「会場費まで残らない」切実な悩みに応えます。学会開催を支える福井県のMICE助成制度 50人規模から対象、最大1,380万円/PR(福井県MICE特集3)
学会を開きたい。しかし、会場費を払える手持ち資金がない。参加費を集めても、論文の出版費用などに消え、外部会場を借りる余裕が残らない。そんな悩みを抱える学会主催者は少なくありません。福井県であればそれらが解決できるかもしれません。
福井県でコンベンション(学会)を開催した2名の主催者に話を聞くと、共通して挙がったのが、助成制度と担当者による伴走支援でした。助成金によって何を実現できたのか。申請や開催準備ではどのような支援を受けられたのか。実際の活用事例とともに、制度を紹介します。
※制度に関する情報は2026年9月時点のものです。
福井県内で学会を開催した2名の主催者に聞く
今回、福井県内で学会を開催した内田慶市氏と宝珍輝尚氏に、開催当時に抱えていた課題や、実際に利用した助成制度について伺いました。


東アジア文化交渉学会(SCIEA)第16回年次大会 2024年国際学術大会
開催時期:2024年5月10日(金)~12日(日)の3日間
会場:あわら温泉 清風荘(福井県あわら市)
参加者数:オンライン200名、対面200名、合計400名(東アジアからも参加)
取材協力:東アジア文化交渉学会 副主任 / 関西大学 名誉教授 内田慶市氏


SNPD2025-Summer II(第30回IEEE/ACIS国際ソフトウェア工学、人工知能、ネットワーク、並列/分散コンピューティング会議)
開催期間:2025年6月30日(月)~7月2日(水)の3日間
会場:福井県国際交流会館(福井県福井市)
参加者数:71名(うち県外から39名、海外から18名)
取材協力:追手門学院大学 理工学部 情報工学科 教授 宝珍輝尚氏

こんなお悩みありませんか
・参加費を集めても、会場費に充てられる資金が残らない
・ホテルや国際会議場で開催したいが、費用を捻出できない
・予算の都合から、大学の教室を会場にせざるを得ない
・懇親会や参加者同士の交流に使える予算が限られている
今回取材した宝珍氏と内田氏も、学会の開催にあたり、会場費の確保という課題を抱えていました。

参加費の多くが論文出版費に消える
宝珍氏によると、SNPDの参加費は、当時の日本円換算で1人約10万円。参加費だけを見ると、学会の運営資金には余裕があるように思えるかもしれません。しかし、その多くが論文の出版費用などに充てられるため、会場費に使える資金は限られています。
宝珍氏
「国際会議の論文は世界的な出版元から刊行されますが、その出版費用が相当高く、参加費の多くがそこで消えてしまいます。残るのは、懇親会を開けるかどうかという程度です。参加費収入だけでは、会場費まで支払う余裕がありません」

会費の蓄えがなく、開催前に使える資金がない
ホテルや国際会議場などの外部会場を借りる場合、SNPDの規模では会場費が150万~200万円程度かかるといいます。
宝珍氏
「会場費を捻出できないため、通常は大学の教室で開催することが多くなります」
内田氏が主催に携わった東アジア文化交渉学会にも、同様に会場費の課題がありました。同学会では参加者から参加費を集めていますが、定期的な学会費を徴収しておらず、開催前に使える資金には余裕がなかったといいます。
内田氏
「私たちの学会では、開催時に参加費をいただきますが、いわゆる学会費はありません。そのため、開催前に使える手持ちの資金がほとんどないんです。ホテルなどで開催すると、会場費が大きな負担になります」
福井県には、こうした主催者を支えるどのような制度があるのでしょうか。

