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【IMEXフランクフルト2026 現地レポート】日本から過去最多の50社・団体が出展/進む日本MICEの国際化、欧州から見た日本MICEの「いま」

会場の様子(事務局提供)
会場の様子(事務局提供)

欧州最大級のMICE見本市における日本の存在感の大きさと大阪・関西の勢い

会場に足を踏み入れた瞬間、世界のMICE産業の熱量を肌で感じました。2026年5月19日から21日までの3日間、ドイツ・フランクフルトのメッセ会場で開催された欧州最大級のMICE専門見本市「IMEX Frankfurt 2026」。参加者は13,000人超、出展企業は約3,000社、世界中から4,500人を超えるバイヤーが集まり、事前予約された商談は過去最多の73,000件(うち1対1の商談は63,500件)にのぼりました。デュッセルドルフ在住のMICE TIMES ONLINE欧州特派員が、MICE TIMES ONLINEの名刺を携えて会場を歩いた3日間をレポートします。

筆者紹介:Richard Mort(リチャード・モート)

欧州、日本、シンガポールで25年以上、リサーチャーやコネクターとして活動。現在はデュッセルドルフを拠点に、見本市や国際イベントのエコシステムマッピング、意思決定者の特定を専門とする。Web Summitや大阪・関西万博でのデータ検証や組織分析で実績を持つ。日英独仏の4言語に堪能。日欧間の戦略的インテリジェンスと現場の動向を伝える、MICE TIMES ONLINEの記者。

会場の様子(事務局提供)
会場の様子(事務局提供)

世界のMICEが集う3日間 IMEXフランクフルトとは

IMEXは毎年5月にフランクフルトで開催される、MICE業界では世界最大級の専門見本市です。各国のコンベンションビューロー、会場、ホテルグループ、DMC、イベントテック企業が一堂に会し、ホステッドバイヤープログラムを通じて世界中のミーティングプランナーと商談を重ねます。今年のテーマ(Talking Point)は「Design Matters」。開催地を擁するフランクフルト・ラインマイン地域が「ワールドデザインキャピタル2026」に選ばれていることにちなんだものです。

会場MAPが床に(筆者撮影)
会場MAPが床に(筆者撮影)


会期中、最大の話題は間違いなくAIでした。一方、閉幕時の記者会見でIMEXグループのカリーナ・バウアーCEOが総括したのは、その対極にある事実でした。AIの時代だからこそ、直接顔を合わせることの価値がかつてないほど見直されている、というのです。実際に会場で交わされる握手と名刺交換の密度は、その言葉を裏付けるものでした。世界のビジネスイベント産業のGDP貢献は、直接・間接の効果を含め1.8兆ドル(EICが2026年5月に発表した世界経済効果調査)。この巨大市場の縮図が、3日間だけフランクフルトに出現するのです。

IMEX 公式Webサイト https://imexevents.com/

IMEXフランクフルトについて。詳しくはこちらから

https://micetimes.jp/imex-frankfurt-2026/

ジャパン・パビリオン(F400)。JNTOの旗印のもと21団体が集結した
ジャパン・パビリオン(F400)。JNTOの旗印のもと21団体が集結した

日本から過去最多の50社・団体が出展

今年のIMEXで特筆すべきは、日本勢の規模です。筆者が公式の出展者ディレクトリをもとに集計したところ、日本からの出展は50社・団体に達し、IMEXにおける日本勢として過去最多となりました。JNTOが取りまとめるジャパン・パビリオン(ブース番号F400)には、大阪観光局、神戸観光局、仙台、千葉、横浜の各ビューロー、インテックス大阪、パシフィコ横浜、The Okura Tokyoやヒルトン東京などのホテル、JALPAK、日本旅行、阪急交通社系DMC、東武トップツアーズといった21の企業・団体が集結。さらに29社がホール8内に独自ブースを構えました。内訳はコンベンションビューロー9団体、会場・コンベンションセンター5施設、DMC・旅行会社13社、ホテル・ホテルグループ20社、専門企業3社です(いずれも筆者集計)。

注:IMEX Frankfurt 2026では、日本政府観光局(JNTO)/日本コンベンションビューロー(JCB)が、ホール8のブースF400に日本ブース(Japan Stand)を出展。IMEX公式ディレクトリでは、JNTOが同ブースの取りまとめ役(Coordinating Company)として掲載され、21件のPartner Companyが登録されている。共同出展者は、千葉コンベンションビューロー、Flip Japan、阪急交通社系DMCのHANKYU TRAVEL DMC JAPAN、ヒルトン・ホテルズ・ジャパン(ヒルトン東京)、JALPAK、Japan Dream Tour、JR東日本ホテルズ、神戸観光局、日本旅行、オリエンタルホテルズ&リゾーツ、大阪観光局、大阪国際会議場/インテックス大阪、大阪・関西ホテルアライアンス、仙台コンベンションビューロー、South Osaka MICE and Corporate Visits、オークラ東京(The Okura Tokyo)、ウェスティンホテル横浜、東武トップツアーズ、ツーリズムデザイナーズ(NAGOYA DMC)/JR東海ホテルズ、Unique Venues of Japan(VMG HOTELS & UNIQUE VENUES)、横浜市観光協会/パシフィコ横浜の21件。

