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【取材】学生13団体が考えた「MICE×ビジネス」の新しい接点。寺ツーリズム、仏壇アップサイクル、二次会、居酒屋交流 など|SDGs未来ビジネス学生コンテスト2026

2026年9月12日、神戸空港の団体待合室にて「SDGs未来ビジネス学生コンテスト2026」の本選が開催されました。2026年の重点テーマは”MICE”。学生たちはMICEをどのようにビジネスモデルに組み込み、地域や社会の課題解決につなげようとしたのでしょうか。

本記事では、学生たちの発表を紹介しながら、MICEを活用したビジネスの可能性を探ります。

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学生のアイデアを社会実装へ「SDGs未来ビジネス学生コンテスト2026」

SDGs未来ビジネス学生コンテストは、2023年に兵庫県神戸市で始まった、産官学連携による学生参加型の事業提案コンテストです。幹事大学である神戸大学、武庫川女子大学、関西学院大学、甲南大学の4大学が主体となる組織「ひょうごSDGsオープンイノベーション」が中心となり、次世代を担う若者、地域企業、自治体が協力して、持続可能な社会の実現につながる事業を考えます。

特徴は、アイデアを発表して終わるのではなく「社会実装」を前提に事業化を見据えている点です。

2026年9月12日、SDGs未来ビジネス学生コンテスト2026・神戸空港で開催

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2026年のテーマに”MICE”が選ばれた理由

2026年度の大会では「リボーン神戸 ~神戸から世界に発信するまちづくり~ 」というコンセプトのもと、重点テーマの一つに”MICE”が設定されました。学生たちに求められたのは、MICEが持つ人を集め、交流を生み出す機能を、神戸の地域課題の解決や持続可能なまちづくりにどう結びつけるか。MICEそのものを事業にするだけでなく、それぞれが考えるビジネスにMICEをどう組み込むかという視点からも提案が行われました。

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全国から厳選された学生13団体が神戸空港に結集

書類審査を通過した13の学生チームが、2026年9月12日の本選に進出しました。舞台となったのは神戸空港の団体待合室。通常は旅行者が出発を待つ空間が、この日は学生たちがビジネスプランを発表する会場となりました。

神戸空港の団体待合室
神戸空港の団体待合室

審査には、ホテル、空港、MICE、行政、大学など各分野の実務者・関係者が参加。株式会社ロイヤルホテルの蔭山秀一取締役会長、関西エアポート株式会社の山谷佳之相談役、神戸市経済観光局の武田卓観光MICE担当部長、神戸大学の喜多隆理事・副学長、日本コンベンションサービス株式会社の松田健執行役員らが審査員・来賓として参加しました。

株式会社ロイヤルホテルの蔭山秀一取締役会長
株式会社ロイヤルホテルの蔭山秀一取締役会長
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また、JR西日本、三井住友海上、ヤマト住建、UCC、SMBC、エプソン、日本コンベンションサービス、神戸ポートピアホテルといった協賛企業をはじめ、兵庫県、神戸市、神戸商工会議所、神戸観光局などの関係者も会場を訪れました。

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13のビジネスプランから見る、MICEの関わり方

本選では、13の学生チームが5分間のピッチでそれぞれのビジネスプランを発表しました。興味深かったのは、「MICE」をビジネスに組み込む方法が一つではなかったことです。

MICE参加者を地域の観光や飲食、交流へつなぐ。MICE会場やホテルを自分たちの商品・サービスを提供する場として捉える。さらに、自らMICEを企画・開催する。学生たちは、それぞれ異なる方法でMICEと自分たちのビジネスを結びつけていました。

ここからは、特にMICEとの接点が見えやすかった4つの発表を取り上げます。


MICE参加者を地域へつなぐ――寺院、二次会、居酒屋へ 

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1)TERA TOURISM:寺×MICEで紡ぐ“和のリトリート” 〜寺院を核とした滞在型観光プロデュース事業〜

MICE参加者を会議やイベントの会場だけにとどめず、地域へつなごうとする提案が複数見られました。その一つが、グランプリとJR西日本賞を受賞した「TERA TOURISM」です。

神戸大学農学部4年の髙橋英眞さんが提案したのは「寺×MICEで紡ぐ“和のリトリート” 〜寺院を核とした滞在型観光プロデュース事業〜」。髙橋さん自身が大阪府河内長野市の寺院・聖長寺の出身で、後継者不足や檀家の減少による寺院存続への危機感が事業の出発点になっています。

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実家の寺院にある居住・事務スペースをリノベーションし、香づくりや座禅など、日本文化の背景にある思想や歴史まで体験できる場として活用。40〜60代や海外の富裕層、文化体験を求める訪日客などをターゲットに据えます。国際会議やコンベンションなどで日本を訪れる海外のビジネス客やVIPに対して、寺院を訪れるリトリートプログラムなどを提供する構想です。

