【特集:台湾MICE回廊をゆく】台北、台南、高雄…。20年にわたり積み上げたMEET TAIWANの成果:台湾MICEの概要と構成8施設【台湾MICE回廊/1】

台湾のMICEの「いま」を知っていますか?
台湾を北から南へ移動すると、都市・地域ごとに産業も文化も大きく表情を変えます。国際ビジネスの中心である台北、空の玄関口を擁する桃園、製造業が集積する台中、歴史と文化の街・台南、港湾都市として発展した高雄。それぞれの都市には、その地域の特色を反映したMICE施設が整備されています。
台湾は、これらの主要施設を北から南へ結ぶ【台湾MICE回廊】(台湾会展廊帯、Taiwan Business Events Corridor。本記事では「台湾MICE回廊」に表記を揃えます)を形成しています。本特集では、この構想を「台湾全体をまるで一つの大きなMICE会場のように、各都市、地域の産業や文化をつなぐもの」と捉えます。
MICE TIMES ONLINE編集部は、2026年夏、台北、台南、高雄を訪れ、台湾MICEの振興を担う機関や各都市の会場を取材しました。施設の規模や設備だけでなく、都市の産業、文化、歴史とMICEがどのようにつながっているのかを【台湾MICE回廊をゆく】と題して、7本の記事でご紹介します。本記事はそのプロローグとして、まず台湾MICEの概要、MEET TAIWAN、台湾MICE回廊と構成施設について見ていきます。

日本から近い、約2,300万人が暮らす台湾
台湾の面積は約3万6,197平方キロメートルです。2026年第1四半期の人口は約2,327万人。面積は日本の九州をほぼ同じです。人口は沖縄県を除く九州7県の人口が約1,250万人、台湾のおよそ半分です。
人口や経済機能は台北だけに集中しているのではなく、桃園、台中、台南、高雄などにもそれぞれ大規模な都市圏が形成されています。台湾をMICE開催地として見るうえで重要なのが、都市ごとに異なる産業の集積です。北部には情報通信、エレクトロニクス、半導体関連産業、中部には工作機械、自転車、木工機械、手工具などの製造業、南部には自動車部品、プラスチック加工機械、光電、ヨット、締結部品などの産業が集積しています。

各都市は新幹線にあたる高速鉄道(高鐵)で結ばれています。MEET TAIWANは、海外から訪れたバイヤーが高速鉄道を利用し、約2時間以内で北部、中部、南部の主要な産業集積地へ移動できることを台湾MICEの強みとして挙げています。
台湾で展示会や国際会議を開く意味は、会場を利用することだけにとどまりません。催事のテーマに応じた産業集積地を訪れ、企業や研究機関と交流し、地域の文化や食を体験するところまでを一つのMICEとして設計できるのです。
台湾の歴史について
台湾は固有の文化を持つ先住民の島であり、17世紀のオランダ統治や清朝の編入を経て、1895年からは日本統治下で近代インフラが整備されました。
第二次世界大戦後の1949年、国共内戦を経て国民党政府が移転すると、長期の戒厳令下で政治的自由が制限される困難な時代を迎えました。しかし、台湾の人々は不屈の精神で高度経済成長を成し遂げ、「アジアの四小龍」と呼ばれるまでに発展しました。さらに、国民自らの手で熾烈な民主化運動を展開し、1987年の戒厳令解除と1996年の初となる総統直接選挙を実現させました。権威主義を克服して勝ち取った民主主義は、台湾の大きな誇りとなっています。
2000年代以降は半導体産業(TSMCなど)で世界をリードし、民主的で多様性を尊重する先進社会として国際社会で確固たる存在感を示しています。



台湾MICEの基盤となる産業、国際交流
台湾では、情報通信、半導体、光電、機械、自転車、医療、バイオなどの産業を背景として、多様な専門展示会が開催されています。MEET TAIWANによると、台湾で開催される専門展示会は年間80件を超えます。代表的なイベントには、COMPUTEX TAIPEIや台北国際自転車展、台北国際工作機械展などがあります。これらは、台湾企業と海外企業、バイヤー、技術者、研究者を結ぶ国際的な商談・情報交流の場となっています。

