と観光資源を活用しながら、国際会議や展示会を積極的に誘致しています。北海道という豊かな自然をもち、観光地としての人気が非常に高いことから、MICE開催都市として注目を集めます。
仙台市（2017年選定）：東北地方の中核都市として、アジアとのビジネス交流を促進するための会議施設や宿泊施設が整備されています。東京からのアクセスが良好で、今後の発展が期待されています。
広島市（2017年選定）：平和都市としてのブランドを持ち、国際的な平和会議などの開催実績があります。サミット開催でも注目されました。
北九州市（2017年選定）：産業都市としての歴史を持ち、北九州国際会議場などを活用して、国際的な会議や展示会を誘致しています。北九州市は国際テクノロジー都市を目指しており、ものづくりが昔から盛んな地域です。
千葉市（2017年選定）：幕張メッセを有する千葉市は、多くの国際展示会や会議が開催される都市として、MICEの推進に積極的です。国際会議場、イベントホールを備える幕張メッセは東京ビッグサイトと並ぶ日本有数の大型コンベンション施設です。空港、鉄道のアクセスもよく、これからも多くのイベントが開催されることでしょう。

グローバルMICE都市の特徴

グローバルMICE都市には、いくつかの共通した特徴があります。

交通インフラの整備：MICEイベントには多くの参加者が集まるため、空港や鉄道などの交通アクセスが整っていることが重要です。例えば、東京や大阪には国際空港があり、世界中からのアクセスが便利です。
充実した宿泊施設：大規模なイベントでは、多くの宿泊客が訪れるため、都市内に多様な宿泊施設があることも必要です。ラグジュアリーホテルからビジネスホテルまで、幅広い宿泊オプションが提供されています。
文化・観光資源の活用：MICEイベントに参加する人々が観光を楽しめるよう、地域の文化や観光資源を活用しています。例えば、京都では伝統的な寺社や和食文化が観光客を魅了し、イベントの付加価値を高めています。
国際的なプロモーション活動：グローバルMICE戦略都市では、国際的なプロモーション活動を通じて、イベントの誘致を積極的に行っています。自治体や観光局が中心となり、海外のイベント主催者に対して都市の魅力をアピールしています。

グローバルMICE都市のメリット

グローバルMICE戦略都市になることで、いくつかのメリットがあります。

経済効果：大規模なイベントが開催されることで、多くの来訪者が宿泊や飲食、ショッピングを行い、地域経済の活性化につながります。雇用の創出、地元企業のビジネスチャンスの拡大など経済効果は大きいとされています。
国際的な知名度の向上：MICEイベントを通じて都市の国際的な知名度が向上し、将来的な観光客の増加やビジネスチャンスの拡大が期待できます。
地域の発展：MICEイベントをきっかけに、都市のインフラ整備や観光資源の整備が進み、地域全体の魅力が高まります。

グローバルMICE都市の参考リンク

さらに詳しく知りたい方は、以下のリンクを参照してください。

2018年度より支援対象都市を広げる

コンベンション特化

支援対象をグローバルMICE都市以外の地方都市にも広げ、各都市のコンベンションビューローの機能強化及びわが国のMICE誘致・開催件数の底上げを目的に、国内有識者による伴走型のトレーニング及びコンサルティングを実施しています。
観光庁Webサイトより

支援対象都市は以下のとおりです。
2023年度（令和5年度）　徳島市、福井市、水戸市
2022年度（令和4年度）　岐阜市、静岡市、新潟市
2021年度（令和3年度）　鹿児島市、熊本市、高松市
2020年度（令和2年度）　岡山市、松山市

ミーティング・インセンティブ旅行（M・I）

2020年度からは、ミーティング・インセンティブ旅行誘致に意欲のある都市への支援を進めています。

これまでの支援都市
2023年度（令和５年度）　熊本県、奈良県、広島市
2022年度（令和４年度）　沖縄県・長崎市、札幌市、福岡市
2021年度（令和３年度）　札幌市、仙台市、横浜市、金沢市、福岡市
2020年度（令和２年度）　静岡県東部地域、広島市

国際会議観光都市（54都市）

国際会議場施設、宿泊施設などのハード面やコンベンション・ビューローなどのソフト面での体制が整備されており、コンベンションの振興に適すると認められる市町村を、市町村からの申請に基づき、国土交通大臣が国際会議観光都市として認定する制度。
国土交通省Webサイトより

※2024年9月現在

旭川市、札幌市、釧路市
青森市、盛岡市、秋田市、鶴岡市、山形市、仙台市
つくば市・土浦市、成田市、千葉市、木更津市、浦安市、さいたま市、前橋市、横浜市、富士吉田市
新潟市、長野市、上田市、松本市
静岡市、箱根町、浜松市、高山市、岐阜市、犬山市、名古屋市
富山市、金沢市、福井市
伊勢志摩地区、京都市、奈良市、大阪市、神戸市、姫路市
岡山市、松江市、福山市、広島市、下関市
高松市、徳島市、松山市
北九州市、福岡市、別府市、熊本市、長崎市、宮崎市、鹿児島市、那覇市・浦添市・宜野湾市・沖縄市