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【内覧会レポート】アジア太平洋トレードセンター、ATCホールが30周年目のリニューアル!/万博会場に近い南港エリアに注目

2024年12月18日(水)訪問

大阪・関西万博開幕は2025年4月。開催地である大阪・南港ベイエリアは、国内外から注目を集めています。なかでも、会場である夢洲(ゆめしま)から近い大規模複合施設として「アジア太平洋トレードセンター」(以下: ATC)への注目はひときわ大きいのではないでしょうか。イベントも多く開催されていて、訪れたことのある方も多いかもしれません。
そんなATCは、2024年7月末から2024年12月の約5ヶ月にわたり改修工事が行われ、12月18日に内覧会が実施されました。今回、編集長 藤井が取材にうかがいました。

コスモスクエア駅からATCに向かう道中
ATC入口に到着しました

30周年を迎える、アジア太平洋トレードセンター(ATC)

「ATC」は大阪市住之江区の咲洲(さきしま)に1994年4月に建設されたオフィス、ATCホール、公共ゾーン、商業ゾーンを備えた大規模複合施設です。2024年4月に30周年を迎えました。平日には近隣の大阪府咲洲庁舎で働く方、休日はイベント参加者や家族連れが訪れます。私が訪れたときにはインバウンド客が団体で訪れており、免税店等で買い物をする様子も見受けられました。

ATC内の免税店

アクセスは、OsakaMetro中央線「コスモスクエア」からは徒歩約15分、ニュートラム線「トレードセンター前」からはATCと直結します。

トレードセンター前駅へ向かう通路


内覧会テーマは「多彩な可能性が広がる、無限のステージ」

地下2階のATCホールである、A、B、C、D、Eホールが改修されました。

改修工事により新たに生まれ変わったATCホールの特徴や魅力をご紹介すると共に、ATCホール以外のイベントスペースのご案内や、当社協力会社によるワンストップサービスのご提案も行います。
開業以来初の大規模改修工事を経て、2024年12月中旬に完全リニューアルオープンします。それに先立ち、2024年12月18日(水)に【多彩な可能性が広がる、無限のステージ】をテーマとした内覧会を開催いたします。

公式Webサイトより引用

内覧会イベントの詳細は、記事後半でご紹介します。

ATCホールについてはこちら


【インタビュー】ATC ホール事業部長 内田様に、内覧会について伺いました

大阪の会場同士で連携し、盛り上げたい

—どのような用途で使われることが多いのでしょうか
他施設では少ない、ワンフロアでいくつかの用途に分けて利用できる点が特徴です。A・Cホールをつなげて併催することもできます。インテックス大阪のような1万㎡規模の広さが必要な見本市を行うには少し手狭ですので、取引先や顧客に向けたプライベートショーのような利用が多くあります。
また資格・試験の会場としての利用も増えています。新型コロナの影響で大学施設が使用できなくなった際、ソーシャルディスタンスを確保できる広いホールが求められました。その結果、一度に多くの受験者を収容できるホールが利用されるようになり、距離を保ちつつ換気もしやすい環境が評価されています。会場の特性に応じて、住み分けができていると感じます。

ATCホール Webサイトより

—他の会場の方も内覧会にいらしてましたね
広く告知をし「マイドーム大阪」様や「インテックス大阪」様も内覧会にお越しいただいています。当ホールが混雑している場合には、他の施設をご紹介することもあり、逆に紹介を受けることもあります。このような情報共有や連携を通じて、大阪全体のイベントを盛り上げたい。結果として、大阪でイベントを開催する方々がいつかATCホールを選んでいただければと思います。


