【取材】進化するデジタルサイネージはイベント・MICEで活用できるか。AI、SDGs、体験型、既存技術の4つの視点から発見(Interop Tokyo 2026・DSJ2026 / 幕張メッセ)

6月10日から12日までの3日間、千葉県の幕張メッセで開催された「DSJ2026(デジタルサイネージジャパン)」を取材しました。進化するデジタルサイネージに焦点を当てた国内最大級のイベントです。サイネージのトレンドや、最新技術を見てきました!私たちは、MICE(イベントシーン)で利用できそうなユニークなデジタルサイネージを探しました。

デジタルサイネージに焦点を当てた国内最大級のイベント「DSJ2026」in幕張メッセ
Interop Tokyo、AI NATIVE EXPO、画像認識 AI Expoと同時開催

「DSJ2026」は、インターネットテクノロジーの総合イベントである「Interop Tokyo 2026」をはじめ、「AI NATIVE EXPO 2026」や「画像認識 AI Expo 2026」といった専門イベントと同時に開催されます。相互に行き来ができるため、来場者は通信インフラや最新のAI技術、そしてデジタルサイネージまで一度に体感することができます。


3日間で143,312人が来場した大型展示会
出展社数は672社・団体、総小間数(出展ブース数)は2,147小間。来場者は1日目から44,478人、45,831人、53,003人。3日間で143,312人が訪れました。会場は幕張メッセの国際展示場ホール3~8、および国際会議場。会場内だけで1.5万歩を超えました。見どころが多いので、ぜひ時間をしっかり確保して臨みたいイベントです。

展示会のほか基調講演、各種セミナーに無料で参加することができます。セミナー会場は人が入り切らず、溢れ出すエリアもありました。

Interop Tokyo 2026 https://www.interop.jp/
DSJ2026 https://www.dsignage-expo.jp/
Interop Tokyo 2026 MICE TIMES ONLINEの記事 https://micetimes.jp/interop-tokyo-2026/

4つのテーマでDSJ2026を巡ります
どんなイベントか分かったところで…。DSJ2026の様子をお届けします。LEDディスプレイや液晶ディスプレイ、映像配信システムから、タッチレス操作や空間演出技術まで、ディスプレイの最新の製品やサービスが展示されました。実際に見て比較できるのが特徴です。会場では中国メーカー、特に深圳(シンセン)企業の存在感が際立っていました。
1.SDGs、サステナブル
2.AI
3.体験型
4.既存のものを生かす
1.SDGs、サステナブル
E Ink Japanブースでは、他とは少し発色の違うディスプレイを発見。

「電子ペーパー」という、紙と同じように光の反射で文字を表示するディスプレイ技術です。電子書籍リーダーでよく見かけますね。特徴は”省電力”。表示内容を切り替える瞬間のみ電力を消費します。さらに目にも優しい。小型から大型までさまざまなサイズの電子ペーパーが紹介されていました。
デジタルサイネージは便利な一方で、長時間稼働させるため電力消費も無視できません。MICE業界でも環境負荷の低減やSDGsへの取り組みが求められる中、こうした省電力技術は今後さらに注目されるのではないでしょうか。
世界最大の75インチのカラー電子ペーパー「E Ink Kaleido™ 3」
75インチの大型サイズ。RGBカラーフィルター配列を採用することで、最大4,096色のカラー表示に対応。見た目は一般的なポスターとほとんど変わらず、一見するとデジタルディスプレイとは気付かないほどです。発色も自然で、通常のサイネージと比べても遜色がありません。
https://jp.eink.com/

まるで紙のような電子ペーパー。柔軟性があり、曲がり、割れにくい。
フレキシブルカラーペーパーディスプレイの活用事例です。掛け軸など本物の素材と組み合わせることで、デジタル表示でも違和感がありません。一般的なディスプレイのような光沢感が少なく、紙ならではの質感を活かせます。
EZ Signの超薄型軽量デジタルPOP
コンパクトサイズの電子ペーパー。充電ケーブルで接続したり電池を交換したりする必要がありません。さらに防水防塵はIP65に対応。スマートフォンアプリから画像の書き換えが行えます。
展示会やイベントでは、入館証やネームプレート、卓上サイン、メニュー表、施設案内など、紙を大量に印刷する場面が少なくありません。こうした用途を電子ペーパーに置き換えることで、印刷コストや廃棄物の削減につながる可能性があります。近年は「推し活」グッズとしても人気を集めているとのこと。

