【取材】教育現場の困りごとを、どう事業にしているのか。 EDIX大阪2026で聞いた、事業に込める思い
展示会のブースで「どんなサービスですか」と尋ねると、製品の説明から、事業を始めたきっかけへと話が広がることがあります。現場で見てきた困りごとや、変えたいと思っていること。今回のEDIX大阪では、そんな出展者の話が印象に残りました。
2026年10月13日から15日まで、グランキューブ大阪で開催された「第9回EDIX(教育総合展)大阪」。教材や学習サービス、映像機器、学校施設に関する設備など、教育に関わるさまざまな展示が並びました。
本記事では、スターターエリアで出会った企業を中心に、事業に込める思いや出展の目的を紹介します。教育に関わる方にサービスを届けたい、実際に触れて意見を聞きたい。出展者は会場でどんな出会いや、反応を求めていたのでしょうか。

教育現場の課題を相談できる「EDIX大阪」、2026年は会場を中之島へ
EDIXは、教材やICT機器、校務支援サービス、学校施設の設備など、教育に関わる製品やサービスが集まる展示会です。教職員や教育委員会、自治体、塾・予備校の関係者に加え、企業の人事・研修担当者などが来場します。

第9回となるEDIX大阪は、2026年10月13日から15日まで、グランキューブ大阪で開催され、約120社が出展しました。今回は、従来のインテックス大阪から中之島のグランキューブ大阪へ会場を移し、開催時期も10月に変更。学校や自治体が翌年度の予算や導入を検討する時期に合わせた開催となりました。

スターターエリアで聞いた出展の目的

スターターエリアには、代表や創業メンバー自らが来場者を迎えており、事業を始めた背景や開発への思いを、担当者から直接聞くことができました。
目標は見込み顧客100件! 創業間もない超伴走がEDIXへ

「新ツール不要のDX革命!」。スターターエリアで、この言葉を掲げていたのが超伴走株式会社です。会社を立ち上げてから、わずか1カ月での出展(創業は10月)でした。EDIXでの目標はリード(見込み顧客)100件!力強いですね。
事業を始めた背景には、学校にICTツールが導入されても、十分に活用できず困っている教員がいる、という問題意識があります。忙しい教員が自分で使い方を調べ、試す時間を確保するのも簡単ではありません。
創業者には、教育委員会などの現場支援に関わってきた経験がありました。本来なら業務改善できるはずのICTが活かしきれていない現状を変えるため、会社を立ち上げました。この事業では、すでに学校にあるツールや機能を使えるように伴走します。
「どんな使い方ができそうですか?」垣衣が来場者へ聞いたこと
垣衣合同会社が紹介していたのは、チェコ発祥の知育玩具「Scrollino」でした。箱から紙をくるくると引き出し、絵や数字を見たり、鉛筆やクレヨンで書き込んだりして使います。日本での取り扱いを始めて1年が経過。低年齢向けから小学校向けまでシリーズによって対象年齢が幅広いため、「現場の教育関係者がどう見て、どんな使い方を提案してくれるのか、皆さんの意見を聞きたい」と出展理由を語りました。

CFOの小寺さん
「ブースを訪れた教員の方からは『タブレット学習ばかりになった結果、最近の子どもたちは1mという数字は理解していても実際の長さが分からない』という意見をいただきました。デジタル全盛だからこそ、実際に紙を何mも手で引き出し、身体的な感覚として長さを実感できる教材として価値があるのではないかという手応えを感じています」
今後は日本の印刷会社などとも連携し、日本での使い方に合わせた展開を考えているといいます。
Webサイト https://shinobugusa.com/
英語力に加えて語る中身を育てたい。未来教育道・酒井さんの問題意識

株式会社未来教育道・みすゞ英語塾のブースでは、英語塾を10年以上運営してきた代表取締役の酒井さんに、教材づくりの背景を伺いました。
酒井さんは、この30年ほどで英語教育や政策が変わり、多くの本やアプリが登場しても、日本人が英語で話せるようになるという点では、十分な変化を感じられなかったといいます。そこで目を向けたのが、英語力に加えて「何を語るか」という問題でした。
相手を前にして、自分の考えをしっかり語れない。日本について知り、自分の言葉で伝えるための”中身”が足りていないのではないかと、酒井さんは考えました。また、入試問題や英語の問題集には、海外の偉人や技術、歴史を取り上げたものが数多くありますが、日本を題材にしたものは少ないと感じたことから、酒井さん自ら教材をつくりました。
2023年に法人化し、自社で長文読解の問題集を制作。学校の留学前指導や帰国生向けの学習、国際理解・国際教育に力を入れる学校、学習塾などでの利用を想定しています。
Webサイト https://misuzu-eigojuku.com/
スターターエリアの外にも、気になる展示がありました
企業を調べて終わらせない。「コーポレートアクセス」がつくる探究学習