国際会議についても、台湾が研究・産業基盤を持つ医学、情報、科学技術などの分野を中心に開催されています。2026年6月には、台北南港展覧館と台北ドームを会場として、140を超える国から3万7,000人以上が参加する国際ロータリー年次大会が開かれました。
台湾MICEの強みは、大型施設を持つことだけではありません。国内に形成された産業集積と専門人材、国際交流、都市の文化や観光資源を、展示会や国際会議の開催につなげられる点にあります。

台湾MICEの窓口「MEET TAIWAN」とは
これまでに、何度か登場した「MEET TAIWAN」という言葉。MEET TAIWANはイベント名や施設名ではありません。台湾経済部国際貿易署が支援する「台湾MICE産業振興計画(Taiwan’s MICE Promotion Program)」の名称であり、台湾を国際会議、展示会、企業会議、インセンティブ旅行の開催地として海外へ発信する窓口です。MEET TAIWANは、国際会議の誘致・入札支援、台湾で開催されるビジネスイベントへの支援、会場や行程の提案、行政手続きの支援、現地事業者とのマッチングなどを行っています。
「会展」という言葉は、台湾での「MICE」にあたる言葉として、よく使われます。
このほか、サステナブルMICEの導入支援、MICE産業の調査、人材育成、資格認証なども事業に含まれます。海外の主催者に開催地としての台湾を紹介するだけでなく、台湾国内の施設、主催者、自治体、業界団体、大学、MICE事業者などを結ぶ役割も担っています。
MEET TAIWAN「Taiwan’s MICE Promotion Program」
長期的な目標として掲げられているのは、台湾MICEの施設・サービス両面の能力を拡大し、国際的な認知を高め、MICEを台湾産業の発展に生かすことです。台湾のMICE政策が会場整備だけを目的としていないことが表れています。

北から南までを結ぶ「台湾MICE回廊」
台湾MICE回廊は、台北、桃園、台中、台南、高雄など各地の主要なMICE施設をはじめ、地域のMICE関連資源や特色ある文化などを、台湾の北から南へとつなぐ包括的な構想です。2024年にその始動を示す式典が開かれました。その後、2024年10月に桃園会展中心、2026年3月に台中国際会展中心が正式開業。2026年現在、MEET TAIWANが回廊を構成する施設として掲載しているのは次の8施設です。
台北世界貿易センター展覧大楼、台北国際会議センター、台北南港展覧館1館、台北南港展覧館2館、桃園会展中心、台中国際会展中心、大台南会展中心、高雄展覧館です。重要なのは、同じような大型施設が各地に並んでいるわけではないことです。
台北は国際会議と大規模な国際展示会、桃園は国際空港を起点とする交流、台中は中部台湾の製造業、台南は歴史・文化と先端産業、高雄は港湾・海洋産業との結び付きに特徴があります。施設と都市の個性を組み合わせることで、イベントのテーマに適した開催地を台湾全体から選べます。
新型車両導入も計画されています、今よりも輸送力が増強されます
台湾MICE回廊を構成する8施設を見ていきましょう

これまでにMICE TIMES ONLINE編集部では7施設を訪問・取材
それでは、MICE回廊を構成する8つの施設をご紹介します。MICE TIMES ONLINEでは昨年にメッセ桃園を取材し、2026年夏に6施設を取材。台中以外のすべての施設を訪ねました。
少し乱暴な例えですが、台湾が九州と同じくらいの面積として、福岡~熊本~鹿児島と至る九州新幹線の沿線に幕張メッセ、東京ビッグサイト、東京国際フォーラム、パシフィコ横浜、ポートメッセなごや、Aichi Sky Expo、国立京都国際会館、インテックス大阪があるといった密度感です。
1.台北世界貿易センター 展覧大楼(TWTC Hall 1)台湾MICEの歴史的象徴