2色モデルと4色モデルがあり、4.2インチの4色表示モデルは2,980円と手頃な価格。筆者もAmazonで買いました。
https://www.ezsign.shop/
2. AI
メガネを使わずに立体表現を実現する85インチの3Dサイネージ

会場入口で大きな存在感を放っていたのが、Samsung(サムスン)とACCESSによる共同ブース。115インチの超大型液晶ディスプレイなど、次世代のサイネージ活用を感じさせる製品が展示されていました。

裸眼で立体表現を体験できる3Dサイネージ「Samsung Spatial Signage SMHX-P」は、本体の厚さはわずか52mm。平面のディスプレイでありながら85インチの大型画面上に、背景や影の演出で奥行きのある映像を表現しています。思わず足を止めて見入ってしまいました。
https://ss.access-company.com/
また、ヒビノグラフィックスのブースでも、Samsung製ディスプレイを活用したソリューションを展示。AIアテンダントが来場者からの質問に応答するデモが行われていました。多言語での対話に対応しており、展示会や商業施設、観光案内所などにおける次世代の案内スタッフとしての活用が期待されます。
https://www.inter-cosmos.co.jp/service/signage-vision.html
AIが広告制作から配信まで担う、TAKASHOのクラウド型サイネージシステム
ディスプレイのハードウェアの製造の全工程から、映像技術まで一貫して手がけるTAKASHO。顧客の要望に応じて筐体の形状からオーダーメイドで製作できます。

特に力を入れて紹介していたのが、自社開発のCMS(コンテンツ管理システム)の「AI広告配信システム」です。数千種類のテンプレートをもとに、AIが入力された内容を解析し、自動で広告やポスターを生成。作成したコンテンツはLEDディスプレイやLCDディスプレイへ同時配信でき、全国各地に設置されたサイネージもクラウド上から一括管理できます。

従来は広告制作、配信、更新管理を別々のシステムで行うケースも多くありましたが、このシステムでは「制作」「配信」「管理」をワンストップで完結できます。また、サイネージ側は電源を接続するだけ。複雑な配線が不要なため、設置時の見た目もスマートで、重くなく、空間デザインを損ないません。
https://takasyou.jp
顔認識マーケティングシステム
エイコム株式会社が提供するマスクでも認識できる顔認識システムです。年齢・性別・マスク着用状況・表情・視聴時間・顔の位置と向き・大まかな通行人数が把握できます。サイネージに表示させる内容を変えることもできます。人数のカウントや人流把握から、イベントの効果測定やマーケティングにも活かせますね。
https://aecom.co.jp/beesight

3.空間演出・没入型
水槽のような空間演出。ヒビノグラフィックス初お目見えの透過型LEDディスプレイ
まるで巨大なデジタル水槽の中に人がいるかのような演出。こちらは、透過型LEDディスプレイ「CLEAR LED(クリアレッド) series」を活用された例です。
今回初披露された「GLASS LED ROOM」は、強化ガラスと強化ガラスの間にLED素子を挟み込んだ一体型の透過LEDディスプレイです。一般的な透過LEDよりもLED素子を支えるラインを細くできるため、よりクリアな視界を実現しています。
ガラス一体型であることからメンテナンス性にも優れており、表面は通常のガラスと同じように水拭きが可能。常にクリアな状態を保ちながら映像演出を行えます。空間の開放感を損なわないため、商業施設、ホテルのロビーとの相性も良さそうです。
https://hgx.co.jp/
審査員特別賞を受賞したXnext。形そのものが人を引き寄せるサイネージ

ひときわ目を引いていたのが、Xnextの展示。「デジタルサイネージのPRを、より効果的な演出、ブース構造で実施している」 という観点で審査が行われる「DSJ 2026 Booth Award」で特別賞を受賞しています。
一般的な長方形のディスプレイではなく、球体や波打つ形状、木をモチーフにしたものなど、あえて「ディスプレイらしくない」形状を採用。また、手の動きを認識するカメラを搭載しており、ページをめくるような操作も可能。従来と異なる形にすることで、人を引き寄せる力を持つのかもしれません。
https://www.xnext.jp/
ジャパンマテリアル、LiDARセンサーで人の動きを感知

