【取材】アジア最大規模の食の祭典「FOODEX JAPAN 2026」イタリアとトルコのパビリオンでオリーブを通してあらためて知る大規模展示会の魅力

「FOODEX JAPAN 2026」の会場は、まるで大阪・関西万博のデジャヴのような光景でした。海外パビリオンは色の洪水であり、彼の地から来日した方々がそれぞれのスタイルでブースを運営しています。見たことのないもの、初めて聞くものが次々と目に飛び込んできてワクワクが止まりません。今回、会場となる東京ビッグサイトの西展示棟で展開される広大なイタリアパビリオンとトルコのパビリオンを中心に取材しました。たくさんのオリーブオイルをいただくなか、展示会の「良さ」を再認識しました。展示会はやっぱり華やかで楽しいですね、ということを本記事では初心に帰ってお伝えします。

2026年で51回目を迎える、巨大な食のショーケース
FOODEX JAPANは、日本・アジア最大級の食品・飲料展示会です。国内外の食品メーカー、商社、流通、外食、ホテル、輸出関連事業者などが集まり、新商品や各国の食文化、最新の食品トレンドを一気に把握できる巨大な商談・国際交流の場として機能しています。食品業界のビジネス拡大支援と最新トレンドの発信をFOODEXの役割として打ち出しており、来場者にとっては販路開拓、仕入れ、輸出入、業界動向の確認を同時に行える点が大きな特徴です。
このイベントのすごさは、まず規模にあります。前回のFOODEX JAPAN 2025では、世界74カ国・地域から2,930社が出展しました。これだけ多くの国と企業が一つの会場に集まることで、来場者は日本市場向けの商品だけでなく、海外市場で動く食の潮流まで立体的に見ることができます。つまり、FOODEXは、食品展示会であると同時に、世界の食ビジネスが東京に集まる国際プラットフォームでもあります。東京ビッグサイトの東・西・南展示棟にまたがる大規模構成で、食品・飲料だけでなく、冷凍食品や物流など周辺領域まで視野を広げられる点も強みです。食品業界の今を知るだけでなく、次の商機を探る場としての迫力こそが、FOODEX JAPANの最大の価値です。

FOODEX JAPAN 2026(フーデックス ジャパン)開催概要
(第51回 国際食品・飲料展)
日程:2026年3月10日(火)~13日(金)
会場:東京ビッグサイト
主催:一般社団法人日本能率協会 一般社団法人日本ホテル協会 一般社団法人日本旅館協会 一般社団法人国際観光日本レストラン協会 公益社団法人国際観光施設協会
展示規模:世界約80カ国・地域 2,990社/4,163小間(国内:1,108社/1,602小間、海外:1,882社/2,561小間)※2026年2月5日時点
公式Webサイト https://foodex.jma.or.jp/

とにかく広いイタリアパビリオン、190ものブースはまるでラビリンス
イタリアは、豊かな食文化を誇る国として世界的に知られています。地域ごとに多彩な料理が根づく食文化の豊かな国です。イタリア料理は2025年12月にユネスコ無形文化遺産に登録されました。そんなイタリアパビリオンは会場でも特に存在感を放っています。イタリアパビリオンの公式ページがあるので、ぜひMAPをご覧ください。
https://foodexjapan.ice-tokyo.or.jp/2026

(パビリオンマップより)
なんだか小さくするとカレンダーみたいですが、約190社のイタリア企業と7つの特設コーナーが並ぶ、スケール感が伝わるでしょうか。このひとつひとつが、個性を放っているわけです。190ですから、1ブース5分で回っても、会期の丸2日かかります。来場者にも覚悟が必要です。

ぐるりと歩いてみると、乾燥パスタ、オリーブオイル、焼き菓子、パネットーネ、リゾット、ナッツスプレッドなど、イタリア食品の幅広いカテゴリーが並んでいます。ワインや定番食材に限定せず、加工食品や菓子類まで含めて厚みのある出展構成です。190もブースがあると、どこにいるのかわからなくなります。でも、美味しそうなものが並んでいて、誘惑される様はまるでグリム童話『ヘンゼルとグレーテル』のよう。そう、これはラビリンスです。

