就活にChatGPTなどの生成AIを使ってもいい? 自己分析から面接まで、役立つ使い方を考える【MICEキャリアナビ】
エントリーシート(ES)の自己PRが書けない。ChatGPTに「作って」と頼むと、それらしい文章がすぐに出てきます。でも、それを提出してよいのか。面接で同じことを聞かれたら、自分で話せるのか。迷う人もいるでしょう。ここでいうAIは、ChatGPT、GoogleのGemini、Claudeなどの生成AIです。就活での使い道は、ESの代筆だけではありません。経験を思い出すために質問してもらう。書いた文章の分かりにくいところを指摘してもらう。面接の練習相手になってもらう。使い方によっては、自分でも気づいていなかった考えを言葉にできます。
大学の就活講座でも、生成AIの使い方を教えている
大学のキャリア支援にも、生成AIを扱う講座があります。早稲田大学キャリアセンターは2025年12月に「就活と生成AI」を開催。AIに答えを作ってもらうのではなく、自分の考えを深めるためにどう使うかをテーマにしました。長野県立大学では同年、ES対策講座の「ガクチカ&生成AI編」で経験の棚卸しやAIを使う際の注意点を扱っています。東京都立大学も、生成AIを使って自己分析とES作成に取り組む実践セミナーを案内しています。
生成AIを就活に使うことを、大学も現実の課題として扱っています。講座を受ける機会がない人や、転職活動中の人なら、何から試せばよいでしょうか。

「自己PRを書いて」といきなり頼む前に、経験を聞いてもらう
「アルバイト経験をもとに自己PRを書いて」と頼んでも、経験の中身を伝えていなければ、AIは本人がどう動いたかを知りません。まず、質問役になってもらいます。
飲食店でのアルバイトを振り返りたいです。忙しかった場面で何が起き、私はどう考えて行動したのか、一問ずつ質問してください。私の強みは、話を聞いてから考えてください。
「忙しいとき、何に困った?」「誰に相談した?」「自分で変えたことは?」。こう聞かれて初めて、当時の行動を思い出すことがあります。アルバイトに限りません。ゼミでの共同作業や、転職する人なら普段の業務についても同じように振り返れます。
AIが「調整力が強みですね」と返してきても、その言葉をすぐに採用する必要はありません。「どの行動からそう考えたの?」「ほかの見方はある?」と聞いてみてください。「調整力」という大きな言葉より、「分からないことを早めに周囲に相談した」と説明するほうが、自分の経験に合っているかもしれません。
企業研究では、答えより「調べるための質問」をもらう
志望動機をAIに書かせると、企業の理念や事業をきれいにまとめた文章ができることがあります。しかし、その会社で働きたい理由は、企業サイトを要約するだけでは見つかりません。
募集要項を読んで分からなかったことを、AIと整理してみます。「この仕事の一日の流れを知るには、何を確認すればいい?」「私の経験と重なる点はどこで、まだ確かめられていない点はどこ?」。出てきた質問を持って採用ページを読み直したり、説明会で聞いたりできます。
もし「海外と関わる仕事がしたい」と思っていても、海外の誰と、どんな仕事をしたいのかは、人によって違います。AIに質問を重ねてもらい、自分が惹かれている仕事内容を確かめる。応募先への疑問が残れば、そのまま調べ続ければよいのです。

書類を整えるときは、事実まで変えていないか
AIに文章を短くしてもらったり、分かりにくい表現を直してもらったりすることはできます。文章を手直ししただけで、経験が作りものになるわけではありません。
ただ、手直しの途中で「手伝った」が「主導した」になっていないでしょうか。確認していない成果や数字が加わっていないでしょうか。もとの文章と比べながら読む必要があります。
以下の自己PRについて、話のつながりが分かりにくいところと、根拠が足りないところを教えてください。私が書いていない行動や成果は加えないでください。確認したいことがあれば、先に質問してください。
京都大学キャリアサポートセンターは、ESで必要なのは流暢で立派な文章よりも、本人が経験し、感じ、考えたことを自分の言葉で書くことだと説明しています。書類を通過しても、面接でその内容を話すのは本人です。文章を見直すときには、一つひとつの出来事を自分で説明できるか、確かめてみてください。

面接の練習相手になってもらう
ESや職務経歴書ができたら、AIに面接官役を頼めます。「この書類を読んで、一問ずつ質問してください。私が答えたら、分からなかったところを追加で聞いてください」と伝えます。
書類に「チームをまとめた」とあれば、意見が割れたとき何をしたのか。「売上に貢献した」とあれば、自分が担当したことは何か。答えに詰まったら、書類の表現が大きすぎるのか、具体的な場面を思い出せていないのかを考えられます。
AIが出す模範回答を覚えるより、まず自分で答えてみる。その後で「今の説明で分かりにくかった部分は?」と聞く使い方です。AIの指摘だけで判断せず、キャリアセンターや身近な人にも話してみると、伝わり方の違いが分かります。
音声でやりとりができる機能が使えるなら、よりリアルな模擬面接も実施できるでしょう。終わってから、すぐにフィードバックをもらうこともできるため、気軽に練習ができますね。
就活が始まる前から、振り返りに使う
ESを書き始めてから、数年前の出来事を詳しく思い出すのは難しいものです。授業やアルバイト、仕事のプロジェクトが終わった日に、AIに話しかけて記録を残す方法もあります。成功した話に限りません。迷ったこと、うまくいかなかったことも後から振り返れます。
今日の出来事を振り返りたいです。何が起きたか、私はなぜそう行動したか、次に同じ場面があればどうしたいかを、一問ずつ聞いてください。最後に、私が話した内容だけを短くまとめてください。
面接の後なら「答えにくかった質問は何か」「話を聞いて、その会社への印象は変わったか」と問いかけてもらうこともできます。次の面接に備えるだけでなく、応募を続けるか考える際にも、その記録を見返せます。
普段から対話を重ねれば、自分の経験や考えを伝える手間は減るかもしれません。ただ、AIが以前の会話をいつも正確に覚えているとは限りません。残しておきたい内容は、自分でも読める形で保存しておくとよいでしょう。
転職活動では、顧客名や社外秘の資料、同僚の個人情報をそのまま入力しないよう気をつけます。応募先からAI利用について指示があれば、その内容も確認してください。募集条件など、AIが示した情報は企業の公式ページで確かめます。

AIを使っても、面接で話すのはあなた自身です
ほかの応募者も生成AIを使っている可能性があります。文章の見た目だけを整えても、それだけで自分の経験が伝わるとは限りません。
「この強みは、どの行動から言えるのか」「なぜその会社に応募したのか」。AIの助けを借りて書いた文章でも、この問いに自分で答えられるなら、面接で話を続けられます。答えにくいところがあれば、提出する前に経験を振り返るか、表現を直せます。
就活でAIを使うなら、完成した文章を受け取るところで終わらせず、質問や練習を通じて自分の考えを確かめてみる。書類の先にある面接にも、それはつながります。