受賞コメントとしては、観光を切り口にお寺の新たな収益源を作りつつ、かつて縁日やお見合いの場であったように、お寺を「地域コミュニティの拠点」として未来の100年へ継承していくことを目指しています 。


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2)fantavia:ライブ後二次会支援をおこなう

神戸大学1年生の大塚皓生さんは、イベントが終わった後に注目しました。「fantavia」は音楽ライブやスポーツ観戦などの終了後、参加者同士を二次会へつなぐサービスです。3つの企業賞を受賞しました。

着目したのは、同じイベントに参加し、同じ空間で熱量を共有した人たちが、その感想を直接語り合う機会がないまま帰宅していることでした。SNS上で感想を共有するだけではなく、「同じ場所にいた人と対面で語り合いたい」というニーズを捉え、イベント終了後の二次会を仕組み化します。参加者はアプリ上で参加したイベントを選び、本人確認や事前決済をした上で二次会を予約。イベント終了後に参加者同士が飲食店などに集まり、交流できる仕組みです。

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まずはライブイベントから検証を始め、将来的にはスポーツ観戦や国際会議、学会などのMICEにも展開する構想です。参加者同士の交流機会を増やすだけでなく、イベント終了後に街の飲食店へ人を送り出すことで、ナイトタイムの消費につなげることも目指しています。

審査員を務めた日本コンベンションサービスの松田健氏は「海外のMICEではアフターパーティーなどでネットワーキングする機会が多い。再現性が高く、非常に面白いソリューション」と評価しました。


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3)オテンバカンパイ部:IZAKAYAを世界へ。〜MICEでつなぐ食体験プログラム〜

武庫川女子大学食創造学科3年の和佐歩乃歌さんは、自身が働く居酒屋のユニフォーム姿で登壇。普段から居酒屋で働くなかで、見知らぬ人同士でも自然に会話が生まれる居酒屋文化の魅力を感じる一方、訪日外国人にとっては、言葉の壁や会話のきっかけがないことなどが、地域の人との交流を難しくしているといいます。そこで提案したのが、MICEで神戸を訪れた海外参加者と地域住民や学生を、夜の居酒屋でつなぐプログラムです。

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参加者には事前に趣味や好きなものを登録してもらい、AIで共通点を分析。海外参加者2人と地域住民・学生2人を基本とするグループを編成します。席ではスマートフォンから相手のプロフィールを自分の言語で確認でき、共通の趣味などを会話のきっかけにできる仕組みです。
さらに、学会やカンファレンスのテーマに合わせたマッチングも想定します。例えば医療系の学会であれば、地域側から医療を学ぶ学生や若手医療従事者が参加するなど、新たな交流につなげます。

2027年度には国際会議での実証実験を計画し、その後、神戸から全国のMICE開催地への展開を目指しています。MICE参加者と開催地で暮らす人たちをつなぎ、夜の滞在や消費につなげようとする提案でした。


商品・サービスの提供先にMICEを選ぶ

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4)Power Of TERA:廃棄される仏壇をMICE空間の家具やアートへ

準グランプリを受賞した「Power Of TERA」は、廃棄される仏壇を回収し、家具やアートとして再生するビジネスを提案しました。発表した狭霧優さんも実家が寺院で「捨てられる仏壇」の問題に着目しています。

実家じまいや引っ越しなどで仏壇を手放さなければならないとき、所有者には先祖代々受け継いできたものを廃棄することへの心理的な抵抗があります。一方、回収する仏壇業者にとっても、運搬や処分にかかる手間やコストが課題になります。

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廃棄される仏壇に使われている紫檀や黒檀などの木材、漆塗りや金箔、欄間彫刻といった素材や技術を生かし、扉や障子、欄間などのパーツを照明、ローテーブル、椅子といった家具やアート作品へ再生します。提供先には、高級ホテルのVIPラウンジやインバウンド向け店舗、MICE会場を想定。廃棄されるはずだった仏壇を再生したという背景も含めて提供します。

このほかの発表にも、MICE施設やイベントを自分たちのサービスの導入先とする提案や、自らMICEを企画・開催する提案がありました。

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表彰で終わらない、実証・事業化への接点に 

すべての発表が終了した後、企業や行政などの関係者による審査が行われ、各チームに賞が授与されました。表彰式後の交流会では、学生と企業、行政の関係者が発表内容について意見を交わす姿が見られました。発表して評価を受けるだけではなく、実証や事業化に向けた新たな接点が生まれることも、このコンテストの役割の一つなのでしょう。

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まとめ:MICEを「自分たちも参入できる市場」に 

MICEは、身近な産業ではないかもしれません。だからこそ、学生にとってMICEが「自分たちも参入できる市場」として見えることには意味があります。MICEで販売する。MICEを使って広げる。MICE施設で使ってもらう。MICE参加者に地域を訪れてもらう。関わり方はさまざまです。一度、自分たちの事業やアイデアの中にMICEを置いてみてほしいのです。「SDGs未来ビジネス学生コンテスト」は、MICEと次の世代のビジネスをつなぐ接点になっていました。

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