50人規模から対象、最大1,380万円の福井県コンベンション開催助成金
福井県では、県外・海外参加者の延べ宿泊数に応じて主催者の開催経費を支援する「コンベンション開催助成金」を設けています。基本助成は最大450万円。県外参加者が開催市町内に宿泊した場合は、同額の開催市町加算が適用され、合わせて最大900万円となります。このほか、国際コンベンション助成金をはじめ、エクスカーションやシャトル便、アトラクション等のオプション制度、下見視察助成金などの追加支援も用意されており、すべて合わせると最大1,380万円の助成を受けることができます。
全国的には都市単位のビューローが多い中、福井県は”県単位”のコンベンションビューローです。最大のメリットとして、福井県で助成金を申請すると、県に加えて市町の助成金もワンストップで支援を受けられます。
対象となる催事は学会/大会、会議/企業コンベンション/スポーツ大会
交付対象となるのは、次の催事です。
| 学会 | 学術研究団体が主体となり、当該学術研究団体の構成員を対象として開催する発表および討論のための集会、その他これに準ずるもの |
| 大会・会議 | 団体組織の構成員等が特定の課題に対して意見の発表及び討論をするための集会、セミナーまたはこれに準ずるもの |
| 企業コンベンション | 民間企業の会議・研修、インセンティブ旅行またはこれに準ずるもの |
| スポーツ大会 | 初めて県内で開催されるスポーツ大会・競技会に限る |
福井県の制度は、大きく「コンベンション開催助成金」と「国際コンベンション助成金」に分かれています。それぞれ単独で利用できるほか、条件を満たせば併用も可能です。

1.国内コンベンションの主な条件
コンベンション開催助成金の上限額は、基本助成と開催市町加算を合わせた最大900万円です。
基本助成:最大450万円
開催市町加算:最大450万円
合計:最大900万円
開催地と宿泊地を同じ市町にすると助成額が増える。県外参加者が開催市町内に宿泊すると、基本助成と同額が開催市町加算として上乗せされます。
主な条件
・福井県内で開催する
・連続2日以上開催し、宿泊を伴う
・福井県を含む3県以上から参加者が集まる
・参加者数が50人以上になる
・県外・海外参加者の延べ宿泊数が50人泊以上になる
(学会の場合は、参加者数50人以上、かつ県外参加者の延べ宿泊数25人泊以上から対象)
基本助成額は、県外参加者の延べ宿泊数に応じて算定されます。
300人泊未満:50人泊ごとに5万円
300人泊以上:100人泊ごとに10万円
基本助成の上限:450万円
さらに、県外参加者が開催市町内に宿泊した場合は、基本助成と同額が「開催市町加算」として上乗せされます。例えば、福井市で学会を開催し、県外参加者が福井市内に宿泊した場合が対象です。福井市で開催しても、参加者が別の市町に宿泊する場合は、その宿泊分について開催市町加算の対象にはなりません。

2.国際コンベンションの主な条件
海外から参加者を迎える場合は、「国際コンベンション助成金」も利用できます。
主な条件
・福井県内で開催する
・連続2日以上開催し、宿泊を伴う
・参加者の居住地が2カ国以上にわたる
・海外からの参加者が10人以上いる
・海外参加者10人以上が福井県内で1泊以上する
日本を1カ国として数えることができるため、日本と海外1カ国以上から参加者が集まれば、「2カ国以上」という条件を満たします。
助成額は、海外参加者の延べ宿泊数10人泊ごとに5万円です。海外参加者がコンベンションの開催市町内に宿泊した場合は、基本助成と同額の開催市町加算が適用されます。
基本助成:最大150万円
開催市町加算:最大150万円
合計:最大300万円

延べ宿泊数によって助成額はいくらになる?
コンベンション開催助成金は、単純な参加人数ではなく、県外参加者の「延べ宿泊数」によって助成額が決まります。
| 県外参加者の延べ宿泊数 | 基本助成 | 開催地と宿泊地が同じ | 合計 |
|---|---|---|---|
| 学会25~49人泊 | 要相談 | 要相談 | 要相談 |
| 50~99人泊 | 5万円 | 5万円 | 10万 |
| 100~149人泊 | 10万円 | 10万円 | 20万 |
| 150~199人泊 | 15万円 | 15万円 | 30万 |
| 200~249人泊 | 20万円 | 20万円 | 40万 |
| 250~299人泊 | 25万円 | 25万円 | 50万 |
| 300~399人泊 | 30万円 | 30万円 | 60万 |
| 400~499人泊 | 40万円 | 40万円 | 80万 |
※上記は助成上限額の例です。本制度は、主催者の支出が収入を上回る場合に、内示額を上限として補填する赤字補填制度です。計算上の上限額がそのまま交付されるとは限りません。
※2026年度制度は、原則として開催年度の前年8月末までの申請です。特別な事情が認められる場合は、開催月の3か月前まで相談できるとされています。
出典:コンベンション開催助成金制度2026年度(令和8年度)
https://www.fuku-e.com/business/convention/josei-2026?utm_source=chatgpt.com

