【取材】2026年3月リニューアルオープンの太秦映画村をMICEの視点で斬る!1,000名規模の貸切やVIP向け文化体験が京都MICEの夜を変える

「東映太秦映画村」が「太秦映画村」へと名称を改め、大規模な第1期リニューアルオープンを迎えました。毎日21時までの夜間営業を開始し、昼だけでなく夜も楽しめるエンターテインメント施設へ進化します。ビジネスイベントや団体利用、いわゆるMICEでの利用もにらんだ、大きなプロジェクトです。
MICE TIMES ONLINE編集部はオープン前の内覧会に参加。後日、担当の蘆田さんにリニューアルの狙いについてお聞きしました。

京都観光のナイトエコノミーを推進する
「オーバーツーリズムではないか」と言われることもある京都の観光事情。課題解決の手段として「朝」と「夜」に注目が高まります。京都市と京都市観光協会が策定した「みんなでつくる京都観光(京都観光振興計画2025)」では、「時期・時間・場所」の3つの分散化を重要施策として位置付けています。
「時間」の分散化については、朝や夜の観光体験を充実させることで、混雑緩和だけでなく、観光客満足度の向上や宿泊促進、観光消費額の拡大につなげる狙いがあります。取り組みの一環として、京都市や京都市観光協会は「京都朝観光 REI-MEI」「京都夜観光 YOI-YOI」を発信。ナイトタイムエコノミーは京都観光全体の重要テーマです。
京都のエンターテインメント施設である「太秦映画村」は大規模な第1期リニューアルを終え、毎日21時まで夜間営業を行います。俄然「夜」の観光シーンで注目される存在となりました。
京都朝夜観光 Webサイト:https://ja.kyoto.travel/times
太秦映画村 Webサイト:https://eigamura.com/

旧時代劇セットをクランクアップ。受け継いだノウハウで新たな太秦映画村へ
日本初の“時代劇の撮影風景を見学できるテーマパーク”として誕生
太秦映画村は、本物の映像制作の現場から生まれました。その歩みは、1951年に誕生した「東映京都撮影所」に遡ります。日本最大級の屋内スタジオ13棟を擁し、これまでに映画2,000本以上、テレビドラマ9,000話以上という膨大な数の作品を世に送り出してきました。

1975年には、撮影所を1日限定で一般公開する「1日映画村」を実施し、約2万人の入場者を記録。同年11月1日、日本初の“時代劇の撮影風景をライブで見学できるテーマパーク”として「東映太秦映画村」が誕生しました。その後も、お化け屋敷や大型屋内施設パディオスや、エヴァンゲリオン京都基地など、時代ごとのエンターテインメントを取り込み、進化を続けています。

第1期リニューアルが開業。第2期2027年春、第3期2028年春
開業50周年を迎えた記念として、大規模リニューアルの第1期をオープンしました。2027年春に第2期、2028年春に第3期のオープンを予定しています。今回のリニューアルでは、長年親しまれてきた旧時代劇セットを“クランクアップ”し、施設全体をフルリニューアル。50周年を節目として、次の50年を見据えた挑戦をしています。

江戸時代の京へ迷い込む、内覧会に潜入!太秦映画村が秘めるMICEポテンシャルは?
リニューアルでは「江戸時代の京へ、迷い込む」を新たなコンセプトに掲げ、20代・30代を中心とした大人の来場者も楽しめる「大人の没入体験パーク」に一新されました。団体でも利用ができるのか、MICEで活用できるのか、気になるところですね。



修学旅行以来の訪問となった今回…以前は映画のセットという印象でした。リニューアル後は、広い通りと整った町並みで、テーマパークのような印象を受けました。




オープンセットのエリアも現存していますが、17時~21時までの一般営業は非公開に。MICEの貸切では、撮影のスケジュールを調整し要望に応じて対応を検討する、とのことです。
雲のかかったところは、今後オープン。乞うご期待なのです
夜の太秦映画村を貸し切る。インセンティブやVIP向けプログラムに対応
太秦映画村全体を舞台にした360度イマーシブライブショーをはじめ、夜間営業では18歳未満入場不可の丁半博打や、大人限定の拷問屋敷といった、これまでにないエッジの効いた大人向けの限定コンテンツが登場しました。
※常時開催する春イベント「花嫁道中 桜の宴」は5月31日で一旦終了しています。

レセプションやインセンティブ、海外招待客向けプログラムとしては、2パターンの使い方を想定されています。

太秦映画村の蘆田さんに伺いました。
「常時21時まで営業します。全館貸切だけでなく、プライベートツアー向けに一部分のみ貸切も可能です。たとえば、文化体験専門エリア『御池町屋』では、茶道や華道をはじめ、能、狂言、京舞、三味線、お囃子といった、本格的な日本文化を少人数から体験できるプログラムが用意されています」
また、大規模なグループの場合は、施設全体の貸切にも対応したいそうです。ピークシーズンを除き、毎週火曜日は定休日となっており、こうした日程を活用した貸切利用も想定しているとのことです。