約5ヶ月間会場を休館すると決断した背景には、大阪・関西万博による人手不足

—改修工事の背景を教えてください
改修工事の一番の理由は、開業から30年が経過しており、経年劣化への対応が求められていたことでした。その一環として吊り天井を撤去し、安全基準に基づく補強工事を行いました。
特定天井(高さ6m以上、水平投影面積200㎡以上、天井面構成部材の質量が 2kg/㎡を超えるもの)は、2014年の建築基準法施行令の一部を改正する政令で安全対策が推奨されています。2004年創立時にはこの基準がなかったため、修繕時に対応する必要がありました。A・B・Cホールのすべての吊り天井をすべて撤去し、ワイヤーで固定。約半年を要しました。併せて、カーペットの全面交換、柱の塗り替え、照明の追加といったリニューアルを行い、利用者にとって快適で安全な環境を提供できるようにしました。天井工事は利用者からは目に見えない部分ですが、これらの改善が総合的に施設の価値向上につながっていると思います。

我々が工事を決めたのは2021年。実は2025年の大阪・関西万博のため、修繕工事ができる職人さんが足りていません。2021年に決めたことでなんとか確保できました。部分的に工事を進める話も挙がりましたが、貸出期間中の工事への配慮や夜間工事が行われることは、効率が悪いと判断。工事の日程を集中させ一気に進めました。

主催者がいくら素晴らしいイベントを企画しても、会場が素晴らしさを損なう仕様になっていると悪い印象を与えかねません。改修工事を経て照明が明るくなり、トイレも綺麗になりました。自動水栓や洋式トイレを導入し、利用者にとって快適な環境を提供しています。


大阪・関西万博に向けた取り組みを強化

ホールやオフィスに大阪・関西万博関連の事務所や、博覧会協会が入居し、盛り上がっています。そういった拠点としてや、テーマウィークに沿ったシンポジウムや会議が開催できる場所としての需要を取り込んでいます。大阪・関西万博は一過性のイベントですが、これを契機にベイエリアにある施設としての認知を高め、国際会議の誘致、さらにはIR(統合型リゾート)関連の需要に結びつけたいと思っています。大阪でなにかやりたいと考える方々が、当エリアで検討をするきっかけとなることを期待しています。


【内覧会】A〜Eホールの特性を活かした多彩なイベント、さっそくご紹介します!

A~Eのホールでは施設の特性に合わせたイベントが開催されていました。

  • Aホール:ステージゾーン、協賛ゾーン、テクニカルゾーン
  • Bホール:飲食ゾーン
  • Cホール:協賛ゾーン
  • Dホール:講演ゾーン
  • Eホール:楽屋ゾーン


Cホール:協賛ゾーン

協賛をされた企業がブースを出展。

Cホールでは照明、映像に関する企業が出展。丸型のLEDディスプレイや奥が透けているものも。特に、会場の最奥に設けられた迫力満点の大スクリーンは近くで見ても鮮明で、まるでその場にいるかのような体験を得られます。


株式会社モノリス:フチなしスクリーンを展示

映像関連の事業と合わせて、オリジナルスクリーンの開発も手掛けられています。今回は、フチなしのスクリーン「Canvas Screen(キャンバススクリーン)」を展示。白フチをなくしたい、シームレスに見せたいというニーズがあり、開発に至ったそうです。日本は会場の天井高が低いことが多く、横に長いスーパーワイドシリーズが増えているとのこと。スクリーンを触ってみると、皮のような硬めの素材。基本は布素材ですが、表面は白いストレッチ生地にポリウレタン加工、光が抜けないよう裏面は黒のストレッチ生地を使っており、二重構造になっています。シンプルでかっこいい。

株式会社モノリス Webサイト
https://www.monolith2001.com/


株式会社ビーラインワーク:イベント企画から夢洲タワー運営まで

イベントの企画・運営・制作・ケータリング・コラボカフェなど多方面に展開されている企業です。平成28年から「さきしまコスモスタワー展望台」管理運営業務もされています。
「国内の方はもちろん、海外の方も来ていただきたいと思っています。インバウンドの方が多くなってきているので、海外のメディア向けに露出を増やしています。300人ほど収容できる会議室も用意しているので、そちらも知っていただきたいです」とお話いただきました。