正式名称:台北世界貿易中心展覽大樓
所在地:台北市信義区信義路五段5号
運営:中華民国対外貿易発展協会(TAITRA/外貿協会)
開業:1986年
台北世界貿易センター展覧大楼 公式サイト https://www.twtc.com.tw/
台湾で最初に整備された本格的な専門展示場です。台北101、台北国際会議センター、グランドハイアット台北などが集まる信義地区に位置します。COMPUTEX TAIPEI、台北国際自転車展、台北国際工作機械展、台北国際ブックフェア、旅行展など、産業展示会から一般向け展示会まで幅広く開催されてきました。台湾が輸出産業を発展させ、海外との商談機会を広げてきた歴史を象徴する施設です。

1階展示場の面積は23,269平方メートル、標準ブース換算で約1,300小間。A・B・C・Dの4区画に分割できます。2階には商談室や会議室に加え、近年開設されたコワーキングスペース・会議施設「TAI-ONE SPACE」があります。台湾MICEの歴史を象徴する会場であり、現在も一般消費者向け展示会、産業展示会、商談会などの中心的な役割を担っています。


2.台北国際会議センター(TICC)台湾を代表する国際会議場

正式名称:台北國際會議中心
所在地:台北市信義区信義路五段1号
運営:TAITRA
完成:1989年 供用開始:1990年
台北国際会議センター 公式サイト https://www.ticc.com.tw/


国際会議に特化した施設です。国際会議、学術大会、企業会議、表彰式、宴会などに利用されています。TWTCとTICCを隣接させ、展示会と国際会議を同じ地区で開催できる点が、台北・信義地区のMICE機能の特徴です。

通常16室、分割利用時は最大26室の会議室を備えています。最大の大会堂は3,100人を収容します。このほか、800人の201会議室、750人の101会議室、200人の102会議室、480人の宴会場などがあり、施設全体として6,000人以下の各種会議に対応しています。
3.台北南港展覧館1館(TaiNEX Hall 1)台北MICEの新時代を拓いた大型展示場


正式名称:台北南港展覽館1館
所在地:台北市南港区経貿二路1号
運営:TAITRA
開業:2008年
台北南港展覧館1館 公式サイト https://www.tainex.com.tw/


台北東部・南港地区に位置する大規模展示会場です。MRT南港展覧館駅に接続し、台湾の先端産業・製造業を中心とした大型専門展示会に利用されています。主要展示場は1階と4階です。MRT南港展覧館駅だけではなく、新幹線(高鐵)・台鉄・MRTの3線共構である南港駅からも近くアクセスは良好で、都市型施設としての利便性に優れています。
| 展示場 | 面積 | 標準ブース | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 22,680㎡ | 1,161小間 | I・J・K区画、床荷重5t/㎡ |
| 4階・雲端展場 | 22,680㎡ | 1,306小間 | 柱のない大空間、高さ14.3~27.3m |
合計すると、主要展示面積は45,360平方メートル、標準ブースは2,467小間です。特に4階の雲端展場は、180メートル×126メートルの柱のない展示空間で、大型機械や大規模イベントにも対応します。展示会だけでなく、会議、式典、宴会、企業イベントを組み合わせられる施設です。
4.台北南港展覧館2館(TaiNEX Hall 2)台北MICEの可能性を広げる複合型施設

正式名称:台北南港展覽館2館
所在地:台北市南港区経貿二路2号
運営:TAITRA
供用開始:2019年3月4日
台北南港展覧館2館 公式サイト https://www.tainex.com.tw/


TaiNEX Hall 1と道路を挟んで隣接する第2展示館です。手軽に地下通路で行き来できます。Hall 1と合わせることで、台北はアジア有数の大規模産業展示会に対応できる展示集積を形成しています。展示場の天井高は1階が12メートル、4階が9メートルです。大型展示会だけでなく、会議、宴会、エンターテインメントイベントまで開催できる複合型施設として整備されています。
| 展示場 | 面積 | 標準ブース | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 15,120㎡ | 848小間 | P・Q区画、高さ12m、床荷重5t/㎡ |
| 4階 | 15,120㎡ | 872小間 | R・S区画、高さ9m、床荷重2t/㎡ |
フロアの合計は30,240平方メートル、1,720小間です。これとは別に、7階には約3,880平方メートル、最大約3,200人に対応する多目的会議・イベント空間があります。
5.桃園会展中心(Messe Taoyuan メッセ桃園)国際的な玄関口の役割を果たす大型施設