株式会社教育と探究社の「コーポレートアクセス」は、実在する企業から出されたミッションに、生徒がチームで取り組む探究学習プログラムです。全国41都道府県、累計約3400校、約64万人の生徒が参加してきました。同社は学校と企業の間に入り、双方の意図を調整しながらプログラムをつくっています。
これまでの教育で感じていた課題は、企業についてWebなどで調べた情報をまとめ、発表する「調べ学習」で終わってしまいやすいこと。そこで、企業が実際に直面した場面などを題材に、「自分ならどうするか」「なぜその企業は、その判断をしたのか」を考え、話し合う過程を取り入れています。

身近な企業が何のために存在し、何を大切にしているのかを深く知る機会にもなります。さらに自分にもできることがあると気づくかもしれません。企業の課題に向き合う経験を通じて「大学ではこれを学びたい」といった学習や進路への意欲につなげようとしています。
Webサイト https://eduq.jp/for-school/corporateaccess/
授業や学校行事の映像制作を、費用を抑えて始めるBlackmagic Designの提案

ブラックマジックデザイン(Blackmagic Design)のブースには、展示されていたのは、導入しやすい価格帯でありながら高度な映像切り替えができる映像を切り替えるスイッチャー「ATEM Mini」シリーズや、動画編集ソフト「DaVinci Resolve」です。授業や学校行事を撮影し、編集・配信する際に使えます。比較的費用が抑えやすいことが特徴なのだとか。
Webサイト https://www.blackmagicdesign.com/jp

体育館の椅子並べを、ボタン一つで。コトブキシーティングの移動観覧席
椅子・家具のメーカーです。スイッチ(ボタン)1つで自動展開・収納できる「移動観覧席(ロールバックチェアースタンド)」や大型電動間仕切り「SIKIRUTO(シキルト)」を紹介していました。体育館で行事があるたびに、教員や生徒が手作業で大量のパイプ椅子を並べたり片付けたりする負担が大きいのです。また少子化の影響で小学校と中学校が統合された「義務教育学校」が増加しており、1つのアリーナ(体育館)を使うから観覧席に対するニーズが高まっているといいます。
Webサイト https://www.kotobuki-seating.co.jp/

「ここで学びたい」と思える学校へ。清和ビジネスが手がける食堂や図書館の改修

「選ばれる学校づくり」を掲げ、学生食堂やラウンジの改修事例が紹介されていました。私立大学を中心に、国公立大学や小中学校、専門学校なども手がけており、担当者によると、最近は特に食堂と図書館の改修が多いそうです。
背景にあるのは、生徒・学生の確保に向けた学校側の課題です。生徒を集めるため、どんどん入学してもらうための契機付け、ほかの大学を見て、うちもやる、とか。
改修した施設の写真は、学校案内やWebサイトで、入学後の過ごし方を伝える材料にもなりますね。
Webサイト https://seiwab.co.jp/

来場者からの声が、次の手がかりになる

印象に残ったのは、出展者が自分たちのサービスを伝えると同時に、来場した教員の話を聞こうとしていたことです。
企業が目指していることと、現場の人が必要としていることは、最初からぴったり重なるとは限りません。現場との差です。実物を前に話すことで、想定していなかった用途や、導入する際の条件が分かることもあります。展示会がそのすり合わせの機会になっていると感じました。
これは、MICEの主催者や運営者にとっても参考になる視点ではないでしょうか。出展者が持ち帰りたいものは、商談につながる連絡先だけでなく、利用者の意見や、自社の提案への反応である場合もあります。何を確かめるために出展しているのかを知ることは、出展者と来場者が話しやすい場を考える手がかりになります。
今後知っておきたい教育関連の展示会
2027年5月に天津市で、65回の歴史を持つ中国高等教育博覧会を開催

今回のEDIXには、中国で開催される「中国高等教育博覧会(HEEC)」のプロモーションブースも出展していました。担当者によると、第65回は2027年5月に天津市で開催予定。展示面積は14万平方メートル、参加企業数は6,000社を超えるとのことです。
中国国内の企業を中心に、AIや教育ロボットなど、高等教育に関わる技術や設備を紹介する展示会です。日本の教育関係者に向けて、来場や参加を案内していました。中国の教育現場では、どんな製品や技術が求められているのか。現地企業の展示を見たり、担当者と話したりすることは、市場を知る機会になりそうです。
Webサイト https://www.heexpochina.com/
九州でも教育関係者との接点を。12月2~4日「EDIXツアー in 福岡 2026」

2026年12月2(水)から4日(金)まで、マリンメッセ福岡で「EDIXツアー in 福岡 2026」が初開催されます。東京や大阪を中心に開催してきたEDIXが、新たに九州へと展開します。九州圏の教職員や教育委員会、自治体、企業関係者が集まり、情報交換や現場の課題について相談する場となります。
Webサイト https://www.edix-expo.jp/hub/ja-jp/fukuoka.html