株式会社ビーラインワーク Webサイト
https://553dopro.jbplt.jp


Bホール:飲食ゾーン

食事を提供する事業者が5社、飲食ブースに並びます。提供されているお食事をその場でいただくことができました。

株式会社Cqreee


株式会社ダイナック


キッチンカー オリンピア食堂


和心フーズ株式会社:彩り豊かな演出が得意

「安全・安心はもちろんのこと、見た目から美味しそう、楽しそうと感じさせる彩り豊かな演出が得意です。会場ドリンクコーナでのサーブサービスも、きちっと行っております。医療学会分野、企業様の懇親会での利用が多くございます」と教えていただきました。

早速いただきます!考慮して、メニュー名とともに使用材料が表記されているのも嬉しいですね。藤井は肉厚ジューシーな「ハンバーグトマトデミソース煮~温野菜添え~」が特にお気に入り。

和心フーズ株式会社 Webサイト
https://www.wasinfoods.com


ニラックス株式会社:ビュッフェレストランが得意領域

「すかいらーくグループ」100%出資の企業です。ブッフェレストランの開発から、高速道路・商業施設内など、各種施設内の飲食空間、社員食堂の開発まで多岐に及びます。「ビュッフェレストランを得意としています。関西だけは新型コロナ禍でも撤退しませんでした。大阪・関西万博もありますので、関西エリアにもより力を入れていきたいと思います」と教えていただきました。

ニラックス株式会社 Webサイト
https://nilax.jp/


Aホール:講演ゾーン

1日を通してイベントが開催されていました。

  • 2025年大阪·関西万博交通混雑緩和に向けた取り組みについて
  • 大阪市におけるMICE誘致の推進について
  • 2025年大阪·関西万博におけるテーマウィークについて
  • ATCホールの紹介
  • 写真撮影

府市一体・官民連携によるオール大阪での MICE 誘致を推進

大阪市 経済戦略局 立地交流推進部 立地推進担当 課長代理 桐村様から、大阪市のMICE誘致推進の取り組みが説明されました。

国際会議の都市別 開催件数(ICCA 基準 2023年)では、大阪市は20件で、東京91件、京都市41件に続き国内3番目ですが、世界だと 116位、アジア・大洋州地域でも23位。アジア・大洋州地域でトップクラスのMICE都市をめざして2023年3月に策定した「大阪
MICE誘致戦略」では、エリアでのMICE受入を図る「エリアMICE」や産業観光プラットフォーム「Tech Tours Kansai」などの取り組みを紹介。今後の取り組みのポイントのひとつに、MICE開催に合わせた地域への周知・教育プログラムの提供をあげ、MICE開催効果の地域還元について「MICEによる地域のにぎわいづくりについて、考えてもらえる機会になれば」と来場者に呼びかけるなど、府市一体・官民連携によるオール大阪でのMICE誘致推進の必要性を説明して、講演を締めくくりました。


■Editor’s note 取材を終えて

私のお気に入りスポット、ATCから眺める大阪南港の景色。ベイエリアならではの絶景が広がり、訪れるたびにその表情が変わるのが魅力的。
大阪市のMICE担当者やATCホール関係者が掲げる「オール大阪」という言葉には、大阪だけに留まらず「オール関西」「オール日本」として、全体でMICE成功へと導こうとする強い意思が感じられます。2025年4月の大阪・関西万博を控え、ロケーションを活かした関連イベントや利用がますます期待されています。MICEの観点からも、ATCは今後さらに注目していきたいスポットです。


関連リンク集

・ATC Webサイト
https://www.atc-co.com/

・Tech Tours Kansai
https://www.tech-tours-kansai.osaka-info.jp/

・建築基準法施行令の一部を改正する政令について(平成26年4月施行)
http://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_000414.html

・アジア太平洋トレードセンター(株) 広報企画室長 三浦伸夫氏
就労・来訪者支える商業施設 施設改修やイベント強化に注力
https://www.sangyo-times.jp/article.aspx?ID=13461#:~:text=%E2%80%95%E2%80%95%20ATC%E3%81%AE%E6%B2%BF%E9%9D%A9%E3%82%92%E3%80%82,%E3%81%97%E3%81%9F%E6%96%BD%E8%A8%AD%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E9%96%8B%E6%A5%AD%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82

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