正式名称:桃園會展中心
所在地:桃園市中壢区領航北路一段99号
整備:経済部
運営:桃園會展中心股份有限公司 運営グループ:博報堂安益集團
開業:2024年10月29日
桃園会展中心 公式サイト https://www.messetaoyuan.com.tw/

桃園国際空港、台湾高速鉄道桃園駅、桃園空港MRTなどを利用できる青埔地区にあります。展示場と会議施設を中心に、商業、飲食、芸術などの機能を組み合わせた複合型施設です。台湾に入国した海外参加者を桃園で受け入れ、その後、台北や中南部へ移動させる行程も設計できます。台湾MICE回廊における「国際的な玄関口」に位置付けられる施設です

10,120平方メートルの屋内展示場を備え、標準ブース約600小間を収容できます。展示場は2区画に分割可能で、天井高12メートルの柱のない空間です。会議エリア全体では最大8,800人に対応します。主要施設として、最大2,000人の大会堂、800人の会議室、250人規模と100人規模の会議室があります。多目的集会空間は会議形式で1,500人、宴会形式で2,000席に対応します。
2025年の取材記事。CEOにも話をお聞きしました
https://micetimes.jp/report-messe-taoyuan-taiwan/
6.台中国際会展中心(TICEC)2026年供用開始、MICE回廊”最後のピース”

正式名称:台中國際會展中心
所在地:台中市西屯区黎明路三段1000号
整備:台中市政府
運営:TAITRA
供用開始:2026年3月23日
台中国際会展中心 公式サイト https://www.ticec.com.tw/
2026年に台湾MICE回廊へ加わった、現在もっとも新しい施設です。台中市政府およびMEET TAIWANは、同施設を台湾のMICE回廊を完成させる「最後のピース」と位置付けています。現在開業しているのは第1期・東側施設で、展示棟と会議棟から構成されます。
展示棟と会議棟を「Tree Gate」と呼ばれる空間で結び、中央公園、台中緑美図、水湳転運センターなどの都市開発と一体化しています。台中と中部台湾に集積する工作機械、精密機械、自転車、金属加工、自動車部品、光電、グリーンエネルギーなどの産業を、国際展示会や商談につなげる役割が期待されています。

展示場は大型機械の搬入を想定しており、1階の主要展示区は天井高12メートル、床荷重1平方メートル当たり5トンです。4階にも展示スペースを設けており、天井高は15メートルに達します。会議センターは全体で約5,000席としています。主要会場の水湳ホールは約3,000人を収容し、6室に分割できます。西大墩ホールは約1,600人を収容する柱のない空間です。

台中および中部台湾には、精密機械、金属加工、光電、自動車・二輪車部品、グリーンエネルギーなどの産業集積があります。TICECは、台湾中部の製造業と国際展示会を結ぶ拠点としての性格が強い施設です。将来的には西側の第2期施設も計画されており、2,100小間以上の展示機能が想定されています。
7.大台南会展中心(ICC Tainan)新幹線駅徒歩5分、歴史・文化と先端産業を結ぶ

正式名称:大臺南會展中心 ※公式サイトに従い通称は「ICC Tainan」の表記とします
所在地:台南市帰仁区帰仁十二路3号
整備:建設主体:経済部国際貿易署
運営:大臺南會展股份有限公司
運営母体:GIS Group/集思國際會議顧問有限公司
開業:2022年4月21日
大台南会展中心 公式サイト https://icctainan.com/


台湾高速鉄道・台南駅から徒歩圏内にあり、台湾MICE回廊の中でも高速鉄道との接続性が高い施設です。歴史都市・台南の文化を建築に取り入れ、外観には台南の古跡を想起させる赤レンガ色が使用されています。一方、周辺の沙崙地区や台南サイエンスパークには、半導体、電子製造、グリーンエネルギーなどの新しい産業が集積しています。台南の歴史・文化と先端産業を結ぶ会場です。