カフェコーナーは常に人だかり。香りに誘惑されし人たちです。

大きなナスのカツレツ…100%イタリア産野菜を使った冷凍野菜メーカー
ぜひ、訪ねてみてくださいと食のプロフェッショナルに勧めていただき、まずは「OROGEL(オロジェル)」のブースにやってきました。100%イタリア産の野菜を使った冷凍野菜です。同社は東京と関西にイタリア人シェフが在籍するカフェを展開しており、本場の味を日本へ伝える事業を幅広く行っています。

冷凍コンテナでの輸送コストが壁となり、スーパーでの価格競争は難しいと課題を語りますが、現地で収穫・加工し即冷凍した商品の品質には強い自信を持っています。私が「美味しそう!」と思ったのが、注目の新商品であるナスのカツレツ。大きなイタリア産ナスをスライスしてパン粉をつけ、オーブンで12分焼くだけでカリカリに仕上がる画期的なベジタリアンにもうれしい商品です。
他にも、居酒屋やワインバーへの展開を狙うイタリア産枝豆を使ったスープなど魅力的なラインナップが揃います。イタリアンレストラン向けには用途の説明が不要な一方、一般消費者に向けてはどう料理に使うかというレシピや、使い方の提案が今後の鍵になると分析されていました。今年は並んでいるのは中身が入っていない袋だけでした。来年は自社のイタリア人シェフを呼び、来場者に料理を試食してもらえる本格的なブースを作りたい、と次回の出展に向けた熱意を語っていただきました。

オリーブオイルの味なんて全部同じでは?そう思う人は反省したくなる、熟練の技が生む三種三様の味に驚き
オリーブオイル単体で味わうことも少ないので、オリーブオイルの味にそんなに差なんてないのでは、と思っていたのは、何を隠そう私です。ごめんなさい。「TURRI(トゥッリ)」は1951年、ヴェネト州ガルダ湖周辺でも、特に古い歴史を持つ搾油所です。今回、国際情勢によりトゥッリの方は残念ながら来日が叶いませんでした。さぞかし無念でしょう。しかし、ブースを担当されたスタッフの方にしっかりと魅力を伝えていただきました。
ガルダ湖はイタリア最大の湖です。北イタリアに位置しながら、美味しいオリーブオイルが生まれるのはガルダ湖と周囲の山々がもたらす温暖な気候があるからでしょうか。

紹介されたのは、個性の異なる3種類のオリーブオイルです。それぞれ、試飲したところ、まったく違う味わいであることに驚きました。搾りたてのフルーツのような爽やかな香りが特徴で鼻を抜ける香りの良さと、フルーティな味わいがあるもの。ガツンとした力強い特徴があるものは、完成度が高く、料理のアクセントやソース代わりとしてもぴったりだと思いました。
これらの高品質なオリーブオイルを支えているのは、現地で経営を担う4兄弟の存在です。中でも一番下の弟であるジョバンニ氏は鑑定士としての腕を持ち、年中オリーブの品質と向き合っています。彼の優れた味覚と徹底した管理によって、毎年変わらぬ高いクオリティと美味しさが保たれているとのことです。当たり前ですが、ただオリーブを育てて、絞っているわけではありません。
高品質なオリーブオイルの使い方も教えていただきました。具体的には、卵焼きにかけたり、お刺身に合わせたりするアレンジが紹介されました。バゲットに塩とオリーブオイルだけをつけて食べるというシンプルな味わい方もよいですね。日々の食卓を華やかでリッチなものにする存在です。ぜひ、来年は日本にお越しいただき、魅力を直接来場者に教えていただきたいですね。

トルコパビリオンも大規模展開。幅広いトルコ食品たちとその実務的な強み
トルコパビリオンはイタリアのお隣にありました。しかも、イタリアほどではないものの、十分な規模で展開されていました。60社以上が参加しています。イタリアの美食は、わかっていても、「トルコ?」となる方もいるかもしれませんね。
トルコのブースをのぞいてみると、トルコ食品の幅が広いことに気づきます。オリーブ、オリーブオイル、ドライフルーツ、ドライイチジク、生のイチジク、ヘーゼルナッツ、各種ナッツなどが並んでいます。「中東系の珍しい食品」が並んでいるのでなく、地中海性の素材感が強い農産加工品が目立つ構成です。また、オリーブひとつとっても、オリーブオイルだけではなく、オリーブを加工した様々な提案が展示されていたのも、実用的というか、実務的な強みがあるということでしょう。