追加支援:エクスカーション・福井らしい演出
福井県では、基本となるコンベンション開催助成金に加えて、参加者の移動や交流、福井での体験を充実させるための追加支援を用意しています。エクスカーションや福井らしい演出を学会プログラムに組み込むことで、参加者の満足度を高めるだけでなく、開催地への理解や、参加者同士の交流を深めることにもつながります。
※以下の追加支援は、原則として「コンベンション開催助成金」または「国際コンベンション助成金」の対象となる場合に利用できます。

3.アトラクション助成金
式典やレセプションで実施する、郷土芸能、伝統文化、地域の演奏などの福井県ならではのおもてなしイベントにかかる費用を支援する制度です。
上限:5万円

4.エクスカーション助成金
福井県内で企業視察や観光ツアーを実施する場合に、その費用の一部を支援する制度です。
助成額:飲食代を除く対象経費の2分の1
上限:20万円
内田氏が主催に携わった学会でも、最終日の午後に貸切バスを運行し、東尋坊と永平寺を巡るエクスカーションを実施しました。永平寺は、中国・宋で修行した道元が開いた禅の道場です。東アジア文化を扱う学会のテーマとも親和性があり、海外からの参加者にも好評だったといいます。

内田氏
「エクスカーションにはマイクロバスなどの費用もかかりますが、そうした部分についても支援を受けることができ、本当に感謝しています」

福井県内には、観光だけでなく、学会や企業コンベンションのテーマに合わせたテクニカルビジットへ展開できる施設や産業があります。
例)福井県立恐竜博物館、永平寺、一乗谷朝倉氏遺跡、越前和紙、鯖江の眼鏡、越前打刃物、あわら温泉など

5.シャトル便運行助成金
会場と宿泊施設の間を往来するシャトル便の運行費用を支援する制度です。
助成額:対象経費の2分の1
上限:10万円
規模:現地参加者300人以上
利用する交通事業者は、福井県内に本社または支社を置くバス、電車、タクシー会社であることが条件です。

6.大規模コンベンション加算
現地参加者1,000人以上のコンベンションを、複数の会場を使って開催する場合に適用される加算制度です。県内参加者や宿泊を伴わない参加者も現地参加者数に含めることができますが、オンライン参加者は含まれません。
上限:100万円

7.嶺南特別加算
嶺南地域での宿泊やエクスカーションを促進するための加算制度です。対象となる嶺南地域は、敦賀市、小浜市、美浜町、高浜町、おおい町、若狭町。

コンベンション開催助成金への加算:助成額の2分の1
加算上限:25万円
エクスカーション助成金への加算:助成額の2分の1
加算上限:10万円

開催地を決める前に使える「県内視察受入助成制度」
コンベンションの開催地を決める前に、候補となる会場や宿泊施設を確認するための下見費用も支援しています。対象となるのは、開催地がまだ決まっていない会議や大会などについて、開催地を決定する権限を持つ主催者です。
経費:交通費、宿泊費など
上限:1人5万円
人数:視察1回につき2人まで
1回あたりの上限:合計10万円
県内視察受入助成制度について https://www.fuku-e.com/business/convention/shitami/shisatsu/josei
内田氏
「会場がどのようになっているのかを確認するため、一度下見へ行きました。そのときの交通費や宿泊費についても福井県は出してくれました。すごいなと思います」