展示場の面積は10,692平方メートル。柱のない展示空間に標準ブース600小間を収容できます。展示場は東西2区画に分割でき、それぞれ300小間規模で利用できます。会議機能としては最大1,000人の会議室と800人の会議室を各1室、100人規模の会議室を5室、20人規模の小会議室を3室備えています。展示場を大規模集会やイベントに転用することもできます。
8.高雄展覧館(Kaohsiung Exhibition Center/KEC)台湾初の5G専用ネットワークを有す、ウォーターフロント型展示場

正式名称:高雄展覽館
所在地:高雄市前鎮区成功二路39号
整備:経済部
運営:高雄展覽館股份有限公司 運営グループ:博報堂安益集團
運営開始:2014年4月13日
高雄展覧館 公式サイト https://www.kecc.com.tw/

高雄港に面して建つ、台湾初のウォーターフロント型展示会場です。南館は長さ180メートル、幅50メートル、天井高27メートルの柱のない展示空間で、床荷重は1平方メートル当たり5トンです。大型機械、船舶、再生可能エネルギー関連設備などの展示に対応します。アジア新湾区(亜洲新湾区)の中核施設であり、港湾、造船、海洋産業、石油化学、金属、風力発電、スマートシティなど、高雄と南部台湾の産業を生かしたMICEを開催できることが特徴です。

屋内外を合わせた展示面積は25,121平方メートルで、標準ブース約1,500小間を収容できます。内訳は屋内約1,100小間、港側の屋外展示空間約400小間です。3階の会議施設は全体で最大約4,000人に対応します。最大の301大会堂は2,000人、海側の宴会・会議室は最大800人を収容します。このほか、20~40人規模の小会議室を備えています。
高雄展覧館は、シルバー級グリーン建築認証とISO 20121イベント・サステナビリティ・マネジメントシステム認証を取得しています。また、台湾で初めて5G専用ネットワークの商用運用免許を取得した国家級MICE施設です。5G、AI、エッジコンピューティング、XRなどを活用し、工場の遠隔見学や没入型展示といった新しいイベントサービスの開発にも取り組んでいます。高雄港に面した立地も大きな特徴で、屋内展示場、海を望む会議・宴会場、港側の屋外展示空間を組み合わせて利用できます。ウォーターフロントそのものをMICEに活用できる点に、高雄ならではの個性があります。
新しい施設をどう産業と文化の発展につなげるか…台湾が選んだ道
台湾MICE回廊を構成する施設には、近年開業したものが少なくありません。2019年の台北南港展覧館2館、2022年の大台南会展中心、2024年の桃園会展中心、2026年の台中国際会展中心と、大規模な施設整備が続いています。新しく充実した会場がそろうことは、台湾MICEにとって大きな魅力です。一方、これだけのキャパシティを今後どのように生かしていくのかという課題もあります。

台北周辺のみに施設を集積させて、一時的な利用者・来場者の利便性を図ることもひとつの戦略です。新幹線が便利とはいっても、移動コストはゼロではありません。しかし、台湾が選んだのは「開催することだけが目的ではない」ということなのでしょう。台湾中部、南部、そしていずれは東部にも…人が足を運び、人と出会い、文化や産業に触れ、美味しい食事をいただいて。台湾にはこんな場所もあったのか、こんな文化や歴史や産業があるのか、こんな企業や人がいるのか。人が集うMICEの本質的な価値が生まれます。
今回、まさに私はそのことを知ることができました。

求められるのは、施設の稼働率を高めることだけではありません。地域の産業を世界へ発信し、海外との商談を生み、文化への理解を深め、MICE人材を育て、開催地に継続的な経済効果をもたらすことまで含めて考える必要があります。
台湾全体を一つのMICEデスティネーションとして結ぶ構想は、日本では見られない大きなスケールを持っています。それは同時に、MICE施設がイベントの「箱」だけではなく、産業政策、都市政策、文化交流、国際ビジネスを動かす基盤になり得ることを、これからさらに示してくれるのではないでしょうか。

「台湾MICE回廊をゆく」は全7本の大型企画です
今後、台北、台南、高雄での取材記事を9月にかけて、6本公開予定です。台湾MICEの「いま」を知っていただける大型連載企画です。記事の公開まで今しばらくお待ちください。
※本記事の写真は特に記載がない限り、MICE TIMES ONLINE編集部の撮影によるものです。



