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SDGs・ウェルビーイング

JR4社とJALが、巡礼・精神文化をつなぐ広域観光の取り組みをスタート。日本の精神文化に触れるウェルビーイングな旅と鉄道を航空を組み合わせた立体型観光

日本の主要な移動インフラを担う鉄道4社と日本航空が手を組み、訪日外国人旅行者を地方へ呼び込む新しい試みが始まりました。 2026年7月30日、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、そして日本航空の5社は、日本の伝統的な巡礼地や精神文化をテーマにした広域観光の共同プロジェクトを発表しました。大都市への旅行者集中という課題に対して、鉄道と航空を組み合わせた移動網と特別な地域体験を提供することで、地方の活性化を目指します。

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課題とニーズ

広域観光プロジェクトが始動した背景と地方誘客の課題

訪日外国人旅行者の増加に伴い、大都市圏への集中を避けて地方へ誘客することが課題となっています。地域経済に広く恩恵をもたらすためには、新しい旅の提案が必要です。観光地を慌ただしく巡る消費型観光に代わり、地域の自然や精神文化に触れて自己を見つめ直し、心身の豊かさを得る「ウェルビーイング」を高める旅への関心が世界的に高まっています。地域に受け継がれてきた巡礼や祈り、再生の歴史を軸とした観光モデルを構築することが、持続可能な未来をつくる鍵となります。

鉄道と航空を掛け合わせる立体型観光の概念と5社連携の強み

プロジェクトの特徴は、鉄道と航空を組み合わせた立体型観光の推進にあります。これは鉄道の移動網と航空の広域ネットワークを連動させ、複数の移動手段をシームレスに結びつける新しい旅行スタイルです。JR4社の移動インフラと日本航空が持つ国内外の航空網を掛け合わせることで、効果的な情報発信と移動の効率化を可能にします。シームレスな移動環境の整備は、不慣れな土地を旅する訪日外国人旅行者のストレスを大幅に軽減し、これまでアクセスが難しかった奥深い地方への旅をより快適な選択肢へと変えていきます。

広域観光のイメージ
※画像・イラスト・地図はイメージです

プロジェクトの核となる3つの巡礼地と精神文化のフィールド

今回の企画では、日本を代表する3つの巡礼地を主軸に位置づけています。1つ目の山形県の出羽三山は、月山、羽黒山、湯殿山からなり、古来より「生まれかわりの旅」として知られる聖地です。山岳信仰の霊性に触れながら心身を整える体験は、精神性を重視する旅行者にとって魅力的な内容です。2つ目の世界遺産である熊野古道は、千年の祈りが紡がれる巡礼路です。苔むした石畳の道や深い森を歩く体験は、日常から離れて内省を深め、精神的な再生をもたらす時間を提供します。 3つ目の四国遍路は、弘法大師ゆかりの八十八ヶ所を巡る、全長約1200キロメートルに及ぶ回遊型巡礼路です。美しい自然や、お接待と呼ばれるおもてなし文化は、長期滞在や周遊型の旅を好む層と親和性を持っています。

訪日外国人を引きつける具体的な施策と各地の特別プログラム

5社は共通のブランド構築や、各地域でしか味わえない特別な体験メニューの提供を通じて、訪日外国人旅行者の誘致を具体化させます。

特設Webページ

デジタルツールと共通ブランディングによる情報発信

3つの巡礼地の魅力を発信する多言語の特設Webページが公開されました。5社は地域の関係者と一体となり、2026年9月から10月にかけて共通ブランディングを策定するワークショップを開催します。外国人クリエイターを起用し、海外の旅行者の心に響く発信を行います。11月頃からは、各地域を巡る多言語対応の駅スタンプアプリであるエキタグの展開が始まります。スマートフォンをかざしてスタンプを集めるこのサービスは、再来日のきっかけを提供します。

