【取材】Inter BEE 2025 最終日の幕張メッセを歩く。目を引く体験型展示を中心に会場の様子をご紹介
2025年11月19日~21日まで幕張メッセで開催された「Inter BEE 2025」。メディアとエンターテインメントのプロフェッショナルが集う日本最大級のイベントです。主催者であるJEITAが「新たな進化のスタート年」と位置づけた今年。最終日の11月21日に訪れると、開場時間から終幕直前まで参加者が途切れることがない、盛況ぶりでした。写真と動画で現地の様子をお届けします。

Inter BEE 2025開催概要
名称:Inter BEE 2025
会期:11月19日(水)・20日(木)・21日(金)10:00~17:30 ※最終日は17:00まで
会場:幕張メッセ
入場:無料(全来場者登録入場制)
対象の業種:放送事業者、放送ラジオ局、機器・製造メーカ、ポストプロダクション事業者、プロダクション事業者、映画・映像制作会社、ビデオソフト制作会社、レコード制作会社、音響・PA関連事業者、CATV関連事業者、舞台・演出・美術・照明関連事業者、コンテンツ制作関連会社、インターネット関連会社、通信事業者、コンテンツ配信事業者、施設・店舗関連事業者・官公庁・団体、商社、広告代理店、関連大学・専門学校
主催:一般社団法人 電子情報技術産業協会
公式Webサイト https://www.inter-bee.com/ja/

InterBEEの歴史や今年のテーマ、見どころについて、詳しくはこちら

会場の様子:魅せ方の妙が光る展示。国内最大級のイベントに業界の技術が集結
広い会場を効果的に使った多彩なカンファレンス


開場時刻の10時に幕張メッセに到着。開催3日目、平日にもかかわらず、続々と来場者が入っていきます。来場者バッジは現地で印刷するシステム。全6カ所にピックアップカウンターが設置されています。ホール6の前のカウンターには100人近い人が並んでいましたが、プリンターが10台あり、スムーズに進んでいきます。
バッジは厚紙に穴を開け、直接ストラップを取り付ける仕様。ポリプロピレン素材の袋を使い捨てるのではないため、ゴミが少なく環境に配慮されていると感じました。


ホール2から8に加え、国際会議場でのセッションやイベントホールでのSRスピーカー体験デモと、幕張メッセを余すところなく効果的に使っていました。


ホール内では、至るところでカンファレンスやセミナー、セッションが行われています。話題の映画監督や業界を牽引する企業の代表らが登壇し、3日間で約90回開催。200人分のイスが満席、さらに立ち見が出るほど盛況のセッションもありました。
聴講者のために、60以上の言語に対応した「AIリアルタイム翻訳・字幕システム」を今回から導入。米国カリフォルニアに本社を置くWordly社との協力によって実現したといいます。




各社がブースで独自開催しているセミナーに足を止める人が多くいました。スピーカーが英語なら日本語で、日本語なら英語で通訳を入れたり翻訳画面を出したりと、多言語への配慮がされています。カンファレンスからの人の流れを読み、開催時刻が計算されていたことも、奏効していたと感じます。



展示内容とは別に、ロケ弁グランプリ、ARスタンプラリーといったイベントが実施されていました。モバイルチャージラウンジやテレワークラウンジ、コーヒーマルシェが点在し、自分のペースで1日ゆっくりと回遊できる作りになっています。





海外からの来場者・出展者が多くいたこと、女性や学生と見られる来場者が多かったことも特徴。国内外からの関心の高さは、60年近い歴史のある本展ならではだと感じました。


4つのゾーンにそれぞれの特色。見て・聞いて・触って体験させ、魅力を伝える
ホールは部門ごとに4つのゾーンに分けられています。
- プロオーディオ部門
- 映像制作/放送関連機材部門
- エンターテインメント/ライティング部門
- メディア・ソリューション部門
音が命のプロオーディオ部門
展示を見せることよりも聴かせることが大切。バンドの生演奏によってライブハウスさながらの臨場感が味わえたり、室内で落ち着いて音楽を聞く時間をイメージさせる空間を作ったり。これを3日間で撤収しまうのか……と感じる、作りこまれたブースが並んでいました。


音響設備を扱う「セカンドステージ株式会社」のブース。イマーシブ音響システム「L-ISA」実演のために、大きな“黒い箱”が設置されていました。

密閉された黒い箱の中に入ると…

本格的なライブハウスのような照明に生バンド。100人近い観客が、サックスのメロディーに耳を傾けていました。
「BOSE PROFESSIONAL」。新製品のペンダント型フルレンジスピーカーの性能を伝えるため、コマをぐるっと囲んで音の聞こえ方を確認。壁沿いに商品を並べるスタイルがユニークです。


ホール2~8にまたがり、大半を占めるのが映像制作/放送関連機材部門
展示されているものは多岐に渡るものの、各社に共通するのは展示方法の工夫です。モデルを自由に撮影できたり、グリーンバックで撮影したものが目の前で編集されたり、実際にカメラを装着して歩いてみたりと、直感的にわかりやすい展示がされています。







ラジオ聴取が趣味の私には、触りたくて仕方がなかったブース。ラジオMCごっこがしたかった…

ひときわ目を引く「SONY」のブースには、高さ4m近くあると思われる巨大スクリーン。色彩の美しさに吸い込まれるように、スクリーンに見入る人たちが印象的でした。

エンターテインメント/ライティング部門
映像技術が伝わるよう、あえて照明が暗くなっています。色鮮やかで、テーマパークの夜のパレードのようなワクワク感があります。


メディア・ソリューション部門
MICEのヒントや今後のスタンダードになりそうな新たな技術が見られました。詳しくは、別記事でご紹介します。

そのほか、ノベルティがくじ引きになっていたり、高い場所に箱馬を作る職人がいたり…来場者に足を止めてもらうため、一風変わった方法を取り入れているブースが多数見られました。




会場を埋めた、魅せる・映えるブースたち。「体験できる」展示で没入感が向上
Inter BEEはメディアのプロが集う展示会であり、魅せ方が得意なのはある意味当然かもしれません。それでも、国内外の技術が集結し、意地を見せあう展示方法は圧巻。各ブースを見て回ることが単純に楽しく、開場から終幕まであっという間でした。体験が、高い没入感につながることも実感しました。
展示会だからできる「体験」が、つい時間を忘れて夢中になっていた人が多かった理由なのではと考えます。インターネットで調べるてみても、見て聞いて触ってみないとわからないことはたくさんある。幕張メッセの大きさ活かしたレイアウト、あえて暗いエリアを作ること、クローズにして呼び込むブース作りといった手法は、展示の王道のひとつではありますが、やはり大変効果的です。