何が助かった?助成金によって宿泊施設での学会開催が実現
助成金の活用によって、実際の学会開催はどのように変わったのでしょうか。
内田氏が主催に携わった東アジア文化交渉学会は、福井県あわら市の温泉旅館「あわら温泉 清風荘」で開催されました。
通常は大学の教室を利用することが多い学会ですが、今回は清風荘の大広間や客室を会場として活用。襖を外した空間に机と椅子を並べ、館内に7~8つの会場を設けました。それぞれの会場には50~60人程度が入り、複数のテーマによる発表や討論を同時に実施しました。
内田氏
「清風荘を会場として利用すると、数百万円規模の費用がかかります。今回は福井県の支援制度で賄うことができました。福井県はかなり太っ腹。これまでほかの地域で開催したときと比べても、非常に手厚い支援だったと感じています」
宝珍氏も、助成金によって大学以外の会場を選べることに価値があると話します。
宝珍氏
「助成金を活用して、設備の整った外部会場やホテルで開催できることは魅力的でした。海外からの参加者にとっても、懇親会や交流の機会を持つことができれば、『また参加したい』という気持ちにつながると思います」
申請は面倒ではなかったのか
福井県のコンベンション開催助成金は、県外参加者の延べ宿泊数に応じて基本助成額が決まります。参加者数や宿泊数をもとに概算できるため、会場を検討する段階から収支計画に反映しやすくなっています。
宝珍氏
「何人が宿泊すればどれだけ助成を受けられる、というルールがシンプルで分かりやすく、事前の計算や申請手続きが非常にやりやすかったです」
内田氏
「面倒なことを言われませんでした。予算や開催内容を伝えると、スムーズにOKをいただきました。手続きについても、お役所仕事とは違うなと感じました」
申請期限はあるものの、開催決定が急に決まれば、予算対応が可能であれば随時申請を受け入れられるなど柔軟に対応可能です。
制度を知るきっかけになった福井県大阪事務所
内田氏が福井県のMICE支援制度を知ったきっかけは、福井県大阪事務所が設けた、関西在住の福井県出身大学教員との交流の場でした。そこで福井県観光連盟の職員が制度や県内施設について紹介したことで、内田氏は初めて、福井県にコンベンション開催の助成制度があることを知ったといいます。制度を知った後は、福井県観光連盟の担当者が大阪まで複数回足を運び、会場の使い方や予算、開催準備などについて打ち合わせを行いました。
宝珍氏も、北陸新幹線の福井・敦賀開業をきっかけに、福井県大阪事務所などを通じて、福井での学会開催と助成制度について案内を受けました。
宝珍氏
「北陸新幹線が福井まで延伸するし、助成制度が用意できるようになったと、大阪事務所の方から紹介していただきました。福井県観光連盟の担当者も大阪まで一緒に来られました。その姿勢は他の県にもまったく劣らないと思います」
福井県は東京、名古屋、京都、大阪に県外事務所を設けており、福井県観光連盟とも連携しています。一旦事務所に足を運んでみるのも良いでしょう。

申請書だけではない 準備から当日まで伴走する支援
福井県のMICE支援は、開催経費に対する助成だけではありません。今回取材した主催者からは、開催準備や参加者への情報提供、当日の運営についても、担当者による支援があったという声が聞かれました。
内田氏
「開催前には、国際学会が開かれていることを伝えられる掲示ポスターを作っていただきました。こちらから希望する内容を伝えると、印刷まで対応してくれたので助かりました。福井県やあわら市の観光パンフレットを準備いただきました。それは参加者の皆さんに配りました」

当日の会場でも動く担当者の姿
筆者が福井県内で開催された国際学会を取材した際にも、福井県観光連盟のスタッフが会場の最前線で運営を支える姿がありました。

学会終了後、参加者が次々とバスへ向かうなか、スタッフはおそろいのTシャツを着て乗車場所を案内。交通量の多い横断歩道付近では、参加者の安全に配慮しながら誘導していました。予定されていた業務をこなすだけでなく、スタッフ同士で「私が残ります!」と声を掛け合い、その場で必要な対応を判断していたことが印象に残っています。
開催準備が始まると、主催者には予想していなかった確認や調整が次々と発生します。相談できる担当者がいるか、主催者と一緒に汗をかいて動いてくれるかという「人による支援」も大事ですよね。


まずは開催地を決める前に相談を
会場や参加人数、宿泊先などがすべて決まってから相談する必要はありません。開催地を決める前の段階であれば、県内視察受入助成制度を活用して、会場や宿泊施設を下見できる可能性もあります。
特に福井市では、会場、宿泊施設、懇親会場を近い範囲にまとめやすく、参加者の移動負担を抑えた開催を計画できます。助成制度による資金面の支援と、担当者による準備・運営面の支援、滞在しやすいコンパクトなまちの構造。この3つが揃うのが、福井県の強みです。
コンベンション開催助成金は、原則として開催年度の前年8月末までに申請する必要があります。翌年度以降の学会や会議の開催地を検討している方は、候補地を決定する前に、福井県観光連盟へ相談してみてはいかがでしょうか。
福井のMICEを検討される方は、福井県観光連盟までお問い合わせください
団体名:福井県観光連盟
所在地:〒910-0005 福井県福井市大手2丁目4番13号 大手合同事務所2階
電話:0776-23-0181
E-mail:fukui22@fukuioyado.com
Webサイト「大会・会議をご検討の方へ」:https://www.fuku-e.com/business/convention/index.html