特設Webページ https://en.japantravel.com/feature/sacred-journeys 

つるおか観光ナビ(DEGAM鶴岡ツーリズムビューロー):https://www.tsuruokakanko.com/ 
thedewasanzan.com:https://thedewasanzan.com/ 

東紀州観光手帖:https://kumanokodo-iseji.jp/ 
田辺市熊野ツーリズムビューロー:https://www.tb-kumano.jp/ 
那智勝浦観光サイト:https://nachikan.jp/ 
新宮市観光協会:https://www.shinguu.jp/ 

四国八十八ヶ所霊場会:https://88shikokuhenro.jp/ 

写真提供:DEGAM鶴岡ツーリズムビューロー
写真提供:DEGAM鶴岡ツーリズムビューロー

出羽三山で展開される特別な体験と移動メニュー

出羽三山エリアでは、2026年秋頃から神社での特別な記念品配布が始まり、2027年以降は羽黒山参籠所の斎館で精進料理の特別メニュー提供に向けた調整が進められます。2026年8月から9月には、宿泊施設等で現地の香りをイメージしたノンアルコールジンが限定提供されます。 移動面では、JR仙台駅と羽黒山頂を直接結ぶ定期観光バスが土日祝日に運行されます。9月には水族館や五重塔を舞台に、伝統芸能である歌舞伎舞踊の披露が予定されています。

写真提供:熊野本宮観光協会
写真提供:熊野本宮観光協会

熊野古道における深い修行体験と観光の利便性向上

熊野古道エリアでは、2026年秋頃に世界遺産の青岸渡寺にて、山伏僧侶の案内による護摩行や通常非公開の瀧寶殿の特別公開、三重塔の案内を組み合わせたプランが催行されます。2027年以降は、補陀洛山寺での絵解き解説や秘仏の特別御開帳が予定されています。

©NACKT
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新宮駅前で午前中に預けた手荷物を当日のうちに宿泊施設へ届ける配送サービスにより、軽装での巡礼が可能です。移動面では、エリア内の列車が乗り降り自由になるQR乗車券である、WEST QR 関西・南紀エリアパスが発売されています。

写真提供:NPO法人 遍路とおもてなしのネットワーク
写真提供:NPO法人 遍路とおもてなしのネットワーク

四国遍路における快適な周遊と寺院での歴史体験

四国エリアでは、2026年8月下旬から英語ガイド付きお遍路タクシーで巡る2泊3日の旅行商品が販売されます。高松駅や高松空港を発着し、快適な移動環境を整えます。

2026年冬以降には、第75番札所の善通寺で特別な拝観が行われます。第86番札所の志度寺では、写経や枯山水の砂ざらえなど、寺院の修行文化を体験する特別プログラムが展開されます。

持続可能な観光地づくりに向けた今後の展望

プロジェクトは、一過性のプロモーションにとどまらず、中長期的な取り組みとして実施されます。今後は国内航空路線と鉄道を組み合わせたオリジナル旅行商品の販売を強化し、将来的にはチャーター便の活用も視野に入れています。観光人材の不足や二次交通の整備といった地域課題の解決にも貢献する方針です。鉄道と航空を接続するシームレスな移動体験の実現や、手荷物配送サービスの拡充に向けて、5社による具体的な検討が継続されます。

移動の進化と深い文化体験がもたらす地方観光の未来

2026年7月30日に発表されたJR4社と日本航空による、インバウンド向けの広域観光プロジェクトの内容と狙いを整理しました。大都市から地方への観光客の分散を促すため、出羽三山、熊野古道、四国遍路という聖地を、航空と鉄道の連携でシームレスに結ぶ試みは効果的なアプローチです。移動を便利にするだけでなく、現地での修行体験や歴史体験を地域と一体で創出することで、旅行者と地域双方のウェルビーイングを高める仕組みがつくられています。この新たな挑戦は、日本の広域観光における移動と体験の在り方を前進させ、サステナブルな観光を実現する重要な道標となる可能性を秘めています。

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