江戸の町をとことん企業・団体のカラーに染める、オーダーメイドの演出
夜間貸切や部分貸切の際、どの程度カスタマイズできるのでしょうか。
「実際に行われた企業インセンティブの事例をご紹介します。その時のテーマは『NINJA NIGHT』。ホテルから太秦映画村へ向かうバスの車内から、物語をスタートさせて期待感を高めました。
『ヒール役(悪役・敵役)をライバル企業様にしたい』という主催者からのご要望がありました。ラストシーンの決戦後仮面を脱ぐと、実は主催者代表だった…なんて演出も。そのまま乾杯の発声をいただき、パーティをスタートしました。
ご予算によっては、期待を高める演出としてウェルカムゲートを設置します。入口の大手門からコーポレートカラーに統一した大幔幕を張り、ケータリングのテーブルクロスや卓上、さらに料理メニューに至るまで飾り込みます。この場所この時間でしか体験できない夜を常にクライアントのご要望をお聞きして、カスタマイズします。
医学系や工学系の国際会議のパーティは、大会ロゴをプリントした陣幕や祭礼のぼり旗で、太秦映画村をプレミアム感あふれる空間にしつらえます。ゲスト参加型のショー含め、インセンティブでも非常に重宝いただいていました。引き続き、国際交流のステージとして活用いただきたいです」

多言語対応と食の多様性に配慮。海外ゲスト受入体制を強化
海外からの参加者を受け入れる体制についても伺いました。
「マップは英語、繁体字、簡体字、ハングルの4言語を準備しています。また、セールス担当には留学経験があり英語でのコミュニケーションが可能なスタッフが着任。中途採用者や新卒社員の中にも、英語や中国語に対応できる人材が入社しています。食事面では、ケータリング事業者との打ち合わせを通じて、ヴィーガンやベジタリアンに向けたメニューの提供や表示にも配慮しています」
1,000名規模にも対応できる大手門広場は現存
「大手門広場」はもっとも大きく、中央にはステージが設置されており、レセプションやトークセッションなどに対応できる可能性を感じます。

「通常営業で来場される一般のお客様に向けた設計からスタートしました。ほとんどの建築物や経路などの構造を刷新しましたが、1,000名以上のお客様が一堂にご参集できる広場は現存。中央にはどの角度からもご鑑賞いただけるステージを新設しました」
アトラクション広場も100名程度は収容できそうです。

太秦城内にある「太秦時代劇100年~撮影バックストーリー」にはシアターが用意されています。太秦で撮影された時代劇100年の歴史を、見て触れて体感するをコンセプトにした施設です。

屋内のため雨や雪でも対応できます。こちらでは300名ほど収容可能。大学の頃、映画を学んでいた筆者には、本物の小道具や衣装が見られ、心躍る体験でした。映画制作文化を学ぶコンテンツも組み込めそうです。




数々の名作に登場した小道具や衣裳を間近で見ることができます。

「京都には国際会議場がある関係で、200名から1,000名規模の大きなスケールが求められる傾向にあります。今後は、さらにアップデートした状態で、太秦映画村の利点を活かせると思います」

最後に、太秦映画村ならではの強みについて伺いました。
「太秦映画村の最大の特徴は、東映京都撮影所と連携していることです。俳優をはじめ、美術装飾やストーリー構成など、長年培ってきた“時代劇”のノウハウを活かした、エンターテインメント性の高い演出ができます」
さらに今後は、東映京都撮影所で制作された作品が海外で上映・配信される機会の増加を追い風に、コンテンツツーリズムとの連携も見据えています。
「京都発のグローバルコンテンツの強みを活かし、作品のロケ地を巡るエクスカーションや、作品の世界観を取り入れた美術や演出で彩るパーティなど、ここでしか体験できない”感動”をオール京都でお届けできればと考えております」

京都MICEの夜に「物語」を持ち込む太秦映画村のリニューアル
数百人から1,000人規模の参加者が集まり、京都らしさを感じながら、夜に特別な時間を過ごせる場所は限られています。太秦映画村の強みは、単に夜間営業を行うことや、大規模な貸切に対応できることだけではありません。俳優による演出、撮影所と連携した美術・装飾のノウハウを組み合わせ、参加者が物語の中に入り込むような一夜を設計できることにあります。
国際会議後のレセプション、企業インセンティブ、海外VIP向けの文化体験、ポストコンベンションやエクスカーションにおいて、会場の外で過ごす時間は、都市の印象を決める重要な体験になります。太秦映画村の貸切や没入型プログラムは、インバウンドを含むビジネスイベントの参加者に対して「京都でなければ成立しない夜」を印象付けるのではないでしょうか。
京都MICEの夜に必要なのは、参加者の記憶に残る体験を、企業や団体の目的に合わせて設計できる場所です。ナイトタイムエコノミー、文化体験、コンテンツツーリズムを結ぶ新しい選択肢として、京都MICEの夜を変える一手になるでしょう。

太秦映画村へのアクセスは3路線が利用可能
■正面口
嵐電「太秦広隆寺駅」より徒歩5分
JR「花園駅」より徒歩13分
地下鉄「太秦天神川駅」より徒歩14分
■撮影所口
嵐電「撮影所前駅」より徒歩2分
JR「太秦駅」より徒歩5分
※入村は17時、退村は18時まで
公式Webサイト https://eigamura.com/access