この「過去最多」の背景には、3つの要因があると見ています。
第一に、大阪・関西万博の成功です。2025年10月13日に閉幕した万博は、一般来場者約2,558万人(関係者を含むのべ約2,902万人)を集め、経済波及効果は経済産業省の暫定試算で約3.6兆円。夢洲への地下鉄延伸をはじめ、万博のために整備されたインフラは恒久的な受け入れ能力として残りました。

第二に、国際会議統計での日本の躍進です。まさにIMEXの会期中に発表されたICCAの2025年統計で、日本は国別ランキングの順位を二つ上げて世界6位、アジア太平洋では最上位に立ちました。各ビューローにとって、欧州のバイヤーに示せるこれ以上ない追い風です。

第三に、静かな構造変化です。出展した日本のDMC13社のうち8社が、すでにミュンヘン、ロンドン、パリなど欧州各地に拠点や営業窓口を構えています(筆者調べ)。「日本とビジネスをするにはまず日本へ」という時代は、終わりつつあるのかもしれません。

ICCA統計(国際会議統計)については詳しくはこちらから

https://micetimes.jp/icca-2026-news/

ジャパンパビリオンの様子(筆者撮影)
ジャパンパビリオンの様子(筆者撮影)

「ただいま商談中」盛況なジャパン・パビリオンを歩く

3日間、パビリオンは常に人で埋まっていました。商談テーブルは予約で埋まり、阪急のブースには「Currently in a meeting(ただいま商談中)」の札。じっくり話を聞く余裕はどのブースにもなく、商談の合間に立ち話を交わすのがやっとでした。しかしそれこそが、いまの日本への需要を何よりも雄弁に物語っています。

着物、東京、DMC、神戸…パビリオンで見られた様々な光景

パビリオンを彩っていた着物姿の女性は、フランクフルト在住の日本舞踊家、西川扇夢二(永井佐知子)さんでした。現地に根づいた日本文化コミュニティが、パビリオンの「本物」を支えているのです。Design Mattersというテーマに、これほど似合う光景はありません。
東京ブースでは、思いがけない出会いがありました。対応してくださった大石悠太氏の名刺には、Oishi International GmbH、所在地はデュッセルドルフ。私の住む街に拠点を置く会社が、東京のブースを現地で支えているのです。「Why Tokyo」を掲げたスクリーンの前で、欧州と日本の距離が縮まっていることを象徴するような出会いでした。

Hankyu Travel DMC Japanブースにて。「ただいま商談中」の札が3日間の密度を物語る
Hankyu Travel DMC Japanブースにて。「ただいま商談中」の札が3日間の密度を物語る

Hankyu Travel DMC Japanのブースでは、法被姿のスタッフが「Direct to your HEART」と題したパンフレットを手に、途切れることなく商談をこなしていました。一方、若いDMCのFlip Japanのブースには「Meeting available now!」のサイン。創業者のベニス・ラウCEO自らが来場者を迎えます。大手の予約商談と、新興勢力の飛び込み歓迎。対照的な戦い方が共存しているのも、50社という規模ならではの光景です。

記者が11年暮らした街、神戸からも出展がありました。神戸コンベンションビューローの軸丸優子氏、ランス・ファーガソン氏と名刺を交わせたのは、個人的に嬉しい瞬間でした。

大阪・関西万博を終えた大阪が欧州に示すものは

ジャパン・パビリオンの中でもひときわ存在感を放っていたのが大阪勢です。大阪観光局に加え、インテックス大阪、大阪関西ホテルアライアンス、南大阪MICEと、大阪関連だけで4団体。一都市圏としては突出した布陣で、インテックス大阪の玉本有沙氏にもご挨拶できました。

大阪観光局が「MICE誘致戦略部」という専門部署を置いていること自体が、いまの大阪の姿勢を物語っています。万博で証明した国際的な受け入れ能力を一過性のものに終わらせず、国際会議とインセンティブの継続的な誘致へどうつなげるか。2030年秋の開業を目指すIR(統合型リゾート)も、その延長線上にあります。欧州のバイヤーに対して大阪が示しているのは、「万博の街」から「国際ビジネスイベントの街」への明確な進化です。

Unique Venues of Japanのパトリック・ロワイエ氏と
Unique Venues of Japanのパトリック・ロワイエ氏と

「なぜ日本の歴史的建造物がフランクフルトに?」 Unique Venues of Japan

ジャパン・パビリオンでもうひとつ目を引いたのが、Unique Venues of Japan(バリューマネジメント株式会社)のブースです。同社が手がけるのは、文化財や城、社寺、古民家など、これまで「観る対象」だった歴史的建造物を「使える場」に変える事業。ブースで対応してくださったのは、インバウンド事業部マネージャーのパトリック・ロワイエ氏で、じっくり話し込む時間に恵まれました。日本の伝統建築の魅力を、欧州のプランナーと同じ言語感覚で語れる人材が最前線に立っているのです。その布陣自体が、同社が欧州市場をどれほど本気で見据えているかを物語ります。