パビリオン中央では調理デモ・試食会が頻繁に催されています。この日も「トルコ産マグロ&サーモン寿司」「トルコ紅茶」「トルコ産ワイン」「ライスプディングとドライイチジク」と幸せなラインナップ。

一番奥に展開していたのが「BURSA FOOD CLUSTERING PROJECT」です。トルコ・ブルサ地域の共同出展ブースというところです。ブルサはトルコ北西部のマルマラ地方に位置し、トルコ第4の都市。オスマン帝国初期の都として発展した歴史都市です。現在は自動車や繊維、機械産業が集積するトルコ屈指の工業地帯でありながら、オリーブや果物、野菜の生産も盛んな農業拠点でもあります。特産の栗や桃、名物「イスケンデル・ケバブ」に象徴される豊かな食文化も大きな魅力です。

オリーブオイルのフレーバー。レモン、ニンニク、ローズマリー…想像よりもしっかりした風味
初めにお話をうかがったのは「LIVO(リヴォ)」、フレーバーオリーブオイルが並んでいます。ボトルには、レモン、ニンニク、レッドペッパーなどの文字が入っています。あとで風味を付けたわけではなく、オイルを搾る段階で、たとえばレモンと一緒に搾る製法で出来上がったものだそうです。

レモンを試飲すると、確かにレモンの風味があって新鮮な感覚です。個人的にはローズマリーがとても美味しかったのです。試す前に想像していたよりも、しっかりとレモン風味で、どう使えばもっと美味しくなるだろうかと、考える楽しみがありそうです。
日本の方は特に◯◯味が好きですから、日本の食材とのコラボオリーブオイルがあったら面白そうだなと思いました。シソやワサビ、伊予柑なんて楽しそう。勝手な妄想がはかどります。

オリーブや大根、キャベツのお漬物のお味は…
お次はオリーブの漬物をいただきました。若いオリーブのお漬物は、まるでお出汁のような風味でおにぎりの具材になっていても、おかしくないお味。不思議な感覚を覚えます。

大根も京都のお漬物に似た風味ですし、焼き目のついたオリーブも日本人が好きそうなお味です。トルコ料理と聞くと、想像がつかなくても、このお漬物が日本の食卓にあっても違和感がありません。トルコの方も日常的に召し上がっているそうです。反対にトルコの方には、日本の漬物や発酵食品を気に入ってもらえるのかもしれません。
MICEのパーティーや食事の席で、トルコの方が参加されるのであれば、トルコ料理ではなくても、こんな一品が並んでいるだけでとっても喜んでいただけるのではないでしょうか。故郷の味があることで、会話も弾みそう。

「Nicaea」のオリーブオイルもいただきました。この頃になると、筆者も若い実のシャープで青々しい味と、一方の香りや味わいがまろやかなものの違いがわかるようになっていました。産地性と品質をまっすぐに伝えるブランドの姿勢は、日本の地方の高品質なものと通じるものがあります。

取材を終えて:想定外の出会いや発見が起こる大規模展示会
取材前にはあれこれと計画してこともあったものの、FOODEX JAPAN 2026を歩きながら感じたのは、大規模展示会には、予定通りに回るだけでは終わらない面白さがあるということ。実際の会場では、通りがかりに気になる商品を見つけたり、思いがけず話を聞いたり、想像していなかった味に出会ったりします。この偶然の連続こそ、展示会の大きな魅力です。

しかも、国際色豊かなパビリオンが並ぶFOODEXのような場では、その偶然がさらに濃くなります。色彩、香り、試食、呼び込みの声、来場者の熱気が重なり合い、没入感も相当あります。情報を効率よく集めるだけなら、今はオンラインでもある程度できます。それでも、わざわざ現地に行く価値があるのは、現場でしか得られない発見があるからです。商品だけでなく、人の熱意や国ごとの空気感まで含めて体感できること。大規模展示会が今も多くの人を惹きつける理由なのだと思います。
会期は3月13日まで。これから行くんだよ、という方はおなかを空かせていきましょう。