ジャパンマテリアルでは、人の行動に合わせて表示内容を変化させるインタラクティブなサイネージが展示されていました。LiDARセンサー、コントローラー、ケーブルがセットになったキット商品で、人の動きや位置を検知し、映像を連動させることができます。店舗であれば、商品に近づいたり、実際に商品を手に取ったタイミングで、関連する映像に切り替えることができます。
また、商品ごとに識別用のタグシールを貼り、持ち上げると映像が切り替わるものもありました。商品の配置が変わってもOK。
https://www.j-materials.jp
映像の中に入り込む。Shenzhen XINTAI Photoelectricの五面没入型LEDディスプレイ
視界全体を映像で包み込む五面没入型LEDディスプレイが展示されていました。前面だけでなく、左右、天井、床までLEDディスプレイ。足場以外は、高強度力一ボンファイバーでつくられており、軽量化を実現しています。
https://www.xintaileddisplay.com/ja/

その場でパシャリと撮影、すぐに新聞風のペーパーが印刷される「おもいで新聞PHOTO」

タッチパネルで好みの新聞デザインを選び、撮影ボタンを押すとカウントダウンがスタート。まるでプリクラ。撮り直しもできました。完成した画像は印刷するか、QRコードを読み取りスマートフォンに保存することも。SNSへの投稿なども考えると現代らしい仕組みです。「自分が主役になる」コンテンツはやはり人気が高く、来場者が足を止めていました。
一方で、印刷にはある程度時間がかかっているようでした。おそらく撮影後に順次出力しているのだと思われますが、大規模イベントや展示会で集客する場合は、印刷物の受け渡し方法や待機列の整理など、運営面の設計も必要になりそうです。
https://www.inter-cosmos.co.jp/

4.既存の技術を高付加価値化
デジタル全盛だからこそ目を引く。パタパタと切り替わるフラップディスプレイ

昔懐かしい”アナログ”なしくみを活用した展示に、来場者は惹きつけられていました。
かつて時計や駅の発車案内板などで見かけた「パタパタ」。電光掲示板やLEDディスプレイの普及によって、見かける機会は極端に少なくなりましたね。それを現代によみがえらせたフラップディスプレイです。モーターでフラップを回転させながら、パタパタという独特の音とともに表示内容が切り替わります。
ハードウェア、ソフトウェアともに自社開発によるオリジナル。1つあたり約10Wで稼働し、連結して大きくすることもできます。
活用シーンはホテルや商業施設、イベントなどさまざま。2024年12月12日に「変なホテルプレミア」京都・五条烏丸の受付カウンターで導入されています。自動制御による表示切り替えはもちろん、ボタン操作で手動切り替えも可能。プロジェクションマッピングと連動させたり、イベントで来場者が描いたイラストや有名人のサインを表示したりと、演出の幅も広がります。
https://jigentsunagu.com/
天井の空きスペースを広告媒体に。AIR WINGのエアコン吹き出し口風よけ広告

エアコンの風よけに広告機能を組み合わせた「AIR WING」。開発したのは、もともとエアコン用の風よけ製品を手がける株式会社ダイアン・サービス。エアコンの風よけ機能はそのままに、風よけ部分を広告や案内表示のスペースとして活用できるようにしています。これまで活用されていなかった天井空間を情報発信の場へと変えるアイデアです。
https://adwingpro.com

Editor’s note:どう活用すれば成果につながるのかまで提案する

デジタルサイネージがさまざまな方向へ進化していることが分かりました。電子ペーパー、透過型LED、没入型ディスプレイ、AIを活用したシステムなど、技術的にできることは大幅に増えています。一方で、必ずしも最新技術だけが来場者の注目を集めていたわけではありません。フラップディスプレイのような技術が、デジタルに囲まれた今だからこそ新鮮に映ります。ディスプレイの大型化や高精細化はもちろん、形状や体験価値で差別化する流れも強まっているようです。

MICE・イベントの主催者が求めているのは、最新技術そのものではなく「結果」です。来場者数が増えたのか、ブースへの立ち寄りが増えたのか、滞在時間が伸びたのか、商談につながったのか。技術が進化してもそこは変わりません。
展示会では各社の製品をその場で比較できるからこそ「どう活用すれば成果につながるのか」まで踏み込んだ提案があると、違いが見えやすくなると思いました。技術の可能性を示す提案は数多く見られた一方で、その先の活用方法や成果のイメージについては、来場者に委ねられていました。技術を用いて、どのような体験や成果を生み出せるのかが、今後重要になっていくのではないでしょうか。
DSJ 2026のフォトギャラリー


https://www.dynascandisplay.co.jp

https://www.sanko-net.co.jp/ssv/







Interop Tokyo 2026のフォトギャラリー
