バリューマネジメントの取材記事はこちらから

https://micetimes.jp/vmg-26-04/

https://micetimes.jp/vmg-event260305/

Japan×Tokyo合同ハッピーアワーの告知。寿司と日本酒の文字も
Japan×Tokyo合同ハッピーアワーの告知。寿司と日本酒の文字も

人が途切れない!SushiとSakeで締めくくる ジャパン・パビリオンのハッピーアワー

会期2日目の5月20日16時30分からは、ジャパン・パビリオン(F400)と東京ブース(F450)による合同ハッピーアワーが開かれ、私も足を運びました。本格的な寿司と日本酒が振る舞われ、会場は人の流れが途切れない盛況ぶり。ひとつの輪に長く留まる間もなく、グラスと名刺が行き交います。事前予約73,000件という商談の数字には決して表れない「関係の種」が蒔かれるのは、まさにこういう時間でした。


会場の様子(筆者撮影)
会場の様子(筆者撮影)

名刺の束が物語る、日本MICEの国際化

帰宅後、3日間で交換した名刺の束を机に並べてみて、ひとつの発見がありました。バリューマネジメントのロワイエ氏、The J TEAMのゲライント・ホルト代表取締役、神戸のファーガソン氏、Flip JapanのラウCEO。日本のMICEを「売る側」の顔ぶれが、確実に国際化しているのです。逆方向の動きもあります。ケルンに本社を置くteamtravel internationalのように、欧州側から日本専門のDMCサービスを展開するプレーヤーも現れています。

ホテル勢の単独出展も目を引きました。ザ・ペニンシュラ東京、ザ・リッツ・カールトン京都、東京ステーションホテル。日本を代表するホテルが、それぞれ自前のセールス担当を送り込み、欧州バイヤーと直接向き合っていました。

ラグジュアリー領域のDMC、Luxuriqueの眞野ナオミCEOとチームの皆さんにもお会いしました。また、公式の出展者リストには民放キー局・TBSの名もありました。放送局がMICEの国際見本市に名を連ねる。日本勢の多様化を象徴する一例です。

会場では、開催都市の顔にも出会いました。フランクフルト市営ワイナリー「Weingut Stadt Frankfurt」のブースで迎えてくれたのは、2025/26年フランクフルト・ワイン女王のカイ・アンチェ・ローレンツ(Kay Antje Lorenz)さん。市が自前のワイナリーを持ち、その年の「女王」が見本市で街を売り込む。MICEと都市文化が地続きである欧州らしい光景に、Design Mattersというテーマの本質を見た気がしました。


MICE TIMES ONLINEの名が、IMEXの公式メディアに

個人的に嬉しい出来事もありました。開幕前に公開した日本出展社50社の徹底ガイド(英語版)が、IMEXの公式ニュースメディア「IMEXscoop」に取り上げられ、クレジット付きで公式ショーアプリからもリンクされたのです。IMEXのシニアエディター、ソフィー・ジャクソン氏から直接ご連絡をいただきました。MICE TIMES ONLINEの名前が、IMEXの公式メディアを通じて世界の参加者に届いた瞬間でした。

会場の様子(事務局提供)
会場の様子(事務局提供)

欧州から見た日本MICEの「いま」

3日間を通じて感じたのは、日本への関心が「いつか行きたい国」から「次の開催地の候補」へと明確に変わりつつあることです。万博のレガシー、ICCAの新たな順位、欧州拠点を持つDMCの増加。材料は揃っています。
一方で課題も見えました。欧州を拠点に仕事をしてきた筆者の実感では、バイヤーの信頼を分けるのは、美しいパンフレットよりも「会期後48時間以内に届く具体的な返信」であり、おもてなしの抽象的な説明よりも「なぜこの会場でなければならないのか」という物語です。今年のテーマ「Design Matters」は、本来日本が最も得意とするはずの土俵でもあります。体験を細部まで設計し尽くす文化を持つ国が、それを欧州の言葉で語れるかどうか。そこに次の勝負があると感じました。

なお、IMEX閉幕のわずか2日後には、私の住むデュッセルドルフで欧州最大の日本文化の祭典「Japan-Tag(日本デー)」が開催され、ライン川沿いに約70万人(主催者発表・過去最多)が集いました。欧州と日本の距離は、確実に縮まっています。この街とフランクフルトのMICE都市としての姿は、また別の記事でお伝えしたいと思います。

会場の様子(事務局提供)
会場の様子(事務局提供)

取材を終えて

取材にご協力いただいたすべての皆さまに、心より御礼申し上げます。筆者は6月中旬から7月にかけて日本に滞在し、現地から引き続き日欧MICEの「今」をお伝えします。次にお会いするのは、フランクフルトではなく日本のどこかの会場かもしれません。
※記事・写真:リチャード・モート / MICE TIMES ONLINE 欧州特派員
(一部、MICE TIMES ONLINE編集部にて編集)

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